【100万円からスタートできる投資方法】株式や投資信託、債券、不動産投資の魅力やリスクをFPが紹介
投資(資産運用)には、株式投資や投資信託などの金融商品を投資対象にしたものから、不動産という実物を投資対象にしたものなどさまざまな種類があります。
これらの投資対象は、それぞれ特徴が異なるほか、投資資金や投資目標によって適しているもの、不適切なものに分けられます。
本記事では、仮に100万円の投資資金があるものとして、さまざまな投資対象に投資した場合の特徴を紹介していきます。
100万円で投資する金融商品の選び方
はじめに、投資を始めるうえで、あらかじめ考えておかなければならないことがあります。
それは、投資をする投資対象の特徴を知ることはもちろん、投資をする目的を明確にしておくことです。
例えば、100万円を元手に投資をすると決めたとき、この100万円で、いつまでにどのくらいの利益を得たいのかをあらかじめ考えておく必要があります。
なぜならば、この部分をあらかじめ考えておかなければ、どれに投資をするのが自分自身にとって望ましいのか判断をすることができなくなってしまうからです。
投資する金融商品を選ぶための3つの基準
投資目標を決めたあとは、何に対して投資をするのかを決める必要があります。ここでは、投資対象が金融商品であるものとして、投資する金融商品を選ぶための主な基準について紹介していきます。
投資する金融商品を選ぶための主な基準は安全性、収益性、流動性の大きく3つに分けられます。
安全性
安全性とは、選んだ金融商品に投資をした場合に、損失を被りにくいかどうかのことです。
例えば、一度は見聞きしたことがある「ローリスク・ローリターン」とは、安全性が高く、次で解説をする収益性が低いもののことをいいます。
収益性
収益性とは、選んだ金融商品に投資をした場合に、大きな収益を得られる期待が高いのかどうかのことです。
「ハイリスク・ハイリターン」とは、安全性が低く損失を被ってしまうリスクが高いものの、大きな収益を得られる期待も高いもののことをいいます。
流動性
流動性とは、選んだ金融商品に投資をした場合に、その投資をした金融商品を現金化しやすいかどうかのことです。
例えば、銀行などの普通預金の場合、いつでもお金を引き出すことができるため、流動性が高い金融商品といえます。
一方、不動産の場合、所有している不動産を売却して現金化したくても、すぐに買い手が見つかりにくい特徴があります。
そのため、早く現金化をしにくい特徴があり、これを流動性が低いとイメージするとわかりやすいでしょう。
100万円を投資するおすすめの金融商品
ここからは、主な金融商品ごとに特徴をまとめて紹介していきます。
株式投資
株式投資とは、東京証券取引所などに上場している株式を売買することによって、配当金や値上がり益を得るために行う投資のことをいいます。
株式投資の魅力
株式投資を行うことによって得られる期待効果として、主に以下が挙げられます。
- 大きな値上がり益(キャピタルゲイン)が期待できる
- 保有している株式数に応じた配当金が得られる
- 株主優待が受けられる
株式投資には、短期投資として、1日の中で株を売買して利益を狙う「デイトレード」、1週間程度の時間をかけて株を保有して利益を狙う「スイングトレード」とよばれる投資手法があります。
また、1年から5年程度の時間をかける中期投資、10年以上の時間をかける長期投資など、さまざまな投資方法があり、選んだ投資方法によって得られるメリットの効果は大きく異なります。
株式投資のリスク
株式投資のリスクには、主に以下のようなものがあります。
- 株式が値下がりすることによって損失を被る可能性がある
- 株式を保有している間は、投資した企業が倒産してしまうリスクを負う
- 世界経済や自然災害などの影響によって、一時的に大暴落などのリスクを被る場合がある
多くの人は、株式投資のリスクとして、株式が値下がりすることによる損失リスクがあることをご理解いただけていると思います。
ただし、すでに解説をさせていただきましたように、投資方法によって得られるメリットの効果が大きく異なり、リスク(デメリット)も同様です。
つまり、株式投資の仕方によって、メリットとデメリットをご自身で考えてコントロールできることも事前に知っておく必要があります。
株式投資の安全性・収益性・流動性
一般的に株式投資は、安全性は低く、収益性は高い「ハイリスク・ハイリターン」の投資と位置付けられることが多くなっています。
つまり、投資資金100万円を大きく増やせる可能性もあるものの、大きく減らす可能性もあることを意味します。
なお、株式の売買によって得た利益を現金化するまでには、株式の種類による違いはあるものの、おおむね3営業日から4営業日程度の時間を要します。
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投資信託
投資信託とは、ご自身が投じた投資資金を「投資信託運用会社」が代わりに資産運用する投資のことをいいます。
投資信託の魅力
投資信託を購入することによって得られる期待効果には、主に以下のようなものが挙げられます。
- 投資の初心者や投資の知識がなくても利益を得られやすい
- 少額の投資資金で投資をすることができる
- NISAやつみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった有利な制度が使える
投資信託は、株式投資のように短期間で大きな利益を上げるには適した金融商品とはいえません。
とはいえ、100円や1,000円などの少額から始められ、投資の初心者や投資の知識がなくても簡単に始めやすい特徴があります。
また、投資信託を毎月一定金額ずつ積み立てして行う積立投資を10年や20年といった長期にわたって継続することで、平均買付価格を低く抑える「ドルコスト平均法」を生かしながら大きな資産形成がしやすくなります。
投資信託のリスク
投資信託のリスクには、主に以下のようなものがあります。
- 元本保証がされていない
- 選んだ投資信託によっては、目に見えづらい手数料が多くかかる
投資信託は、数多くの種類が販売されており、販売している金融機関によって取扱本数も全く異なります。
そのため、どのような投資信託を選べばよいのかわからない人も多いのが現状です。
とはいえ、投資信託は銘柄の選び方が極めて重要であり、選んだ投資信託によっては、目に見えづらい手数料が多くかかるリスクがある点に注意が必要です。
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投資信託の安全性・収益性・流動性
投資信託は、株式投資に比べて大きなお金を一度に失ってしまうリスクがないため、安全性は比較的高い金融商品です。
収益性については、短期間で大きな利益を得られにくいものの、長い期間にわたって行う積立投資の場合、無理をすることなく大きな収益が期待できます。
なお、投資信託は売却して現金化するまでには3日から4日程度の時間を要するものの、現金化をしやすい意味合いにおいて、流動性も高い金融商品といえます。
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債券
債券とは、国や地方公共団体、企業などがお金を借入れするために発行する有価証券のことをいいます。
債券には、国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、企業が発行する「社債」などがあります。債券を購入することは、発行したところへご自身のお金を貸付していると考えるとわかりやすいでしょう。
債券の魅力
債券は、発行したところへお金を貸付することになるため、返済期限が終了する満期までにわたって、あらかじめ決められた利子を受け取れるメリットがあります。
満期になると、購入した債券の額面金額が払い戻されるため、結果として、債券を購入した額面金額と利子のいずれも得られることになります。
債券のリスク
債券のリスクは、債券を発行したところ(発行体)が破綻した場合、元本割れが発生してしまうところにあります。
また、債券を日本円ではなく、外貨で行う外貨建ての場合、為替変動リスクによって元本割れしてしまうリスクもあります。
債券の安全性・収益性・流動性
債券は、発行体の信用がどのくらいあるのかによるものの、例えば、国が発行する国債の安全性は比較的高いと言い切ってよいでしょう。
個人を対象にした国債として、いわゆる「個人向け国債」がありますが、個人向け国債を購入し、満期まで保有することで、元本割れのリスクがほぼない状態で利息を得られる期待が持てます。
なお、債券の収益性は、後述する預貯金よりは高いものの、株式投資や投資信託に比べて大きな利益を期待することは残念ながらできません。
ちなみに、購入した債券は、満期になる前に売却して現金化することができるため、流動性は高い金融商品といえます。
ただし、債券を途中で現金化しますと、価格変動リスクが伴うことになるため、場合によっては、元本割れをするリスクが伴う点に注意が必要です(満期まで保有しておくことが無難)。
預貯金
預貯金は、銀行をはじめとした金融機関にお金を預入れすることによって、利息が得られる特徴があります。
預貯金の魅力
預貯金は、これまで紹介した金融商品への投資に比べて「元本割れ」が生じない点が大きなメリットです。
預貯金のリスク
元本割れをすることはないため、預貯金に対するリスクは、基本的にないと言い切ることができます。
ただし、預貯金をしている金融機関が破綻し、普通預金や定期預金をはじめとした「一般預金」が1,000万円を超えている場合、破綻した金融機関の状況に応じて一部減ってしまう点は、唯一のリスクともいえるでしょう。
なお、預貯金をする金融機関の口座を複数に分散させることで、このリスクは容易に回避することが可能です。
預貯金の安全性・収益性・流動性
一般的に預貯金は、安全性が極めて高く、収益性は低い「ローリスク・ローリターン」の金融商品と位置付けられます。
また、流動性につきましては、預貯金の種類による違いはあるものの、基本的にいつでもお金を引き出すことができるため、安全性に加えて流動性も極めて高いと言い切れます。
一方、収益性は極めて低く、受取利息の金額は全く期待できないため、すでに紹介したほかの金融商品とのバランスを意識しながら分散投資を心がけることが大切です。
不動産投資
これまで解説した金融商品を投資対象としたもののほかにも、不動産を投資対象としたものもあります。
一般的に不動産投資といえば、多くのお金を元手としなければならないイメージを持っている人も多いと思います。
しかし実際に100万円から始められる不動産投資もあることから、ここでは100万円から始められる不動産投資の特徴について紹介していきます。
不動産投資とは〜初心者が知るべき仕組み・失敗しないための勉強法
100万円から始められる不動産投資とは
100万円から始められる不動産投資とは、マンションの一室を購入して賃貸する「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への投資です。
不動産投資でコンパクトマンションを選ぶメリット・デメリットとは?
100万円から始められる不動産投資の魅力
マンションの一室を購入して賃貸する「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への投資によって得られる期待効果には、主に以下のようなものが挙げられます。
景気に左右されにくく安定した利益(家賃収入)
「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への不動産投資は、景気に左右されにくく安定した利益(家賃収入)が魅力です。
すでに紹介した金融商品への投資に比べますと、経済情勢や景気による変動を受けにくく、入居している借主がいる限り、安定して収入を得られる点は大きな魅力といえます。
低金利と年金不安を背景に、新たな資産運用として注目
「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への不動産投資は、入居している借主がいる限り、安定して収入を得られることから、将来の老後生活資金の増加が期待できるといった考え方を持つこともできます。
また、「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」の不動産投資は、貸家としての財産評価となるため、相続税対策としても効果的です。
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100万円から始められる不動産投資のリスク
「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への投資によるリスクには、主に以下のようなものが挙げられます。
- 空室による収入減少リスク
- マンションの大規模修繕による修繕積立金の支出増加リスク
- 賃料収入が変動するリスク
不動産投資を行う場合、空室による収入減少リスクは避けて通ることができません。
場合によっては、修繕積立金をはじめとした支出増加や賃料が変動するリスクもあるため、この点はあらかじめ押さえておくべきポイントといえます。
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不動産投資の安全性・収益性・流動性
「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への不動産投資は、空室リスクがある点を考慮すると安全性が高い投資とはいえません。
ただし、所有する不動産の立地条件や多くの人にとって需要が高い場所であれば、この空室リスクは低く抑えられます。
また、不動産投資は、長い期間にわたって収益を得られる見込みがあるため、長期投資に向いている投資です。
収益性は長い目でみると期待でき、不労所得を長期にわたって得られる可能性がある部分はしっかりと押さえておきたいポイントです。
流動性は、所有している不動産をすぐに売却して現金化するのが難しいと考えられることから、残念ながらよいとはいえません。
100万円からの投資を成功しやすくするためのポイント
金融商品や不動産に投資をする特徴を幅広く紹介をさせていただきました。今回は元手が100万円あったらという前提の紹介でしたが、投資資金が潤沢であればあるほど、投資で成功しやすいことは確かだと筆者は感じています。ただし「長い時間」を味方に付けることで、少額の投資資金であったとしても投資を成功させやすくなることも確かです。
こちらはあくまでも筆者個人の主観となるのですが、100万円からの投資を成功しやすくするためには「長い時間を有効活用する」のが簡単で望ましいと考えます。
長期投資のメリット・デメリット。短期投資との違いは?
例えば、株式投資や投資信託での投資であれば、一時的な大きな値動きによって左右される短期投資よりも、値動きを気にしない長期投資を心がけるといったイメージです。
本記事で紹介した「中古ワンルーム(コンパクトマンション)」への不動産投資も少額の資金から始められる長期投資に適しているため、目先の利益にとらわれるよりも、長期的に細く長くお金を得る考え方を持っておきたいものです。
それぞれの金融商品や不動産投資の特徴を確認し、ご自身の投資目的に沿った最適なものを探して実際に投資を始めてみることをおすすめします。
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