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更新日: 2021.05.21

迫りくる2025年問題、2030年問題。 3人に1人が高齢者となる社会を私たちはどう生きるか

迫りくる2025年問題、2030年問題。 3人に1人が高齢者となる社会を私たちはどう生きるか

新型コロナによる経済情勢や、少子高齢化・年金制度への不安など、さまざまな社会問題が私たちの目の前に広がっています。そしてこれから訪れる2025年問題、2030年問題に対し、どのように向き合っていくかが、私たちに求められています。金融に限らず世界各国の関係性や政治の仕組みなど、さまざまな既存のシステムが大きく変わる「グレート・リセット」の可能性もありつつ、予測データと起こりうる事態の予測を見ていきましょう。

直近に迫る2025年問題

日本の総人口(概算値)は、2020年10月1日時点で1億2,588万人です。日本の人口のピークは1億2,808万人だった2008年で、その後は減少が続いています。

65歳以上の高齢者は、1950年から現在まで増え続けています。人口に占める高齢者の割合は、1985年に10%、1997年に14歳未満の若者の割合を高齢者が上回り、2005年に20%を超え、2019年は28.4%になりました。

2025年問題とは、戦後の第一次ベビーブームだった1947年〜49年に生まれた団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるタイミングと重なります。65歳以上の人口は2025年に3,677万人に達すると見込まれ、その後も高齢化率は上昇します。

2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上となる予想です(令和元年版高齢化社会白書)。

参考: 国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計

2030年問題

2030年問題とは、2025年予想のさらに先の予想、つまり2030年に懸念されるさまざまな社会課題です。

2030年は65歳以上の高齢者が人口割合に対して31.2%と予想されており、2036年には3人に1人が65歳以上の高齢者になるのと予想されています。

総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、令和18(2036)年に33.3%で3人に1人となる。

引用: 1 高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢化社会白書

第二次ベビーブーム(1971年〜1974年)に生まれた団塊ジュニア世代も60代に突入していきます。下図のように、高齢者の増加は、一人暮らしの割合増加ともつながってきます。2030年には男性293万人、女性502万人が一人暮らしとの予想が出ています。

65歳以上の一人暮らしの者の動向引用: 3 家族と世帯|令和2年版高齢化社会白書

下図の東京都のデータでも、単身世帯は2040年まで65歳以上の割合は増加するという予測が出ています。

東京都の一般世帯数及び1世帯当たり人員の推移引用: 「東京都世帯数の予測」の概要|東京都

東京都政策企画局による推計によると、2060年まで65歳以上の単独世帯は増加を続け、2015年に79万世帯だったのが2060年には114万世帯に、そのうち75歳以上の後期高齢者世帯は2015年の42万世帯から2060年には76万世帯へと、高齢単独世帯の約7割が後期高齢者の単独世帯となると予測されています。

世界で進行する高齢化社会

高齢化の問題は日本だけではありません。現時点では世界の中でもっとも高齢化社会が進む日本ですが、そのうち韓国やシンガポールが日本を追い抜いた超高齢化社会に入ると予測されています。日本の高齢化社会までにかかった時間よりも早い速度で高齢化が進んでいます。

主要国における高齢化率が7%から14%へ要した期間引用: 2 高齢化の国際的動向|令和2年版高齢社会白書(全体版)

少子高齢化がもたらす課題

人口に占める高齢者の割合が増え続けていくなかで、医療費や介護費の増加が予想されます。若い人が高齢者を支える仕組みで作られている日本の年金制度も、人口比率の変化に耐えられるのかという問題があります。

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日本の賃金は30年前と比較して上がっていなく、むしろ下がっています。しかし世界を見渡してみると上昇しています。経済協力開発機構(OECD)のデータをもとに全労連が作成した下の図では、過去20年の実質賃金の推移を表しています。

少ない賃金で働く若者たちへの負担が増えるなか、既存の社会構造への対応が求められるという問題が目の前に広がっています。

実質賃金指数の推移の国際比較引用: 実質賃金指数の推移の国際比較(1997年=100)|全労連

年金制度はどうなる!?

日本の年金は「賦課方式(ふかほうしき)」という、現役世代の労働者が納める保険料で年金受給者を支えるシステムとなっています。労働者人口が減り高齢化率が高くなるほど、現役世代の負担が増すことになるシステムといえます。

現役世代の負担増を回避しようとすると、給付年齢の上昇や、受給金額の減少も予想されます。そうなると、高齢者の貧困問題が深刻化する可能性もあります。年金制度だけをあてにはできない、と考え始めるのも納得です。

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将来の資産形成

今のままの制度では不安だということで、投資を始める人が増えています。

国が自助努力を促していることもあり、長期・分散・積立をベースにしたつみたてNISAを利用したり、不動産投資を始める人も増えています。

不動産投資は、サラリーマンという職業の強みを生かし、都心の不動産を対象に始めるケースです。リスク分散として実物資産を資産ポートフォリオに組み入れようという考えとも取れます。

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住まいに関する意識

一人暮らしの場合、兄弟姉妹や子どもがいない場合、人付き合いがあるか、何かのコミュニティーに属していないと、いざというときに頼れる人が誰もいないまま老後を迎えることになります。孤独の先には孤独死の問題もあります。

暮らしを成り立たせていく「住まい」に対する不安もあります。病気や要介護になって日常生活に支障をきたすとなると、住み慣れた家を手放さざるをえなくなるかもしれません。

2018年に内閣府が実施した「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」では、60歳以上の人の88.2%が、持ち家に住んでいるという結果でした。これは全国の結果で、大都市ほど持ち家に住む割合が少なくなります。結婚しているかどうかによっても違いがあり、持ち家は既婚者の場合91.7%と高いですが、離婚したり未婚の場合は割合は低くなっていました。

現在の住まいの住居形態引用: 第3節 <特集>高齢者の住宅と生活環境に関する意識 1 住まいに関する意識|令和元年版高齢社会白書(全体版) 

暮らす場所の変化

住み慣れた場所を離れるという感覚は、今現在では難しく感じる人も多いかもしれません。しかし簡単に家を変えることができる、引っ越すことが当たり前な社会になれば、サービスが充実した土地に移動することは比較的簡単になるでしょう。

人口減少社会を見据えて、政府は日本の隅々まで均一のサービスを提供する方向から、まちの機能を集約させ行政サービスを集中させる場所を設ける方向へとシフトする動きもあります。まちを集約させることで、景観や防犯面でも不安要素が多くなる空き家を、まちの中には作らなくすることにもつながります。

人々が暮らす場所はいくつかの拠点に集約され、自然もそれほど遠くない距離にあり、病院や食料品店等必要なサービスやモノがすぐ手に入る場所に暮らす社会へと変化が起きるかもしれません。

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不動産の持つ機能、自然環境への対応

日本だけに限りませんが、ここ数年台風など自然災害の規模が従来とは変わってきています。日々の天気を予測することも難しくなっています。

感染症とともに暮らす生活が始まったことで、住む場所である不動産そのものへ意識を向けた人も多かったのではないでしょうか。

家で過ごす時間が増え、家で仕事をする時間が増えることによって、住む場所のみならず、どのような機能を備えた住宅か、不動産の重要性を実感した人もいたのではないでしょうか。家、建物、不動産そのものが与える快適性や健康性は、今後改めて認識され、重視するポイントになるかもしれません。

まとめ

新型コロナウイルスの流行によって、「当たり前」にあると思っていた社会が瞬間的に変わることを私たちは経験しました。「変わらない」「当たり前」と思っている政治・経済をはじめとした既存のさまざまな仕組みが、ガラリと変化することもあり得ます。

私たち一人ひとりが社会や自然の変化を意識し対応し、また協力しあうことで、目の前で起こる変化に対応していく必要性が今後ますます重要になっていきます。

不安や暗い面ばかりにとらわれず、自分一人でできることからでも変わっていけば、大きな変化が訪れます。個人で始める投資も変化が求められている行動のひとつです。もちろん、それは金融商品への投資にとどまらず、人生そのものに対して選択肢の幅を持つということにつながります。

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RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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