リフォーム・リノベーションも住宅ローン控除で節税可能!必要書類と申請方法を解説
自宅のリフォームの借入金にも住宅ローン控除は適用されます。他にも給付金や固定資産税の軽減措置などがありますが、いずれも適用には条件があります。ローン控除の条件と手続きについて詳しく紹介します。 リノベーションやリフォームには複雑な仕組みや減税制度が関わってきます。自分にあった仕組みや制度を踏まえた資金計画が理想のリフォームやリノベーションを成功させるために大切です。RENOSYではリノベーションやリフォームの経験豊かなエージェントがローンや金利・減税制度などを分かりやすく説明する無料個別相談会を実施しています。ぜひ、ご参加されてみてはいかがでしょうか?
住宅ローン控除をリフォームで使うための条件
大規模なリフォーム・リノベーションを行うための借入金に対しては、住宅ローン控除が適用されます。適用条件と、対象となる工事についてみていきましょう。
リフォームの住宅ローン控除対象
リフォーム・リノベーションの場合、下記に該当する工事が住宅ローン控除の対象となります。
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増築、改築、建築基準法で規定された大規模な修繕や模様替え工事
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居室、浴室、キッチンなどの1部屋について床または壁の全てを修繕、模様替えする工事
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耐震基準工事
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バリアフリー化工事
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省エネ対応工事
リフォームの住宅ローン控除条件
また、控除が適用される条件は下記の通りです。
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自己所有かつ自身が居住する家屋であること
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リフォーム・リノベーション完了日から6カ月以内に居住し、控除を受ける年の12月31日まで続けて住んでいること
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住宅ローン控除を受ける年の所得の合計額が3000万円以下であること
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工事後の住宅床面積が50平方メートル以上で、その1/2以上が自身の居住用であること
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リフォーム・リノベーション工事費用が100万円以上で、その1/2以上が居住用部分に対する費用であること
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借入金の返済期間が10年以上であること
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一定の期間内に「長期譲渡所得の課税特例」(自分が住んでいた家や土地を売ったときの税率を軽減する特例)などを受けていないこと(併用不可)
ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除の控除額は、基本的に年末の借入金残高の1%です。ただし1年間では最大40万円、10年間では400万円が上限となります。
増改築に際して補助金や資金贈与を受けている場合は、残高からその金額を控除して計算します。
また、所得税から控除しきれない分は住民税から控除されますが、住民税には控除の限度額があります。(所得税の課税総所得額の7%、もしくは13万6,500円のどちらか少ない方)このため、限度額を超えた分は控除されません。
なお消費税10%の引き上げにあわせ2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合でマンションの取得にかかる消費税が10%の場合には、控除期間が3年延長され13年間控除されます。また、新型コロナの影響により2020年12月31日までに入居ができなかった場合でも、2021年12月31日までに入居すればこの適用を受けることができます(ただし、新築については2020年9月末、中古住宅の取得、増改築等については2020年11月末までに契約を締結しているケースに限る)。
令和3年度税制改正の大綱(2020年12月21日閣議決定)では、2021年1月1日から2022年12月31日までの間に入居した場合、控除期間の3年間の延長や床面積の緩和(50㎡以上からが40㎡以上に)などの特例措置があります。
中古物件を購入してリフォーム・リノベーションする場合
最近では中古物件を購入し、住みやすいようにリフォーム・リノベーションをするというケースも多くなってきました。
中古住宅を買うときと、中古住宅をリフォーム・リノベーションするときの住宅ローン控除についてみていきましょう。
中古住宅の住宅借入金等特別控除とは
中古住宅を購入するときにも、原則として同様の適用要件で新築住宅に係る住宅ローン控除を受けることができます。ただし、どんな中古住宅でも控除を受けられるわけではなく、築年数または耐震基準のどちらかの条件を満たしていなければなりません(追加的な適用要件あり)。
築年数は、鉄筋コンクリート造などの耐火建築物で25年以内、木造など耐火建築物でない場合は20年以内に建築されていることが条件となります。
この条件に当てはまらない物件は、耐震基準として以下のうちどれか一つをクリアしている必要があります。
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耐震基準適合証明書を取得
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住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得
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既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入
増改築等をした場合の特別控除も原則利用可
上記の条件を満たしている中古住宅を購入し、家族の状況に合わせてリフォームを行う場合も、原則として住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、居住前に工事をしてしまうと控除の対象になりません。リフォーム・リノベーション費用の借入金に対して住宅ローン控除を受けたいという場合は、中古住宅を購入後、実際に住んでから工事を行うことが必要です。
親名義の家をリフォーム・リノベーションする場合
住宅ローン控除を受けるためには、自己所有であり自分が住んでいることが条件です。では、親名義の家に対して子がリフォーム・リノベーションを行う場合はどうでしょうか。
同居していれば大丈夫なのではないかと思いがちですが、自己所有ではない点が問題となります。
リフォームのローン減税は適用不可で贈与税も発生する
親名義の家に対して子が費用を借入れてリフォーム・リノベーションを行っても、子の所有物件にかかる借入金ではないので住宅ローン控除は適用されません。
そればかりか、工事した部分の所有者は親になりますので、子から親へ贈与したということになり、贈与税が発生してしまいます。
同居のために工事したとしても、自分の所有物件でなければ何の特例も受けられないのです。
リフォーム・リノベーションのローン減税に必要な手続き
住宅ローン控除を受けるためには、居住地の所轄税務署で確定申告を行う必要があります。必要な提出書類や記入方法を紹介します。
必要書類を揃えよう
確定申告を行うためには、以下のような書類が必要です。1と2は、税務署や自治体の窓口に置いてあるほか、国税庁のホームページで入力・印刷することもできます。
また、6と7は該当者のみ必要になります。
1. 確定申告書
2. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(補助金や贈与の特例がある場合、連帯債務がある場合はそれぞれに対する計算明細書も必要)
3. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(借入先が2カ所以上の場合はすべて)
4. 工事に係る増改築等工事証明書
5. 家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し(工事年月日、費用、床面積がわかるもの)
6. 補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の額を証する書類の写し(補助金や贈与を受けた場合)
7. 給与所得の源泉徴収票(給与所得者のみ)
確定申告書類を記入して提出
確定申告書の記入の手順ですが、まず上記の3~7の書類を用意し、その内容をもとに2の計算明細書を作成します。そこで算出された控除額などを、1の確定申告書に記入します。
記入後は、必要書類を添付して税務署に持参または郵送で提出しましょう。
書類の書き方例
確定申告の書類は記入する箇所が多く複雑そうに見えますが、住宅ローン控除に関しては添付書類を見ながら転記していくだけです。申告用紙には詳しい記入例もついているので、意外と簡単に書くことができます。
新築や中古住宅の購入も増改築等も同じ用紙なので、該当する箇所に間違いなく記入していきましょう。
「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」で行う控除額の計算も、記入欄の近くに計算式が載っているのであてはめていけば難しくありません。
会社員の場合、2年目以降は年末調整で
住宅ローン控除は最大10年間受けることができます(令和元年10月1日〜令和2年12月31日までに入居した場合最大13年)が、適用期間中は毎年確定申告が必要になります。
ただし、会社員は最初の年だけ確定申告をしておけば、翌年以降は年末調整で控除を受けることができます。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書の1面に、「控除証明書の要否」という欄があります。控除証明書とは翌年度以降に年末調整で住宅ローン控除を受けるための書類ですので、〇印をつけておきましょう。
リフォーム・リノベーションで使える制度
リフォーム・リノベーションを行うときには、さまざまな負担軽減のための制度を使うことができます。
こうした制度についてあらかじめ知っておくことで、リフォーム・リノベーションの予算を抑えることができ、計画も立てやすくなります。
すまい給付金
消費税率が上がると、その分住宅購入時の税負担が大きくなります。その負担を緩和するために創設されたのが、「すまい給付金」制度です。
現在の消費税8%時点では、収入額の目安が510万円以下の方に対して、最大30万円が給付されるというものです。今後消費税率が10%になったときには、収入額の目安と最大給付金額がさらに引き上げられることになっています。
中古物件も対象になりますが、その場合は個人売買ではなく売主が宅地建物取引業者である必要があります(個人売買の場合だと消費税がかからないので本制度がそもそも不要)。
また、床面積(登記面積、以下省略)が50平方メートル以上であることと、売買時に検査を受け、耐震基準を満たしているなど、一定の品質を有していることも条件です。
住宅ローンを使わずに現金購入する場合は、引き渡しの年の年末時点で50才以上であるという決まりもあります。
都市計画税や固定資産税の軽減措置
一定の条件を満たしたリフォーム・リノベーション工事を行った場合には、工事が完了した年の翌年度分に限り、固定資産税と都市計画税の軽減措置を受けることができます。
都市計画税とは、市街化区域にある住宅に対して課される地方税のことで、通常は固定資産税と一緒に徴収されます。
軽減措置が適用されるのは、工事費用が50万円を超える耐震、省エネ、バリアフリーが目的のリフォーム・リノベーション工事です。省エネとバリアフリーは同時に適用することが可能ですが、耐震工事はほかの工事と同時適用はできません。
また、軽減措置を受けるための要件は、工事内容によって異なります。軽減措置を受けるためには工事終了から3カ月以内に、自治体に申告する必要があります。
耐震や省エネ、バリアフリーの特例
固定資産税軽減の特例について、工事内容別に整理すると下表のようになります。
減額の割合 | 住宅の築年 | 工事内容 | その他 | |
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耐震工事 | 1/2 | 昭和57年1月1日以前 | 現行の耐震基準に適合する耐震改修 | 他の工事も合わせて減額することはできない |
省エネ工事 | 1/3 | 平成20年1月1日以前 | 窓、床、天井、壁の断熱改修 | |
バリアフリー工事 | 1/3 | 平成19年1月1日以前 | 手すりやスロープの設置など | 下記のいずれかに該当する方が対象 ・ 工事完了の翌年の1月1日時点で65歳以上 ・要介護認定または要支援認定を受けている ・障害がある |
住宅ローン控除
「住宅ローン控除」(住宅借入金等特別控除)とは、借入れから10年間、住宅ローンの年末残高の1%を所得税から控除できる制度です。
例えば、ローン残高が4,000万円の場合、その年の所得税から40万円が控除されます。10年間分合計で最大400万円の税額控除が受けられます。
もし控除額が所得税額を超えた場合、超えた分は住民税から控除されますので、かなりの減税効果が期待できます。
投資型減税・ローン型減税と住宅ローン控除の併用
住宅のリフォーム・リノベーションにおいては住宅ローン控除の他に自己資金による工事(投資型)とローンによる工事(ローン型)に対する減税措置があり、投資型とローン型では控除率や控除期間が異なります。
また、投資型減税・ローン型減税はともに所得税の減税措置のため固定資産税の減税措置と併用できますが、同じ所得税の減税措置である住宅ローン控除制度との併用は投資型減税の耐震に係る一定の工事以外、認められていませんので事前に選択適用の判断が必要となります。
まとめ
長く住んでいると、経年劣化による補修や高齢化対策、家族構成の変化による増築など、リフォーム・リノベーションを行わなければならない時期が必ず訪れます。
工事には高額な費用がかかるので、資金を借入れるケースも多くなります。ローン控除などを活用することで、予算を多めに組んだり予定外の出費に備えたりすることができるでしょう。不明な場合は、税務署に確認するなどしましょう。
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