ご存知ですか? 不動産投資ローンで使えるクレジットカードの利用範囲とメリット
不動産投資ローンの利用時に、クレジットカードが使えるのをご存知でしょうか? クレジットカードは、支払期限を先延ばしにできる便利なツールですが、不動産投資でも使える場面があります。ここでは、不動産投資ローンを利用した物件購入時において、クレジットカードが利用できる範囲とそのメリットや注意点等について解説していきます。
不動産投資ローンでクレジットカードが使える範囲
投資用として賃貸マンションや賃貸アパート等(以下、「収益物件」という)を購入する際は、不動産投資ローンを利用するケースが多くあります。そしてこの不動産投資ローンを使った物件購入時には、さまざまな初期費用が発生するため、投資前にあらかじめ自己資金を準備しておかなければなりません。
なぜなら、ローンの融資を行う金融機関は、購入する物件価格に対して1~2割程度の自己資金を用意するよう求めてくることもあるからです。
自己資金は、物件購入時にかかる初期費用の支払いや頭金等に使うのが一般的ですが、こうした支払いの際にクレジットカードを使える場合があります。例えば、クレジットカードの利用方法や利用範囲としては、以下のようなものがあります。
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初期費用の支払い
原則として、収益物件の「売買代金」の支払いには、クレジットカードを使うことができません。ただし、購入時の初期費用については、クレジットカードの利用が可能なケースもあります。
例えば、物件の購入意思を示すための「申込金」、物件の売買契約締結時に売主へ支払う「手付金」や、取引を仲介した不動産会社に対して支払う「仲介手数料」などです。
こうした初期費用をクレジットカードで支払うことができれば、「自己資金に余裕がでる」といったメリットがあります。
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ただし、会社がクレジットカードに対応している場合に限るため、注意が必要です。もしクレジットカードを利用したいのであれば、事前に不動産会社に確認をしておくとよいでしょう。
なお、不動産売買における手付金は、物件価格によっては数百万円、数千万円以上になる場合もあるため、手付金の額によってはクレジットカードの利用ができないこともあります。
税金の支払いができる
2017年1月4日から施行された税制改正により、国税及び地方税の多くは、クレジットカードで支払うことができるようになりました。そのため、不動産を購入したときにかかる税金についてもクレジットカード払いが可能です(※ただし、自治体や税金の種類によってはクレジットカードでの納税ができない場合もあります)。
例えば、収益物件の購入時にかかる税金は、主に以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 登録免許税
上で挙げた固定資産税や不動産取得税は、クレジットカードでの支払いが可能な場合があります。ところが、不動産登記にかかる登録免許税については、原則として「現金払いのみ」となっているため要注意です。なぜなら、クレジットカード払いが可能な登録免許税は、「告知分のみ」とされているからです。
告知分とは、ここでは「納付期限を過ぎた登録免許税について、税務署から送付された納付告知書の分」のことを指します。
不動産の所有権移転登記の申請にかかる登録免許税は、この「告知分」に該当しません。そのため、クレジットカード払いにすることができないのです。
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ローン返済にクレジットカードは使えない
不動産投資ローンの返済金については、原則としてクレジットカードが使えません。ローンの融資を行う金融機関は、ローン申請者が購入する不動産に「抵当権」を設定して担保にするのが一般的です。
ところが、クレジットカードには担保というものがありません。クレジットカードは、利用者の信用情報だけでクレジットカード会社が貸付けを行っている無担保融資が基本となります。この「担保がある」と「担保がない」では、大きく状況が異なります。
もし不動産のような高額な取引にクレジットカードが利用できてしまうと、利用者が返済不能になったときに、無担保貸付のクレジットカード会社は大損害を被ることになってしまいます。そのため、不動産の購入自体に、クレジットカードが利用できないようになっています。
不動産投資でクレジットカードを使うメリット
物件購入時の初期費用や税金の支払いにクレジットカードが使えると、さまざまなメリットが生まれます。例として、以下にまとめました。
キャッシュフローに余裕を持たせることができる
手持ちの現金に余裕ができます。例えば、不動産会社に支払う仲介手数料をクレジットカードで支払えば、その分の現金を別の用途に回すことが可能です。
自宅で税金を支払うことができる
先述したように、国税及び地方税はクレジットカードでも支払えるようになっており、インターネットを利用すれば自宅からでも納税が可能です。
国税庁長官から指定された業者が運営する専用のWebサイトがあり、そこへパソコンまたはスマートフォン等からアクセスし、クレジットカードの利用登録をして納付手続きを進めます(利用の際は、決済手数料がかかります)。
参考:国税クレジットカードお支払いサイト
参考:クレジットカード納付の手続|国税庁
ポイント還元が受けられる
多くのクレジットカードには、利用するごとにポイント付与のサービスがついています。これは、物件購入の初期費用や税金の支払時に使用したクレジットカードも対象の場合がほとんどなので、現金払いよりもクレジットカードを使ったほうがポイントをもらった分だけお得です。
ポイントの還元については、クレジットカード会社ごとに異なるので、詳細は各企業のWebサイト等でご確認ください。
クレジットヒストリーが良くなる
クレジットヒストリーとは、クレジットカードを利用した際の履歴情報のことをいい、「クレヒス」と略されることがあります。
例えば、クレジットカードを使ってショッピングをしたりキャッシングをした場合は、その使った金額が履歴として利用者の信用情報に残ることになるのです。
こうしたクレジットヒストリーは、「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」や「株式会社 日本信用情報機構(JICC)」といった信用情報機関に登録されており、不動産投資ローンを申し込んだ際に、融資を行う金融機関が審査のためにチェックします。
このとき、クレジットカード利用額の支払期日に遅延や滞納等がなければ、クレジットヒストリーとしては「信用ができる」状態になるため、金融機関の融資審査に対して良い影響を与える場合があります。
クレジットカードを使うときの注意点
不動産投資でのクレジットカード利用にはさまざまなメリットがある反面、注意しておかなければならない点もあります。特に気を付けるべき点としては、主に以下の2つが挙げられます。
(1)滞納があれば少額でも信用を失う
クレジットカードの利用履歴は、クレジットヒストリーとして信用情報機関に残ることになるため、もし支払いの滞納があればたとえ少額であったとしても信用を失うことにつながってしまいます。
これは不動産投資に限らず、電気・ガス等、公共料金や、携帯電話料金の支払いをクレジットカード払いにしていた場合も同様です。
(2)不動産投資ローンの審査に影響する
クレジットカード払いの滞納により、もしクレジットヒストリーの状態が悪くなっている場合は、不動産投資ローンの審査にも大きく影響してくることになります。
例えば、クレジットカード払いにしていた携帯電話料金の支払いを滞納してしまうと、ローン申込者の信用情報をチェックした金融機関からは「数千円や数万円の支払いすらもできなくなる人だ」という判断をされてしまいます。
不動産の取引価格は、ほとんどの場合、数百万円から数千万円と高額です。もし携帯電話料金を滞納するような人が「収益物件を買いたいからお金を貸してください」と言ってきた場合、銀行はお金を貸してくれるでしょうか? やはり、貸し倒れを避けるために、金融機関は融資を渋る可能性が高いです。
また近年では、スマートフォンの本体価格が数万円、機種によっては10万円以上するため、本体代金を分割購入している人も多くなっています。このスマートフォンの分割購入は「ローン扱い」になるので、不動産投資ローンの審査に少なからず影響することになります。
不動産投資ローンの利用前には、ご自身の他のローン状況についてもあらかじめ確認しておくとよいです。
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不動産投資ローンでのクレジットカード利用は初期費用や税金に!
不動産投資ローンを利用した物件購入では、仲介手数料をはじめとする初期費用や税金等の支払いにクレジットカードを使うことが可能です。ただし、初期費用のクレジットカード払いについては、利用できる範囲が仲介会社によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
例えば、不動産投資では、物件の売主が法人だけではなく「個人」の場合もあるため、売買契約時に支払う手付金は「現金のみ」の可能性も。逆に、売主が「法人」の場合は、手付金の支払いを「クレジットカード払い」で対応しているところもあるので、契約前に仲介会社を通して売主へ確認しておくとよいでしょう。
クレジットカードの利用は、キャッシュフローに余裕ができたりポイント還元が受けられる、といったメリットがある反面、滞納時における金融機関の審査への悪影響といったリスクもあります。そのため、不動産投資ローンを申し込む前に、しっかりと投資計画を練っておくことが大切です。
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。