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更新日: 2022.11.15

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)とは?計算明細書や必要書類の入手方法までの解説

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)とは?計算明細書や必要書類の入手方法までの解説

住宅を購入した際は、住宅ローンの控除(住宅借入金等特別税額控除)を受けてお得に支払いをしたいものです。しかし、年に一度の手続きのため、不慣れでわからないことも多いのではないでしょうか。この記事では、住宅ローン控除を受けるための必要書類から取得方法を解説していきます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)とは

住宅ローン控除は、個人が住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入・建て替え・増改築を行う場合に、一定の要件を満たすと、年末のローン残高に応じて所得税額から控除される制度です。税額から直接引かれる「税額控除」という仕組みです。控除額がそのまま返ってくるので、大きな減税となる利用すべき制度です。

住宅ローン控除のはじまりは、1972年の「住宅取得控除制度」と呼ばれる制度です。国が国民に住宅購入を促進させるためにはじまった制度で、50年以上続いています。

制度の内容は時代によって変化しています。住宅ローン控除期間は10年間ですが、消費税10%の引き上げにあわせて2019年10月1日から13年間控除される特別控除が始まり、現在に続いています(要件あり)。

令和4年度税制改正の大綱(2021年12月24日閣議決定)では、2021年1月1日から2025年12月31日までの間に「認定住宅等」に入居した場合、控除期間の3年間の延長などの特例措置があります。

【関連リンク】
100万円以上も引き下げに? 住宅ローン控除はこう変わる【2022年度税制改正大綱の発表】

日常的には「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」と呼ばれていますが、「住宅借入金等特別控除」という制度です。要件を満たせば「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を選択することができます。この記事では、「住宅借入金等特別控除」について解説します。  

参考: No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)を受けるための条件

住宅ローン控除を受けるためには、必ず購入した年の確定申告をする必要があります。

サラリーマンなど給与所得者の場合は、1年目に確定申告をすませると、2年目以降は会社に必要書類を提出して年末調整を行えばよく、確定申告をする必要はなくなります。

住宅ローン控除を受けるための要件を詳しく見ていきます。まずは新築住宅購入の場合からです。

住宅の新築・新築住宅購入の場合

個人がマイホームを新築もしくは建築後未使用の住宅を取得した場合で、住宅ローン控除の適用を受けられるのは、次の全ての条件を満たすときです。

条件1

マイホームを新築もしくは取得の日から6か月以内に居住し、住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで住んでいること

条件2

 住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が、2,000万円以下であること

条件3

 新築もしくは取得したマイホームの床面積が、50m2以上あり、床面積の2分の1以上の部分に自ら住んでいること

ここで注意していただきたいことは床面積の基準で、以下の通りです。  

  1. 床面積は、登記簿に表示されている床面積です
  2. マンションは、共用部分(階段や通路など)については床面積に含みません。登記簿上の専有部分の床面積になります
  3. 併用住宅(店舗・事務所等)は、店舗・事務所等も含めた建物全体の床面積になります
  4. 共有名義(夫婦・親子等)のマイホームは、共有部分を含めた建物全体の床面積になります
    ただし、区分所有しているマイホーム(マンション)の場合は、専有部分の床面積になります

条件4

マイホームを新築もしくは取得のための借入金もしくは債務があること。ただし、10年以上にわたり分割して返済する方法になっていること。また、マイホームとともに取得する土地の借入金も含みます  

借入金もしくは債務の対象は

  1. 銀行等の金融機関
  2. 独立行政法人住宅金融支援機構
  3. 独立行政法人都市再生機構
  4. 地方住宅供給公社
  5. 勤務先
  6. 建設業者

などになります。

ただし、勤務先からの借入金の場合、0.2%(平成28年12月31日以前の場合は1%)に満たない利率の借入金は住宅ローン控除の対象になりません。さらに親族や知人からの借入金は住宅ローン控除の対象になりません。

条件5

住んだ年と、その前後2年ずつの5年間に、マイホームを譲渡した際の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと

中古住宅購入の場合

中古住宅購入の場合の要件です。

個人が中古住宅を取得した場合で、住宅ローン控除の適用を受けられるのは、次の全ての条件を満たすときです。

条件1

建築後、使用されたことがある住宅であること

条件2

 上記「住宅の新築・新築住宅購入の場合」の1〜5の条件に当てはまること

条件3

次のいずれかに当てはまる住宅であること

  1. 住宅の建築された日から取得の日までの期間が20年(マンション等耐火建築物については25年)以内であること
  2. 取得の日より前2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合出来ると証明(耐震住宅)された住宅であること
  3. 1もしくは2以外の住宅で、その住宅の取得の日までに耐震改修工事を申請し、住み始める日までに耐震改修工事を行い、2の基準に適合出来る証明がされた住宅であること

増改築の場合

続いて、増改築を行う場合の要件です。

個人が増改築工事を行った場合で、住宅ローン控除の適用を受けられるのは、次の全ての条件を満たすときです。

条件1

マイホームで、自己の住まい用の増改築であること  

条件2

増改築工事後、マイホームの床面積(登記面積)が50m2以上で、かつ上記「住宅の新築・新築住宅購入の場合」の条件1、2、4、5に当てはまること  

条件3

次の1~6のいずれかに当てはまる工事で、建築士等が発行する増改築等工事証明書などにより証明されたもの

  1.  増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替えの工事
  2. 区分所有部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕または模様替えの工事
  3. 住宅のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下の一室の床、壁の全部について行う修繕または模様替えの工事
  4. 地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕または模様替え
  5. バリアフリー改修工事
  6. 省エネ改修工事

条件4

増改築工事費用が100万円を超えること

条件5

住まいの部分の工事費用が、増改築工事費用の総額の2分の1以上のこと

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)の必要書類(初年度)

住宅ローン控除の適用を受ける手続きは、控除を受ける初年度と2年目以降とでは異なります。

まず、控除を受ける初年度は、確定申告書が必要となります。確定申告をする際には次に掲げる書類を添付して、納税地の所轄税務署長宛に提出します。

確定申告書

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に所得のある人が、所得金額を申告して所得税を納税、または超過した納税額を還付申告することで返金してもらう税務処理です。 

確定申告することで、住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。確定申告期間は、原則は翌年の2月16日~3月15日です。確定申告書類は税務署もしくは 国税庁のサイト から取得できます。

住宅借入金等特別控除額の計算明細書

書類は税務署から取得します。 国税庁のサイト からも取得できます。書類への記入内容は、マイホームの住居割合、居住開始日、住宅ローン残高、その控除額です。書類作成は、国税庁の「 確定申告書等作成コーナー 」の利用をおすすめします。画面指示に沿って入力すれば作成できます。 

ちなみに住宅ローン控除額の計算式は、

住宅ローン控除額 = 住宅ローン年末残高 × 1%

が基本ですが、細かい計算規定がありますので、詳細は下記のページを参照してください。 

参照: マイホームを持ったとき 1|国税庁

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

ローン残高は、住宅ローンを借り入れる契約を交わした金融機関から取得します。通常は10月頃に金融機関から郵送されます。この書類により、12月31日時点での住宅ローン残高がわかります。

建物・土地の登記事項証明書

どこの法務局でも取得出来ます。この書類により建物の床面積(登記面積)が50m2を超えているか、住宅ローン控除申請者の所有権有無を判断できます。

売買契約書または建築請負契約書のコピー

売買契約書は住宅の売買契約の際に不動産会社から取得します。建築請負契約書は新築・増改築工事を請負った建築会社から取得します。この書類により、新築住宅か中古住宅か、新築工事か増改築工事かが判断できます。

マイナンバーが記載されている本人確認書類

マイナンバーカードか、もしくはマイナンバー通知カードかマイナンバーが記載された住民票を準備します。住民票は市町村長から取得します。

補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の額を証する書類のコピー (補助金や贈与を受けた場合)

補助金を交付した法人や贈与した者から取得します。 

増改築等工事証明書(リフォームした場合)

増改築工事を請負った建築会社から取得します。この書類により、増改築工事内容(面積)・工事金額等がわかります。

給与所得の源泉徴収票(2019年4月1日以降は不要)

源泉徴収票は、勤務先より支払われた給与・手当・ボーナス等の支給額や、所得税が記載された書類です。勤務先から取得します。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)の必要書類(2年目以降)

2年目以降に必要となる書類は以下の通りです。 

2年目以降は、確定申告書に以下に掲げる書類を添付して、所轄税務署に提出します。

  1. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算書
    ※付表1や2が必要な場合はこれらの付表も含みます
    付表1:補助金等の交付を受ける場合又は住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合の取得対価の額等の計算明細
    付表2:連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書
  2. 住宅借入金等特別控除額の計算書
    ※2ヶ所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書

またサラリーマンや公務員など給与所得者の場合は、2年目以降は年末調整住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。

以下に掲げる書類を勤務先に提出します。 

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

確定申告をすると、確定申告した年の10月頃に、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。控除を受けられる9年分がまとめて送られてきます。 

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

「年末残高等証明書」は金融機関から毎年10月頃に送られてきます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)に関連したスケジュール

住宅ローン控除を受けるまでに必要なスケジュールをまとめました。

時期 確定申告
年末調整
手続期間 書類手続
1年目 確定申告
準備
10~11月 金融機関から借入金の年末残高証明書が郵送
11~2月 税務署から住宅ローン控除の計算明細書を取得
市町村役場から住民票を取得
法務局から土地・建物の登記簿証明書を取得
会社から源泉徴収票を取得(2019年4月1日以降は不要)
税務署から確定申告書を取得(国税庁サイトからも取得可能)
不動産売買契約書または建築請負契約書のコピーを準備
マイナンバーが記載された本人確認書類を準備
(補助金や贈与を受けた場合)
補助金等の額を証する書類または
住宅取得等資金の額を証する書類のコピーを準備
(リフォームした場合)
増改築等工事証明書のコピーを準備
確定申告 2~3月 税務署へ確定申告申請(郵送、国税庁サイトからも可能)
2年目 年末調整
準備
10~11月 税務署から住宅ローン控除証明書が9年分まとめて郵送
金融機関から借入金年末残高証明書が郵送
年末調整 11~12月 会社で年末調整の手続き
(住宅ローン控除証明書、借入金年末残高証明書を添付)

住宅ローン控除(住宅借入金等特別税額控除)は活用しましょう

以上、住宅ローン控除の書類について説明をしました。住宅ローン控除は所得税から住宅ローン控除額を直接差し引くことが出来ますが、差し引きしきれなくて余った金額を住民税からも差し引くことができます。手厚い処置を施した減税制度ですので、ぜひ活用されることをおすすめします。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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