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2021.03.18

耐震等級とは? 住宅購入前に知りたい1・2・3の違い

耐震等級とは? 住宅購入前に知りたい1・2・3の違い

日本は世界でも有数の地震国であり、大地震が突然発生することを想定しなければなりません。今後、住宅の購入・新築を計画する人にとって、耐震性能は重要なポイントとなります。

この記事では耐震等級の概要や、建築主・買主が耐震等級を取得するメリット・デメリット、耐震基準・免震制震との違いについて解説します。耐震等級は、最高ランクを取得することが理想であり、大地震が発生したとしても、安心して暮らせることが理解できます。

耐震等級とは?

耐震等級は、住宅性能表示制度により、建物が地震に耐えられる程度を示す等級です。建物の構造の安全に関する、構造躯体(くたい)の強さを表す性能表示項目が定められていて、「構造躯体の倒壊等防止」「構造躯体の損傷防止」「その他」という項目ごとに評価されます。

耐震等級の高い住宅は、大地震発生後も無被害もしくは軽微な損傷ですみ、以前と変わらない生活を送ることが期待できます。一方、耐震等級の低い住宅は、大地震発生後、甚大な被害を負い、建て替えをしないと住むことができない状況に陥り、生活再建もままならない事態となることが予想されます。

住宅性能表示制度

住宅性能表示制度は、2000年(平成12年)4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」に基づき、同年10月に運用開始された制度です。住宅の性能を評価し、表示するための基準や手続きが定められています。

参照: 「新築住宅の住宅性能表示制度」住まいの情報発信局 監修:国土交通省住宅局住宅生産課

耐震等級の区分

耐震等級の項目

構造躯体の強さを表す「構造躯体の倒壊等防止」「構造躯体の損傷防止」「その他」の各項目について、どのような内容を評価するのかを下表にまとめます。

【耐震等級の項目と内容】

項目 内容
1. 構造躯体の倒壊等防止 地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊の生じにくさ
数百年に一回は起こる可能性がある地震の大きさに対して、損傷は受けても、人命が損なわれるような倒壊をしないようにすること
2. 構造躯体の損傷防止 地震に対する構造躯体の損傷の生じにくさ
数十年に一回は起こる可能性がある地震の大きさに対して、大規模な工事を伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じないようにすること
3. その他 建築基準法に基づく免震建築物であるか否かを表す性能表示事項
評価対象建築物が免震建築物であることが確認された場合、上記1、2の評価は行いません。

そして「構造躯体の倒壊等防止」と「構造躯体の損傷防止」は、耐震等級1~3にて評価されます。

耐震等級1

耐震等級1は、建築基準法施行令第88条に定める最低限度の耐震性能を有する水準です。いわゆる「新耐震基準」といわれる水準です。

数百年に一回は起こる可能性のある地震(震度7クラス)に対して倒壊せず、数十年に一回は起こる可能性のある地震(震度5クラス)に対して損傷しないレベルです。

現在の建築基準法は、新耐震基準となっています。耐震等級1は、新耐震基準と同レベルです。ただし、注意点としては、耐震等級1=新耐震基準の建物であっても、震度7クラスの地震に対して、倒壊・損壊した建物が多数発生しています。

つまり倒壊しないと謳われていますが、実際には倒壊しています。耐震等級1では、少なくとも今後予測されている大地震に対して、安心することができないといえます(新耐震基準については、下記の「耐震基準とは?」を参照してください)。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1×1.25倍の地震力に対して、建物が耐えられる耐震性能を有する水準です。長期優良住宅の認定条件は、耐震等級2以上となります。

地震や水害などの災害時における避難所として活用される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の耐震性能を有することが必須となります。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1×1.50倍の地震力に対して、建物が耐えられる耐震性能を有する水準です。住宅性能表示制度において規定された耐震性能の中では、最高レベルとなります。

震度7クラスの地震力を建物が受けたとしても、損傷は小さく、地震後においても十分に住み続けることができます。地震や水害などの災害時における救護活動・復興活動の拠点となる警察署・消防署は、耐震等級3にて建設されることが望ましいです。

以上を簡単にまとめますと、下表の通りです。

【耐震等級の区分と内容】

構造躯体の倒壊等防止
耐震等級の区分 建築基準法との
耐震性能比較
内容
耐震等級1 建築基準法と同レベル 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊等しない程度
耐震等級2 耐震等級1×1.25 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度
耐震等級3 耐震等級1×1.50 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度
構造躯体の損傷防止
耐震等級の区分 建築基準法との
耐震性能比較
内容
耐震等級1 建築基準法と同レベル 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力に対して損傷を生じさせない程度
耐震等級2 耐震等級1×1.25 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して損傷を生じさせない程度
耐震等級3 耐震等級1×1.50 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して損傷を生じさせない程度
その他 評価対象建築物が免震建築物であるか否か □免震建築物 □その他

耐震等級の数字が大きいほど、建物の耐震性は高くなり、耐震等級3が最高等級となります。

耐震等級3 > 耐震等級2 > 耐震等級1(=建築基準法にて定める耐震基準)

数百年に一回は起こる可能性がある地震とは?

「数百年に一回は起こる可能性がある地震」は、1995年に発生した阪神・淡路大震災(震度7)を想定しています。それを受けて、2000年に品確法が施行されました。

【主な地震発生年と品確法施行年】

西暦 主な地震 震度
1995年 阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震) 7
2000年 品確法施行
2003年 十勝沖地震 7
2004年 新潟県中越地震 6弱
2011年 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震) 7
2016年 熊本地震 7
2018年 北海道胆振東部地震 7

品確法が施行されたあとも、数百年に一回と想定された震度7クラスの大地震が、25年ほどの間に数回発生しています。その度に、マンションや戸建てなどの住宅に、甚大な被害を生じさせています。

地震の学識経験者の間では、阪神・淡路大震災以降、地震の活発な活動期に入ったといわれています。南海トラフ大地震や首都直下地震においても、「30年以内発生する確率は70%である」といわれてから既に10年が経過しました。その発生確率は、日に日に高まっています。

耐震等級はどのくらいが安心か?

耐震等級は、上述したように1~3まであります。この選択は、施主もしくは購入者自身が選択できます。次に、戸建てとマンションに対する耐震等級の考え方を解説します。

戸建て

戸建て住宅に関しては、ハウスメーカーやパワービルダーの動向をヒントに考えます。

国内の分譲戸建て住宅販売棟数シェア1位*を誇る飯田グループホールディングスは、耐震等級3を標準装備としています。一条工務店では、耐震等級3の耐震基準を超えて、建築基準法で定める耐震基準×2.0倍の住宅を開発・販売しています。

この動向から、耐震等級3を標準装備と考えた方が安心といえます。

*2018年4月1日~2019年3月31日 住宅産業研究所調べ

マンション

マンションについては、2016年に発生した熊本地震の場合で考えます。

熊本地震は、震度7の余震が発生した1週間後に、震度7の本震が発生しました。「数百年に一回起こる可能性がある大地震」が、1週間で2度発生したことになります。

さすがに2度目の震度7を観測した本震により、耐震等級2以下のマンションの多くが倒壊しました。しかし、耐震等級3の評価を有するマンションは、倒壊せずに耐えていたことを、マスコミ各社は報道しました。

この事例がありますので、耐震等級3を有するマンションの購入を考えた方が安心といえます。ただし、立地によっては、耐震等級3を有するマンションの供給がない地域もあります。

ハザードマップなどを参考にし、地震発生履歴などを考慮しながら、購入有無や立地変更、耐震等級1~2の選択を検討する必要があります。

耐震等級を取得するメリット・デメリット

これから家を建てる人(施主)は、耐震等級を決めることができます。そして耐震等級を証明するためには第三者機関に評価を依頼し、認定を受ける必要があります。耐震等級を取得することによるメリットやデメリットを解説します。

耐震等級を取得するメリット

地震保険の割引制度や住宅ローンの優遇金利、贈与税の非課税枠拡大を利用できます。

地震保険の割引制度

耐震等級を取得することによるメリットは、地震保険の割引制度を利用できることです。地震保険には、耐震等級割引があります。例えば、耐震等級3の住宅の場合、保険料が50%割引となります。

【耐震等級に対する地震保険料割引率】
耐震等級 耐震等級1 耐震等級2 耐震等級3
割引率 10% 30% 50%

2011年に発生した東日本大震災では、耐震等級3の住宅は、地震による被害を軽微なものに抑えることができました。

その結果、

  • 2014年6月30日までは、耐震等級3の住宅の場合、保険料が30%割引まで
  • 2014年7月以降は、耐震等級3の住宅の場合、50%割引まで割引率が向上

と、東日本大震災を契機に割引率が変更されました。

住宅ローンの金利が優遇

フラット35を利用する場合、耐震等級2・3を取得すれば、優遇プランであるフラット35Sを利用することができます。

耐震基準2を取得すると、借入返済当初5年間にわたり、借入金利から0.25%割引できます。
耐震基準3を取得すると、借入返済当初10年間にわたり、借入金利から0.25%割引できます。

【耐震等級2・3取得による【フラット35】Sの優遇金利】
耐震基準 【フラット35】S
プラン 金利優遇期間 割引金利
耐震基準1
耐震基準2 金利Bプラン 5年間 0.25%
耐震基準3 金利Aプラン 10年間

贈与税の非課税枠が拡大

耐震基準2・3を取得しますと、非課税枠が拡大される「良質な住宅用家屋」となります。一般住宅の非課税枠に対して、最小と最大の金額に500万円の増額となります。

【耐震等級2・3取得による贈与税非課税枠の拡大額】
耐震基準 住宅名称 贈与税非課税枠
耐震基準1 一般住宅 300万~2,500万円
耐震基準2 良質な住宅用家屋 800万~3,000万円
耐震基準3

耐震等級を取得するデメリット

住宅の建築費・購入費が高くなり、デザインに制約を受けます。

建築費・購入費が高い

高い耐震等級を取得する場合、下記の工事などを行います。

壁量を増加
・強化
筋交いを増やし、構造用合板や耐力面材を使用
屋根と床の
軽量化・強化
軽い屋根材を使用し、振動を抑える処置、床に構造用合板を使用
基礎の強化 ベタ基礎を採用し、コンクリートを厚く設定
梁の強化 強度の高い集成材などを使用、金物工法により木材加工の減少
接合部の強化 柱と梁の接合部に接合金物を取り付け

そのため、建築費・購入費は高くなります。

特に、耐震等級3を取得する場合、

  • 構造計算費用:数十万円
  • 住宅性能評価書の取得費用:10万~20万円

が、別途必要になります。耐震等級2を取得する場合には、第三者機関によりますが、住宅性能評価書の取得に数万円前後かかります。

住宅のデザインに制約

高い耐震等級を取得する場合、間取りや開口部などの制約を受け、デザインに影響を及ぼす可能性があります。

建物の耐震性を考慮する場合、

  • 建物は、重量が軽いほど、耐震性が良い
  • 耐力壁の量が多いほど、耐震性が良い
  • 耐力壁や耐震金物は、バランスよく配置されているものほど、耐震性が良い
  • 床の耐震性能についても、考慮されているほど、耐震性が良い

という基本原則があります。

これらの基本原則を優先しますと、デザインは制約を受けます。

耐震等級の決め方

耐震等級は、上記にて解説した概要やメリット・デメリットを総合的に鑑みて、自身で決めます。決して、設計者や施工会社などが決めることではありません。

  • 耐震性重視で住宅を購入・建築したいのであれば、耐震等級3の取得となります
  • 価格を抑えたい考えであれば、耐震等級1の取得となります
  • 耐震性・価格の両方を満たしたいのであれば、耐震等級2の取得となります

耐震基準とは

ここまで耐震等級について解説してきましたが、耐震基準についても解説します。

耐震基準には、1981年(昭和56年)6月1日を境界日として、旧耐震基準新耐震基準があります。

【旧耐震基準と新耐震基準との違い】
耐震基準 内容
旧耐震基準 1981年5月31日までの建築確認において適用された基準
新耐震基準 1981年6月1日以降の建築確認において適用された基準

旧耐震基準は、震度5強程度の揺れに対して、建物が倒壊しない構造基準として規定されました。

一方、新耐震基準は、震度6~7程度の揺れに対して、建物が倒壊しない構造基準として規定されました。地震力が加わった場合、構造部材に生じる応力が許容応力度以内であることが求められます。また、一定規模以上の建物の場合、靭性(粘り強さ)も求められます。

現在の建築基準法耐震基準は、新耐震基準です。注意点としましては、1981年6月1日以降に着工した建物であっても、同年5月31日までに建築確認の適用を受けた場合、旧耐震基準となります。

耐震等級と耐震基準との違いは、

耐震等級3 > 耐震等級2 > 耐震等級1(=新耐震基準)> 旧耐震基準

となります。新耐震基準を満たしているのが耐震等級1 となります。

耐震と免震、制震との違い

耐震と似たような用語として免震制震があります。それぞれの違いを下表にまとめます。

【耐震・免震・制震の違い】
内容
耐震 地震に対して、建物の強度(耐力壁・床版・柱・梁)において、揺れに耐える構造です。現在の大半の住宅で採用されています。
免震 建物に伝達する地震の揺れ幅を軽減し、建物本体と建物の中の安全性を高める構造です。地震の揺れが建物に伝わりにくい構造とします。例えば柱と基礎との間に免震装置(高性能なゴムパッキン)を挟んだ構造などです。
制震 建物内部にダンパーなどの「制震部材」を組み込み、地震の揺れを吸収する構造です。

ちなみに、耐震等級は耐震の分類の中での耐震強度基準となります。

災害後も生活できる住宅を

以上、耐震等級の概要や耐震等級を取得するメリット・デメリット、耐震基準・免震制震との違いについて解説しました。

耐震等級は高いほど、耐震性能は向上し、さまざまな優遇ポイントを享受することができます。今後、発生が予測される大地震を考慮しますと、耐震等級3を取得しておきたいところです。しかし、反面建築価格も上がります。そこの折り合いをどのようにして決めるかは、何に重点を置くかにより変わります。

しかし、大地震が発生して住宅に甚大な被害を受ければ、元も子もなくなります。耐震等級3を取得し、大地震が発生しても、安心して災害後も生活できる住宅を取得されることをお勧めいたします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

平野直樹 一級建築士

有限会社エクセイト研究所 代表取締役 建設コンサルタント、政府系シンクタンクを経て、有限会社エクセイト研究所を設立、現在に至る。主な業務は、不動産コンサルタント・不動産ライター。自らもマンション3棟所有(自主管理) 資格:一級建築士、一級土木施工管理技士、宅地建物取引士

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