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更新日: 2021.11.11

民法改正で、住まい方はどう変わるのか? RENOSY ASSETオーナー向けサービスについてのご紹介(パート2)

民法改正で、住まい方はどう変わるのか? RENOSY ASSETオーナー向けサービスについてのご紹介(パート2)

今回は、前回の「民法改正で、住まい方はどう変わるのか? 家の賃貸から売買に関するルール見直し(パート1)」に引き続き、民法の改正が不動産を所有されるオーナーのみなさまに与える影響と、RENOSYの賃貸管理がどのような対策をしているのか、その一部をご紹介させていただきます。

本コラムでは、改正民法を新民法、従前の民法を旧民法といいます。新民法は2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約に適用されます。施行日以前に締結された賃貸借契約は新たに更新契約が締結されるまで旧民法が適用されますので、ご注意ください。

2020年4月1日、約120年という長い時を経て改正された「民法」がついに施行されました。これまでの条文を変更するもの、判例の解釈を新たに条文化したもの、変更はないが記載を改めたものなど、私たちの日常をとりまくさまざまなルールに少しずつ変更が加えられています。

賃借物の一部滅失等による賃料の減額

まず、ご紹介するのは、「一時的な賃料の減額」です。

賃料減額について、旧民法では「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。」と規定されていました。新民法では、

「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。」

(新民法第611条第1項)

と規定が改められました。

ポイント1 ☝

「滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合(新民法)」とは、物件内の設備等がなくなったり、通常の使用ができなくなる場合をいいます。

旧民法では「滅失したとき」のみ規定されているのに対し、新民法では通常の使用ができなくなった場合にも賃料減額が認められるようになりました。

ポイント2 ☝

「減額を請求することができる(旧民法)」から「減額される(新民法)」と変更されたのは大きなポイントといえるでしょう。旧民法では入居者(賃借人)が減額を請求することができると定めているのみで、賃借人が裁判手続を経ない限り、オーナー(賃貸人)がそれに同意するか否かはオーナー次第でした。

一方、新民法では「減額される」とあります。つまり、「滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」という要件を満たせば、オーナーの同意なしに当然に賃料が減額されるということです。

改正の趣旨は、入居者の更なる保護にあります。

例えば、入居者の責任なしにトイレや浴槽に不具合が発生したとします。旧民法下では、入居者は通常の使用ができないにもかかわらず、オーナーに対し、「使えなかったのだからその期間分の賃料を減額してほしい」と請求しても、同意が得られず、裁判をしてようやく賃料の減額が認められるといったものでした。このような不都合を払拭するべく、改正がなされたのです。

入居者の保護は、とても大事なことですが、この改正は、賃貸人たるオーナーにとって非常に大きな問題でもあります。

当然に減額といっても、一体いくら減額されるのか気になるところです。残念ながら、新民法は明確な減額基準まで記載しているわけではありません。どの設備がどの程度壊れ、どの程度賃料が減額されるかまであらかじめ契約書に定めていなければ、入居者からの減額要求があった際に難しい対応を迫られることになります。

RENOSYの対策

上記の様なオーナーへの影響を払拭するため、RENOSYでは入居者の方と締結する賃貸借契約書の内容を変更いたしました。

主な変更点は下記(1)~(3)のとおりです。

  • 生活に必要といえる設備を個別に明記
  • 不具合の内容を明確に記載
  • 通常、修繕に要する日数を考慮した減額率、減額の計算方法の設定

なお、上記の設定は公益社団法人日本賃貸住宅管理協会が発表している「貸室設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を参考に、入居者保護を考慮しつつ調整しております。

RENOSYの賃貸借契約書(一例)
RENOSYの賃貸借契約書(一例)

賃料減額の問題は、安定的な基準が形成されるまで、裁判等さまざまな場面で議論されることが予想されます。RENOSYでは、実務における議論の動向にも注目しながら、よりよいサービスを目指して柔軟な対応をおこなっていきます。

  • 集金代行プラン
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賃借人の修繕 

次に影響がありそうな改正として、賃借人による修繕をご紹介します。

新民法第607条の2では、以下の様な条文が新設されています。

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

 ポイント☝

改正は、賃借人による修繕が可能となる場合を明文化し、入居者とオーナーとの利害を調整するために新設されました。

旧民法では、賃貸人にのみ修繕義務が定められていましたが、賃貸人が修繕に応じない場合等、入居者と賃貸人のトラブルが絶えませんでした。一方で、入居者に自由に修繕を許してしまうと、ともするとオーナーが過剰な請求をされることになります。

そこで新民法では、「賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき」又は「急迫の事情があるとき」のみ、賃借人の修繕が認められることとしました。

つまり、「修繕が必要だとオーナーに伝えたのに、まったく対応してくれない」又は、「急いで対応しないとより損害が発生しそう」というような場合でない限り、賃借人による修繕は認められていません。

急迫の事情として認められるのは、水道の蛇口が壊れて噴水状態になってしまった場合や雨漏りがひどく、速やかに対処しないと家財がびしょびしょになってしまう場合などが考えられます。確かに水道が噴水状態なのに、オーナーと協議して、修繕の日程を調整して・・・・・・なんて言っていたら、部屋中が水浸しになって余計な損害が発生してしまいますよね。

RENOSYの対策

RENOSYの賃貸借契約書において、修繕作業は「RENOSYの指定業者が対応する」と定めているほか、新民法にあわせて、「修繕が必要になったら、必ず管理会社へ通知する」という通知義務を新たに追加いたしました。

「賃借人による修繕」の影響があるプラン
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賃借人による費用の償還請求

さて、上記の賃借人による修繕に関連する新民法として新民法第608条第1項「賃借人による費用の償還請求」をご紹介します。

新民法第608条第1項

賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

こちらは、旧民法では「使用貸借」の規定の準用という形で記載されていましたが、賃貸借用に明文化されました。

ポイント☝

「賃借人が修繕等を新民法第607条の2に従って適切に行ったときの費用」をオーナーに請求できるという内容です。

RENOSYの対策

新民法第607条の2の対策と同様、賃貸借契約書に入居者の「通知義務」を明記することにより、突然の費用請求にも柔軟に対応できると考えております。

「賃借人による費用の償還請求」の影響があるプラン
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賃借人の原状回復義務

最後にご紹介したいのが、新民法第621条「賃借人の原状回復義務」の明文化についてです。

新民法第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

原状回復は賃借人との間で一番トラブルになりやすい部分であるといっても過言ではありません。

旧民法下の原状回復の定めは、使用貸借の条文を準用した「借りて返すときは、元に戻して返す」というものでしたが、賃借人が賃貸人から過剰な原状回復費用を請求されるというトラブルが多く見受けられました。

判例では、そもそも賃貸借は有償で借りる契約なのだから、古くなるのは当たりまえ、という見解のもと、「経年変化による損耗は賃料に含まれている。」と判断され、賃借人への過剰な請求を退けていました。

それでもトラブルが後を絶たないため、国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)(以下「ガイドライン」といいます。)が発表されています。

ポイント☝

「賃借人が通常の生活をする上で、普通に古くなるものについてはその交換費用等は請求できない」ということが明文化されました。もちろん、賃借人による故意過失や通常の使用を超えた使用方法によって損耗が生じた場合は当然請求することができます。

ただし、故意過失等であったとしても、例えば、設置から15年が経過した居室内のエアコンを入居者の子供が誤ってボールを当てて壊してしまった場合、これを新品に交換する費用を全額賃借人に請求できるか?というとそうではありません。

15年使っていたエアコンはもうすでに耐用年数を超えており、価値はほぼないといえます(これを「減価償却」といいます)。これを知らずに新品に交換した場合、費用の大部分をオーナーが負担しなければなりません。賃借人の立場からは、そろそろ交換の時期が近付いていたものや、元から古いものを誤って壊したからといって、新品への交換費用を全額払えといわれたら、「なんで?古いじゃん?新品に弁償ってやりすぎじゃない?」と思いますよね。

RENOSYの対策

では、どれ位の原状回復費用であれば、賃借人に請求をしても問題ないのか気になりますよね。

RENOSYでは、改正以前より原状回復の際のトラブルを防止するため、ガイドラインの内容を賃貸借契約書に含めていました。改正を契機にということではありませんが、法令やルールに則った適正な割合を個別具体的に定め、オーナー、賃借人間の負担額を調整させていただいております。

「賃借人の原状回復義務」の影響があるプラン 
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さて、改正民法については、ご紹介した以外にも多くの変更点があります。今回はその一部、オーナーに特に影響があると思われる内容を簡単にご紹介させていただきました。

不動産投資をおこなうオーナーのみなさまにとって、賃料の減額、修繕及び原状回復に関する事項は非常に大きな関心事であると思います。

RENOSYでは、さまざまな管理プランをご用意し、オーナー様の円滑な不動産投資をサポートさせて頂いております。今回ご紹介させていただいた項目が、オーナー様の資産運用を検討する際の一助となれれば幸いです。プランの見直しなどについてもお気軽にご相談ください。

現在、新規受付を終了している管理プランもございます。詳細はお問合せ窓口にてご確認ください。

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民法改正については、弊社社内弁護士による記事もご参照ください。

民法改正で不動産ビジネスはどう変わる -前編- 教えてクリス先生!〜売買契約編〜
民法改正で不動産ビジネスはどう変わる? -後編- 教えてクリス先生!〜賃貸借契約編〜

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

石川佳宏

2018年6月に株式会社GA technologies入社。Corporate Management Division Legal所属、シニアマネージャー。担当は、不動産に関する法令、企業法務、M&A、組織再編です。

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