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更新日: 2020.12.28

住宅ローン控除とは〜条件や手続き方法を徹底解説

監修:
税理士法人 スバル合同会計
住宅ローン控除とは〜条件や手続き方法を徹底解説

住宅ローンで住宅を購入した場合、「住宅ローン控除」による減税を受けられます。「住宅ローン控除」の仕組みや適用の条件について解説します。「住宅ローン控除」の申請手続きにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した際、税負担を10年間軽減する制度のことです。住宅ローンの借入残高に応じて計算した控除額を所得税から控除する制度です。

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の1%に相当する額が、最大10年間控除されます。ローン残高の1%がそのまま還付されるのではなく、支払った所得税などから控除される仕組みです。

なお消費税10%の引き上げにあわせ2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合でマンションの取得にかかる消費税が10%の場合には、控除期間が3年延長され13年間控除されます。また、新型コロナウイルスの影響により2020年12月31日までに入居ができなかった場合でも、2021年12月31日までに入居すればこの適用を受けることができます(ただし、新築については2020年9月末、中古住宅の取得、増改築等については2020年11月末までに契約を締結しているケースに限る)。

令和3年度税制改正の大綱(2020年12月21日閣議決定)では、2021年1月1日から2022年12月31日までの間に入居した場合、控除期間の3年間の延長や床面積の緩和(50m2以上からが40m2以上に)などの特例措置があります。

住宅への入居時期が「2013年1月1日~2013年12月31日まで」「2014年1月1日から2020年12月31日まで」では限度額が変わってきます。控除期間は10年(13年)です。以下が控除の概要になります。

住居の用に供した年 控除率 期間 年末残高の
限度額
各年の控除
限度額
最高控除額
の合計
2013年1月1日~
2013年12月31日まで
1% 10年 2,000万円 20万円 200万円
2014年1月1日~
2020年12月31日まで
1% 10年
(13年)
4,000万円 40万円 400万円

※認定住宅の場合は控除の限度額は10万円増加します。

※11年目から13年目は、次のいずれか少ない額が控除限度額
 (1)年末残高等(上限4,000万円)×1%
 (2)(住宅取得等対価の額-消費税額)(上限4,000万円)×2%÷3

たとえば、2019年に入居しローン残高が3,000万円の場合、その1%にあたる30万円が控除額となります。その年に支払った所得税が16万円だった場合、まず所得税が16万円戻ってきます。

控除額の残りの14万円は、還付されるのではなく、翌年に支払う予定の住民税から差し引かれるという仕組みです。

住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除はすべての住宅で受けられるわけではなく、一定の条件があります。内容は「新築物件」と「中古物件」で違います。

新築物件で住宅ローン控除を受けるための主な条件

  • 合計所得が3,000万円以下であること(※年収ではないことに注意)
  • 取得日から6カ月以内に居住し、12月31日まで引き続いて居住していること
  • ローンの返済期間が10年以上であること
  • 床面積が50平方メートル以上であること
  • 床面積の2分の1が居住用であること

中古物件で住宅ローン控除を受けるための主な条件

中古の場合は、新築の条件に加えて、以下の条件が必要になります。

  • マンションなどの耐火建築物の場合は購入時点で築25年以内であること
  • 耐火建築物でない場合は築20年以内であるか一定の耐震基準をクリアしていること

その他の条件

  • ローンの借入先は金融機関であることが一般的ですが、たとえば親や親族からの借入分は、控除の対象ではありません
  • それまでに住んでいた家屋などを譲渡した場合に長期譲渡所得の課税の特例などの適用を居住した年とその前後2年ずつの計5年間(令和2年4月1日以後に譲渡した場合は、前2年・後3年の計6年間)受けていないこと

中古マンションもローン控除の対象になる

住宅ローン控除」は、新築マンションに限った制度ではなく、中古マンションでも控除を受けられます。中古マンションの購入に際しては、以下の条件が加わります。

築年数を確認

中古マンションの場合は、築年数が関係します。マンションのような「耐火建築物」(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)の場合は、取得日から過去25年以内に建造されたことが条件です。

また木造や軽量鉄骨造などの「非耐火建築物」の場合は20年以内で、築年数の条件が異なります。

現行の耐震基準に適合するか

中古マンションでは耐震基準も条件のひとつで、以下の3つのうちいずれかの基準を満たす必要があります。

  • 耐震基準適合証明書」による証明のための家屋の調査が終了したもの
  • 「建設住宅性能評価書」による耐震等級が等級1、2、または3のもの
  • 「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約」が締結されているもの

なお、先述した築年数の要件と耐震基準のいずれかを満たしていれば、中古マンションでも「住宅ローン控除」の対象となります。

住宅ローン控除を受けるには?

実際に「住宅ローン控除」を受けるには、手続きが必要です。初年度には「確定申告」で「住宅ローン控除」を申請します。

初年度は確定申告が必要。書類を用意しよう

マンション購入後、はじめて住宅ローン控除を受ける際には確定申告が必要です。確定申告は、税務署や、確定申告書作成コーナーで手続きを行うか、郵送あるいは国税庁のサイトからも申告ができます。

確定申告ではさまざまな書類が必要です。まず、税務署あるいは国税庁のサイトより、以下の書類を取得して記入します。

  • 確定申告書(A)
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

申告書と一緒に提出するものとして、以下の書類も用意します。

  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
  • 源泉徴収票
  • 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」

ローンの残高証明書は借入先の金融機関から送付されます。また、中古住宅の場合は、上記に加え、築年数が25年(20年)を経過している住宅は耐震基準適合証明書などの写しが必要となります。

マンションの土地の総面積の計算方法

マンションの場合、住宅ローン控除を申請する際にわかりにくいのが「土地の総面積」です。「土地の総面積」は、「1棟の土地面積×自分の専有部分の床面積÷1棟の家屋の総床面積」の計算式で割り出します。

会社員は翌年から年末調整でローン控除

マンションを購入したら、「住宅ローン控除」のために毎年確定申告が必要かというとそうではありません。会社員の場合、次年度からは会社の年末調整で控除を受けられます。

控除証明書と年末残高証明書を会社に提出

一度、確定申告で「住宅ローン控除」を行うと、その年の10月下旬頃に税務署より「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」が送付されます。この証明書と、借入先から郵送される「年末残高証明書」を、年末調整の時期に会社に提出すれば問題ありません。

なお、税務署からの「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」は、確定申告した年に残りの9年分をまとめて送付されます。大切に保管するようにしてください。

年末調整書類に取得金額や残高を記入する

年末調整では、書類の提出とあわせて、該当箇所の記入も必要です。「住宅借入金等特別控除申告書」に、以下の点などを記入し、提出します。

  • 新築または購入にかかる借入金等の年末残高
  • 家屋または土地等の取得対価の額
  • 家屋や土地の総床面積のうち居住用部分の占める床面積、割合
  • その年に適用となる住宅借入金等特別控除額

毎年数字が変わる部分もありますが、1部コピーを取っておくと、その翌年の参考になり便利です。

売却、買い替え後の住宅ローン控除について

住宅ローン控除」の利用には条件があることは先述した通りですが、売却や買い替えによって控除が受けられなくなることがあります。注意したいポイントをまとめました。

買い換え特例など他の特例を受けると対象外

マンション売却時に「住宅ローン控除」は消滅してしまいますが、その分ほかの優遇措置もあります。そのひとつが「居住用財産の3,000万円の特別控除」です。

これは、マンションが購入額よりも高く売れ、所定の費用を差し引いた後の「譲渡所得」が3,000万円までなら所得税がかからないという制度です。

その他の特例として、新しい住居の取得金額が前の住居を売った金額より大きければ課税を繰り延べる「買い換え特例」や、所有期間が5年を超える住居を売却した際に税率が軽減される「長期譲渡所得の特例」などがあります。

ただし、新たに住居を購入した年の前後2年ずつの計5年間(令和2年4月1日以後に売却した場合は、前2年・後3年の計6年間)にこれらの特例を受けると、「住宅ローン控除」の対象外となります。

どの制度を利用すれば得なのかは、細かい条件によっても異なります。初心者ではわかりにくいので、税務署や税理士事務所などに意見をあおぐのが得策です。

まとめ

住宅ローン控除」は、年末のローン残高に応じて所得税などの控除を受けられる制度です。新築マンションだけでなく、中古マンションでも活用できる制度ですので、マンションを取得したら、まずは確定申告を忘れないようにしましょう。

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RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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