この記事を書いた人 RENOSYマガジン編集部
老後資金が2,000万円不足するという、金融審議会 市場ワーキング・グループがまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」が取り沙汰される中、定年を迎えた後の老後資金に不安を抱く方は多いのではないでしょうか。不安を抱えながらどう対処すればいいのか、と悩まれている方も少なくないでしょう。老後の資金計画を立てるためには、現役時代のお金の流れから把握することがもっとも大切です。
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人生100年と言われていますが、そもそも、人が一生に使うお金は一体いくら必要なのでしょうか。総務省の家計調査によると、 2019年(1~3月期平均)における消費支出(二人以上の世帯) は、1世帯あたり月平均29万2,284円、年間約350万7,408円です。
仮に、20歳から60歳まで40年間同じ金額を支出した場合、単純計算でおよそ1億4,030万円かかることになります。実際には支出は一定ではなく、現役時代~定年後にかけて、お金の支出には大きなイベントがいくつかあります。そのときになって慌てないために、ライフイベントごとにかかる費用の目安をチェックしておきましょう。
金額 | 参照 | |
---|---|---|
結婚費用 | 約460万円 | 厚生労働省所管 独立行政法人 勤労者退職金共済機構 |
出産費用 | 約50万円 | 公益社団法人 国民健康保険中央会 出産費用 平成28年度 出産費用の全国平均値、中央値 |
教育資金 |
約1,087万 (幼稚園~高校公立・大学私立の場合) |
文部科学省平成28年の学習費調査 |
住宅購入 | 約3,337万(建売住宅)約4,348万(マンション) | 住宅金融支援機構 2017年度 フラット35利用者調査調 |
イベントによってはまとまったお金が必要になることもあります。急な病気や事故、リストラ等も起こりえます。その為、先々を見越して早めに計画の準備をすることが大切です。
厚生労働省(平成29年度)の調べ では、日本人の平均寿命は男性が81.09年、女性は87.26年となっています。
夫が65歳以上、妻が60歳以上の場合、60歳で定年を迎え65歳で年金の受給を開始したとしても、約20年以上は貯蓄を取り崩す生活が続くことになります。
総務省(平成29年)の家計調査によると、60歳以上の単身世帯(無職)の月額消費支出の平均は 14万2,198円 、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦世帯(無職)の場合は 23万5,477円 となっています。
現役時代のように大きな支出のイベントがないとはいえ、定年後の約20年は決して短い期間ではありません。夫婦世帯の月額消費支出から単純計算すると、約5,700万円かかることになります。
特に女性は男性に比べて平均寿命が長いです。所帯で考えるのも大切ですが、個々でも計算をしておくことも必要でしょう。
老後の生活費は、公的年金を中心に、不足する分を現役時代に貯めた資金や、退職金を取り崩して賄うのが一般的です。
そのため、退職金もわかる範囲で金額を確認しておきましょう。厚生労働省の「 平成30年就労条件総合調査 」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者への退職給付額は以下の通りです。
大学・大学院卒(管理・事務・技術者) | 1,983万円 |
高校卒(管理・事務・技術者) | 1,618万円 |
高校卒(現業職) | 1,159万円 |
ただし、これはあくまで目安です。勤めている会社の規模や、勤続年数などによって実際の支給額は大きく異なりますし、退職金のない企業も増えてきています。定年まで勤めた場合の退職金額は勤務先に確認しておくとよいでしょう。
医療が発達し、平均寿命が延びるのは喜ばしいことではありますが、定年退職し、退職金と年金のみで悠々自適に暮らすという勤労者のライフプランが必ずしも成り立たなくなってきています。
お金には3つの使い道があります。
1つ目は、使う(消費、寄付やお年玉なども)。2つ目は、貯める(預貯金)。3つ目は増やす(資産運用)です。2つ目までは多くの方がおなじみだと思いますが、低金利の金融機関にお金を預けるだけでは、お金を増やすことは難しいでしょう。
超低金利の金融期間にお金を預けるだけでは、ATMの時間外手数料や、金利の上昇に追い付かず、実質的に資産価値を目張りさせてしまうことになります。
老後資金についての重要なポイントは、3つ目の“増やす”です。
日常生活での無駄を省いて余った分を貯蓄や資産運用にまわすのではなく、毎月先取りしておくと運用資金を確実に確保することができます。資産運用は余裕資金で行います。そして、それが現役時代から老後までのお金を増やす道になります。
それでは、具体的に公的年金以外で収入を得るそれぞれの方法と、投資については、それぞれメリットとリスクおよびデメリットについて説明します。
事業主が決まったルールに基づき、掛金を拠出します(従業員が上乗せ拠出できる会社もある)。従業員自身が運用商品を選んで、その運用結果によって将来受け取る年金額が変わる制度です。
確定拠出年金(企業型)と仕組みは同じです。毎月の掛金の金額は自分で決め、自分で運用します。
月々5,000円と小額から積立可能ですが、運用次第では元本割れするリスクのある商品もあります。掛金は、全額所得控除されるため課税はされません。2017年以降は公務員や専業主婦も加入できるようになりました。
原則として、60歳までは資金を引き出すことはできません。継続して掛金を拠出することが難しくなった場合には、それまでの積立金の運用を続ける必要があります。
100円(金融機関による)という特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための制度です。最長20年間、年間最大40万円を非課税で運用ができます。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が安い・長期安定運用など、国が定めた基準を満たした厳選されたファンドに限られているため、投資の初心者にとってはじめやすい仕組みとなっています。
長期で運用できる仕組みとして考えられた制度ですが、資金を引き出すことはいつでもできます。ですが非課税枠の再利用はできないなど、注意すべき点もあります。
保険は、将来起こるかもしれない事柄に対し、加入者が保険金を出し合い、万一の事故に対して備える制度です。公営保険と民営保険があります。
個人年金保険は、個人が公的年金で不足する部分を補うために、民間の保険会社などが用意している保険商品です。
契約時に、年金の受け取り時期に受け取る金額があらかじめ決まっている定額年金や、将来の運用成績によって受取額が変わる変動年金、また年金の受け取り期間が5年、10年、20年などと固定されている確定年金か、生きている間ずっと受け取れる終身年金などがあります。
企業が発行する株を売買し、利益を得ようとすることです。
人々から小口のお金を集めて大きな資金とし、それを運用の専門家が投資しまたは運用し、投資額に応じた分配金が得られる商品のことです。
Foreign Exchange(外国為替証拠金取引)の略で、他の国の通貨を売買して利益を出す仕組みです。
現物の不動産を購入し、入居者を募集し家賃収入(インカムゲイン)を得ることです。
いくつかの投資方法をみてきましたが、共通して言えることは、投資を始めなければリターンもない、ということです。
時間とお金に余裕ができる定年後に、いざ老後資金の運用を始めようと思っても、いきなり上手にはできませんし、増やす時間も限られてしまいます。
また投資のリスクとリターンは、大きなリスク=大きなリターン(安全性が低い)、小さいリスク=小さなリターン(安全性が高い)とトレードオフの関係になります。
リスク回避をするためには、知識を得ることが大切です。投資方法や投資先を絞りすぎず、資産をさまざまな種類の投資に分散すること、さらに、時期を分散することが大事です。
資金を一度に投入してしまうのではなく、何度かに分けて投資をすることで買値を平準化できるため、高値で買ってしまうようなリスクを抑えることができます。このような形をとりながら、中長期的な投資を行うことが、リスクコントロールにつながります。
公的な調査結果も参考にしながら、ご自身の現在の年齢に合わせてシュミレーションを設定し、老後の資金を増やす方法を考えましょう。
現在の自分のライフスタイルに合った投資方法を選びましょう。資産運用のセミナーや、マネーセミナーなどでプロに無料の相談をしてみるのもおすすめです。今さら聞けない、お金の基本的な知識を「図解で分かる!老後のためのあんしん投資 ガイドブック」でもわかりやすく解説しています。
その他、公的年金以外にも収入を得る方法として、老後も仕事を続けるという選択肢もあるでしょう。なかなか将来の自分がどのような仕事についているかなどと想像するのは難しいです。そこで、今現在、60歳以上で活躍されている方を男女問わず探してみてください。
もちろん、将来は状況も変わりますので、その方たちの仕事がその時に存在しているかはわかりません。しかし、その先輩の生い立ちなどから、何歳でどうアクションを起こしていたかなど、参考にできる部分はあるのではないでしょうか。
そしてお金を「増やす」投資について知り、自分自身の資産計画を練ることによって、お金について自分自身で判断できる姿勢が身につきます。
正しいお金の教養を身につけることによって、老後の生活への不安を減少させ、自分らしい豊かな生活を送りましょう。
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
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