中古マンションを選ぶなら「築15年がベスト」という人が多いのはなぜか?
築年数は、中古マンションを購入するときの重要な判断材料です。「新築や築浅の方が良い」という意見もあれば、「築古のメリットが大きい」という主張もあります。それぞれにメリット・デメリットがあるわけですが、1つの意見として「築15年あたりがベスト」という見方があります。今回は、中古マンションを選ぶ際、なぜ築15年がベストとの意見があるのかについて理由をみていきます。
中古マンション購入では「価格の下げ止まり」に着目すべき
中古マンションを購入するなら「築15年前後がいい」という意見の方は、「価格の下げ止まり」に注目していることが多い傾向です。一般的に、マンションの資産価値は新築時が一番高く、築年数を経過するごとに下がっていきます。大事なことは、「価格の下落カーブは一定ではない」ということです。新築で購入した直後の約5年は急激に価格が下がり、その後、築年数が経つごとに緩やかになります。
つまり、新築マンションを購入すると、購入時と売却時の差額が大きくなるということです。仮に、6,500万円で購入した新築マンションを10年住んでから4,800万円で売却した場合、「1,700万円+ローン金利負担分+諸経費」を実質負担したことになります。これに対して、例えば価格の下げ止まった中古マンションを3,100万円で購入して、しばらく住んでから2,900万円で売却した場合はどうでしょう。実質負担は「200万円+ローン金利負担分+諸経費」で済みます。
売却する気がなくても売却前提で買うのが望ましい
売却前提の話をすると、「このマンションにずっと住み続けたい」「当面、売却する気はない」という方もいますが、未来のことは誰にも分かりません。転勤になったり、家族が増え手狭になったりするなどの理由で売却を検討することもあるでしょう。さらに、離婚による売却もありえますし、親の介護で故郷に引っ越さなければならないという方も増えています。だからこそ、将来の売却を意識してマンションを購入することが大切なのです。
データで見ると、価格が下げ止まるのは築20年以降
冒頭で、マンション価格の値下がりカーブは一定ではないという話をしました。具体的に、どのタイミングで、どれくらい値下がりしているのでしょうか。東京カンテイが2017年10月に発表した首都圏の「新築物件の坪単価」と「その後10年ごとの坪単価」の推移は以下のようになっています。
単位:万円 対象エリア:首都圏
新築時 | 築10年 | 築20年 | 築30年 | |
平均坪単価 | 284.8 | 208.5 | 138.2 | 131.6 |
出所:東京カンテイ 「築年帯別に見る駅別利回り分布の分析」 ※一部抜粋
新築時と築10年を比較すると、坪単価で約76万円下がっています。また、築10年と築20年では、坪単価はさらに約70万円下がっていることが分かるでしょう。一方、築20年と築30年を比べると、わずか6万6,000円しか下がっていません。つまり、価格が築20年あたりで中古マンションの価格が下げ止まっているということです。
築15年のマンションなら10年住んでも築25年
マンション価格が築20年で下げ止まるなら、「築20年の物件を購入すればいいのでは?」という意見もあるでしょう。たしかにそうですが、「ジャスト築20年」に絞ると、物件の選択肢が狭くなります。そのため、下げ止まりが本格化する前の「築15年あたりの物件」に着目すると選択の幅が広がるというわけです。それなら、築20~25年の物件を含めると選択肢が広がるという考え方もできます。
しかし、築年数の経った物件は、「メンテナンス費用がかかること」「流動性が落ちること」に留意することが必要です。例えば、築25年のマンションに10年住んだら築35年になります。築35年ともなると中古マンション市場へ売りに出したとき、購入申し込みが少なかったり、値引き要請をされやすかったりしてしまう点は懸念材料です。しかし、築15年のマンションなら10年住んでも築25年ですので流動性は多少落ちますが、人気の立地ならまだニーズがあるといえるでしょう。
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