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長期優良住宅とは? 条件やメリット・デメリットを徹底解説

2020.11.20

長期優良住宅とは? 条件やメリット・デメリットを徹底解説

この記事を書いた人 RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。
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住宅を購入する際、「長期優良住宅」という言葉を聞いた方もいるのではないでしょうか。優遇措置のメリットも多い長期優良住宅は、2009年6月にスタートし、開始月に認定を受けた住宅は2,367戸。そこから初年度は約5万7,000戸が認定され、2020年3月までの累計では、約113万2,000戸まで増えました。

長期的に住み続けられる家に住みたいと考えている方にとって、長期優良住宅は有効な選択肢のひとつです。そこで今回は、長期優良住宅の条件やメリット・デメリットについて解説していきます。

長期優良住宅とはどんな住宅?

制度誕生の背景

従来の日本の住宅では、建てては壊す“スクラップ&ビルド”が主流でした。

今後少子高齢化が進む日本では、新築住宅へのニーズは減少していきます。ニーズが減るのに作り続けるということは、供給過多の状態になります。

それに住宅を新築する際にはさまざまな種類の材料が必要となるだけでなく、取り壊すときには大量の廃材が発生します。つまり、スクラップ&ビルドの繰り返しは、環境の観点からも良い状況とはいえません。

そこで、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として(住宅:長期優良住宅のページ - 国土交通省)、長期にわたって住み続けられる住宅を普及させる長期優良住宅認定制度が開始されました。

長期優良住宅認定制度は、戸建ての住宅や、マンションなど共同住宅どちらにも利用できます。2016年4月からは、新築住宅だけでなく増改築した場合も、所定の条件を満たすことで長期優良住宅の認定を取得することができるようになりました。

主な認定基準

まず長期優良住宅と認定されるためには、次の対策が講じられていることが必要とされています。

  1. 長期に使用するための構造及び設備を有していること
  2. 居住環境等への配慮を行っていること
  3. 一定面積以上の住戸面積を有していること
  4. 維持保全の期間、方法を定めていること
引用: 長期優良住宅認定制度の概要について[新築版]|一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

これらの対策には基準が設けられていて、次の項目を満たす必要があります。

  • 劣化対策:数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること
  • 耐震性:極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること
  • 省エネルギー性:必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
  • 維持管理・更新の容易性:構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること
  • 可変性:居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること
  • バリアフリー性:将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること
  • 居住環境:良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること
  • 住戸面積:良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
  • 維持保全計画:建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が 策定されていること

※可変性とバリアフリー性は共同住宅等(マンション)のみ

引用: 長期優良住宅認定制度の概要について[新築版]|一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅の認定を受けることに、どのようなメリットがあるのかを見ていきます。

税制が優遇される

長期優良住宅を購入した場合、一定期間、税金の負担を軽減できます。

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで長期優良住宅を購入した場合、住宅ローン控除の控除額が100万円増えます。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ人が所定の条件を満たした場合、所得税と住民税から減税を受けられる制度です。住宅ローン控除の控除額は、年末時点における借入残高の1%に相当する金額です。控除期間は最大で10年間ですが、2019年10月の消費税10%への引き上げにともない、所定の条件を満たすと控除期間が13年間に延長される特例措置が実施されています。

住宅ローン控除の控除額には、以下のような上限が設けられています。

対象となる年末時点の借入残高 控除額(10年間の合計控除額)
一般の住宅 4,000万円 40万円(400万円)
長期優良住宅 5,000万円 50万円(500万円)

長期優良住宅と認定を受けた住宅を購入した場合、住宅ローン控除の上限額が年間10万円、10年間で100万円高くなります。所得税や住民税の金額を超える控除は受けられませんが、50万円より多く支払っているならば所得税や住民税の節税効果は高まります。

登録免許税

登録免許税とは、住宅を取得する際の所有権保存登記や所有権移転登記の際に支払う税金で、不動産の価額に税率をかけて算出されます。住宅を購入するときに支払う登録免許税は長期優良住宅の場合、以下のように軽減税率が適用されて税負担が軽減されます。

所有権保存登記 所有権移転登記
戸建て 0.15%→0.1% 0.3%→0.2%
マンション 0.3%→0.1%

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産の購入時に1度だけ支払う税金です。

所定の条件を満たす新築住宅を購入した場合、不動産取得税額は固定資産税評価額から1,200万円を控除した金額に3%をかけて計算されます。購入した住宅が長期優良住宅であった場合、控除される金額が1,300万円までに増えます。

固定資産税

固定資産税とは、不動産を所有し続ける限りかかる、毎年1月1日時点で不動産を所有する人に対して課せられる税金です。

固定資産税は、固定資産税評価額に1.4%をかけて算出されます。新築住宅を購入すると税額が一定期間1/2となる減額措置を適用できます(要件あり)。

※居住部分の床面積が1戸当たり50m2(一戸建て以外の貸家住宅については、1戸当たり40m2)以上280m2以下の住宅で、1戸につき床面積が120m2までが減額の対象となります。

長期優良住宅を購入した場合、減額措置の適用期間が以下のように2年間延長されるため固定資産税の負担のさらなる軽減が可能です。

  • 新築一戸建て:3年間 → 5年間
  • 新築マンション:5年間 → 7年間

「フラット35S」が適用されて金利が下がる

フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供される住宅ローンです。返済が終了するまで変わらない全期間固定金利であるため、返済の途中で返済額が上がる心配がありません。

長期優良住宅を購入した場合、フラット35Sの金利「Aプラン」が適用され、借入れ当初の10年間は金利が0.25%差し引かれます。

例えば、2020年11月現在、借入期間が20年超、融資率が9割以下であるフラット35の金利が1.3%とすると、長期優良住宅の認定を受けフラット35Sが適用されると借入れ当初の一定期間は金利が1.05%になります。

30歳で借入額4,000万円、返済期間35年、金利1.3%、ボーナス返済なし、返済期間中の返済額を一定にする元利均等方式で借入れた場合、フラット35Sの適用の有無によって返済額が以下のように変わります。

フラット35のみ フラット35Sの適用後
毎月の返済額 118,592円 〜返済10年目:113,848円
11年目以降:117,292円
返済総額 49,808,848円 48,849,328円
うち利息負担 9,808,848円 8,849,328円

フラット35Sの適用を受けられると、返済総額が約100万円減らせる結果となりました。

地震保険料が割引される

地震保険とは、地震・噴火や津波が原因によって住宅や家財が損害を受けた場合に保険金が支払われる保険です。

地震保険は、保険の対象となる住宅の耐震性能に応じた割引が受けられます。長期優良住宅の認定基準の中に耐震性能に関する項目があります。耐震性では、「建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと」「住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律 )による免震建築物であること(免震建築物の場合)」などが求められます。長期優良住宅の認定を受けた結果として、地震保険料の割引を受けられる基準にも達することとなります。

耐震等級3で50%、耐震等級2で30%、耐震等級1で10%の割引が受けられます。

長期優良住宅のデメリットはある?

長期優良住宅は、上記のように優遇措置がありますが、メリットばかりではありません。検討する際は、以下のデメリットを理解することが大切です。

申請の手続きが複雑

長期優良住宅は、原則として工事の着手前に所管の行政庁へ申請をする必要があります。申請前に工事を始めてしまうと、認定を受けることができません。長期優良住宅の申請をするには、必要書類を揃えて都道府県や市区町村など所管の行政庁に提出します。

長期優良住宅の認定申請に必要な書類は、以下の通りです。

  1. 認定申請書
  2. 設計内容説明書
  3. 各種図面・計算書
  4. そのほか必要な書類(都道府県や市区町村が指定する適合証など)

所管行政庁に提出し、適合審査が行われた結果、長期優良住宅に認定されると認定通知書が交付されます。

長期優良住宅の審査は、数週間ほどかかるといわれています。提出した書類に不備があると認定までに時間がかかり、工事の着手が先延ばしとなりマイホームへの居住開始が遅れてしまいます。

必要な書類を準備するまでにも時間がかかります。

長期優良住宅の申請は、建築主や分譲事業者、また施工事業者が代理することもできます。

コストや手間がかかる

認定を受けるための、必要な書類を整えるまでに、時間と費用がかかります。例えば「適合証」を受けるための技術的審査料や、役所に納める申請料などです。コストを抑えたくても、着工前の申請で建築確認申請と同時に申請するとなると建築主が申請できないケースもあります。

長期優良住宅の認定を受けたあとも、申請時に作成した維持保全計画にそった定期的なメンテナンスとその内容の記録が求められます。もちろん必要に応じて調査・修繕・改良を行うことも求められます。

住宅の性能が一般的な住宅よりも高くなるからということ、建築費も高額になります。

点検や修繕を怠ると、長期優良住宅の認定が取り消されて税金や住宅ローン金利の優遇が受けられなくなる場合もあります。また点検や修繕の履歴を報告しなかったり、虚偽の内容を報告したりすると30万円以下の罰金が科せられる恐れもあります。

住宅購入を検討されている方は長期優良住宅も選択肢に入れてみよう

長期優良住宅は、耐震性能やバリアフリー性能が一定の基準を満たしていると認められるため、長期にわたって安心して快適な暮らしが期待できます。

税金や住宅ローン金利などが一定期間優遇されるため、資金計画を入念に立てて、長期優良住宅の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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