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更新日: 2023.11.29

ヒルズの未来系? 虎ノ門・麻布台の再開発プロジェクトで、地価はどうなる

ヒルズの未来系? 虎ノ門・麻布台の再開発プロジェクトで、地価はどうなる

2023年11月に開業を迎える虎ノ門・麻布台プロジェクト「麻布台ヒルズ」が、注目されています。「六本木ヒルズ」をはじめとした数々の「ヒルズ」を生み出した森ビルが、計画から30年を経て完成させる「ヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだヒルズの未来形」。

六本木一丁目駅と神谷町駅が地下通路でつながり、その間の地上にはどんな街が生まれるのでしょうか。今後の地価上昇への影響も含めて、詳しく見ていきます。

再開発が進む虎ノ門・麻布台

再開発が進む虎ノ門・麻布台引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

現在注目を集める再開発は、六本木ヒルズ、アークヒルズ、虎ノ門ヒルズに囲まれた一帯に位置する「麻布台ヒルズ」(虎ノ門・麻布台プロジェクト)です。

もとは小さな建物や木造住宅が軒を連ねる昔ながらの街並みで、高低差のある地形が特徴的な一帯でした。今回のプロジェクトでは、高低差を人工地盤でなだらかにし、人の往来がしやすい場所に。そして道路や公園が整備され、防犯防災面での強化も目指されます。

虎ノ門・麻布台プロジェクトには、3棟の超高層ビル(A街区:森JPタワー、B街区:レジデンスA/B)、4棟の低層棟(C街区:ガーデンプラザA/B/D、B街区東:ガーデンプラザC)、そして高層ビル群と低層棟の間には約6,000m2もの広大な中央広場ができます。広場を含む緑化は本プロジェクトで大きな役割を担います。

3棟の超高層ビル(A、B街区)、4棟の低層ビル(C街区)、その間の広大な広場引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

地上の整備とともに、六本木一丁目駅と神谷町駅が地下通路でも東西に結ばれ移動がしやすくなります。なお、神谷町駅と麻布台ヒルズはすでに地下で直結していますが、麻布台ヒルズ開業の2023年11月現在、地下通路の全面開通には至っていません。六本木一丁目駅に最も近く、地下でつながる予定の「レジデンスB」が現在も建設中だからです。レジデンスBが竣工すると六本木一丁目駅およびレジデンスAへとつながりますが、早くても2024年夏以降になりそうです。

本エリアが整うことで、隣接するアークヒルズと虎ノ門ヒルズ、そして六本木ヒルズの、それぞれのヒルズが一帯になって街が機能するのではないでしょうか。

六本木ヒルズを超える規模

森ビルが過去に培った「ヒルズ」の集大成という本プロジェクトは、規模も最大級となっています。2003年完成の六本木ヒルズとの比較は次の通りです。

六本木ヒルズよりも延べ床面積が広く、住宅・事務所ともそこで過ごす人の数は六本木ヒルズを上回る規模となります。

超高層建築物を建てることで足元に広大なオープンスペースを確保するという考え方は、森ビルが理想とする「Vertical Garden City - 立体緑園都市」の考えに基づいています。

【住宅】

麻布台ヒルズ 六本木ヒルズ
戸数 約1,400戸 約840戸
住居者数 約3,500人 約2,000人


【事務所】

麻布台ヒルズ 六本木ヒルズ
貸室面積 約214,500m2 約190,870m2
基準階面積 約4,800m2 約4,500m2
就業者数 約20,000人 約15,000人

緑化も六本木ヒルズの約1.26倍、中央広場を中心に緑豊かな空間になる構想です。

参照:麻布台ヒルズファクトブック 2023(PDF)

広さ約6,000㎡、緑豊かな中央広場イメージ広さ約6,000m2、緑豊かな中央広場イメージ
引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

生き生きと暮らし続けられる街へ

麻布台ヒルズプロジェクトのコンセプトは「Modern Urban Village」。「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街」です。

大都会の中心でありながら、癒やされる緑に囲まれて自然と調和し、人と人とのコミュニケーションが円滑にとれる環境づくりが目指されています。

その場所で暮らし働くことでますます心身ともに健康になれるよう、医療施設、スパやフィットネスクラブ、レストランやフードマーケット、果樹園や菜園などが設けられます。

コンセプトワークには、イギリスの国際情報誌『MONOCLE(モノクル)』で編集長を務めるタイラー・ブリュレ氏が起用されました。

災害時に強い街へ

本プロジェクトでは、ハード面からも安心安全の対策がとられています。3棟の超高層ビルは制振装置を導入。東日本大震災レベルの地震でも、事業継続できる耐震性能を備えています。さらに災害時でも必要な電力を100%安定的に供給できるシステムを構築しています。

また、災害などにより周辺エリアで帰宅困難者が発生したときは、約3,600人が一時滞在できる受入れスペースや防災備蓄倉庫なども設けられています。

港区と連携し、麻布台ヒルズでも六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズと同様に周辺地域の防災拠点としての役割を担っています。

メインタワーは日本一の高さ約330mに

これまで、日本一のビルの高さは大阪市阿倍野区にある「あべのハルカス」の300mでした。本プロジェクトが竣工すると、メインタワーである「麻布台ヒルズ森JPタワー」が日本一の高さのビルとなります

※東京駅日本橋口前に建てられるオフィスビル「トーチタワー(390m)」竣工まで(2027年度完成予定)

東京タワーの展望台を見下ろす高さのメインタワー 東京タワーの展望台(150m、250m)を見下ろす高さのメインタワー
引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

91戸の最高級住宅「アマンレジデンス東京」

アマンレジデンス東京引用:アマンレジデンス東京

メインタワーの最上階11層(54階~64階)に、ラグジュアリーな住居空間「アマンレジデンス 東京」が誕生します。戸数は全91戸。各住戸には2〜6のベッドルームがあり、各住居専用エレベーターロビーがあります。

居住者専用の共用施設は、ティールーム・ライブラリー・リーディングルーム・ラウンジ・バー・専用シェフのいるプライベートダイニングルーム、1,400m2のアマン・スパには25mのプライベートプールも含まれます。

インターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン 東京」

メインタワーの隣には、インターナショナルスクールが誕生します。

港区は外資系企業や大使館が多数集まるエリアで、外国人居住者の数もほかの区に比べて多いです。

外資系企業数、外国人人口引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

外国人ビジネスワーカーと家族を支える生活環境の整備として、都心最大級の生徒数を誇るインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン 東京」が誘致されました。

渋谷と三軒茶屋にある同校の幼稚園〜小学校が移転し、60カ国以上の国籍の約700人の生徒数になります。

参照:Central Tokyo BST Primary School Campus Project - The British School in Tokyo

中央広場からのぞむスクール外観イメージ中央広場からのぞむスクール外観イメージ
引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

「麻布台ヒルズレジデンス A」に計320戸の住宅とラグジュアリーホテルが併設

メインタワーの隣に建つ高さ約240mの「麻布台ヒルズレジデンス A」は、14階~53階が住居空間となります。コンセプトは「リゾートホテルに暮らすような住環境」。低層部にあるホテルと連携したサービスが利用でき、プール付き住戸、2層吹き抜けの解放感あふれるリビングなど、リゾート地にいるようなゆったりとした時間が流れる暮らしができる環境となるようです。

主な共用施設としては、ジム・シアター・キッズルーム・飲食ラウンジ・スタディルーム・パーティラウンジ・ゲストルーム・BBQテラスなどが計画されています。

日本初進出のホテル「ジャヌ東京」

「麻布台ヒルズレジデンス A」低層部の1階~13階には、ホテル「ジャヌ東京」が入ります。従来のラグジュアリーホテルよりもスイートルームの割合が多い客室構成で、森ビルがこれまでに手がけてきた「グランドハイアット 東京(六本木ヒルズ)」「アンダーズ 東京(虎ノ門ヒルズ)」「上海 パークハイアット(上海環球金融中心)」のいずれとも全く異なるホテルに。「ラグジュアリーでありながらリゾートのようなリラックスした空間」となるようです。

標準客室面積は約60m²、122室が設けられます。部屋は中央広場に面した絶好のロケーションでバルコニー付き、スパトリートメントやジムを備えた国内最大規模となる約3,500m²のスパや、6つのレストラン、カフェやバーがあります。

世界のJanuホテル紹介引用:Janu - Luxury Hotels & Resorts in Tokyo & AlUla

「麻布台ヒルズレジデンス B」は高さ約270mで、6階~64階が住居空間

「麻布台ヒルズレジデンス B」は、六本木一丁目駅に最も近い場所に位置します(建設中。2023年11月現在)。戸数が最も多い棟となり、計970戸の住宅が予定されています。この中には、約170戸の家具付き賃貸(サービスアパートメント)が含まれます。この棟では、共用施設をシェアする「都市のスマートライフの実現」が計画されています。

左からメインタワー、東棟、西棟左から麻布台ヒルズ 森JPタワー、レジデンス A、レジデンス B
引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

3棟の外観デザインは、「愛宕グリーンヒルズ」や「アークヒルズ仙石山森タワー」を手がけてきた、アメリカの「ペリ・クラーク・アンド・パートナーズ」が担当しました。

低層棟は4棟

神谷町寄りには、低層棟の「ガーデンプラザ」が4棟(A〜D)並びます。住宅となるのは「ガーデンプラザB」の6階~8階で、そのほかは商業施設、駐車場、寺院となっています。

東側のエントランス(神谷町駅側、桜田通り沿い)東側のエントランス(神谷町駅側、桜田通り沿い)
引用:「虎ノ門・麻布台プロジェクト」 いよいよ始動|森ビル(PDF)

低層部の建築とランドスケープは、ロンドンオリンピックの聖火台など、数々の独創的なプロジェクトを手がけてきたイギリスのトーマス・ヘザウィック氏のデザインです。日本での初のプロジェクトとなるようです。

約150の店舗と、中央広場地下に4,000m2のフードマーケット

エリア一帯で、ファッション、ビューティー、カルチャー、アート、ウェルネスなど約150店舗がオープンします。商業施設面積の半数以上を占めるのが、中央広場の地下にできるフードマーケットです。

大規模なフードマーケット大規模なフードマーケット
引用:虎ノ門・麻布台プロジェクトファクトブック(2019年)(PDF)

また、メインタワーの商業空間デザインは、群馬・前橋のSHIROIYA HOTELの設計が話題になった藤本壮介氏が担当しました。

低層棟エリア付近には、ミュージアムやギャラリーなどの文化施設も予定されています。デジタルアート・ミュージアム「チームラボボーダレス」が2024年2月に移転オープンするほか、奈良美智氏らによるパブリックアートが設置されています。

2019年着工直後〜現時点の虎ノ門・麻布台プロジェクトの様子

工事が始まったのは2019年。完成までに4年の月日がかかりました。ここまでの変化を見てみましょう。

解体直前の旧郵政省本庁舎(A街区)、中央広場予定地とB街区予定地
仮囲いされ解体直前の旧郵政省本庁舎(A街区)、前方の中央広場予定地とB街区予定地(2019年3月14日編集部撮影)

地形の高低差もわかります。

旧郵政省本庁舎解体途中の様子。高低差がわかる
旧郵政省本庁舎解体途中の様子。手前は中央広場予定地で、見上げるほど、A街区との地形の高低差がわかります(2019年4月26日編集部撮影)
旧郵政省本庁舎跡地(A街区)、中央広場予定地とB街区予定地が更地に

更地になった旧郵政省本庁舎跡地(A街区)、前方の中央広場予定地とB街区予定地も更地に(2019年8月23日編集部撮影)

2020年の様子をスキップして、2021年夏。

メインタワーの建設が先行しています
メインタワーの建設が先行しています(2021年8月26日編集部撮影)

2021年8月6日〜10月4日までの変化は、動画でご覧いただけます。

建設中のメインタワー
建設中のメインタワー(2021年9月10日編集部撮影)
建設中のメインタワー(2021年9月10日編集部撮影)
建設中のメインタワー(2021年9月10日編集部撮影)
建設中のメインタワーと、手前の東棟および西棟
建設中のメインタワーと、手前の東棟および西棟(2021年9月28日編集部撮影)

数十年単位で変化していく街

「開発」と一口にいっても、虎ノ門・麻布台開発エリアでは計画に30年、建設に約4年と、長い時間がかかりました。建物の完成後も、今後数十年というスパンで「虎ノ門・麻布台」の街が変化・発展を続けることが予想されます。

「ヒルズ」の代表格である六本木ヒルズも、数十年にわたって人々の認知が定着、発展を続けています。六本木ヒルズの完成当初、入居を決めた企業には、ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズなどの外資系企業、ヤフーやライブドア、楽天などIT企業やベンチャー企業(当時)が並んでいました。Googleも、2010年から2019年まで入居していました。

六本木ヒルズ森タワーから半径500mの平均地価推移
六本木ヒルズ森タワーから半径500mの平均地価推移(縦軸はm2あたりの価格(円)。地価公示および都道府県地価調査データをRENOSYで加工)

六本木ヒルズ完成後、地価は165.6%上昇(2003年と2020年の比較)しました。同じように、虎ノ門・麻布台プロジェクトの完成によって、地域一帯の「ヒルズ」の相乗効果が今後数十年にわたって期待されるでしょう。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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