不動産投資の税金は11種類も!? 事前に知っておきたい種類や税率を徹底解説
いざ不動産投資を始めようとしたときに、気になるのが税金ではないでしょうか。どのような税金が課せられていくら支払うのか、不安に思っている方も少なくないかもしれません。不動産投資で成功するには税金に対する理解が欠かせないため、きちんと知っておきたいところです。そこで、不動産投資を行った際に課せられる税金について紹介いたします。
CONTENTS目次
不動産投資で課せられる税金の種類と税率
不動産投資を行う際に関連する税金は、以下のとおりです。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 所得税
- 住民税(市町村民税と道府県民税)
- 個人事業税(10棟以上など、相当規模のみ)
- 消費税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 相続税
以下は法人化した際に課せられる税金です。
- 法人税・地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税・地方法人特別税
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不動産取得税
土地や建物など不動産を取得した場合に1度だけかかる税金が不動産取得税です。課税対象は実際の取引価格ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準によった価格で、原則として固定資産課税台帳に登録されている価格です(新・増築家屋等を除く)。
固定資産税評価額は、各自治体が独自に算出しており、不動産売買価格よりも低くなります。
例えば、都内にある築15年の中古ワンルームマンション(20m2)を2,000万円(土地と建物それぞれ1,000万円)で購入した場合、評価額が土地280万円、建物250万円だった場合、不動産取得税は、土地4万2,000円、建物7万5,000円で合計11万7,000円です。
土地に対しては評価額が1/2になる軽減措置があるため(令和3年3月31日までに取得したとき)、建物より税金が低くなっています。そのほか要件を満たせば(新築の場合、面積が一定以上など)軽減措置はいくつかあります。
登録免許税
マンションなど不動産を購入した場合に、所有権の移転登記や抵当権の設定登記にかかるのが登録免許税です。所有権の移転登記には不動産価格の20/1000が、抵当権設定登記に債権金額の4/1000がかかります。
上記中古マンションを2,000万円の借入で購入した場合、所有権の移転登記に10万6,000円、抵当権設定登記に8万円で18万6,000円ほどかかります。
印紙税
印紙税とは、マンションなどの不動産売買契約書を作成した際にかかる税金です。契約書に記載されている金額に応じた収入印紙を貼付することで納付します。不動産の譲渡に関する契約書については契約金額500万円以下の場合2,000円、1,000万円以下の場合には1万円、5,000万円以下の場合2万円、1億円以下の場合6万円です。
上記中古マンションの場合、2万円です。
所得税
不動産を貸すことで得られる家賃収入に対しては、所得税がかかります。経費をマイナスした所得に対して課せられる税金が所得税です。不動産投資で得られる所得は「不動産所得」に分類され、以下の計算式により算出します。
不動産所得の課税方式は総合課税です。給与所得などほかの総合課税科目と所得を合算し、そこから所得控除を差し引いたものが課税所得金額となります。
所得税の税率と控除額(速算表)は以下のとおりです。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
税金対策になる?不動産投資の仕組みを解説
住民税(市町村民税と道府県民税)
一般的に市町村民税と道府県民税を合わせたものを住民税(個人住民税)とよびます。東京都23区の場合だと、区民税と都民税を合わせたものが住民税です。
住民税も、所得税と同様に所得に対して課税されます。税率は所得の10%。これに地域によって異なる「均等割」が加えられたものが住民税となります。
均等割は、東京都の場合、個人区市町村民税は3,500円、個人都民税は1,500円です。地方自治体の防災対策にあてるため、それぞれに500円が加算されています(平成26年度から令和5年度まで)。
不動産投資による所得と住民税の関係。計算の仕組みと納税のポイント
個人事業税
不動産投資で貸家10棟以上の部屋を所有した場合は個人事業税の課税対象となります(所得税法上55万円の青色申告特別控除を受けることができる「事業的規模」、いわゆる5棟10室の形式基準の要件とは異なる)。業種によって税率が異なり、不動産賃貸業の場合は税率は5%です。
青色申告の場合
個人事業税=(不動産所得-青色申告特別控除額-事業主控除)×5%で算出されます。なので年間290万円の事業主控除を不動産所得が下回る場合には個人事業税は発生しません。
消費税
不動産投資においては、消費税がかかるもの、かからないものがあります。事業用の店舗や事務所、社宅、倉庫、駐車場の家賃収入には課税されますが、居住用住宅の家賃や共益費、礼金や敷金は非課税です。
固定資産税
不動産を所有する間にかかる税金が固定資産税です。その年の1月1日時点で建物や土地を所有している人に対して課せられます。所得税や住民税とは異なり、所得に関係なく発生するので、赤字の場合にも支払わなければなりません。また金額も自己で計算するのではなく、自治体から金額を伝えられます。誤っていると考えらえる場合には申告できます。
不動産取得税の項目で挙げた中古ワンルームマンションの例では、固定資産税は5万円です(都市計画税含む)。
都市計画税
都市計画税とは、「市街化区域」内に土地や建物を所有している人が支払う税金のことです。固定資産税と同様に、1月1日時点の所有者が支払います。
広義の「固定資産税」には、都市計画税も含まれます。
相続税
相続税とは、亡くなった人の財産を引き継いだ人が払う、財産にかかる税金です。不動産投資物件を含めた財産を引き継いだ人が、引き継ぐ財産の合計が基礎控除額を上回った場合に相続税を支払います。
「(相続する財産-基礎控除)×相続税-控除額」の計算式で求められます。基礎控除額は以下のように計算します。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この額を相続財産の額が下回る場合には課税されません。
相続税の税率表は以下のとおりです。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
不動産取得税の項目で挙げた中古ワンルームマンションを1人が相続する場合、引き継ぐ財産がこのマンションだけだった場合、マンション取得時の評価額が変わっていないと仮定し、また第三者に貸し出しているためさらに評価額が下がるため、財産の総額から基礎控除額(3,600万円)をマイナスしたときにプラスにならないため、相続税はかかりません。
法人税・地方法人税
不動産投資事業を個人事業ではなく、法人化して行う場合には、個人の場合の「所得税」に相当するのが法人税および地方法人税です。
中小企業に対する法人税は、所得税と異なり2段階の税率構造です。年800万円までが15%、年800万円超が23.2%です。地方法人税は、会社が事業を行うことに対してかかる税金です。令和元年10月1日以降に開始する事業年度に対して、法人税額の10.3%がかかります(※4.4%から引き上げ)。
法人住民税
事務所がある場所に納める税金で都道府県に納めます。東京23区内に事務所がある場合では、法人住民税は東京都の場合、法人都民税とよばれます。「法人税割」と「均等割」からなります。この2つについては、他の自治体も同じです。法人の所得が赤字の場合でも「均等割」の最低7万円(東京都区部で1事業所の場合)がかかります。
法人税割:令和元年10月1日以後に開始する事業年度に対する税率は7%です。
法人事業税・特別法人事業税
事務所がある場所に納める税金で都道府県に納めます。法人事業税は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度に対して、東京都の場合は、所得に応じて3段階、年400万円以下の所得の場合は3.5%、年400万円を超え年800万円以下の所得の場合は5.3%、年800万円を超える所得の場合は7%の税率がかかります。
また特別法人事業税(以前の地方法人特別税に変わるもの)は令和元年10月1日以後に開始する事業年度に対して、法人事業税額※の37%です。
※標準税率で計算した基準法人所得割額・基準法人収入割額の事業税額
税金の把握が不動産投資成功への第一歩
不動産投資にはさまざまな税金がかかります。不動産投資にかかる税金すべてを頭に入れることは難しいにしても、主な税金についてはきちんと把握しておくことが肝心。税金を理解することが、不動産投資で成功するための第一歩です。
税金対策になる?不動産投資の仕組みを解説
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