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2021.12.10

PropTech(不動産テック)特集【ベトナム編】〜飛躍的な成長を続ける居住用不動産〜

PropTech(不動産テック)特集【ベトナム編】〜飛躍的な成長を続ける居住用不動産〜

こんにちは、本多です。ナマステ!
PropTech特集vol.11となる今回は、ベトナムのPropTechについて紹介します。

前回はインドネシアを特集したので、東南アジアの各国を追ってみたいというのが選定理由です。では、さっそく見てみましょう!

コロナ禍でも成長し続けるベトナムの不動産市場

ASEANで3位、世界14位の9,749万人の人口規模を誇るベトナムは、GDPがここ10年で2.3倍、20年では13.7倍と急成長を果たしています※1。経済全体がコロナの影響を受けた中でも、その成長は継続しており、不動産セクターも2019年から2020年にかけて0.31%成長したとのことです※2

不動産市場の中でも居住用不動産の伸長は順調で、要因の一つには68.9%を占める生産年齢人口や中間層の伸びにあると思われます。特に中間層の伸びは、2000年の11.7%から、2020年には51.9%と顕著な数字として表れています※3

※1 参照:ベトナムのGDPの推移 - 世界経済のネタ帳※2 参照:2021年不動産業界のトップ10企業を発表 - Vietnam Groove※3 参照:医療国際展開カントリーレポート ベトナム編(PDF)│経済産業省

実は、ベトナムの不動産所有率は90%以上と非常に高い数値※4らしいのですが、都市の物価の上昇やローンの問題が絡み合い、物件を購入したくても購入できない、もしくはその取引プロセスが従来と変わらないという課題が、若者を中心に生じているとのことです。

※4 参照:Investment Analysis of Vietnamese Real Estate Market│Global Property Guide

ここの課題に対してアプローチしているのがPropTech企業です。今回はテックを活用しながら、エンドユーザーの住宅購入を支援する3社を紹介したいと思います。

ベトナムでの住宅購入を支援するPropTech企業3社

Homebase

Y Combinatorのベトナム初案件。オールスター集団が切り拓く「rent-to-own」モデル

Homebaseは、住宅ローンが組めない非銀行利用者層やミレニアル世代や外国人向けに、マイホーム購入のお手伝いをしている会社で、「rent-to-own(レント・トゥ・オウン:購入選択権付きレンタル)」というビジネスモデルを展開しています。

これは将来、その物件を購入する選択肢を持てる賃貸契約です。例えば、2年間の賃貸契約期間の終了時に、その物件の購入を希望する場合、物件購入代金の一部としてそれまで支払った家賃分を充てることができます。

具体的には、物件購入金額が2,000万円で、それまで支払った家賃が200万円の場合、2,000万円から200万円を差し引いた1,800万円が物件購入金額になるといったイメージです。

この「rent-to-own」は、資金調達(ローン)の選択肢が限られている人たちに向けたサービスとして知られており、アメリカを中心に広がりつつあります。

Homebase引用:Homebase

「rent-to-own」が流行っている背景を少し解説すると、アメリカや東南アジアでは不動産価格の上昇が続いており、不動産を購入して数年後に売却すると利益(売却益)が見込めるので、不動産購入ニーズが日本に比べて高い現状があります。

一方で、アメリカや東南アジアをはじめとする社会的信用を獲得することが厳しい国では、銀行口座を開けない非銀行利用者層や、銀行口座を持っていてもクレジットに制限がかかる層が、人口のかなりの割合を占めています。

ベトナムでは約70%がこの層に該当し※5、不動産ローンを通じた物件購入が厳しいという課題があるのです。

※5 参照:In Vietnam, 69% of the population is unbanked (World Bank, 2018)│Cash Matters

Homebase Vietnam Career Information引用:Homebase Vietnam Career Information

同社は、Y Combinatorが初めてベトナムで投資したスタートアップ※6ということで注目が高い企業で、創業からわずか2年で18の投資家から約3,000万ドル(約34億円)の資金調達にも成功しています。

※6 参照:Homebase becomes first Vietnamese startup to get accepted into Y Combinator | e27

Harvard, Goldman Sachs, McKinsey, Microsoftなどの機関から集まった不動産投資家、ベテランのコンピューターサイエンティスト、連続起業家といった非常に強いメンバーで構成されており、今後ますます大注目の企業です。

Homebaseの特徴

  • 「rent-to-own」のビジネスモデルを通じて住宅購入をサポート
  • 非銀行利用者層やミレニアル世代、外国人がターゲット
  • Y Combinatorがベトナムで最初に投資した企業
  • Harvard, Goldman Sachs, McKinsey, Microsoftなどの出身者から成る精鋭チーム

Homebaseの概要

Rever

エンドユーザー、物件オーナー、不動産業者がWin-Winとなるビジネスモデルを構築

ベトナムにも不動産ポータルサイトはあるものの、その多くは正確性が低い情報を載せているだけのサイトにとどまっており、エンドユーザーにとっては快適な物件探しが難しいという課題があるようです。

Reverは、独自のアルゴリズムで構築された地図ベースの不動産ポータルサイトを用いながら、オフラインで居住用・投資用不動産の仲介サービスを提供しています。同社は、各地域・各不動産カテゴリーに強い、7,000社の不動産仲介業者と10万人のエージェントといったエキスパートと連携しており、彼らが円滑な不動産取引をサポートします。

Rever引用:Rever

エンドユーザーは、不動産ポータルサイトで物件検索を行い、エキスパートを通じて、条件交渉を行います。その後の書類作成、法律サポート、ローン支援といった契約事項に関してもエキスパートが入っているので、透明性のある安心した取引ができます。

また、日本と違い不動産管理会社がないベトナムでは、不動産オーナーが自身で物件管理を行っています。Reverでは、プロのカメラマンによる物件撮影、3Dスキャンデータ作成、住宅のプロモーション、取引手続きの支援などを不動産オーナーに無料で提供しており、これを通じて物件情報が集まる仕組みを構築しているようです。

物件情報を集めるだけでなく、不動産オーナーの9割が90日以内の不動産取引(売却・貸出し)に成功し、取引コストも市場と比較して最大15%が削減できているようで、オーナーが物件情報を提供する強烈なインセンティブになっていると、このことからもわかります。

最近では、テクノロジーに精通した次世代の不動産業者を育成するためのアカデミーも立ち上げており、エンドユーザー、不動産オーナー、不動産業者といった各ステークホルダーがWin-Winとなるモデルを構築していることがわかります。

Rever Academy引用:Rever Academy

Reverの特徴

  • オンラインとオフラインを掛け合わせたデジタル不動産仲介業者
  • 7,000社の不動産仲介業者と10万人のエージェントと連携
  • 不動産オーナーに向けた無料のリーシングサービスの提供
  • 取引スピードの向上・取引コストの削減を通じた、オーナーからの直接物件収集
  • テックに精通した不動産業者の育成にも注力

Reverの概要

  • 設立:2016年
  • 本拠地:Ho Chi Minh
  • 代表:Luis Vo、Phan Le Manh
  • URL:https://rever.vn/

Propzy

著名な連続起業家が立ち上げた、ベトナム最大級のオンライン・オフライン不動産プラットフォーム

最後に紹介するPropzyは、住宅や高層マンションの貸出しや購入・売却といった不動産取引の全過程を効率化し、創業7年で累計10億ドル以上の取引を行っている、ベトナム最大級のオンライン・オフライン不動産プラットフォームです。

Rever同様、Propzyはポータルサイトの提供や、エージェントによる交渉・契約・ローン支援などの取引サポートを行っています。同社が持つ70の実店舗には約1,000人の販売エージェントがおり、彼らが事前審査した物件を掲載し、物件の担保を行っています。

Propzy引用:Propzy

Propzyの最大の特徴は、ビッグデータを用いた不動産評価システムと不動産データベースを構築・運用していることです。前回のインドネシア編で取り上げた「Gojekの幹部が立ち上げた、Pinhome」で記載したのと同様に、ベトナムでも不動産価値を担保する不動産データおよび、情報インフラが存在していません。

Propzyでは、オンライン(マーケットプレイス)とオフライン(エージェント)を通じて、特定物件の提示価格をはじめとする豊富なデータを蓄積し、不動産評価モデルを構築してきました。この住宅評価に基づいてエンドユーザーに物件を提案したり、この評価モデルを使って提携銀行が不動産評価を行い、ローンの事前承認を行うといった活用法です。

また、ベトナムは、不動産業者のためのライセンスや認定機関を欠いており、エンドユーザーは国内で信頼できるエージェントを見つけることが困難という課題があります。Propzyはエージェントに不動産評価システムを提供することでこの課題を解決しようとしています。不動産評価システムを通じて透明性が高い取引が行われれば、エンドユーザーのサービスへの信頼も高まり、エージェントも違反をしないだろうといった狙いです。

不動産評価モデルに基づく価格変動グラフ│Propzy引用:不動産評価モデルに基づく価格変動グラフ│Propzy

同社CEOのJohn Leは、1999年のインターネット初期の時代に、北米でオンライン住宅ローンシステム企業(LoanTrader)を立ち上げ、Goldman SachsやKoch Industries、Citi Group、GE Capitalなどから資金調達を行うなど、複数のテック企業の売却を経験している著名な連続起業家です。

ベトナムに戻った2009年にもベトナムで最初の個人信用調査機関を設立するなど、現在構築している不動産評価システムの領域では豊富な知見・経験とネットワークを持っており、今後の展開に大いに期待が持てます。

Propzyの特徴

  • ベトナム最大級のオンライン・オフライン不動産プラットフォーム
  • 不動産評価システムと不動産データベースの構築・運用が最大の特徴
  • 不動産評価システムを通じて、エンドユーザーのエージェントへの信頼も構築
  • CEOのJohn Leは、豊富な知見・経験とネットワークを持つ連続起業家

Propzyの概要

リアルテックが中心にあるベトナムのPropTech

ベトナムのPropTech領域は、ほかの東南アジア諸国同様、超黎明期にありますが、オンラインとオフラインを伴ったリアルテックのPropTech企業が多い印象でした。

また、100ほどあるベトナムのPropTech企業の80%が、外国企業もしくは、外国投資家からの資金調達を受けている※7とのことで、海外からの注目が非常に高いということがわかりました。

※7 参照:HANOI TIMES

生産労働人口の規模や中間層の伸びが顕著で、コロナ禍でも成長を続けるベトナムの不動産市場。その中でも住宅領域を中心に展開するPropTech企業の動向や、今後予想されるBtoB向けサービスの動向を引き続き、追っていきたいと思います。

では、今回はこの辺で。

各国のPropTech事例をもっと詳しく知りたい、PropTechに興味があるという方もいるかと思います。カジュアル面談のリンク、私のFacebook・Twitterアカウントリンクを貼らせていただきますので、気軽にご連絡ください。一緒に世界のPropTechを盛り上げていきましょう!

カジュアル面談してみる

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

本多淳一

ニューヨーク州立大学卒業後、ソーシャルベンチャーで新規事業開発、前職では日系不動産デベロッパーのインド支社にて新規事業開発に従事。2020年に株式会社GA technologiesにジョインし、新規事業開発に従事。 社内アワードにクルタ(インドの正装)で登壇するくらい、インドが大好き。ナマステ! Twitter:@JH19890813 Facebook:junichi.honda.98

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