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お金と制度
2021.03.11

転職したばかりでも住宅ローンは組める? 注意点も詳しく解説!

転職したばかりでも住宅ローンは組める? 注意点も詳しく解説!

自宅を購入する際に組む住宅ローンでは、借入れができるかどうかの審査において、職業・勤務先・年収は重要な要素です。今回は、特に転職と住宅ローンの関係について、融資を審査する立場の銀行員が解説します。

転職が住宅ローン審査へ与える影響とは

転職直後は住宅ローン審査が通りにくくなる

転職直後は、間違いなく住宅ローンの審査に通りにくくなります。転職すると、当然ながら勤続年数はゼロとなり、いわばリセットされます。銀行では、住宅ローン審査において安定性を重視しますので、これからローンを組む人が転職したばかりというのは、安全性の観点からいえば最も低評価になってしまいます。

これから家を買おうというときに職を変えるのは、審査という点においてはまったく逆効果な動きともいえます。一般的に、一生に一度の大きな買い物である自宅購入と、転職というこちらも重大な転機を同時に越えられる人はなかなかいません。

キャリアアップ転職なら通過するケースも

しかし、これがキャリアアップの転職なら審査を通過する可能性もあります。

前より規模の大きい会社への転職、年収がアップする場合を「キャリアアップ」とよび、ネガティブな転職とは違った見方をしてもらえます。

会社規模が大きくなれば倒産の可能性は低くなり、給与収入の持続性が高まりますし、年収がアップすれば返済比率が下がり安定性が高まるからです。

住宅ローンと転職のタイミング

住宅ローン審査において、転職のタイミングは重要です。上記で述べてきた通り、借りる前の転職は不利になることが多いのでやめた方がいいです。では、借りたあとの転職はいつでも大丈夫なのでしょうか?

こちらについても説明します。

NGなのは転職直後と審査中

転職に至るにはいろいろな事情はあるでしょう。しかし繰り返しになりますが、少なくとも住宅ローンを借りようというタイミングでは転職はオススメできません。

金融機関にとって、転職したばかりの人というのは「これから大きな借金を抱える人物が職を変える行動を取った」とみなされます。「返済の意思が疑わしい人」と感じられてしまいます。

融資実行後ならば影響はない?

融資後ならば影響はありません。ただし、タイミングによっては銀行に知られてしまう場合もあり、そのときはマイナスなこともあります。

転職したことが銀行に知られてしまうケース

ローンの審査中に転職をしてしまう、もしくは転職を控えて有給休暇取得中だったという場合など、審査途中で転職がわかってしまうことがあります。

本審査などで在籍の事実を確認

住宅ローンの審査やカードローン審査に共通しますが、勤務先に確かに勤めているかを審査で確認するのが「在籍確認」です。

在籍確認の具体的な方法は、勤務先に電話で確認するのが代表的です。そして、この在籍確認で転職したことが発覚してしまうケースがあります。

ローン特約なしの場合、支払った手付金が戻ってこないこともある

上記のように在籍確認で虚偽が発覚すれば、ローンは即審査落ちとなってしまいます。住宅ローンの審査では虚偽が発覚しても(よほど悪質でなければ)違約金などの金銭的ペナルティーは発生せず、ただローンが借入れできないだけで終わります。

しかし、戸建てやマンション購入で手付金を支払っていた場合、いわゆる「ローン特約(ローンを借りる前提で売買契約を結ぶが、ローン審査に通らなかった場合には手付金が返還される特約)」を付けずに契約していた場合、手付金が戻ってこない場合もありますので注意が必要です。

融資のあとで転職を隠していたことが知られると違約金を請求される場合もある


融資を受けたあとで、申込時に申告した内容に虚偽、隠蔽がありそれが発覚すると、融資を取り消されて全額返済を求められる場合もあります。

これはどの職業についてもいえることで、実は転職していたのに、そのことを隠し、例えば前勤務先に勤め続けていると装い融資を受けた場合などは、融資取り消しだけでなく書類の偽造として犯罪行為にまで及ぶ危険性もあります。

また全額返済となった場合で、長期の固定金利ローンを借りていると繰上返済に対する違約金(固定金利を組む代わりに、繰上返済する場合は残額の何%という違約金を課す)まで容赦なく請求されることもあり得ます。 

転職したら金融機関へ申告は必要?

転職したら金融機関へ申告は必要か? は実は微妙な問題です。本来であれば申告しなければいけないケースもあるはずですが、融資を受けたあとでは勤務先や職業について銀行に申し出る機会はまずなく、私はこれまで問題が生じる前に申告してきたお客様を見たことはないからです。

金融機関へ転職を告知する必要はある

転職を例にすれば、住宅ローンを借りたあとで転職した場合には、遅滞なく銀行に報告する義務がローンを借りている人にはあります。

これはローンの契約条項に書かれています。

<お客さまが次の各号の一つにでも該当した場合は、当社の請求によって本契約による一切の債務について期限の利益を失い、直ちに債務を全額返済するものとします。(中略)お客さまの信用状態に著しい変化が生じる等借入金の返済ができなくなる相当の事由が生じたとき。

(中略)お客さまは、担保の状況、またはお客さまもしくは保証人の信用状態、財産、職業、地位、経営、業況、勤務先、収入等について重大な変化が生じたとき、または生じるおそれのあるときは、当社から請求がなくてもお客さまは直ちに当社に報告するものとします。 

引用:ソニー銀行/住宅ローン契約約款
※太字・下線は筆者

上記を補足すると

「職業や勤務先、収入などが変わり信用状態に著しい変化が生じた場合には銀行に報告する義務」があり、またそうした状況が判明すると、ローンを全額直ちに返済しろと求められる可能性があるということなのです。

これは「期限の利益の請求喪失」に該当するケースとして、一定の期間をおいて、また督促状などの手続きを経たうえで、銀行から全額返済を請求されます。ちなみに、自己破産などで即時に返済を求められる「期限の利益の当然喪失」もあります。

返済が厳しくなりそうなら早めに相談を

しかしながら、実際に転職した時点で転職したと申し出る人はまずいません。そもそも住宅ローンの契約約款というものは契約証書の裏面などに小さく書いてあるので知らない人も多いからです。

また転職しても返済が続けられるなら、特に銀行と接触する機会もないので、知られるきっかけがないといえるわけです。

ただし、転職して返済が厳しくなると銀行に相談することになり、そのとき事情を聞かれて「実は転職したので......」と転職の事実をこのとき初めて報告する、というパターンが大多数でもあります。

転職直後でも住宅ローンは申し込めるのか

ではここで、改めて転職直後に住宅ローンを申し込めるのかをもう一度考えてみたいと思います。

フラット35なら勤続年数の要件がない?

住宅金融支援機構フラット35の場合、勤続年数の最低期間などは明文化されていない、と解説しているサイトもあります。確かに「勤続〇〇年以上」とは書いてありませんが、だからといって勤続年数の要件がないと言い切れるとは思えません。
たとえばフラット35のホームページには次の記載があります。

年収は、原則として、申し込み年度の前年の収入を証する公的証明書に記載する次の金額となります。
(1)給与収入のみの方は給与収入金額

引用:住宅金融支援機構/フラット35/ご利用条件

要は、前年の収入証明が出せる人、つまり勤続1年以上と表現していると私は考えます。

「原則として」との前置きがありますので、実際はフラット35取り扱いの金融機関に確認してください。

転職数カ月後以降に申し込むのがベター

転職して何カ月たったら申し込みが可能か? これも正解はありません。銀行員として3年間は欲しいですし、最低でも1年勤めれば年収証明ができますし、1年勤めたからもっと長く勤められるとプラス評価にもなります。

一方で数カ月でも審査に通る銀行もありますが、ケース・バイ・ケースとはいえ、最低でも1度は賞与をもらえる6カ月は必要だと考えます。

転職と住宅ローン借入れのタイミングはよく考えよう

仕事に対する価値観、働き方や人生観も昔とは変わっていますので、もちろん転職することは悪いことではありません。しかし住宅ローンの審査を受けるときは、審査の時期の転職は避けた方がよいです。オススメできる理由がありません。そして、借りた直後も同じです。家を手に入れる前後は職を変えない方がよい、これが銀行員からのアドバイスです。
 

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

加藤隆二

勤続30年の現役銀行員。金融ライター。 入社してから渉外担当、融資担当者として数え切れないほどお客様と会ってきました。とくに年齢を重ねてからは融資窓口で「事業資金融資」「住宅ローン」「不動産投資」など、あらゆる融資でお客様の相談に乗り、一緒に悩んだ経験では誰にも負けない自信があります。そんな一介の銀行員目線で記事を書いています。

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