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作成日: 2021.03.01

【FP解説】思わぬ罠に注意!? 投資でいくら儲けたら確定申告が必要なのか

【FP解説】思わぬ罠に注意!? 投資でいくら儲けたら確定申告が必要なのか

投資(資産運用)をしている人が、あらかじめ確定申告について知っておくことはとても大切です。

投資には、株式投資・投資信託への投資・仮想通貨(暗号資産)への投資・不動産投資などさまざまな種類があり、どれに投資をするのかによって、所得の種類や税金計算のしかたが全く異なります。

また、実際に得た利益金額などによっても確定申告の必要性が異なる特徴もあることから、本ページでは、投資と確定申告の関係性について解説をしていきます。

確定申告とは

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金を計算して報告(精算)する手続きのことです。

一般に、会社員や公務員などの給与所得者の場合、勤務先が行う年末調整によって1年間の税金精算手続きが完了するため確定申告をする必要はありません。

ただし、給与所得者であったとしても、株式投資や不動産投資など、何かしらの投資をしている人は、時として確定申告をする必要がある場合もあります。

投資をしている給与所得者で確定申告が必要な場合

国税庁では、投資をしている給与所得者で確定申告が必要な人について以下のように解説しています。

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える

引用:国税庁 確定申告が必要な方 ①給与所得がある方(2)

上記解説は、主に正社員や正職員などの待遇で勤務先に勤めている人で投資をしている人が対象になると考えられます。

具体的には、投資によって1年間で得た利益(所得)が20万円を超える場合は確定申告をしなければならないと国税庁は解説しています。

給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える

引用:国税庁 確定申告が必要な方 ①給与所得がある方(3)

上記解説は、主にアルバイトやパート、副業などで給与を複数箇所から受けている人で投資をしている人が対象になると考えられます。

こちらも、投資によって1年間で得た利益(所得)が20万円を超える場合は確定申告をしなければならないと国税庁は解説しています。

【重要】確定申告義務は20万円以上の所得で発生......の落とし穴

ここまで解説した内容は、あくまでも「給与所得者」の人が対象です。

そのため、個人事業主やフリーランスなどで給与所得者ではない人の場合、投資で得た利益が20万円以下であったとしても、その利益(所得)も加味した確定申告が必要になります。

また、給与所得者の人で、投資で得た利益が20万円以下であったとしても、それは、国税である所得税法上での解説であり、地方税にあたる住民税の申告は、別途必要になる点に注意が必要です。

所得税の確定申告期間

所得税の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までとなっています。

例えば、令和2年度の確定申告期間は、原則として、令和3年2月16日から令和3年3月15日までといったイメージです。

なお、新型コロナウイルスの影響によって、令和2年度の所得税の確定申告期間は、令和3年2月16日から令和3年4月15日までに延長されています。

このように、特別の事情がある場合は、確定申告期間が延長されることもあります。

そのため、確定申告をする年は、事前に確定申告期間が、いつからいつまでなのかあらかじめ確認しておくことが大切です。

投資別 確定申告のポイント

ここでは、主な投資として、株式投資・投資信託・仮想通貨(暗号資産)・不動産投資の場合におけるポイントを個別に解説していきます。

株式投資における確定申告のポイント

株式投資によって、1月1日から12月31日までの1年間で利益を得た場合、原則として確定申告が必要になります。

ただし、株式投資を行う際に証券会社などを通じて開設した口座が、どのような口座で取引したのかによって、確定申告の手続きが異なる点に注意が必要です。

口座の種類 確定申告の有無 備考
特定口座
(源泉徴収あり)
原則として不要 損益通算や繰越控除を行う場合は、確定申告をする必要がある
特定口座
(源泉徴収なし)
必要
一般口座 必要
NISA口座 不要 損益通算や繰越控除を行うことはできない

株式投資における必要経費とは

株式投資で得た利益は、基本的に譲渡所得になることから、必要経費を算入して控除するのは難しくなっています。

ただし、株式投資を始め、株の所有期間が短い期間で売買を行って得た利益は、譲渡所得ではなく、先物取引にかかる雑所得等として、雑所得または事業所得として確定申告をすることができます。

ちなみに、雑所得および事業所得の場合、いずれの所得も必要経費の算入が認められていることから、以下のような経費があるのであれば、必要経費として算入することで節税が図られるものと考えられます。

  • インターネットなどの通信費
  • 株式投資にかかる書籍購入費用
  • 株式投資にかかるセミナー等の受講費用
  • パソコンやスマホ端末の購入費用 など

重要なポイントは、ご自身の行っている株式投資が、どの所得に該当するのか判断するところにあります。

そのため、株式投資を行い、必要経費を算入して確定申告をするのであれば、一度、専門家にあたる税理士などへ相談・確認されてみるのが望ましいでしょう。

投資信託における確定申告のポイント

投資信託への投資によって、1月1日から12月31日までの1年間で利益を得た場合、原則として確定申告が必要になります。

ただし、投資信託への投資も先に解説した株式投資のように、証券会社などを通じて開設した口座が、どのような口座で取引したのかによって、確定申告の手続きが異なる点に注意が必要です。

口座の種類 確定申告の有無 備考
特定口座
(源泉徴収あり)
原則として不要 損益通算や繰越控除を行う場合は、確定申告をする必要がある
特定口座
(源泉徴収なし)
必要
一般口座 必要
NISA口座 不要 損益通算や繰越控除を行うことはできない

投資信託における必要経費とは

投資信託には、販売手数料・信託報酬・信託財産留保額とよばれる3つのコストがあります。

これらのコスト(必要経費)は、選んだ投資信託の銘柄によってすべて異なっており、昨今では、販売手数料や信託財産留保額といったコストがかからない銘柄も多く販売されています。

なお、販売手数料・信託報酬・信託財産留保額といった3つのコストは、直接ご自身で支払う必要経費ではなく、実際に投じた投資資金から間接的に取られるものであるため、目に見えづらく、気づきにくい特徴があります。

そのため、投資信託への投資をする場合、これら3つのコストができる限りかからない銘柄を選ぶことがとても大切です。

仮想通貨(暗号資産)への投資における確定申告のポイント

仮想通貨(暗号資産)によって、1月1日から12月31日までの1年間で利益を得た場合、原則として確定申告が必要になります。

1年間で得た仮想通貨(暗号資産)の利益は、税法上、雑所得として総合課税の対象になるため、給与所得者の場合、勤務先から得た給与所得と仮想通貨(暗号資産)の利益にあたる雑所得を合わせて、確定申告で税金を再計算する必要があります。

なお、仮想通貨(暗号資産)は、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)のように申告分離課税の適用はないため、多くの利益を得た場合、所得税および住民税の納税負担が重くなってしまう可能性がある点に注意が必要です。

そのため、後述する必要経費をもれなく適用することがとても大切になるといえます。

仮想通貨(暗号資産)における必要経費とは

国税庁では、仮想通貨(暗号資産)における必要経費について、以下のものを認めています。

  • 仮想通貨(暗号資産)の譲渡原価
  • 仮想通貨(暗号資産)を売却した際に支払った手数料

上記に加え、インターネットやスマートフォンなどの回線利用料、パソコンなどの購入費用についても認めておりますが、これらは、仮想通貨(暗号資産)の売却のために必要な支出と認められる金額に限られているため注意が必要です。

参考:国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)P13

不動産投資における確定申告のポイント

不動産投資は、アパート・マンション・マンションの一室などの不動産を購入し、貸付することによって収益を得る投資です。

不動産投資で得た収益は、税法上、不動産所得となり、給与所得者の場合、勤務先から得た給与所得と不動産投資で得た不動産所得を合わせて確定申告をする必要があります。

【関連リンク】
確定申告で不動産投資ローンの金利(借入金利子)は経費にできる?
不動産投資に確定申告は必要?経費計上できる項目から注意点を解説

不動産投資における必要経費とは

不動産投資で得た不動産所得では、必要経費の算入が認められており、主な必要経費として以下のようなものがあります。

  • 不動産投資をする際にお金を借入れした場合の支払利息
  • 火災保険などの損害保険料
  • 管理費や委託料
  • 修繕費
  • 不動産投資の対象になっている不動産の固定資産税
  • 税理士や司法書士への支払い報酬
  • 減価償却費 など

上記のほか、不動産所得を得るために要した広告宣伝費や通信費なども必要経費に算入することができます。

【関連リンク】
不動産投資の経費どこまで落とせる? 計上できる経費とNGまとめ
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不動産投資の損失は損益通算が可能

不動産投資によって、1年間の収益が赤字であった場合、その損失は給与所得や事業所得など、他の所得と損益通算することができます。

例えば、給与所得が300万円とし、不動産所得が▲100万円だった場合、これらの所得を差し引きして、200万円を所得金額にすることができるといったイメージです。

これによって、納めるべき税金を少なくさせられる効果が得られます。

不動産投資における青色申告と白色申告の違い

不動産投資を行い、不動産所得がある人は、税務署に対して「青色申告承認申請書」を提出することによって、青色申告者として青色申告特別控除の適用が受けられます。

毎年の確定申告で不動産所得が黒字になる人の場合、白色申告ではなく青色申告で確定申告を行うことによって、不動産所得を減らすことができ、所得税および住民税の節税対策につながります。

投資と確定申告の関係性を知ると節税対策につながる

投資の種類と確定申告のポイントを個別に見ていきますと、必要経費や細かい部分で全く考え方が異なることをご理解いただけたと思います。

大切なことは、どの投資が良いのか、悪いのかといったことではなく、ご自身が選んだ投資を有効活用するためにできることは何なのかを知って実践することです。

例えば、株式投資で損失が生じた場合、確定申告をすることで、その損失を翌年度以降3年間にわたって繰越控除をすることができます。

不動産投資の場合、赤字で損失が生じた場合、確定申告をすることで他の所得と損益通算をすることができ、行っている投資と確定申告の関係性を知ると、現在および将来の節税対策につながると考えられます。

毎年、確定申告を行わない人にとってみますと、確定申告を行うことはとても大変な手続きだと思いますが、猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響も鑑みますと、これを機に、自宅でいつでも確定申告ができる「e-Tax」の使い方を学んでみるのもよいかもしれません。

【関連リンク】
確定申告のID・パスワード方式の申告届出をしてきた

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この記事を書いた人

佐藤元宣 1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎

佐藤元宣FP事務所代表。CFP®・1級ファイナンシャルプランニング技能士。 生命保険・損害保険・投資信託などの金融商品を販売していない非販売系の独立系FPで、世代を問わず幅広い分野に相談対応している。税理士や社会保険労務士といった専門士業事務所での勤務経験をはじめ、実際に自身で行っている資産運用の経験や各種専門知識をファイナンシャルプランニング相談に活かしたサービスをお客様へ提供している。 佐藤元宣FP事務所

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