台風や地震から住宅を守ろう! 自分で出来る自然災害対策を解説!
近年、自然災害による住宅を含む建物への被害が増えてきています。今まで直接的な被害がなかった方でも、異常気象などで徐々に人ごとではないと感じているのではないでしょうか。自然災害の被害を最小限に抑えるために、各家庭がそれぞれ事前に備えることの必要性が高まっています。 この記事では、住宅における自然災害への対策として、「1. 恒久的な対策」「2. 応急的な対策」「3. 備蓄などの備え」の3つをメインに紹介していきます。自然災害に備える第一歩として活用していただければ幸いです。 まず初めは、自然災害にはどのような種類があるのか紹介していきます。
CONTENTS目次
自然災害は2種類ある
自然災害には、「気象災害」と「地象災害」の大きく2種類があります。
気象災害とは、天候の動きによる自然災害のことで、主に洪水・大雪・強風・雷などがあります。地象災害とは、地下や地上の動きによる自然災害のことで、地震・津波・土砂・火山現象などがあります。
どちらの自然災害も、日本では以前から頻繁に発生していて、ニュースなどでも多く報道されています。また、自然災害においては、停電・断水・火災などの二次災害が多く発生するのも特徴的です。
ここからは、気象災害・地象災害のそれぞれにおける、災害に備えていく方法を紹介していきます。
台風などの気象災害への対策
気象災害は、台風などの天候の動きによる自然災害のため、天気予報などを活用して、ある程度事前に備えることが可能です。しかし、老朽化などにより建物自体が損壊することもあるため、持ち家の場合には建物のメンテナンスも定期的に行っておくことが重要となります。
気象災害で発生する主な被害
気象災害の一次被害としては、屋根の破損・壁の崩落・窓ガラスの飛散・浸水・落雷などがあげられます。二次被害には、水道・電気・通信に不具合が生じるインフラ設備の遮断や、鉄道や道路が使えなくなる交通遮断などがあります。
一次・二次被害共に、発生すると日常生活に大きく支障を来すことになりますので、しっかりと各家庭で対策を行うようにしましょう。先ずは恒久的な対策方法から確認していきます。
基本は定期的なメンテナンスと劣化対策が大事
住宅の屋根や外壁の耐用年数は、材質や外部環境にもよりますが、20~40年程度といわれています。しかし、屋根や外壁は1年を通して、風雨や紫外線などの劣悪な環境下におかれており、日々劣化が進行し耐久性が低下していきます。
普段の雨や風には耐えられていても、勢力の強い台風が通過する際には、古くなった屋根や外壁の飛散や崩落などが発生する可能性があります。このような大型の台風はいつ発生するかわかりませんし、被害を受けてからでは後悔先に立たずです。
そのため、定期的に専門家などによるメンテナンスを実施し、必要に応じてリフォームを行っていくようにしましょう。なお、屋根材には瓦・スレート・金属などの材質がありますが、重さや耐久性が異なるため、台風時の飛散や落下に対しては、それぞれにメリット・デメリットがあります。
この素材なら大丈夫というものはありませんので、定期的にメンテナンス・劣化対策を行い、被害を最小限に抑えるように工夫しましょう。
また、太陽光パネルを設置している場合にも、飛散することで賠償責任を問われる可能性がありますので、劣化などに対する点検は確実に実施しておきましょう。
特に、2017年3月のJIS改定により設置基準が厳しくなりました。これ以前に設置された太陽光パネルは、耐風性能が劣っている場合がありますので、専門業者に確認を依頼し、改善しておいた方がよいでしょう。
住宅における気象災害には、落雷によるものもあります。落雷の際などに、建物の内部に雷サージとよばれる過剰な電気が流れ込み、照明器具や家電製品を損傷させる可能性があります。
住宅において雷サージの被害を受けると、被害額が数十万に及ぶ場合もあるようです。雷サージへの対策は、雷サージ保護付きの電源タップや家庭用の避雷器などで数千円~数万円程度で防ぐことができるので、この機会にぜひ備えておきましょう。
今すぐできる台風への応急対策
気象災害においては、天気予報などで事前に応急対策をすることも可能です。勢力の強い台風が迫っている際には、事前に建物周りに不具合がないか確認するようにしましょう。
雨どいのつまりを取り除く
見落としがちですが簡単にチェックできるものとしては、雨どいの詰まりの確認があります。雨どいが詰まっていると、大雨の際には雨漏りの原因ともなりますので、ぜひチェックしてみてください。
窓ガラスの飛散防止フィルムを張る
次に窓ガラスの対策ですが、強風の際には周囲から飛んできた飛来物により、窓ガラスが飛散する可能性があります。窓ガラスが飛散すると直接的に危険なのはもちろんのこと、後片付けなどのその後の処理にも大変手間がかかります。
対策としては、専用の飛散防止フィルムを貼ることで飛散を軽減できますが、段ボールなどで一時的に窓ガラス全面を保護するのも効果的です。
段ボールの用意が間に合わない場合には、窓ガラス全面に「米」の形で養生テープを貼るだけでも効果がありますので、しっかり事前に対策できるように準備しておきましょう。
なお、バルコニーなどに強風で飛来する可能性のある物があれば、周辺の住宅を損傷する場合もありますので、忘れずに室内に移動するなどしておくようにしましょう。
水のうで浸水を防ぐ
天気予報で大雨が予想されている場合には、住宅の周囲で流される可能性のものがないか、事前に確認してみてください。また、洪水での住宅への雨水の侵入は、一般的に土のうを使って防ぐことが可能です。
すぐに土のうが用意できない場合には、ゴミ袋に水を入れた水のうでも止水することができます。ハザードマップなどで浸水が予想されている地域では、土のうなどの浸水対策グッズを準備できる状態にしておき、浸水被害を最小限に抑えられるようにしましょう。
ハザードマップは、国土交通省が運営する『ハザードマップポータルサイト』などで確認してみてください。
台風19号の発生で、内閣政府広報オンラインのTwitterでも家の対策への呼びかけがされています。
#台風19号 が発生しました。風が強まる前に家の対策を。
— 内閣府政府広報オンライン (@gov_online) October 7, 2019
・雨戸やシャッター(ちゃんと閉まるか点検補修を)
・窓(ひび割れやがたつきがないか)
・雨戸やシャッターのない窓(割れたガラス飛散防止のためにカーテンを閉めたり窓に飛散防止フィルムを貼る)
・雨どい(枯れ葉や砂がつまっていないか) pic.twitter.com/ltphhPKKqB
気象災害、二次災害への備え
台風などの気象災害の発生後に困るのが、ライフラインの遮断による二次災害です。天気予報で大規模な台風や降雪などが発表された場合には、飲料品や食料品の多めの購入を普段から心がけておきましょう。
食料は加熱調理のいらないものを用意
なお食料品に関しては、電気やガスが使用できなくなることも想定して、常温保存できるものや、加熱調理のいらないものを取り入れておくのがおすすめです。
断水を想定して水を貯めておく
また、断水も想定して、水道水をカラの容器や浴槽などに貯めておくと、有効に利用できます。含まれる塩素により、3日程度なら飲用しても問題ありませんし、トイレを流す際などの生活用水に使用できます。
停電に備え携帯用バッテリーの充電も
また、現代では携帯電話などですぐに情報を手に入れられますが、災害時には充電ができなかったり、電波が受信できなかったりすることもあり、情報の入手が困難になる可能性があります。そのため、充電用のバッテリーや災害時にも使えるWi-Fi情報なども、事前に調べておくとよいです。
こまめに災害情報をチェックする
特に、居住する自治体の気象災害の情報は、知っておくといざというときに役に立つので、「災害時 〇〇市(自治体名)」で検索してこまめにチェックしておきましょう。
首相官邸のホームページでも災害ごとの備えの手引きが『防災の手引き~いろんな災害を知って備えよう~』にまとめられています。災害時に役立つ政府の公式ツイッターアカウントも『災害関連ツイッター』にまとめられていますので、確認できるようにしておくとよいでしょう。
次は、地象災害の災害に備えていく方法を紹介していきます。
地震などの地象災害への対策
地象災害は、地震など地下や地上の動きによる自然災害のため、いつ発生するかわかりません。そのため、各家庭で常に意識を持って備えておくことが必要になります。
日頃から、建物のメンテナンスや備蓄など、しっかりと行うことを習慣づけるようにしましょう。
地象災害で発生する主な被害
気象災害の一次被害としては、地震・津波・土石流による建物の倒壊・家具類の転倒・窓ガラスの飛散などがあげられます。二次被害には、気象災害と同様に、水道・電気・通信の遮断や交通遮断のほか、火災の発生などがあります。
対策をするかしないかでは、有事の際に大きく被害規模が異なります。災害発生時には住宅への被害状況により、気持ちも動揺するなど通常時とは異なってきますので、被害を最小限に抑えて、心に少しでも余裕のある状態をつくれるようにしておきましょう。備えあれば憂いなしです。
住宅にできる恒久的な対策
地震大国の日本では、過去の地震での被害を受けて、建物に要求される耐震性能が時代とともに高くなってきています。具体的には、建築基準法の耐震基準の改正により、1981年前後で旧耐震基準と新耐震基準に分けられます。
新耐震基準が震度6~7の大規模地震があっても倒壊しない耐震性能であるのに対し、旧耐震基準は震度5程度の中規模地震に対して倒壊しない耐震性能です。震度7クラスの地震が発生している昨今では、旧耐震基準の建物は倒壊により人命に影響を与える可能性が大いにあります。
耐震性を高めるリフォームなどを行い、新耐震基準同等の性能を確保しておくと安心です。
また、住宅内の家具類にもしっかりと対策をしておくことが重要になります。地震時における家具類の転倒・落下・移動では、思わぬケガをしたり、避難時に転倒や移動した家具が出入り口を塞ぎ、避難に支障が出る可能性があるからです。
特にマンションの高層階では、長周期地震動により建物が大きく揺れ、家具の転倒等の発生が高くなります。詳しい家具への対策は、東京消防庁の『家具類の転倒・落下・移動防止対策 ハンドブック』などで確認してみてください。
地震などの停電による二次災害には、停電前に使用していた家電の復電による過加熱や配線のショートによる通電火災があります。
通電火災が大規模になりやすいのは、居住者が避難中に無人の住宅内で発生し、初期消火が遅れるためです。
通電火災を防ぐ方法は、避難時にブレーカーを落としておくことですが、被災時にはそこまで気が回らない可能性が高いです。地震を感知すると自動で落ちる感震ブレーカーで通電火災は防ぐことができますので、設置を検討してみるとよいでしょう。
省スペースで対応できる備蓄や防犯グッズ
気象災害と異なり、地象災害はいつ発生するかわかりません。そのため、飲料品や食料品は、長期間保存ができるものをストックしておくのがよいです。
居住する地域によっても異なりますが、食料品の備蓄は一般的に3日~1週間分必要といわれています。しかし、その量を確保しておくのはなかなか大変なので、ストックする食料品と日常の食料品を足して、備蓄に必要な量を確保するローリングストックという方法もあります。備蓄するスペースなどが少なくてすみますのでぜひ参考にしてみてください。
また、被災時には気持ちが沈んでしまっている可能性もあります。食事分の食料品だけでなく、お菓子などの嗜好品も、気分転換になるのでストックしておくようにしましょう。
詳しい食料品の備蓄は、農林水産省の『災害時に備えた食品ストックガイド』などで確認してみてください。
防災グッズは食料品に加えて、救急用品・ヘルメット・懐中電灯・携帯ラジオ・マッチ・防寒用品などがあります。非常用の持ち出しバッグについては、消防庁の『わたしの防災サバイバル手帳』などでチェックして、いつでも持ち出せるように揃えておきましょう。
まとめ
自然災害に対する対策を、気象災害と地象災害に分けて紹介してきましたが、備える上で気象・地象それぞれの災害で共通する内容も多くあったかと思います。
自然災害に備えるためには、普段から意識的に災害情報へのアンテナを高く張り、一つ一つ積み重ねていくことが重要です。
特に居住する自治体の災害時における対策などの情報を、事前にチェックしておくことで、いざというときの安心にもつながります。
なお、この記事では、一般的な内容をできる限り網羅するように紹介してきました。居住する地域やマンション・戸建てなどの居住形態によっても取るべき対策は異なってきますので、必要に応じて気になる箇所は追加で確認するようにしてください。
いざというときに困らないように、事前の備えをぜひ計画的に進めていきましょう。
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