ワンルームマンション投資で失敗する理由とは? 事前に知りたいメリット・デメリットやリスク、成功率を高める方法
将来の資産形成や老後の蓄えのために不動産投資を始めようと考えている人で、投資対象を迷っている方はいませんか? 今回は敷居が低いといわれているワンルームマンション投資の家賃収入や入居ニーズなど、メリットやデメリットをみていきます。
なぜワンルームマンション投資は敷居が低いのか?
不動産投資にはさまざまな種類があります。その中でも区分マンション投資にはワンルームマンション(単身者向けは主に、ワンルーム~1LDKが中心)、コンパクトマンション、ファミリーマンション(2LDK~3LDKが中心)がありますが、初心者の人にとって敷居が低いのは「ワンルームマンション」かもしれません。
ワンルームマンション投資のメリット
1. 初期費用を安く抑えられる
ワンルームマンション(単身者向け)は、立地や築年数にもよりますが、一般的に部屋が小さいためファミリー向けよりも物件価格は安めです。そのため購入時にかかる初期費用も、2LDK~3LDKのファミリータイプに比べ低く抑えることができます。
物件にもよりますが、都内の中古マンション1室であれば2,000万円程度から始めることができます。元手をそれほどかけずに比較的気軽に挑戦できるのがメリットといえます。
2. 入居ニーズが高く、安定した家賃収入も
今後の日本は、高齢化社会・未婚率の増加が予想されています。そのためワンルームマンションの需要はますます高まっていく傾向にあるといえます。
さらに晩婚化によって、若い単身者が男女ともに増えているようです。駅から近く都心へのアクセスが良いワンルームは人気も高く、都心などの好物件は空室率が低い傾向にあります。
また、医学の発達も手伝って、今後も高齢者は増えていくことが予想されます。このような高齢者による単身世帯の増加も、ワンルームマンション需要の支えのひとつといえるでしょう。
3. 短い空室期間
ワンルームマンション投資のメリットは、入退去の回転率が高いことです。入居者は学生や単身赴任者などが比較的多く、また独身者は結婚などライフステージの変化による退去があります。ワンルームはファミリータイプに比べると次の入居者が見つかりやすいため、入退去の回転率が高く空室リスクを抑えられます。
なお、GA technologies(GAテクノロジーズ)が運営する「RENOSY不動産投資」では、入居率99.6%(※1)、平均空室期間29日(※2)と安定した運用を実現しています(※1 2023年4月時点、※2 2022年2月時点)。
不動産投資ならRENOSY(賃貸管理の強み)
4. 不況に左右されづらい
ワンルームマンションの家賃は、社会の景気の影響を受けづらいといわれています。
リーマンショック発生時など、株価やREIT等が大幅に下落した際にもワンルームマンションの下落幅は小さかったというデータがあります。
新型コロナで家賃はどうなった? 不動産賃貸市場の動向レポート
ワンルームマンション投資のデメリット
- 入居者の回転率の高さ
- リフォーム費用や広告費の負担
- その他
1. 入居者の回転率の高さ
これはメリットでもありデメリットともなる回転率の高さからくるのですが、入居者の入れ替わりが激しいため、退去時にオーナーの心理的負担が発生します。
ただ単身者向け不動産は、社員用の社宅として法人が契約することもあり、その場合は入退去の頻度が高くてもその法人による長期的な入居が見込めます。
2. リフォーム費用や広告費
1回の原状回復費と広告費は、ファミリー向けと比べると安めですが、回数が増えると、その分費用も増します。
3. その他
ファミリー向けに比べれば家賃収入はどうしても低くなります。また、高齢化社会や単独世帯の増加により、入居者の孤独死による心理的瑕疵物件が増える可能性もあります。
ワンルームマンション投資で失敗する理由
次は投資で失敗してしまう主な理由を見てみましょう。
1. 金利上昇のリスク
不動産投資ローンの金利上昇もリスクとして存在します。物件を一括ではなくローンで購入する人が多いかと思いますが、金利が固定でない場合、上昇すればそれだけ返済額は高くなります。
2. リスクリワードが見合わない物件を買ってしまった
初めて不動産投資をする場合は、多くの人が業者に相談します。相談しても知識がないため、何が正しくて間違っているのかわかりません。
空室を出さない物件かどうか、修繕積立金など管理の行き届いている建物か、近い将来大規模修繕が発生しそうか、設備の状態など、ご自身の知識もフル稼働して物件の選択をしましょう。
ワンルームマンション投資の失敗を少しでも回避する方法
1. 新築ワンルームマンションに飛びつかない
新築マンションは新築したときが価格のピークであることが多く、数年経てば下落していく傾向にあります。
対して、築浅の中古ワンルームマンションは新築当初の7割程度の価格で購入することができる傾向にあります。さらに築15年を超えれば価格の下落も5割から7割程度と落ち着く傾向で、一般的には安定の域に入ります。
選択肢を狭めて新築に飛びつくよりも、中古物件も含め総合的に品定めして購入するほうがいいでしょう。
2. 設備が充実しているか
設備が充実しているかどうかも重要なポイントです。それでは実際に、どのような設備に需要があるのでしょうか?
たとえば、エントランスのオートロックは当然として、時代のトレンドを反映したフリーWi-Fi、衣装持ちの女性から人気のウォークインクローゼットなどが挙げられます。24時間使えるゴミ捨て場や警備保障会社の契約など、部屋だけでなくマンション全体の設備も重要なようです。
利便性・快適性・安全性の総合力を備えた物件を選ぶことが、空室リスクを抑え、入居者を増やすことにつながります。
3. 都心部の物件を中心に探す
ワンルームマンション投資は、東京都心部で探しましょう。理由としては、東京の都心部では人口が減らないと予測されている、大学が多いため学生が多い、少子高齢化と未婚化が進んでいることなどで一人暮らしの需要が高まっている、といった点が挙げられます。
東京のワンルームマンションに投資するメリット
ワンルームマンションのメリットの中でも、特に東京のワンルームマンションに投資するメリットをみてみます。
東京のワンルームマンションには他の都市に比べて、入居率が高いというメリットがあります。それはなぜなのか詳しくみていきましょう。
日本の人口の10分の1強が東京に集まる
日本の人口は約1億2,500万人です(2023年12月概算値)。東京都の人口は、2023年12月時点で約1,400万人、23区の人口は約980万人となっています。
東京には日本の人口の約10分の1が集まっていて、人口はまだまだ増えています。そのためワンルームマンションをはじめとする物件の入居も需要も高いままキープされると考えられます。
なぜ東京の人口が増えているのでしょう。
東京には大学が密集している
近年の傾向として、首都圏に点在していた大学が、東京に集まってきています。大学生が一度入居すると、多くの場合、在学中の4年間は退去しません。そして、彼らが住むのは家賃の安いワンルームか1Kになります。また、卒業とともにまた新入生がやってきて入居します。
外国人・留学生も増加している
東京は世界的にみても総合力の高い都市です。海外の外国人からしても、住む都市として選択肢にあがるのはまず有名な東京です。
東京都は人の流動性が高いので、退居された後もすぐに入居者が見つかる場合が多いです。
企業の本社は東京に集中している
日本全国には上場企業が約4,000社存在していますが、東京にはその半分を占める約2,000社が存在します。また、上場企業ではない普通の株式会社も250万社以上ありますが、東京にはそのうち約60万社が登録されています。
他の世界都市と比べても競争力の高い東京
経済指標のGDP(国内総生産)で日本は世界第3位です(2021年)。生産高ほか都市別で比較した調査「世界の都市総合力ランキング(GPCI)2021年 | 森記念財団 都市戦略研究所」では、世界の総合力ランキングがロンドン、ニューヨークに続き東京は第3位です。
今後もワンルームマンションの需要は増加
1. 東京は人口増加
現在、多くの道府県で人口の減少が始まっています。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」によると、2035年、2050年、次の県で人口減少が顕著になる可能性が高いそうです。
令和2(2020)年の総人口を100としたときの指数を見てみましょう。
2035年、2050年 都道府県の人口指数ランキングワースト3
順位 | 2035年 | 2050年 | ||
---|---|---|---|---|
1位 | 秋田県 | 78.3 | 秋田県 | 58.4 |
2位 | 青森県 | 80.4 | 青森県 | 61.0 |
3位 | 高知県 | 82.1 | 山形県 | 64.7 |
次の県は、最も減少が少ないと予想される都・県です。
2035年、2050年 都道府県の人口指数ランキングトップ3
順位 | 2035年 | 2050年 | ||
---|---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 102.9 | 東京都 | 102.5 |
2位 | 沖縄県 | 98.9 | 沖縄県 | 94.8 |
3位 | 神奈川県 | 97.6 | 神奈川県 | 92.3 |
参考:国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)』
2. 日本の世帯人数は減少
日本における「世帯」の動向に関する調査データも見てみます。
厚生労働省の国民生活基礎調査(2022年調査)によると、全世帯に対する各世帯の割合は次の通りです。
- 単独世帯:32.9%
- 夫婦のみの世帯:24.5%
- 夫婦と未婚の子のみの世帯:25.8%
※同調査では世帯を、単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯、三世代世帯、その他の世帯、の6つに分類しています。
平均世帯人数は2.25人で、次のグラフからもわかる通り、平均世帯人数は減少しています。
単独世帯の割合が最も多くなっています。国勢調査の結果を基に人口と世帯数の将来推計を行っている国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2019年推計)によると、単独世帯の割合は2015年に34.5%で、東京都では47.3%、47都道府県中41都道府県で単独世帯が最大の割合を占めています。そして単独世帯は増加の一途をたどり、2025年にはすべての都道府県で最大の割合を占めるという推計が出ています。
※単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と子から成る世帯、ひとり親と子から成る世帯、その他の一般世帯の5つの分類です。
65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2030年に47すべての都道府県で30%以上となり、2040年に45道府県で40%を超えるとの推計です。
65歳以上の世帯の中での単独世帯の割合は、2040年には47都道府県で30%以上、40%を超える都道府県も15あり、東京は29.2%に達するという推計です。
単独世帯が増えるという観点からも、ワンルームの需要は今後もあるといえるでしょう。
ワンルームマンション投資のキャッシュフロー
上記リスクの部分でも触れましたが、投資を検討する際には、キャッシュフローをシミュレーションすることが大切です。
一般的に「投資」の収益とは、「収入-支出=収益」で計算されます。
ワンルームマンション投資における収入とは、「家賃」です。他には「礼金」、また契約更新時の「更新料」もそれにあたります。
支出はどうかというと、次のような項目が想定されます。
- 不動産取得税(不動産取得時のみ)
- 固定資産税
- 所得税・住民税(個人の場合)
- ローン返済金
- マンションの建物管理費用(管理費・修繕積立金)
- マンションの設備費(給湯器やエアコンなど)
- 入居者管理に関する管理代行費 (入居者募集時の広告費)
- 建物の保険料(火災保険・地震保険)
上記は、税金、マンションの建物を維持するための管理費や修繕積立金、入居者に関する業務を委託する賃貸管理費用、ローンを組む場合はローン返済金、に主に分けられます。
これら支出の合計を、物件が生み出す総収入から差し引いたものが手元に残る金額となります。手残りがいくらになるかを、あらかじめシミュレーションしましょう。
【不動産投資】地震保険には加入するべき? その必要性を解説
表面利回りと実質利回り
利回りとは、簡単に言えば購入価格を分母とし、年間の家賃収入を分子とした数値です。たとえば、2,000万円で購入したワンルームマンションを、月々9万円の家賃で貸している場合、年間の家賃総合計は108万円となり、1年間の利回りは以下の計算になります。
気をつけないといけないのは、これは「表面利回り」とよばれるもので、あくまでおおまかな収益率の比較検討のためのものです。広告やパンフレットに記載されているのが、この表面利回りだと考えてよいでしょう。
実際にオーナーとしてマンション経営をしていく上では、先に述べたさまざまな支出が存在します。マンションの管理費と修繕積立金の合計を仮に1万円として年間に12万円、そこに固定資産税8万円を加えると、年間支出は最低でも20万円になります。
この20万円を、家賃収入108万円から引いた額が、実質的な収益になるのです。再度利回りの計算をしてみましょう。
この4.4%が「実質利回り」であり表面利回りよりも1%低くなります。実際多くのケースで、表面利回りよりも実質利回りは低くなります。
平均的な利回りは?
ワンルームマンション投資の、平均的な利回りはどれくらいでしょうか。もちろん、都市部と地方都市とは差があります。一般財団法人日本不動産研究所が2024年4月に実施した「不動産投資家調査」による「期待利回り」で比較してみましょう。
期待利回り(投資価値の判断・計算に使われる還元利回り)では地方都市との比較データがあります。大阪4.3%、横浜4.4%、名古屋・福岡4.5%、京都・神戸4.7%、札幌・仙台5.0%、広島5.1%となっています。対して東京の期待利回りは、3.8%です。
地方は物件の価格が東京に比べて安いのに、家賃は購入金額と同程度安い賃料ではないために利回りが高くなっていると考えられます。
東京のワンルームマンション投資のデメリット
東京都内でワンルームのマンションの投資をするとなると、やはり物件の価格が高いことが懸念点として挙げられます。同じ間取りの地方のワンルームマンションと比べて、価格は高くなります。
そのため、「表面利回り」だけで見ると低く魅力がないようにみえます。しかし先の人口を念頭に置いてみると、空室リスクは地方に比べて低いと考えられます。
東京でワンルームマンション投資をするなら相場をしっかり調べ、明らかに高い物件を購入などしない限り、需要は高く手堅い不動産投資ができるといえます。
では相場はどのように調べればよいのでしょうか。
ワンルームマンションの相場の調べ方
初めて東京都内のワンルームマンション投資をする際、気になるのは購入を検討する物件の相場です。
営業担当から相場を聞くのもいいですが、網羅性のある情報をあらかじめ把握しておくことは有益です。
一般に公開されている情報として、次の2つを紹介します。
1. 土地総合情報システム
「土地総合情報システム」は、国土交通省と建設産業局が不動産投資を活発化させるために運用しているサイトです。
土地総合情報システムでは、不動産の取引される際の価格や地価、都道府県地価調査に関する情報を、物件の種類と各都道府県別に検索を掛けることで『本当に取引された価格』を閲覧できます。
2. REINS Market Information
「REINS Market Information」は、過去の成約価格を基にした取引情報の一部をインターネット上で公開し、消費者が適切な相場がわかるようになっています。
レインズとよばれる国土交通大臣から指定を受けた指定流通機構が不動産業者間で物件情報を交換しあうためのサービスを行うコンピュータ・ネットワーク・システムは、不動産業者が不動産情報をリアルタイムで情報交換できるシステムとなっており、一般の人がアクセスできないようになっています。
「REINS Market Information」では、物件の所在地などは特定できませんが、エリアごとの成約価格を検索して相場を調べることが可能です。
マンションなのか、戸建てなのかで検索窓口が分かれており、次に「追加検索条件」の欄から、沿線・最寄り駅・築年数・間取り・成約時期まで、細かい検索が可能です。
ワンルームマンション投資に関するよくある質問
Q1. ワンルーム以外のマンション投資は何がありますか
一口にマンション投資と言っても、いくつかの種類に分類できます。
マンション1区分(1戸)に対しての投資か、マンション1棟を購入して投資するのかの違いがあります。比較的少額で始められる区分マンションと、投資金額が大きな一棟マンションがあります。
上記のどちらのマンションについても、新築か中古で分類ができます。購入価格は新築のほうが高くなります。
Q2. 想像していたより利回りが悪いのですが、何が原因でしょうか
利回りが予想していたよりよくない、ということは、言い換えれば想定以上に収入(家賃)が低いか、支出(経費)がかかってしまっているか、またはその両方かということです。
長期間保有することによる家賃収入を見込んだ不動産投資においては、建物や設備も経年とともに修繕が必要となります。給湯器やエアコンなどの設備の交換費も必要となります。将来必要となる経費も計画に盛り込んだうえで、予測をたてましょう。
不動産投資にかかる費用とは〜初期費用・運用費用・手数料など
Q3. 購入したときよりも売却時は安くなるのでしょうか
たとえば2,000万円で購入したワンルームマンションが、5年後に同額で売却できるでしょうか。建物の価値は一般的には下がる傾向です。しかし、立地や需要によっては、上がることもあります。そして購入時よりも高く売却することができればキャピタルゲインも見込めます。なお売却時にも税金がかかります。
【マンション売却のポイント】手順・費用・注意点まとめ
Q4. ワンルームマンション投資は節税になりますか
マンション経営で得られた収益は不動産所得として課税の対象になります。不動産投資を開始するためには税金についても理解する必要があります。「建物に対しては減価償却費が経費計上できる」「ローンの利息は経費として計上できる」など、単に「節税になる」という言葉を鵜呑みにするのではなく、仕組みを理解することが必要です。
ワンルームマンションの場合、その節税効果は特に初年度です。
まとめ
区分マンションにもメリット、デメリットはありますが、不動産投資は自分の投資目的やニーズに合わせて、適切な情報提供や専門家からのアドバイスを得たうえで、十分考慮し進めていきましょう。
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