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お金と制度
2021.02.26

購入? それとも賃貸? お金の面で考えると、どちらを選ぶべきか

購入? それとも賃貸? お金の面で考えると、どちらを選ぶべきか

家は買うのがいいのか、それとも借り続けた方がいいのか。「持ち家vs賃貸」は永遠のテーマといってもいい問題です。持ち家にも賃貸にもメリット・デメリットがありますし、自分の描く今後のライフプランによっても答えが変わってくるでしょう。では、お金の面で考えると、どちらを選ぶべきなのでしょうか。具体的な試算と筆者の見解を紹介します。

持ち家・賃貸のメリットとデメリット

はじめに、持ち家と賃貸のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

持ち家

【メリット】

  • 住宅ローン返済後は住居費がかからなくなる
  • 家が自分の資産になる
  • リフォームや間取り変更が自由にできる
  • 設備のグレードが高い

【デメリット】

  • 転勤などがあっても簡単に住み替えはできない
  • 固定資産税などの税金やリフォーム費用が発生する
  • 築年数が経過すると資産価値が落ちる可能性がある

持ち家のメリットは、住宅ローンを完済すれば住居費がゼロになることです。老後、収入が減ったときに住居費の負担がなくなるのは強みです。また、持ち家は自分の資産になりますし、リフォームや間取り変更といったことも自由にできます。

一方で、家があることで引っ越しがしにくくなりますし、固定資産税リフォーム費用といった維持管理費用がかかることも忘れてはいけません。

賃貸

【メリット】

  • ライフスタイルや家族構成に合わせて住むエリアや間取りを変えられる
  • 古くなったら新しい物件に住み替えができる。リフォーム費用も不要
  • 住宅ローンを組まなくてすむ

【デメリット】

  • 家賃を払い続けても自分の資産にはならない
  • 2年ごとに更新料が必要
  • 高齢になると借りられる物件の選択肢が狭まる可能性がある

賃貸のメリットは、ライフスタイルや家族構成に合わせて住むエリアや間取りを変えられること。例えば仕事の利便性を高めるために駅近くの部屋を選んだり、子どもが生まれたら広めの部屋を借りたりという具合に、臨機応変に変更できます。

住宅ローンのようなまとまった資金も不要です。しかし、賃貸の場合はどれだけ家賃を払っても自分の資産にはならないため、高齢になっても家賃の負担は必要になります。

持ち家と賃貸で住宅関連コストはどのくらい変わる?

では、持ち家と賃貸でどのくらい費用が変わるのか、住宅関連コストを比較してみましょう。

以下の図は、30歳男性が頭金300万円を準備し、4,500万円のマンションを購入した場合と、賃貸マンションに住み続けた場合の住宅関連コストのシミュレーションです。

住宅関連コストのシミュレーション

30歳男性が90歳まで生きると仮定してシミュレーション

購入
9,047万円
マンション購入
価格 4,500万円
頭金 300万円
諸費用(物件価格の3%) 135万円
毎月返済額(借入条件:フラット35利用、金利2%、35年返済、ボーナス時加算なし) 13.1万円
管理費・修繕積立金
(当初20年間)
2万円
管理費・修繕積立金
(21年目以降)
3.5万円
固定資産税(年間) 10万円
機構団信特約料(総額) 285万円
リフォーム費用(20年後) 50万円
リフォーム費用(35年後) 300万円
住宅ローン控除総額
(フルで活用できた場合)

住居費用より差し引く
337万円
賃貸A
8,863万円
【1〜6年】
敷金(家賃1か月) 9万円
礼金(家賃1か月) 9万円
仲介手数料(家賃1か月) 9万円
家賃 9万円
管理費(家賃の10%) 1万円
更新料(2年に1度) 9万円
【7〜24年】
子育て期間
敷金(家賃1か月) 14万円
礼金(家賃1か月) 14万円
仲介手数料(家賃1か月) 14万円
家賃 14万円
管理費(家賃の10%) 1.4万円
更新料(2年に1度) 14万円
引っ越し費用 20万円
【25年〜】
子供独立
敷金(家賃1か月) 9万円
礼金(家賃1か月) 9万円
仲介手数料(家賃1か月) 9万円
家賃 9万円
管理費(家賃の10%) 1万円
更新料(2年に1度) 9万円
引っ越し費用 20万円
賃貸B
(賃貸Aよりも築浅物件 
or 広めの部屋を借りた場合)
9,705万円
【1〜6年】
敷金(家賃1か月) 10万円
礼金(家賃1か月) 10万円
仲介手数料(家賃1か月) 10万円
家賃 10万円
管理費(家賃の10%) 1万円
更新料(2年に1度) 10万円
【7〜24年】
子育て期間
敷金(家賃1か月) 15万円
礼金(家賃1か月) 15万円
仲介手数料(家賃1か月) 15万円
家賃 15万円
管理費(家賃の10%) 1.5万円
更新料(2年に1度) 15万円
引っ越し費用 20万円
【25年〜】
子供独立
敷金(家賃1か月) 10万円
礼金(家賃1か月) 10万円
仲介手数料(家賃1か月) 10万円
家賃 10万円
管理費(家賃の10%) 1万円
更新料(2年に1度) 10万円
引っ越し費用 20万円

※購入、賃貸ともに、同じ駅から徒歩10分以内の物件例をもとに試算

この試算では、90歳まで生きると仮定しています。

購入の場合の住宅ローンは、フラット35(金利1.6%)で35年間、4,200万円の融資を受けたとして試算しました(ボーナス時加算なし)。購入20年後・35年後の2回にわたってリフォームすることを想定しています。

また、賃貸は購入と同程度の部屋を借りた場合(賃貸A)と、賃貸Aよりも築浅または広めの部屋を借りた場合(賃貸B)の2例で算出。どちらも、子育て期間は広い部屋を借り、子育てが終わって夫婦2人になったらコンパクトな部屋に住み替えることを想定しています。

単純に総額だけで比較すると、賃貸Aがもっとも安上がりで、購入、賃貸Bと続きます。賃貸AおよびBと比較する際、頭金の300万円は使わずに貯蓄などに回っていることも忘れてはいけません。

もちろん、細かい条件は物件によって違いますし、住宅ローンの金利も変動金利を利用するなどで変わります。さらには、想定外の修繕や引っ越しなどが起きることもあります。したがって、あくまでも目安としてご覧いただければと思います。

賃貸がおすすめの理由は?

持ち家か賃貸かを選ぶ際には、上のように経済的な金額の比較計算はすべきです。とはいえ、これまで多くの相談に乗りましたし、比較シミュレーションもしましたが、経済的な金額の比較では明らかにどちらが良いとなることは、実はあまりないと感じます。よって、金銭的には見えないメリットも含めて選択すべきです。

みなさんは、どちらがいいですか? 迷いますか?

筆者は、個人的には賃貸がおすすめです。

家を購入するときには、「一生そこに住み続ける」という決意を持って購入する方がほとんどでしょう。しかし、長い人生の間(なにせ、上の例では60年!)には、例えば会社で転勤があったり、親の介護があったりするかもしれません。こうなると、せっかく家を買っても、住み続けられなくなってしまう可能性もあるのです。

賃貸は高齢になると借りられる物件の選択肢が狭まる傾向があることをお話ししました。しかしこれも、今後日本では人口減少・少子高齢化が一層進むことを考えると、問題が少なくなると考えています。

人が減るのに物件が多いということになれば、貸し手である大家は入居者がいなくて家賃収入が得られない「空室リスク」にさらされることになります。そうすると、高齢者だからといって入居を断っていられない状況になるはずです。

また、建物や設備はどうしても老朽化してしまうものです。持ち家で買ったグレードの高い設備も、住宅ローンの返済が終わる頃にはすっかり年季が入ってしまっていたり、時代遅れとなっていたりすることでしょう。持ち家を買った時点で地域に活気があったとしても、数十年経過後には寂れてしまうということだって、ないとはいえないのです。

その点賃貸であれば、最新の部屋に住むこともできますし、活気のあるエリアを探して引っ越すこともできます。持ち家に縛られない暮らしができるのがメリットです。

フリーランスという働き方が増えてきています。自宅を事業所のように使っている場合は、家賃の一部を経費として計上することもできます。賃貸であれば、家賃コストのダウンサイズも比較的簡単です。

また、最近話題のFIRE(経済的な自立と早期退職を目指すムーブメント)本でも、住居費や生活コストを抑えるという観点で海外(東南アジア)での生活を勧めています。

こうした新しい働き方が今後より定着するのなら、何も日本にずっといる必要もないでしょう。その意味でも、賃貸の方が身軽で、新しい潮流をつかみやすいと考えます。

家を購入するなら検討すべき3つのポイント

持ち家にもメリットがあるのは事実です。どうしても家を買いたいというのであれば、以下の3点をチェックしておきましょう。

1. 会社から住宅手当が出るなら購入した方がメリット大

もし勤め先の会社が住宅手当(住居手当)を支給してくれるのなら、購入のメリットは大きいでしょう。

住宅手当は、従業員の住宅ローンの費用の一部を補助してくれる手当です。会社の福利厚生の制度のひとつですが、導入は任意なので、住宅手当のある会社とない会社があります。

この住宅手当を出してくれる会社に勤めているならば、その分住宅ローンの負担が減りますので、購入した方が経済的メリットは大きいでしょう。

2. 住宅ローン減税1%がある2021年のうちが狙い目

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは、一定条件を満たしたマイホームを購入・リフォームするために住宅ローンを借りると、支払った所得税や住民税が還付される制度です。

手続きすると、原則として住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額を、10年間税金から差し引くことができます。

実はこの制度、2019年の消費税増税の影響を緩和するため、税金を差し引くことができる期間が13年に延長されています。

さらに、当初この延長が受けられるのは「2020年末までに入居すること」が条件でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて延長。注文住宅は2021年9月末、分譲住宅は2021年11月末までに契約を行い、2022年12月末までに入居をすれば、13年にわたって税金を差し引くことができます。

また、住宅ローン減税で控除される「年末残高の1%」も次の税制改正大綱で見直される予定です。理由として、現状住宅ローンを1%未満の低金利で借りている人が多く、1%分の税金が戻ってくると金利との差額分で儲かっているからとあります。

2022年度の税制改正では、控除される額が「年末のローン残高の1%かその年に支払った利息の総額の少ない方」となる方向です。これが成立すると、住宅ローンの利息を1%以上払っていないと、1%の住宅ローン減税は受けられなくなってしまいます。

この変更は、すでに住宅ローン減税を受けている方は対象外となる見込みですので、住宅を購入するなら2021年中の方がお得になる、というわけです。

3. 「出口戦略」も描ける家を選ぼう

先にお話ししたとおり、家を手に入れても住み続けることができなくなるリスクは存在します。もし、住み続けることができなくなったときに、借り手もつかない、買い手もいないという「負動産」を抱えてしまっては、いよいよ身動きが取れなくなってしまいます。

そうではなく、人に貸せたり、あるいは売却したりできるような「出口戦略」も描ける家であれば、購入してもいいでしょう。そうなるためには、物件のエリア選定は特に大事です。

お金を貯められる選択をしよう

以上、「持ち家vs賃貸」についてのシミュレーション・考え方を確認してきました。

どちらにもメリット・デメリットがあり、「必ずこちらがいい」といえるものではありません。しかし、先々のことを考えた場合には、より支出が減り、お金を貯められる選択をするべきです。自分にとってメリットの大きな方をよく検討してください。

拙著『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)では、今回ご紹介した「持ち家vs賃貸」のほかにも、節約や効率的な家計簿の活用法、節税や税金の控除、保険、助成金、投資の基本など、一生涯役立つ64のお金の知識をQ&A形式で解説しておりますので、お手にとってご覧いただければ幸いです。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

頼藤太希 証券アナリスト

中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintechなどに関する執筆・監修、書籍、講演などマネーリテラシー向上に努めている。著書は「1日5分で、お金持ち」(クロスメディア)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。 Money&You TV

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