公開日: 2019.07.02 更新日: 2026.07.27

不動産投資の利回りとは? 種類、計算方法、注意点を紹介

監修:
橋本秋人 (CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 公認不動産コンサルティングマスター)
不動産投資の利回りとは? 種類、計算方法、注意点を紹介

不動産投資を検討するうえで、「利回り」は重要な指標の一つです。利回りにはいくつかの種類があるため、投資判断にあたってはそれぞれの意味や活用できる場面を理解しておくことが大切です。

本記事では、不動産投資における利回りの基本から、種類、計算方法、投資判断における注意点までをわかりやすく解説します。

不動産投資の利回りとは?

 

不動産投資における利回りとは、投資額に対する1年間の収入や収益の割合のことをいいます。

不動産投資でよく使われる主な利回りには次の2つがあります。

不動産投資における利回りの種類
  1. 表面利回り
  2. 実質利回り

1. 表面利回り

表面利回りとは、物件価格に対する年間収入の割合を示す指標で、「グロス利回り」ともいいます。ここでいう年間収入とは、家賃のほか、共益費や駐車場代など、不動産から得られる年間の収入の合計を指します。

一般的に、不動産広告や不動産情報サイトなどで表示されている利回りは、この表面利回りです。

表面利回り=年間収入÷物件価格×100

表面利回りは満室を想定して計算されることが多いですが、現在の入居状況に基づいた家賃収入で計算される場合もあります。そのため、投資判断を行う際には、広告などに表示されている表面利回り満室想定か現況ベースなのかを確認することが重要です。

ただし、表面利回りでは管理費や修繕費、税金などの諸費用が含まれておらず、実際の収益性とは差が生じます。そのため、表面利回りで投資判断を行うことは適切ではありません

表面利回りは、物件選びの初期段階で複数の物件を比較する際の目安として活用するのに適しています。また、同じエリアや同じ間取りの物件の表面利回りと比較することで、その物件の価格が割安か割高かを判断するための参考にもなります。

実際に物件の購入を判断する際には、ほかの指標も含めて総合的に検討することが重要です。

2. 実質利回り

実質利回りとは、投資総額に対する年間収益の割合のことで、「ネット利回り」ともいいます。投資総額とは、物件価格に加え、登記費用や仲介手数料などの取得時の諸費用を含めた投資額の合計額のことです。また年間収益とは、家賃収入などから管理費、修繕費、保険料、税金などの賃貸経営にかかる諸費用を差し引いたあとに手元に残る金額を指します。

実質利回りは表面利回りと比べて、より実態に近い収益性を示す指標といえます。

実質利回りの計算式は、以下のとおりです。

実質利回り=年間収益÷投資総額×100

ただし、実態に近いとされる実質利回りといっても、通常は空室率が考慮されていません。実際の賃貸経営では一定の空室が発生するため、その分利回りは低下します。より厳密に投資判断を行うためには、空室率も考慮した利回りの計算が必要です。

空室率は、その物件の現在までの稼働実績や周辺エリアの空室率を参考に予測します。予測された空室率を基に実質利回りを計算することで、より保守的で現実的な投資判断が可能になります。

なお、空室による収入の減少分は「空室損失」とよばれ、年間の諸費用と同様に収入から差し引くことにより、より実態に近い利回りが計算できます。

利回りを計算するために必要な3つの構成要素

 

利回りを計算するために必要な構成要素は、3つあります。それぞれの内容について整理します。

利回り計算の3つの構成要素
  1. 収入
  2. 賃貸経営にかかる諸費用
  3. 投資総額

1. 収入

不動産投資の収入は年間の家賃収入(共益費や駐車場代なども含む)が基本です。中古物件の場合は、レントロール(部屋ごとの家賃一覧表)で、空室状況のほか、各部屋の家賃や入居者の属性(年代・会社員か学生かなど)を把握できる場合もあります。周辺の相場より著しく高い、安いといった部屋がある場合にはその理由を確認し、入居者の入れ替え後の賃料予測なども行う必要があります。

2. 賃貸経営にかかる諸費用

賃貸経営にかかる主な諸費用には、以下のような項目があります。

  • 管理委託費(不動産会社に賃貸管理業務を委託する場合)
  • 固定資産税都市計画
  • 火災保険料(年払いの場合)
  • 修繕費
  • 管理費修繕積立金(区分マンションの場合)
  • ローン元利返済(ローン利用の場合)
【関連リンク】
不動産投資にかかる費用とは〜初期費用・運用費用・手数料・諸費用など
不動産投資のランニングコスト、いくらかかる?

3. 投資総額

投資総額とは、物件価格と物件取得時の諸費用の合計額です。諸費用には次のような項目があります。

  • 仲介手数料(売主から直接購入する場合は不要)
  • 印紙税(契約書に貼付)
  • 登記費用(登録免許税および司法書士などの報酬)
  • 火災保険料
  • ローン諸費用(事務手数料、保証料、抵当権設定費用、印紙税など)
  • 固定資産税都市計画税の清算金
  • 不動産取得税
  • 建物の消費税(中古物件を個人から購入する場合は不要)

利回りの計算例から見る物件選びのポイント

 

利回りの仕組みを理解したところで、具体的に利回りを計算し、物件選びに役立てましょう。まずは、新築と中古のワンルーム区分マンションを例に、それぞれの表面利回りと実質利回りを計算します。

【新築のワンルームマンションの例】

  • 物件価格:3,200万円
  • 購入時諸費用:150万円
  • 年間想定家賃収入:132万円(毎月11万円)
  • 年間の諸費用:36万円(月額:管理費8,000円+修繕積立金8,000円+固定資産税等月割8,000円+その他6,000円)
表面利回り:132万円÷3,200万円×100≒4.12%
実質利回り:(132万円-36万円)÷(3,200万円+150万円)×100≒2.86%

【中古のワンルームマンションの例】

  • 物件価格:2,100万円
  • 購入時諸費用:168万円
  • 年間想定家賃収入:114万円(毎月9.5万円)
  • 年間の諸費用:32.4万円(月額:管理費8,000円+修繕積立金8,000円+固定資産税等月割5,000円+その他6,000円)
表面利回り:114万円÷2,100万円×100≒5.42%
実質利回り:(114万円-32.4万円)÷(2,100万円+168万円)×100≒3.59%

新築と中古、それぞれの利回りの計算結果を比較すると、物件選びにおいて以下の3つのポイントが見えてきます。

新築物件は中古物件よりも利回りが低い傾向

一般的に、新築物件は中古物件よりも利回りが低くなる傾向があります。

実質利回りで検討が重要

諸費用を考慮した実質利回りは、表面利回りと比べて低くなりますが、購入を判断する際には、経営実態に近い実質利回りを用いることが重要です。

空室リスクの考慮

計算例はどちらも「常に満室であること」を前提としており、空室率を考慮していません。物件を選ぶ際は、想定される空室率も考慮して利回りをシミュレーションする必要があります。

不動産投資の利回りの理想

不動産投資の利回りは、物件の種類・立地・築年数などによって異なるため、「何%が理想」と一律に決めることはできません。また、投資目的によって求める水準も変わります。

長期的な資産形成が目的であれば多少利回りが低くても安定性を重視するケースがある一方、短期的な収益を重視する場合は高い利回りが求められる傾向にあります。

投資家が投資用不動産に対してどのくらいの収益を期待しているかを示す指標を「期待利回り」といいます。純収益を期待利回りで割ると、その物件の投資価値が算出されます。この計算方法を「収益還元法」といいます。たとえば年間の純収益が500万円のアパートに対して、投資家が5%の利回りを求める場合、収益還元法による計算式は以下のとおりです。

年間純収益500万円÷期待利回り5%=投資価値1億円

この物件を1億円以下で購入できれば、5%以上の利回りを確保できる計算になります。

利回りが低くても投資対象となる物件の特徴

 

利回り物件でもリスクが伴う物件がある一方で、利回りがそれほど高くなくても、長期的に安定した収益を生み出し、資産価値を維持できる物件もあります。投資対象となりうる物件の特徴を2つ紹介します。

利回りが低くても投資対象となりうる物件の特徴
  1. 人気エリアや駅近に立地する物件
  2. 管理状態が良好な物件

1. 人気エリアや駅近に立地する物件

次のような条件を満たす物件は、安定した賃貸需要が期待できます。

  • 最寄り駅から徒歩圏内(駅近)である
  • 主要駅へのアクセスが良い
  • 周辺に商業施設や生活利便施設が充実している
  • 治安・環境が良い

こうした立地の物件は、空室リスクが比較的低く、退去が発生しても次の入居者が早期に見つかりやすい傾向があります。また、将来売却する際にも流動性が高く、比較的買い手が見つかりやすい点も特徴です。特に都心部や主要駅へのアクセスが良い物件は通勤・通学に便利なため、学生や単身者、共働き夫婦など幅広い層からの人気が高く、入居者の募集も有利に進められる傾向があります。

2. 管理状態が良好な物件

築年数が経過していても、管理が行き届き適切な修繕が行われている物件は、将来における突発的な支出の発生リスクを抑えやすいといえます。たとえば、一棟物件であれば共用部の管理状態が良好か、区分マンションであれば修繕積立金が適切に積み立てられ、長期修繕計画が策定されているかが判断のポイントになります。内見時に現況を観察するほか、マンションの管理組合の総会議事録や修繕履歴を確認することで、実際の管理状態を把握することができます。

【関連リンク】
不動産投資するなら新築?中古? それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説!

利回りは「入り口の指標」にすぎない。バランスのとれた総合的な投資判断が大切

不動産投資において利回りは重要な指標の一つですが、それだけで投資判断をすることは適切ではありません。利回りはあくまでも目安であり、長期の空室の発生や家賃下落などによって収益性は大きく変化します。

そのため、利回りだけに注目するのではなく、空室率や修繕費、将来の家賃動向なども含めた長期的な収支シミュレーションを行い、総合的に判断することが重要です。長期的な視点で物件の価値を見極めることが、不動産投資を成功させるためのポイントといえるでしょう。

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不動産投資ローンの融資額と必要な年収は?年収別の金融機関も公開
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動画「リノシーチャンネル」でも解説しています。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産投資の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士や不動産の専門家たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産投資」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

橋本秋人 橋本秋人 CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 公認不動産コンサルティングマスター

FPオフィス ノーサイド代表。終活アドバイザー協会副理事長 大手住宅メーカーで30年以上、顧客の相続対策支援、不動産活用、分譲地開発などに携わる。独立後は不動産、相続、終活を中心にセミナー、コンサルティング、執筆等を行っている。会社員時代より賃貸住宅経営を営み早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。 FPオフィス ノーサイド

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