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公開日: 2022.01.13

年収が多ければ年金は増える!? 年収600万円と年収1,200万円の金額差はいくら?

年収が多ければ年金は増える!?  年収600万円と年収1,200万円の金額差はいくら?

現役時代にがんばって働いて高収入だった人は、年金がたくさんもらえてゆとりある老後生活が送れるのでしょうか。たしかに年収300万円の人と1,000万円の人がもらう年金額には差があります。しかし、年収が多ければ多いほど年金がたくさん受け取れるわけではありません。この記事では、厚生年金の上限と老後資金準備の必要性について解説します。

年収と年金の受給額は比例しない!

会社員や公務員など給与所得者の公的年金は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっています。将来の年金受け取りのため、国民年金は20歳から、厚生年金は企業に勤める間、保険料を毎月支払います。

年収による差がない国民年金

国民年金の保険料は定額です。年金として受け取る金額は、保険料を支払った月数で決まります。よって、国民年金を受け取る額に年収による差はありません。国民年金保険料を480カ月(40年)支払った人が受け取る年金額は、年間78万900円(令和3年度)です。

年収による差がある厚生年金

2階部分の厚生年金の保険料は定額ではありません。給与によって支払う保険料が変動し、将来受け取る年金額も変動します。ただ保険料には上限があり、この上限があるために、高ければ高いほど年金が多くなるわけではなく、その点に注意する必要があります。

現役世代の従業員(被保険者)と事業主が折半して払う厚生年金の保険料は、税引き前の給与の金額によって決まります。保険料の額を決めるには標準報酬月額というものが使われます。一定の金額(給与)の幅で等級が分けられ、全部で32等級あります。標準報酬月額の高い人ほど支払う保険料が上がり、受け取る年金額は支払った保険料に応じて決まります。

年収が上がればその年収に比例して年金がどこまでも上がるわけではないことを知っていただくために、2つの年収帯で比較してみます。

年金受取額の比較

年収600万円と、倍の年収1,200万円の人が受け取れる年金額を比べます。

年収 受け取れる年金(年額) 厚生年金 国民年金 月額
600万円 223万円 145万円 78万円 18.58万円
1,200万円 267万円 189万円 78万円 22.25万円

年収は2倍違いますが、受け取る年金額は年額で44万円・月額約36,000円の違いと、受け取る年金の差は年収の差より少なくなります。思ったより大きな差はないのではないでしょうか。

そして受給額の月額、18.58万円と22.25万円。現役時代と比べると、使える金額に差を感じるのではないでしょうか。しかもここから税金や社会保険料がマイナスされるのです。

動画「リノシーチャンネル」でも解説しています。

【関連リンク】
驚きの事実!? 年金から「社会保険料」はいくら引かれるかご存知ですか?

年収1,200万円の人がもらえる年金額の割り出し方

ここから先は「どうやって年金の額が決まるの?」と疑問に思われ方に読んでいただきたいのですが、年収1,200万円(月収100万円)の人が受け取る年金額を大まかに試算してみます。

厚生年金の年金額の計算式

厚生年金の年金額の計算式は以下の通りです。

年金額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額

経過的加算額と加給年金額については、今回は考慮しないことにします。

将来受け取る年金の年間額は報酬比例年金額という数字を使いますが、2003年(平成15年)4月以後に就業開始した人の報酬比例年金額は次の式によって求めます(1946年(昭和21年)4月2日以降の生まれ)。

報酬比例年金額=平均標準報酬額×0.005769×被保険者期間の月数

平均標準報酬額とは、被保険者期間(年金の加入期間。保険料を支払う期間)の「標準報酬月額と標準賞与額の合計」を被保険者期間の月数で割った金額のことです。つまり、ボーナスも含めた現役時代の収入すべてを、月単位にならした金額というわけです。被保険者期間とは年金の加入期間のことで、保険料を支払った期間や免除期間などを対象に受給資格の判定をします。

標準報酬月額には上限がある

先に出てきた保険料の額を決める標準報酬月額は、給与額に相当する等級の区分の額を見ます。年収1,200万円、つまり月収が100万円の人の標準報酬月額は、65万円になります。100万円の月収があっても、1/3ほど少ない65万円の等級となるのはなぜでしょうか。

それは、厚生年金保険料の標準報酬月額は65万円が上限というルールがあるからです。

月収が63万5,000円以上の人、つまり年収約720万円以上の人はすべて65万円となるのです。賞与がある人は1回150万円を上限に年3回分まで平均標準報酬額に加算できます。しかし月収ベースでは、100万円でも65万円でも標準報酬月額は65万円で、受け取る年金も同額になるのです。

例えば年収720万円の人の生活と、年収2,000万円の人の生活費は、同じでしょうか? 年収が上がるにつれ生活費が増えているという人は、今の暮らしを維持するために、老後の生活費を別の手段で準備しておく必要があることが見えてきます。

年収1,200万円の人の年金額

就業から退職までの平均月収が100万円だったと仮定します(賞与なし)。また、被保険者期間は23歳から65歳までの42年間(504カ月)とします。

報酬比例年金額=65万円×0.005769×504カ月≒189万円

経過的加算額や加給年金があれば、若干金額は増えます。この189万円に国民年金の約78万円を加算すると、年収1,200万円の人の年金額は、約267万円となります。先の表で見た通り、月額22.25万円となります。

年収600万円の人がもらえる年金額の割り出し方

次に、定年までの平均年収600万円(月収50万円)の人の年金額を計算して、年収1,200万円の人と比べてみましょう。収入以外の条件は、上記と同様とします。

報酬比例年金額=50万円×0.005769×504カ月≒145万円

国民年金の約78万円を加算すると、年収600万円の人の年金額は約223万円、毎月受け取る金額は18.58万円となります。

年収1,200万円の人との差額は約44万円と決して少ないとはいえません。しかし、1/2になるわけでもありません。厚生年金の標準報酬月額に上限があるために、月に100万円の給料が200万円になったとしても、年金額は増えません

支払う保険料の元は取れる?

上述の例で被保険者期間504カ月中の標準報酬月額がずっと65万円だった場合、支払う保険料の合計は次のようになります(東京都の場合)。

支払保険料累計=5万9,475円×504カ月≒2,998万円

この約2,998万円の年金保険料の「元を取る」には、何年かかるでしょうか。

2,998万円÷267万円(年金年額)≒11.2年

受け取る年金が支払った保険料を上回るには、11年と数カ月かかることがわかりました。65歳から年金を受け取り、76歳から77歳まで生きていないと、「払い損」になるというわけです。

反対に長く生きれば生きるほど「お得」なのですが、人間の寿命は不確実です。公的年金の損得は、被保険者である私たちにはコントロールできません。そのため、自分の自由にできる資産も必要なのです。

公的年金で注意しておきたいこと

ここまでの試算は、現状の制度が将来にわたって続く前提での数字です。国民年金や厚生年金などの公的年金は、財政が悪化しても制度が続くように調整されています。しかし、保険料増額や給付の減額の可能性など、考えておくべきこともあります。

日本の少子化は加速している

日本の少子化の加速により、年金財政の悪化が懸念される点にも注意が必要です。

日本の公的年金は賦課方式といって、現役世代が支払う保険料を高齢者への年金給付としてまかなっています。

日本の年金財政は、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計をもとに試算されています。

以下の通り、2017年の国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」と厚生労働省の「人口動態総覧の年次推移」の出生数を比較しました。

表の推計値が国立社会保障・人口問題研究所のデータ、実数が厚生労働省のデータです。

【年次別出生数の推計値と実数の比較 (単位:千人)】

年次 推計値 実数
2016年(平成28年) 992 977
2017年(平成29年) 968 946
2018年(平成30年) 944 918
2019年(令和元年) 921 865
2020年(令和2年) 902 840
2021年(令和3年) 886
2022年(令和4年) 872
2023年(令和5年) 860
2024年(令和6年) 851
2025年(令和7年) 844

参照:国立社会保障・人口問題研究所2017年(平成29年)「日本の将来推計人口」(PDF)厚生労働省2020年(令和2年)「人口動態統計の概況」(PDF)より作成

上記の表から、2016年(平成28年)から出生数の実数は推計値を下回り続けているのがわかります。そして、その差は徐々に広がっています。最新の2020年(令和2年)の出生数は、2025年(令和7年)の推計出生数とほぼ同じです。

このことから、少子化は約5年分前倒しになっていると考えられます。少子化の加速は年金財政に悪影響を及ぼし、将来の保険料の増加と受け取れる年金額の減少が想定されます。

老後資金対策には投資が必要

ここまでのことを踏まえ、年金や老後資金について対策を考えましょう。収入が増えたとしても、もらえる年金が増えるわけではないことはわかりました。年金だけで生活していくことが難しいとしたら、どのような準備をしたらよいのでしょうか。

求める生活レベルや今の資金状況からあなたの老後に必要な金額を診断します。以下から4問の質問に答えて診断してみましょう!

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公的年金は老後資金の柱

出生数の減少など不安材料を述べましたが、そうはいっても公的年金はなくてはならないものです。どんなに長生きしても、公的年金なら一定の金額を死ぬまで受け取れます。

また、遺族年金や障害者年金で、一家の大黒柱の死亡や身体に障害を負ったときにも収入が得られます。老後の生活設計は、公的年金をベースプラスアルファを考えていくべきでしょう。

自助努力も絶対に必要

公的年金の不足分は、自分で準備する必要があります。現役時代に高収入だった人でも、受け取れる年金は現役時代の半分にもなりません。

また、公的年金はどのように不利益な変更がされるかもわかりません。不確実な将来のためには、元気で働けるうちにできるだけの準備をしておくしかないのです。老後のための準備といっても、すべてを超低金利の預貯金でまかなうと大変な負担になります。そこで、自分が取り得るリスクの範囲で投資をしていくことが必要なのです。

年金と投資の両建てで人生100年時代を乗り切ろう!

厚生年金の等級には上限があり、標準報酬月額65万円以上は100万円でも200万円でももらえる年金は同じことがわかりました。現役時代に高収入だった人も老後は限られた年金しか受け取れず、プラスアルファが必要となります。この機会に自分の将来の人生設計を考え、年金の上乗せをどのように準備するかを考えてはいかがでしょうか。

資産運用の必要性については、ガイドブック「図解でわかる!老後のためのあんしん投資」でもご紹介しています。ぜひ一度「投資とはどんなものなのか」を知るために資料請求(無料)してみてください。

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この記事を書いた人

松田聡子 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

群馬FP事務所代表。明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAを有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングで人生100年時代をマネーの面からサポート。 経営体質改善のヒント

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