不動産投資は中古マンションがおすすめ! そのメリットとデメリットとは
不動産投資の中でも注目を集めているのが、中古マンションへの投資です。「新築マンションのほうが建物も設備も新しくて人気なのでは?」と思う方もいるかもしれません。もちろん入居者にとっては人気かもしれませんが、投資は自宅の購入とは異なります。そこで今回は、不動産投資の売買市場で人気といわれている中古マンションの投資についてまとめました。
不動産投資は中古マンションを選ぼう
不動産投資(マンション投資)を始める場合、新築か中古かで悩む方は多いでしょう。イメージとしては、新築のほうが最新設備できれいなので、入居者に人気があるだろう、そして維持費も新築ならばかからないだろうと思われるかもしれません。
しかし新しさを上回る魅力に気づく人が増えて、中古マンションを選ぶ人は増えています。
中古マンション投資の4つのメリット
中古マンション投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 考えられるメリットは4つあります。
1. 利回り
中古マンション投資の1つ目のメリットは、新築マンションに比べて購入価格が安くなるため、利回りが高くなることです。不動産投資はあくまでも「投資」です。投資金額をなるべく抑えることで利益が生まれることを考えると、近年上昇を続けていた不動産価格によって高すぎて手が出せなくなってしまった新築よりも、中古マンションの方が投資としては適しています。
新築マンションに比べて中古マンションはおおよそ7割で購入できるといわれています。しかし購入価格に大きな差があっても、家賃にはそれほど変化は出ません。家賃をそれほど下げなくても借り手がいます。
そのため、中古マンションを安く購入して、近隣の新築マンションと同程度の家賃を設定すれば、中古マンションのほうが多く収入を得られることになります。
2. 入居状況の目安がつく
中古マンション投資の2つ目のメリットは、購入する時点で入居状況の目安がつくことです。新築マンションの場合は、空室状況や家賃滞納者がいるかどうかなどの判断はできません。
ですが、中古マンションならば、すでに空室率や入居者の状況がわかるので、過去のデータから良い物件かどうかを判断しやすくなります。
3. 複数の物件を所有しやすい
中古マンション投資の3つ目のメリットは、購入価格が安い分、トータルで複数の物件を所持しやすい点です。新築マンションは購入費用だけでかなりの金額となるため、次の物件に手を出しにくくなります。
中古マンションは、初期投資が新築マンションより少ないため、ローンの返済計画のメドも立てやすくなります。つまり、次の物件購入に踏み切るハードルが低くなるのがメリットです。
4. 安定的に収益が得られる
不動産投資は、購入する物件や投資スタイル次第で、安定した収益を得ることができます。例えば、投資用の中古マンションを購入した場合は、毎月定期的な家賃収入があります。また、投資用に購入した土地を時間貸し駐車場や月極駐車場にした場合も同様です。
賃貸マンションの家賃収入は、貸室の入居率が大きく影響してきますが、管理会社と相談して客付け(入居者を見つける)対策をとることで入居率が改善し、安定した家賃収入になる場合があります。特に管理会社は、賃貸マンションの運用管理の実績を基に賃料査定を行っているところも多く、ある程度の家賃収入予測をつけることができます。
中古マンション投資の6つのデメリット
投資にはリスクがつきものです。中古マンションに投資をする場合もいくつかのリスクがあり、「将来的に起こり得るリスク」と「不測の事態によって発生すると考えられるリスク」とがあります。こうしたリスクが投資のデメリットになる具体的な例としては、以下のようなものがあります。
1. 災害によるリスク
近年では、台風や地震等による自然災害リスクの危機管理意識が高まっています。災害対策として、各自治体では「防災マップ」や「洪水ハザードマップ」、「地震発生による液状化分布図(液状化マップ)」といった資料をWebサイト上で公開しており、ある程度の想定被害を確認することができます。特に不動産取引の現場では、売買契約書の中に「引渡し完了前の滅失・損傷」といった条項が記載されているほど、災害リスクによる影響は危険視されているのです。
不動産投資をするにあたり、可能性として考えられる主な災害リスクを以下にまとめてみました。
- 売買契約締結後から物件の引渡し完了までに、火災により建物が滅失した
- 火災による建物の付帯設備(エレベーター・給排水管等)の損傷
- 地震により建物の外壁や敷地内駐車場にクラック(ひび割れ)が入ってしまった
- 地震により隣地との境界にあるブロック塀が破損し、隣地へ傾いてしまった
建物や敷地内にこうした損傷が発生すると、予測がつかないほど高額な修繕費用がかかる可能性もあるため、不動産投資をする際には災害リスク対策も投資計画に入れておく必要があります。一般的な対応策としては、火災保険への加入や修繕積立金の設置等です。
2. 老朽化による利用可能年数の短さ
建物の躯体は、経年劣化によって老朽化が進むため、使用できる年数には制限があります。特に中古マンションを購入するときに気をつけたいのは「築年数」です。例えば、新築時から30年が経過した中古マンションであれば、建物の状態は、それまでの管理状態によって大きく左右されます。築何年まで保有し、いつ「売却するのか」または「建て替えに臨むのか」を計画しておかなければなりません。
また建物には、減価償却費を計算するために法定耐用年数(減価償却資産(ここでは建物)が使用に耐えられる年数)が規定されており、投資対象となる物件の「利用可能な年数」の目安にすることができます。例えば、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、法定耐用年数は47年です。
(参照:国税庁・主な減価償却資産の耐用年数表)
3. 修繕費やリフォームなどのコストがかさむ
中古マンションは、建物の現況によって修繕費がかかる場合があります。マンションの築年数や維持管理状態等によって異なりますが、建物躯体の老朽化が進んでいたり貸室内の状態が悪ければ、多額の修繕費やリフォーム代がかかるケースもあります。あまりにも修繕する箇所が多いと、いくら表面利回りが良い物件でも多額のコストがかかるため、実質利回りは低くなってしまう可能性があります。
初心者投資家が失敗に陥りやすいのは、こうした要因に気づかず物件を購入してしまうからです。例えば、不動産仲介会社から、利回り10%の投資用中古マンションを紹介されて購入した場合。ほとんどの貸室内の状態が悪く、水回り設備も不具合があったため、リフォームと修繕に1,000万円の費用がかかってしまい、実際の利回りは5%程度まで下がった。これはやや極端な例ですが、せっかく利回りの良い物件でも、コストの増加によって低利回りになってしまっては意味がありません。
中古マンションの売買契約前までには必ず建物の現況をチェックし、あらかじめ修繕費の見積もりを取っておくとリスク回避につながります。
4. 入居者が決まらず収益が得られない
賃貸マンションは、常に満室経営ができるわけではありません。物件が所在するエリアの賃料相場や、周辺環境の変化によって人の流れも変わるため、一定数の空室が発生してしまう可能性も。また、物件自体の管理状況も空室率に影響する場合があります。
例えば、賃貸マンションのオーナー(所有者)が物件を自主管理(管理会社に依頼せず、オーナー自身で管理をすること)していた場合、不動産運用の経験が浅いオーナーが簡単に客付けを行えるとは限りません。もし入居者がつかなければ家賃収入を得ることができないので、賃貸経営に大きな打撃を与えることになってしまいます。
こうした理由から、自主管理の物件は「なかなか入居者がつかない」といったケースも多く、管理会社に依頼して賃料の見直しや建物管理の改善を行った上で入居者を募集すると、空室率が改善する可能性があります。
5. 価格競争により家賃を下げざるを得ない
経済情勢の変化によって、賃貸マンションの賃料相場も変動していきます。同じエリア内で競合する他人の賃貸マンションの家賃が自分の物件よりも安い場合、入居者がそちらへ流れてしまうかもしれません。すると、自分の物件にはなかなか入居者がつかず、そのままでは空室がどんどん増えてしまうため、周辺の賃料相場と合わせるために家賃の値下げをせざるを得ない状況になってしまうことがあります。
また多くの入居者は、新しい建物や最新の設備が導入されているマンションを好む傾向にあるため、築年数が古いマンションと同じ家賃設定だった場合、やはり築浅でキレイな物件に流れていってしまいます。こうしたケースでも家賃の値下げをしなければ客付けができない可能性もあるため、家賃収入が減るリスクはあらかじめ想定しておく必要があります。
6. 不動産そのものの価値の下落
建物は、経年劣化によって古くなり損耗していくため、その資産価値も下がっていきます。建物の資産価値の減少は、物件を売却する際に大きく影響することになり、投資を開始した時点で想定していた出口(売却)計画よりも大きな目減りをするかもしれません。さらに、売却して利益を得るどころか、損失が出る可能性もあるのです。
不動産投資は、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の両方が得られるという、ダブルインカムが大きな魅力です。ところが賃貸マンションの資産価値の減少は、「家賃相場の下落」や「売却時の損失リスク」に直接影響するため、こうした「想定利益の減少」についてもあらかじめ精査しておくことが投資成功のカギとなってきます。
中古マンションを選ぶ4つのポイント
中古マンション投資にはもちろんデメリットもあります。投資のデメリットをふまえ、失敗しないためにはどのようなポイントがあるのでしょうか?中古マンションに投資する時のポイントは4つあります。
1. 大規模修繕の時期を確認する
マンションは、物理的に建物が経年とともに劣化していきます。管理組合で修繕積立金を新築当時から積み立ててはいますが、将来に値上がりする傾向は一般的にあります。そのため、中古マンション購入時に「修繕積立金は値上がりするかもしれない」と予想し、「いくらまで値上げに耐えられるか」のシミュレーションを行う必要があります。
購入前に物件の状態と大規模修繕が行われる時期をしっかりと確認しておきましょう。大規模修繕の時期は目安として15年ごとです。
2. 地域のニーズに合った中古マンションを選ぶ
いくら物件価格が安く、利回りが良くても、入居者がいなければ利益は生まれません。学生街にファミリー用の物件があっても入居者は決まりにくいですし、逆にファミリー世帯の多い地域にワンルームマンションがあっても需要は少ないはずです。そのせいで空室率が高くて売り出されている可能性があることは理解しておかなければなりません。
大切なのは、その地域のニーズに合った物件選びをすること。事前に周辺環境を十分に確認しておきましょう。
3. 信頼できる不動産会社を見つける
どんなに不動産投資の勉強をしても、細かい点を見落としてしまうことはあります。しかし、大きな投資ですから失敗するわけにはいきません。そこで重要になってくるのが不動産会社選びです。
物件の状態や周辺環境を熟知し、メリット・デメリットをきちんと説明してくれるような信頼できる不動産会社を見つけられると、中古マンション投資の成功に一歩近づけます。
4. 中古マンションの売主が手放す理由を探る
利回りが良く、周辺環境や設備に問題ない物件ならば、売主は簡単に売ろうとはしません。売主には何かしらの売りたい理由があるはずです。たとえば、空室率が高い、物件の価値が下がったので損切りしたい、大規模修繕が近づいているので売ってしまいたいなど、さまざまな理由が考えられます。
売主が手放す理由を探り、それでも購入する価値のある物件かどうかを見極めるようにしましょう。
中古マンション投資の4つのリスク
中古マンション投資を成功させるためには、投資リスクを知っておかなければなりません。ここでは、不動産投資のリスクではなく、中古マンション投資特有のリスクを確認しましょう。
1. 新築や築浅マンションに比べると修繕費が多くかかる
中古マンションは設備がいつ設置されたものかわからないため、タイミングによっては購入直後に故障が発生するかもしれません。給湯器やエアコンなどの設備はオーナー負担であることが多いです。
故障しなくても、入退去のタイミングによっては劣化のために交換する必要も出てくるでしょう。そういった修繕費が新築マンションよりも早いタイミングでかかりやすいことは念頭に置いておく必要があります。
2. 修繕積立金の値上がりの可能性
上記で述べましたが、修繕積立金の値上がりによって、キャッシュフローに変化が生じる可能性があります。値上がりしてから慌てるのではく、事前のシミュレーションを行いましょう。
不動産投資におけるキャッシュフローの重要性と賢い運用方法とは
3. 不動産価格が下落する
一般的に、建物の価値は築年数が長ければ長いほど下がっていきます。ですから、地価相場が下がらないような立地を選ぶことがとても大切です。
ローンの返済途中で売却を検討する際に、売却価格でローンの完済ができないほど下落していたら、自己資金を持ち出してローンを支払うしかありません。
また築年数が経過していることにより、次の購入者が長期のローンを利用して購入できない可能性が生じるかもしれません。それにより購入者が狭まる可能性はあります。
4. 耐震基準を満たしていない物件がある
築年数の長い中古マンションには、耐震基準を満たしていない物件があります。1981年6月の法律改正後に建築された建物は「新耐震基準」で建てられていますが、それ以前の物件は基準を満たしていない可能性があるので注意しなければなりません。ですから、1981年以前に建てられた物件は、耐震工事が適切に行われているかどうかを必ずチェックしましょう。
不動産投資はリスクが高い? 9つの代表的なリスクと5つの回避策
中古マンションの不動産投資はリスクの回避が必要
中古マンション投資は、不動産投資を始める第一歩としては物件価格も抑えられハードルは低いといえます。とはいえ、投資である以上リスクはつきものです。リスクをうまく回避できるどうかで、中古マンション投資が成功するかどうかが決まります。たしかな「目」を身につけて、不動産投資を成功に導きましょう。
※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
関連キーワード