【FP解説】投資初心者がまず考えるべきことと、初心者にオススメの投資とは?
「銀行にお金を置いていても全く増えないし、いつかは投資を始めないと。」とは思いつつ、仕事も忙しくて結局勉強できていない。ニュースや、ブログ、YouTubeなどでいろんな情報が流れているけど、結局何が正しいのかわからない。そういった方も多いのではないでしょうか?
今回は、そのような方向けに、そもそも投資の初心者は何から考え、何から始めたらいいのか?ということをお伝えしていきたいと思います。
CONTENTS目次
なぜ投資が必要なのか?
動画「リノシーチャンネル」でも解説しています。
「投資を始めた方がいいんだろうなあ」とぼんやり考えてはいるけれど、減るのは怖いし損はしたくない。頭の中をグルグルと考えている中で「そもそも投資が必要なのだろうか?」という疑問に立ち返り、結局何もできていない、という方は多いと思います。
投資が必要な理由は、人生100年時代といわれる中で、多くの人が会社員として長く働くことは難しいからです。
高齢化社会に向けて
皆さんの定年はいつでしょうか?
仮に65歳とするならば、その後の生活はどうされますか?
年金だけでもし生活が難しければ、貯金を切り崩すか、仕事を継続するしかありません。
現在、日本の年金の受給開始年齢は65歳ですが、2040年には、年金生活者1人に対して、現役世代が1.5人しかいない、という状況になるといわれています。
運用や期間を全く度外視して考えると、年金を毎月15万円受け取るためには、現役世代が単純計算で毎月10万円支払わないといけない計算になります。
そして2050年には、全人口の4割が65歳以上になるといわれています。
今の状況を維持するのは、なかなか難しいと思います。このまま人口が減り続けた場合、国に残された選択肢は年金の受給額を減らすか、受給開始年齢をさらに後ろ倒しにするしかありません。
では、65歳以降の人を雇いたいと思う会社がどれだけあるでしょうか?
そして今は、65歳まで働くことすら難しい時代に入っています。オックスフォード大学の研究では、10年~20年の間にアメリカの雇用の約50%は自動化され、仕事が必要なくなるといわれています。
厳密にいえば、仕事の必要性というより、労働の必要性がどんどん無くなっています。
お金に働いてもらう、という考え
遅かれ早かれ労働という働き方でなく、「お金に働いてもらう」という形のいわゆる「資本家としての働き方」へのシフトはすべての人にとって必要かと思います。
投資をするうえで重要なのはキャッシュフロー、お金の流れです。たとえいくら貯金があったとしても、貯金を切り崩さなくてはいけない生活が訪れたら不安になると思います。
ただ単に貯めるだけでは、結局せっかく貯めたお金が減るのが不安で、使えなくなってしまいます。それでは元も子もありませんよね。
「老後までいくら貯金するか?」ではなく、「いつまでにお金に働いてもらえるようになるか」という考え方が大切かと思います。
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まず考えるべき2つのこと
投資のゴールは?
投資を始める前にまず考えてほしいことは、ゴールがどこにあるのか?ということです。
今の生活を維持することなのか、豊かな老後を送ることなのか、生活をするうえで必要なお金を資産からの収入で確保することなのか、人によってさまざまだと思います。
では、それを一体いつまでに達成するのか、そしてそのためには何が必要なのか、という目標がないまま漠然と投資をしていても、今の状況は変わらないと思います。
投資とは何か?
次に考えていただきたいのは、そもそも投資とは何か?ということです。
厳密にいえば、私たちは全員、既に投資をしています。
例えば私たちが銀行に預けている普通預金は、それ自体が既に投資です。もし仮に、私たちの預金が投資でないならば、持っているだけで得したり損したりすることはないはずですよね?
例えばここに、1万円札があったとします。
1ドル100円の時に、輸入製品1つ1ドルの物を買うとすると、何個買えるでしょうか?
答えは100個ですね。
では、円安が進行して1ドル125円の際に1個1ドルの商品は何個買えますか?
80個買えます。
この1万円は減ったのでしょうか?
減ってはいませんが、持っているだけで損をしてしまいました。
では、円高が進行して、1ドル80円になったとすると、1ドルの商品は何個買えるでしょうか? 125個買えます。
1万円は増えていませんが、持っているだけで得をしてしまいました。
日本は貿易をしている以上、さまざまなものを海外に依存しています。円預金が投資でないならば、持っているだけで損したり得したりすることはありませんよね?
ということは、円預金も投資になります。
つまり、程度の違いがあったとしても、銀行に預けている時点でも私たちは投資をしている、ということになりますね。
1983年のディズニーランドのワンデーパスポートの値段は3,900円でした。今の半分以下の値段です。2002年のマクドナルドのハンバーガーの値段は59円でした。今は110円です。
大切な考え方は、私たちは既に投資をしていて、そのうえで「どこに投資をするか」ということです。
投資の種類は3つだけ
では、そもそも投資には一体どのような種類があるのでしょうか?
数え上げればきりがないかもしれませんが、実は金融商品の種類は大きく分けて3種類しかありません。1つ目は債券、2つ目は株式、3つ目は実物資産です。
為替やオプション取引などのデリバティブとよばれる金融派生商品等も存在しますが、大きく分けると上記に集約されます。
債券
債券とは、簡単にいえばお金を貸すということです。お金を貸したら利息を乗せて、返してもらいますよね?
利息は基本的に決まった金額がもらえますし、いつまでに返してもらえる、という期限もはっきりしていますので、比較的安定した投資といえます。
銀行預金も債券の1つです。私たちは、銀行にお金を貸して、利息を得ていますからね。ただし、メガバンクの普通預金の金利は現在年利0.001%ほどです。100万円預けていたら、1年間でなんと10円もらえる、ということです。
ちなみに、1980年には郵便貯金の定期預金の金利で最大年約12%ありました。100万円預けていたら、1年間で12万円もらえる、ということです。
株式
株式は、企業の経営権を持つ、という投資です。安く買って高く売れる可能性もあれば、その逆も然りです。業績に応じて配当をもらうこともできます。
実物資産
実物資産は例えば不動産や、コモディティとよばれる商品に対する投資です。不動産の場合は家賃収入を得ていくことも可能です。
それぞれメリットデメリットがあるので、投資をする目的に応じて選択をしていくことが重要です。
不動産投資のメリットとは?知らないと損するデメリットも併せて解説
投資の目的
キャピタルゲインとインカムゲイン
投資の目的は2つしかありません。
1つは、キャピタルゲイン。2つ目はインカムゲインです。
キャピタルゲインとは売買益のこと。
つまり、安く買って高く売って、利益を出すことです。
インカムゲインとは継続して得られる収益です。債券であれば利息、株式であれば配当、不動産であれば家賃収入がこれに該当します。
投資の最終ゴールは、このインカムゲインにあるといっても過言ではないと思います。
生命保険文化センターの調査では、老後にゆとりある生活をするのに必要な夫婦の生活費は、1カ月あたり約35万円といわれています。
つまり、1カ月仮に35万円のインカムゲインを得ることができれば、万が一年金が無くなったとしても、老後は安泰かもしれません。
いくらあれば安心? 老後資金の目安を教えます
インカムゲインの注意点
株式のインカムゲインは配当になりますが、株価や会社の方針に左右されるので、長期的安定的に期待できるものではありません。
一方、不動産投資の家賃と利息に関しては、長期的かつ安定的な収入といえます。
ただし、インカムゲインを得ていくには大きなお金が必要になるので、信用力のある方は、日本の超低金利を活用した、借入れを使っていくのが有効です。
しかし借入れは信用力によって条件も異なりますし、一度借りたら返済し続けるしかありません。初心者の方は、まずは小さいお金からキャピタルゲインを狙って資産を増やすことが重要になります。
キャピタルゲインの注意点
キャピタルゲインを得ていくうえで有効なのは株式です。株式の方が債券や不動産に比べて、価格の変動が比較的大きいからです。
ただし、株式と一言にいっても商品や、投資のやり方はさまざまです。
変動が大きい分、リスクも大きく、失敗する可能性もあります。
投資はしたいが、失敗はしたくない、という初心者にオススメな株式投資のやり方について、次項で解説していきます。
初心者におすすめの投資
結論からいえば、初心者におすすめの投資は、インデックスファンドを毎月一定額買い続ける、という方法です。
インデックスファンドとは
株式を買ううえで、どの会社の株を買えばよいのか、というのが悩ましいところですね。リスクを回避するためには、さまざまな会社に分散するという方法が有効ですが、株には単元100株などというように、最低購入単位があるので、あれもこれもと複数購入しようと思うと大きな金額が必要になります。
その中で、会社が皆さんのお金をまとめて預かって、それを複数の投資先に分散をしていく、という方法がいわゆるファンド、もしくは投資信託とよばれるものです。
そのため、ファンドや投資信託の場合、少ない投資額で始められる、という特徴があります。
そして、インデックスというのは指数という意味です。
つまり、インデックスファンドとは、さまざまな経済指標に連動して価格が変化する投資です。
例えば「日経225」というインデックスファンドがあります。
日経平均株価は聞いたことがあるかと思いますが、これは日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、日本の代表的な上場企業225社の株価の平均を指標にしたものです。
つまり、日経225というインデックスファンドは、日本の代表的な会社の株をまとめて購入しているイメージに近いということです。
それが少額で購入可能なのです。
一方、インデックスファンドと反対の表現をされることが多いのが、アクティブファンドです。アクティブファンドとは、人や機械の手が入って、上記のようなインデックス以上の運用を目指すファンドです。
銘柄選びや、売買のタイミングなど、プロに委託できる分、手数料が多く掛かります。
だからこそ、初心者はインデックスファンドがオススメです。
ドルコスト平均法
初心者にオススメな投資方法は、「ドルコスト平均法」という投資方法です。
ドルコスト平均法とは、毎月一定額分の投資を続けていく、つまり積み立てていく、という方法です。
積み立ての方法には、毎月「一定額」積み立てていく、という方法と、毎月「一定口数」積み立てていく、という方法の2つがあります。
株式の基本は、安く買って高く売る、というものですが、今の株価が高いのか安いのか判断するのは容易ではありません。
しかし、毎月一定額分を必ず買い続ける、というルール設定をすると株価が相対的に安い時にはたくさん買え、逆に株価が相対的に高い時にはあまり買わずに済む、ということが起こるのです。
例えば、毎月1万円分必ず買う場合、株価が5,000円であれば2株買えますが、翌月株価が1,000円になれば10株買えます。さらに翌月株価が1万円になってしまったら、1株しか買えなくなってしまいます。
ドルコスト平均法を使っていくと、長期で積み立てるほどリスクが軽減され、より効率よく投資ができるといわれています。
上がったり下がったりを繰り返す中で投資を繰り返して、最終的に最初の株価と同じ株価に戻ったとしても、ドルコスト平均法の場合は利益が出てしまいます。
もちろん最終的に株価が大きく下がってしまったら損をする可能性もあるので、短期的に使う可能性のあるお金を株で投資するのはお勧めしません。
海外市場に目を向けることも重要
前述の通り、日本はこれからますます人口が減っていきます。特に労働人口は極端に減っていくでしょう。一方で世界全体の人口は2050年までに100億人に達するともいわれております。
インデックスファンドを選んでいくうえで、どこの国に投資をするのか、ということも非常に重要になります。人口が減っていく日本よりは、これからも人口が増え続ける国への投資をお勧めします。
S&P500
例えば世界の中でも、アメリカは先進国の中で人口が増え続けている非常に稀な国です。そんなアメリカの有名なインデックスである「S&P500」は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している、アメリカの代表的な株価指数です。
このインデックスに連動するファンドは、2010年から2020年の過去10年の価格の上昇が年率で平均なんと約10%です。10年前からこの資産を持ち続けたら2倍以上になる計算です。
ちなみに、日本の銀行の普通預金で資産を2倍にしようと思ったら、旧石器時代から預金しておく必要があります。
まとめ
人生100年時代、投資というのは働き方の一つともいえます。
理想の人生目標を設定したうえで、それを達成するための目的に合わせた投資を選択しながら、初心者の方は、日々の生活の中で無理のない範囲で、まずはこのような少額から始められるインデックスファンドなどを使って、少しずつ資産を大きくしていくことが重要です。
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