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公開日: 2023.05.10 更新日: 2025.06.11

医師が不動産投資に向いている5つの理由| 節税対策や成功事例も解説

監修:
柴田充輝 (1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士)
医師が不動産投資に向いている5つの理由| 節税対策や成功事例も解説

不動産投資はさまざまな資産形成のうちの一選択肢として、忙しい医師の方にも向いている方法といえます。ローンを組んで本業に支障をきたすことなく、時間を活用した資産形成が可能です。

ただし、不動産投資を始める前に十分にリスクを把握しておくことが大切です。本記事では、医師が不動産投資に向いている理由や注意点、不動産投資で騙されやすい人の特徴などを詳しく解説します。

医師が不動産投資に向いている5つの理由

 

医師が不動産投資に向いているとされる主な理由は、以下の5つが挙げられます。

医師が不動産投資に向いている5つの理由
  1. 節税効果が期待できる
  2.  融資を受けやすい
  3. 管理は不動産会社に任せられるので手間がかからない
  4. 相続税対策にもなる
  5. 本業以外の副収入で資産形成ができる

それでは順に見ていきましょう。

1.  節税効果が期待できる

医師は所得が高い傾向にあるため、所得金額に応じて課税される所得税の税率は高くなりがちです。所得税は課税所得が多いほど段階的に税率が高くなる累進課税で、最高税率は45%、住民税と合わせると55%にまでなります。

節税効果が見込まれる主な理由は、もともと所得の高い医師が不動産投資の経費を計上することで、所得を圧縮できるためです。給与所得から不動産所得の赤字を差し引くと、「高い所得税率が適用される部分の所得」を減らせる可能性があります。

不動産投資の経費として大きいのは、投資用に購入した高額な不動産の購入価格です。不動産価格は一度には計上せず、建物の耐用年数に応じた期間で、毎年減少する価値の分を「減価償却費」として経費計上します。実際に費用が発生しない(キャッシュアウトが発生しない)年に、経費として計上する仕組みです。

なお税金を圧縮する目的のためには、減価償却費が多く出る不動産を選ぶ必要があり、不動産価格のうち、建物と土地の割合に注意して購入しなければなりません。

【関連リンク】
高所得者にとって不動産投資は節税になる? 税理士が注意点を解説!
【不動産投資と税】減価償却は土地と建物の割合によって変わる
【不動産投資と税】損益通算は土地と建物の割合によって変わる

2. 融資を受けやすい

投資用の不動産を購入するには数百万~数千万円以上かかるため、不動産投資を始めるときには、金融機関から融資を受けて購入する方がほとんどです。

融資を申し込む際、金融機関は申込者の職業や収入といった社会的・経済的な背景や、購入対象となる不動産の価値そのものを審査します。さまざまな審査項目を踏まえて、融資の可否や限度額、金利などの貸付条件を決定します。

特に勤務医は、金融機関からの信用が厚く融資を受けやすいといわれています。安定した収入が見込め、社会的信用も高く「与信が高い」と評価されるためです。つまり融資を受けられる上限額が高い、またはよい条件(低金利)での借入れができる傾向にある場合があります。不動産投資を行ううえで、これは大きなメリットです。

3. 管理は不動産会社に任せられるので手間がかからない

不動産投資を続けるうえでは、2つの管理が必要になります。

管理内容 詳細
建物管理 不動産の物理的な劣化を遅らせたり、安心して生活できる環境を維持したりする
賃貸管理 入居者の募集や問い合わせを受けたときに対応する

これらの管理業務は、専門の管理会社に委託することが可能です。

管理業務を委託すれば、不動産投資に時間と手間を費やすことなく、また賃貸経営について日々考える必要もありません。仕事に専念できるため、忙しい医師にとって好都合でしょう。

物件の選定をする際には検討をする必要がありますが、始めたあとは手間がかかりづらく、時間を割きにくい医師にも取り組みやすい投資といえます。

【関連リンク】
不動産の管理は委託すべき? 自主管理と徹底比較してみた
賃貸管理の仕事内容は大変? 気になる内容とは

4. 相続税対策にもなる

亡くなった人(被相続人)の財産を相続人が引き継ぐ場合、一定の金額を超えた際に課されるのが相続税です。2025年5月時点では、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」が「基礎控除額」となり、この金額を超えると相続税がかかります。

現金は、その金額がそのまま相続財産の額になります。それに対して不動産は、時価の6割~7割程度の価格で評価されるのが一般的です(路線価方式)。たとえば、1億円で不動産を購入すると、その不動産は6,000万~7,000万円程度で計算されます。

つまり財産を現金で相続するよりも、不動産で相続した方が課税される金額が下がり、支払う相続税が減ることになります。

ただし節税を目的としすぎた場合、不動産の価値を算出する評価方法が認められない場合もあり、注意が必要です。実際に2022年4月19日の最高裁の判決では、路線価が認められない判決が下っています。医師は年収が高く資産を築きやすいからこそ、相続対策を検討する際も専門家に相談したうえで、慎重に進める必要があるでしょう。

【関連リンク】
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5. 本業以外の副収入で資産形成ができる

医師の仕事は、専門性が高く自分自身が現場で働く必要があります。本業以外の方法で収入を増やす手段と時間に限界がある医師にとって、不動産投資は理想的な副収入源となり得ます。

不動産投資は、毎月の家賃収入と売却益が主な収入源です。不動産投資ローンの返済が終わったあとは、家賃収入から諸経費を差し引いた金額がそのまま純利益となるため、長期的な視点で見ると効率のよい資産形成が可能です。

また不動産の価値が上昇し、そのタイミングで売却時した場合は大きな利益を得ることもできます。医師は本業で十分な収入があるため、不動産の短期的な値動きに一喜一憂することなく、中〜長期保有して資産価値の上昇を待てるでしょう。

医師が不動産投資するうえでの注意点

 

社会的信用力の高い医師は、不動産投資に有利と一般的にはみなされますが、始める前にいくつか注意しておく点もあります。

具体的な注意点は、以下のとおりです。

  1. 節税効果を意識しすぎない
  2. リスクも考慮する
  3. 詐欺を働くグループがあることも理解しておく

それぞれ詳しく解説します。

1. 節税効果を意識しすぎない

所得税の圧縮を目的として不動産投資を行う場合、最も効果的な不動産は中古アパートへの投資です。築年数の経過した不動産は簡便法という計算によって、建物の価格を経費計上する減価償却費を、短期間で加速度的に計上できるからです。

ただ、不動産賃貸事業としてみたとき、中古アパートは初心者向けではありません。建物自体が古くなっているため、物件の競争力が落ちている可能性が高いからです。ほかにも、修繕の必要性の規模感、またそれまでの入居率の推移なども確認する必要があります。立地などの周辺環境に加え、それぞれ固有の建物をより吟味する必要性が発生します。

中古アパートを販売する会社、その後業務を依頼する管理会社によりますが、初心者に向いているといわれる区分マンション投資と異なり、中古アパートへの投資は事業にかかる時間や手間が増える可能性を考慮しなければなりません。さらに、予想以上に支出が発生する可能性もあります。

そのため、どこまで節税を狙うのか、所有している間の管理の手間のかからなさはどのくらいかなど、バランスを見ながら不動産を選ぶことが大切です。

2. リスクも考慮する

投資に100%成功する方法は存在せず、必ずリスクが伴います。「利益が出るかもしれないし、損失が出るかもしれない」という点には留意が必要です。

実際に、不動産投資にもいくつかのリスクがあります。そのなかの一つが空室リスクです。不動産投資は中〜長期間運用するのが一般的で、長い運用期間中には入居者がいない期間が発生します。

空室は必ず発生するというリスクを踏まえたうえで、退去が発生したときに次の入居者が見つかりやすくするため、立地選びは重要です。地域の人口動態や賃貸物件の需要、競合物件の数などを調査することも重要です。また同一エリアの家賃相場と乖離のない家賃設定をするなど、賃貸管理上のノウハウも不可欠になってきます。

なお、空室を気にすることなく不動産投資事業が行えるサブリース契約などの管理プランを提供する不動産会社も存在します。サブリースとは、不動産の所有者(オーナー)が入居者(転借人)の有無等を気にせず一定の賃料収入を得るための仕組みです。

サブリース会社に物件を一括で貸し、サブリース会社が入居者に又貸しする仕組みです。オーナーは空室リスクを回避でき安定した家賃収入を得られる可能性が高い一方、サブリース会社は入居者からの家賃とオーナーへの支払いの差額で利益を得ます。

そのほかにも、修繕リスクや金利上昇リスク、家賃滞納リスクなどもあるので、賃貸物件のオーナーとしてリスクの全容把握と対策方法を理解しておくと安心です。

【関連リンク】
不動産投資はリスクが高い? 空室や修繕など9つのリスクと5つの回避策

3. 詐欺を働くグループがあることも理解しておく

医師は社会的信用が高く、安定した高収入が見込めるため、不動産投資の販売対象として狙われることがあります。残念ながら、詐欺まがいの行為を行うグループも存在し、医師に限らず実際に不動産投資詐欺の被害経験を持つ人もいます。

知識が乏しい状態で不動産投資を始めようとすると、悪質なグループの巧みな営業トークに乗せられてしまうため、非常に危険です。詐欺グループは、儲かる点のみを強調し、物件の抱えるリスクやデメリットについて説明をしないケースが少なくありません。

投資である以上「絶対」はあり得ません。不動産投資を始める際は、上場企業など信頼できる会社から情報を集め、もし詐欺にあってしまったら第三者の専門家に相談することが賢明です。

【関連リンク】
不動産投資でよくある詐欺の手口は? 回避方法や騙されたときの相談先も紹介

医師で騙されやすい人の特徴

 

不動産投資を始めようかと考えている医師で騙されやすい人の特徴は、以下のとおりです。

  1. 自分だけは大丈夫と思ってしまう
  2. 不動産投資の知識を身につけようとしない

1. 自分だけは大丈夫と思ってしまう

医師は日々高度な専門知識と判断力を駆使しています。普段から物事を合理的に考え、エビデンスに基づいた正しい選択を求められる医師であっても、不動産投資の専門ではありません。

医師だけに特別感を抱かせるような「医師向け案件」「限定物件」などの言葉を使い、近づいてくることが考えられます。うまい話に乗ってしまうと、実際には市場価格がないような物件を購入させられる可能性があります。また、立地条件などに問題がある物件を「将来性がある」と説明されて、購入するケースもあるでしょう。

複数の専門家の意見を参考にすることを意識して投資判断を行いましょう。

2. 不動産投資の知識を身につけようとしない

不動産投資を始める人の多くは、不動産投資会社に物件選定や管理を委託します。多忙な医師にとって、自分の時間を使わずに資産形成ができることは非常に魅力的です。

しかし、自ら学ぼうとしないと、知識のない投資家を狙う悪徳なグループのターゲットにもなりやすいです。投資の最終的な責任は自分で負うことになるため、物件選定や管理を委託する場合でも、自分で不動産投資の知識を身につけることは大切です。

自分自身で不動産投資の仕組みや不動産価値の変動要因を理解し、将来的なリスクも含めて慎重に検討するようにしましょう。医師としての本業が忙しくても、最低限の知識を身につけ、定期的に投資状況をチェックする習慣を持つことが、失敗を避けるための鍵といえます。

【関連リンク】
不動産投資を失敗する理由。 初心者が陥りがちな7つの失敗事例と成功率を高める方法

医師が不動産投資で成功するためのポイント

 

医師が不動産投資で成功するためのポイントは、以下のとおりです。

  1. 不動産投資の目的を明確にする
  2. うまい話に飛びつかない
  3. 信頼のおける不動産投資会社を見つける

それぞれ詳しく解説します。

1. 不動産投資の目的を明確にする

不動産投資を始める際には、以下のように投資の目的を明確にしておくことが重要です。

  • 老後の資金確保
  • 子どもの教育資金の準備
  • インフレ対策
  • 生命保険の代わり
  • 節税対策 など

このような具体的な目標があることで、選ぶべき物件や適した投資戦略を決められます。しかし、なかには「見栄えがいいから」「かっこいいから」という理由で、都心のタワーマンションや新築のアパートを要望する人も少なくありません。

新築物件は価格が高く、家賃収入に対する利回りが低くなりがちです。見栄を理由に物件を購入すると、本来の投資目的からズレてしまう可能性があります。投資は感情ではなく、自分の目的に照らし合わせて、数字で冷静に判断することが大切です。

2. うまい話に飛びつかない

繰り返しになりますが、「お客様だけに特別にお伝えします」「絶対に儲かります」と言われて飛びつきたくなるような話でも、一度立ち止まって冷静になることが重要です。

迷った場合は不動産会社とは利害関係のない第三者に話をしてみて、客観的な視点から投資の妥当性を判断しましょう。

3. 信頼のおける不動産投資会社を見つける

信頼できる会社を見つけるためには、実績や口コミ、業歴などが参考になります。事業を長く続けている会社は、それだけ多くの顧客から信頼を得ているという証でもあります。

また、担当者との相性も重要な要素です。不動産投資は長期的な付き合いになるため、質問に丁寧に答えてくれるか、無理な提案をしないか、アフターフォローはしっかりしているかなども確認しましょう。

実際に不動産投資で成功した医師の事例

 

「年金だけでは将来が不安……」そのような思いから不動産投資をスタートさせた歯科医師の大澤さん。最も忙しい研修医期間を終えた頃、不動産業界に勤める後輩から話を聞いたことがきっかけで不動産投資を始めました。

当初は空室リスクへの不安もありましたが、担当者に都度質問することで疑問を解消。複数の物件を購入して分散投資を行ったそうです。「購入後も全く手がかからず、普段通りの生活を送れました」と語る大澤さん。その後、子どもが生まれてお金が必要になった時期に、担当者から売却を提案されたといいます。

売却後も不動産投資の魅力を感じた大澤さんは、再び新しい物件を購入。「不動産投資を始めてから、経済や時事に関する情報にも興味を持つようになりました」と意識の変化もあったそうです。

「時間はないけれどある程度お金に余裕があり、大きな金額を投資に使いたくない方には、少額で始められるのでおすすめです」と、同じ医療従事者へメッセージを送っています。

【ご購入時データ】
年齢:30代
職業:歯科医師
購入件数:7件(区分)
購入年月:2019年4月(東京都5件)、2023年12月(東京都2件)
売却件数:5件
売却年月:2023年12月(東京都5件)
【関連リンク】
何気ない会話から物件を売却へ。期待以上の利益が得られ、引き続き不動産を持っておきたく改めて購入しました。

信用力の高い医師は区分マンションの不動産投資が向いている

金融機関からの信用力が高い医師、特に勤務医は、手間の比較的かからない都心の区分マンションを投資のポートフォリオに加えることで、ローンを組んでのレバレッジを効かせた資産形成を効率よく行うことが可能です。

また所得税の圧縮が可能な物件を選ぶことで、節税効果も狙えます。投資目的によって選ぶ不動産は変わるため、複数の不動産会社に相談して、最適な物件を選べるよう情報収集を行うのがおすすめです。

成功するためには、投資の目的を明確にし、うまい話に安易に飛びつかず、信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。医師のなかには、社会的地位や高収入から「自分は大丈夫」と過信したり、知識習得を怠ったりする人もいるため、謙虚な姿勢で学び続けることが成功への鍵となります。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

柴田充輝 柴田充輝 1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

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