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更新日: 2021.05.21

外貨預金やFXなどのメリットやリスクは? 初心者が知りたい外貨投資6種類を紹介

外貨預金やFXなどのメリットやリスクは? 初心者が知りたい外貨投資6種類を紹介

超低金利が続く日本において、預貯金だけではお金は増やせません。しかし、投資の対象を広く海外にも求めてみると、日本より高い金利で高いリターンが期待できる魅力的な金融商品があります。

この記事では、外貨投資のメリットや注意点、日本の金融機関で取り扱っている一般的な外貨建ての金融商品を紹介します。

外貨投資とは

最初に外貨投資の基本について解説します。

日本円ではなく外国のお金で投資をする

外貨投資とは、円を外貨に替えて外貨建ての金融商品で運用することです。外国の通貨には米ドルやユーロだけでなく、高金利のトルコリラや南アフリカランドなどがあります。

石油や食料品を輸入に頼る日本では、円安に振れると物価が上がり、円の資産価値が下がります。「投資をして運用益を得る」だけでなく、資産の目減りを防ぐためにも外貨資産を持つことが必要です。

国内投資よりもハイリターンな商品が多い

以下は2021年(令和3年)3月時点の各国の政策金利です。

日本 -0.1%
米国 0〜0.25%
欧州 0.0%
英国 0.1%
豪州 0.1%
トルコ 19.0%
南アフリカ 3.5%

政策金利が日本より高い国や日本よりも経済成長が著しい国には、よりハイリターンが期待できる金融商品が存在します。日本で円建ての預貯金で運用することは元本保証で安全ではありますが、お金を増やすことは期待できません。

複数の通貨に分散するメリット

外貨投資に関係する分散投資の考え方に、「地域分散」と「通貨分散」があります。

「地域分散」とは、投資先を日本に限らず、広く世界全体を対象とすることです。日本の金融商品だけに投資している場合、国内の経済状況が悪いときには運用成績もマイナスの影響を受けます。

しかし世界に目を向けると、景気が安定していたり、経済成長を遂げている国や地域も少なくありません。国ごとの経済状況の違いを利用して世界に分散投資することは、投資のリスクを抑えることにつながります。

「通貨分散」は、日本円だけでなく、米ドルやユーロなどの外貨建ての資産に分散して投資することです。通貨を分散することで、円の価値が下がってしまってもほかの通貨でカバーするなど、為替リスク分散効果が期待できます。

外貨預金のリスクや注意点

外貨預金とは、文字通り日本円でなく、米ドルのような外国の通貨で預金をすることです。外貨預金の口座は国内の銀行で開設できるので、自分のメインバンクで気軽に始めることができます。

日本より金利の高い国の通貨で預金をすれば、円建ての預金より多くの利息を得られますが、外貨預金にはいくつかの注意点があります。

為替による変動リスクや手数料

為替変動とは

【100万円を米ドルの預金に預け入れた場合の為替変動】

為替レート 米ドル 日本円
1米ドル=100円 1万米ドル 100万円 円→米ドル預金へ
1米ドル=110円(円安) 1万米ドル 110万円 為替差益10万円
1米ドル=90円(円高) 1万米ドル 90万円 為替差損10万円

為替(外国為替)とは2カ国間の通貨を交換することです。そして、その交換比率を「為替レート」といいます。

外貨預金をすると、預金残高は金利以外に為替の影響を受けます。例えば、100万円を米ドルの預金に預け入れた場合、為替レートが「1米ドル=100円」の場合、預金残高は1万米ドルです。その後、為替レートが「1ドル=110円」の円安・ドル高になったら、1万ドルの預金は日本円に換算すると110万円です。つまり、10万円の為替差益を得たことになります。

しかし、為替が円高に振れれば、為替差損が出ます。上記の例で、「1ドル=90円」の円高・ドル安になった場合、預金残高は円に換算すると90万円に減ってしまいます。

外貨預金は外貨ベースでは元本が保証されていますが、為替の変動によって元本割れする可能性があることに注意が必要です。

為替手数料がかかる

外貨預金に限らず、円を外貨に替えるときと外貨を円に替えるときには、それぞれ為替手数料がかかります。為替手数料は金融機関や金融商品によって異なるため、必ず確認するようにしましょう。

為替手数料は「1米ドルにつき1円」のように、1通貨単位あたりの金額で表示されます。

例えば、1米ドルにつき1円の為替手数料で、100万円を1米ドル=100円で米ドルに替えるとします。その場合、手数料を考慮しなければ、1万米ドルになるはずです。

しかし、1円の手数料がかかるため、為替レートは101円で計算しなくてはなりません。

100万円÷101円≒9,901米ドル 

となります。

この9,901米ドルを1米ドル=100円で円に戻す場合には、1円の手数料を反映した為替レートは99円になります。

9,901米ドル×99円=980,199円

100万円を1米ドル=100円で米ドルに替えて、再度円に戻したら980,199円になり、19,801円減ることになります。

つまり、預金の利息が19,801円以上得られなければ、コスト倒れになることに注意してください。外貨預金では、金利だけでなく為替手数料も比較して金融機関を選ぶことが大切です。

年利について理解したうえで利息を計算しよう

外貨預金も円の預金と同様に、普通預金と定期預金があります。定期預金の満期は金融機関よって異なりますが、1カ月、3カ月、6カ月、1年、2年、3年、5年などがあります。

注意していただきたいのは、1年未満の期間の定期預金の金利も、年利で表示されるということです。仮に1カ月満期の米ドル建ての定期預金の年利が6%の場合、実質的な利率は1/12の0.5%ということになります。

外貨預金は各金融機関が「1カ月満期の定期預金」にキャンペーンとして特別金利を設定する場合を多く目にします。その場合は、「1カ月分の利息」や「キャンペーン期間経過後の取り扱い」についてどのようになるかを必ず確認しましょう。

「単利型」より「複利型」の方が増やせる

金利のタイプには「単利」と「複利」があり、金融機関ごとに決められています。金利は高いに越したことはありませんが、金利のタイプによっても受け取る利息が変わってくるため、注意が必要です。

単利とは、元金に対してだけ利息が付く金利のタイプです。これに対し、複利では元金と利息の合計に対して次期の利息が付きます。

例えば、1万米ドルを5年間年利2%で預けた場合、5年分の単利の利息は1,000米ドルであるのに対し、1年複利の場合は1,041米ドルです。単利と複利の利息の差は金利が高くなったり、預入期間が長くなるほど大きくなります。

外貨預金以外の外貨投資商品

ここでは外貨預金以外に、外貨で投資する金融商品を紹介します。

外貨預金と比較される「外貨MMF」

外貨MMFとは、米ドルなどの外貨で運用する投資信託で、格付けの高い優良企業の社債や国債などを投資対象としています。そのため、外貨ベースでの元本割れリスクが極めて低く、換金性の高さからも外貨預金と比較される金融商品です。

外貨MMFと外貨預金の違いは以下の通りです。

【外貨MMFと外貨預金の違い】

外貨MMF 外貨預金
利回り 運用成果に応じて変動 一般的に固定利率
元本保証 安全性は高いが、元本保証ではない 外貨ベースで元本保証
換金性 いつでも換金可能 定期預金は原則解約不可
金融機関が破綻した場合 資産は分別管理のため、保護される ペイオフの対象外

トルコリラなどの高金利通貨は高い利回りが設定されていますが、それは高金利の国や通貨は信用力が低いためです。仮にトルコの国債でデフォルト(債務不履行)などが起きれば、外貨MMFには元本割れの可能性もあることを知っておく必要があります。

海外の優良企業に投資できる「外国株式」

外国株式は、日本国内で外貨建ての海外株式に直接投資することです。日本国内にも優良企業はありますが、海外には世界的規模の優良企業や伸びしろのあるベンチャー企業など、多くの魅力的な投資対象があります。

世界最大の株式市場のある米国では株主配当が年4回行われるため、値上がり益だけでなく配当収入も期待できます。さらに米国の株取引の最低単位は1株からなので、簡単に優良企業の株主になれるのです。

外国株式は日本の証券会社を通じて購入できますが、取り扱う国や銘柄、手数料などの条件が証券会社によってさまざまです。そのため、取引する証券会社選びも大切です。

外貨ベースでは元本割れしない「外国債券」

外国債券とは、発行体か通貨、発行市場のどれかが国外のものである債券のことです。

投資家が発行体である国や企業にお金を貸して、発行体が利息の支払いと元金の返済日(償還日)を約束した借用証書が債券ということになります。

外国債券は外貨ベースでは元本割れしないという、外貨預金に似た特徴を持っています。一般的に利回りは外貨預金より高い場合が多く、市場で売買ができるため、中途換金も可能というメリットがあります。外貨MMF同様に高金利の債券は信用が低いことが多いので、投資にあたっては金利だけを判断材料にしないようにしましょう。

少ない資金で分散投資ができる「海外ETF」

海外ETFとは、海外の取引所に上場しているETF(上場投資信託)のことです。

ETFとは、株価指数など特定の指標への連動を目指す投資信託の一種で、株式のように市場で取引できるという特色があります。

ETFのメリットの一つは、少額で分散投資ができることです。海外株式や海外債券を複数持つには多額の資金が必要ですが、ETFなら少額でも多数の銘柄に投資できます。また、ETFは一般の投資信託に比べて信託報酬が安い場合がほとんどです。保有期間中に必ずかかるコストである信託報酬が抑えられるETFは、中長期の資産形成に適した金融商品といえます。

海外ETFは日本国内のETFより市場規模も大きく、取扱銘柄が多いため、選択肢が豊富です。ただし、購入時の手数料は国内ETFより高くなります。

【関連リンク】
ETFと投資信託の手数料の違いはどれくらい? S&P500・ダウ平均株価・日経平均を直近1年で比較してみた

通貨の売買の差益を狙う「FX」

FX(外国為替証拠金取引)は証拠金という仕組みを使って、少額で外貨の売買する取引です。手持ち資金の25倍までの取引が可能で、その倍率を「レバレッジ」といいます。

レバレッジが高いほどハイリスク・ハイリターンになる、投機的な取引です。FXには「スワップ」という金利がありインカムゲインも得られますが、短期でキャピタルゲインを狙う手法が一般的です。

【関連リンク】
FXの仕組みとメリット・デメリットは? リスクや外貨預金との違いも紹介
外貨投資まとめ
  • 外貨預金
  • 外貨MMF
  • 外国株式
  • 外国債券
  • 海外ETF
  • FX

中長期の資産形成に外貨を上手に取り入れよう

外貨での投資は日本円だけで資産を持つことに比べ、高利回りが期待できます。また、運用益を狙うだけでなく、将来の円安による資産の目減りを回避する「守り」の効果も見込めます。

運用にあたっては、為替変動リスクや為替手数料などを考慮し、自分の目的に合った金融商品や金融機関を選びましょう。

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この記事を書いた人

松田聡子 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

群馬FP事務所代表。明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAを有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングで人生100年時代をマネーの面からサポート。 経営体質改善のヒント

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