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2021.01.18

PropTech(不動産テック)特集【イギリス編】〜グローバル不動産透明度1位の背景を探る〜

PropTech(不動産テック)特集【イギリス編】〜グローバル不動産透明度1位の背景を探る〜

PropTech特集vol.2では、世界99カ国・163都市を調査対象にし、各不動産市場の透明度を数値化した調査レポート「グローバル不動産透明度インデックス2020」で1位を獲得したイギリスについて紹介します。

CB Insightsの最新情報※1によると、イギリスは、アメリカの251社、中国の123社、インドの27社に次いで、25社のユニコーン企業(企業価値評価額が10億ドル以上)を輩出している、ヨーロッパ最大のテックハブです。ヨーロッパにおけるPropTech企業数でも最多を誇っており、805※2のPropTech企業が存在しています。

※1 CB Insights The Complete List of Unicorn Companiesによる2021年1月時点の情報
※2 PropTech 2020 the future of real estate| University of Oxford Research / Unissu 調べ

グローバル不動産透明度インデックスとは

「グローバル不動産透明度インデックス」とは、「JLL(大手不動産サービス会社 / 本社・アメリカ)」と「ラサール インベストメント マネージメント(大手不動産投資管理会社 / 本社・アメリカ)」が不動産にまつわるさまざまな項目に沿って調査を行っている独自の調査レポートです。

世界の不動産市場の透明度を数値化した内容となっており、1999年の開始以降、2年に1度発表されています。

2020年は新項目が追加

2020年9月に発表された第11版「グローバル不動産透明度インデックス」は、99の国と163の地域を対象に、210の項目(PropTech、サステナブルへの取り組み、データ活用など)をもとに調査が行われました。

今回は新たに以下が調査項目に追加されました。

  • サステナビリティ
  • レジリエンス
  • 健康とウェルネス
  • 不動産テック
  • オルタナティブ不動産セクター

イギリスが連続1位

新項目が追加された2020年においても、イギリスは前回の2018年度に続いて1位を獲得。次いでアメリカ、オーストラリアという結果になりました。

2020年版グローバル不動産透明度インデックス引用:透明度、デジタル化、脱二酸化炭素化| グローバル不動産透明度インデックス2020

今回の調査では、不動産における透明度を「パフォーマンス」「規制と法制度」「取引プロセス」「市場ファンダメンタルズ」「上場法人のガバナンス」「サステナビリティ」の6つのサブインデックス(グループ化した検証項目)にて分析されています。

イギリスは「パフォーマンス」「規制と法制度」「取引プロセス」のサブインデックスで下図のように1位を獲得。その他の「サステナビリティ」「市場ファンダメンタルズ」「上場法人のガバナンス」項目でも上位にランクしています。

パフォーマンス測定|グローバル不動産透明度インデックス
規制と法制度|グローバル不動産透明度インデックス引用:透明度、デジタル化、脱二酸化炭素化| グローバル不動産透明度インデックス2020

「取引プロセス」で1位を獲得した背景には、イギリスのPropTech領域におけるプラットフォーム構築、ビッグデータ技術の活用、オンライン市場での取引などがうかがえます。

取引プロセス|グローバル不動産透明度インデックス引用:透明度、デジタル化、脱二酸化炭素化| グローバル不動産透明度インデックス2020

年々注目を集める環境への取り組み

企業の社会的責任からサステナブルな建造環境の確立の必要性が認識され、建築においても、環境や社会、ガバナンスへの配慮が主流となりつつあります。

イギリスでは、ゼロカーボンビル (二酸化炭素排出量実質ゼロ)を実現する取り組みとして、率先していくつかの枠組みが開発されており、今回「サステナビリティ」においても上位を獲得しました。

なお、「2020年度のグローバル不動産インデックス」の2位はアメリカ、3位オーストラリアと英語圏の国が独占。不動産に関する物件情報や売買取引における書類などの英語化は、世界的にも今後透明な取引を実現するために必要な項目のひとつかと思われます。

ちなみに、アジア圏のトップは14位のシンガポールで、15位香港、16位日本という結果でした。

参照:2020年グローバル不動産透明度インデックス「透明度、デジタル化、脱二酸化炭素化」|JLL、LaSalle

イギリスのPropTech市場

オックスフォード大学調べによると、ヨーロッパ全体で3,219のPropTech企業が存在し、イギリスはその中で最も多い805の企業が存在しています。

ヨーロッパ全体で3,219のPropTech企業があり、イギリスには805の企業が存在する引用:PropTech 2020 the future of real estate| University of Oxford Research / Unissu

イギリスはアメリカに次ぐPropTechのリーディングカントリーとなっており、ヨーロッパ最大のテックハブとして位置づけられています。

国内で見ると、ロンドン、マンチェスタ、ケンブリッジと中心部にPropTech企業が集まっており、業種としては、Residential(住居用)58%、Commercial(商業用)38% 、レンタル4%という割合に。ターゲットはB2B(法人向け)60%、B2C(消費者向け)が32% となっています。

法人向けが60%、消費者向けが32%引用:PropTech in the U.K | Unissu

Residential (住宅用)

現在イギリスの住宅部門は、住宅不足という問題を抱えており複雑な時期を迎えています。

イギリスではPropTech1.0 とよばれる時代に「Rightmove」が現在の不動産プラットフォームを構築し、プラットフォーム上でテックを活用した物件情報管理に着手しました。

当初は住宅の売却に始まったプラットフォームですが、現在は賃貸にも展開しており、94.8%のユーザーが、住居を検索する際、「Rightmove」もしくは「Zoopla」を利用しています。

参照:Rightmove or Zoopla: Which One is Best?|comparemymove

イギリスの2大プラットフォーム

Rightmove

イギリス最大手の不動産ポータルサイトRightmoveは、2000年ロンドンで設立され、2006年にLondon Stock Exchangeへ上場しました。

Rightmoveが運営するポータルサイト「Rightmove」では、「住居用物件」「賃貸用物件」「商業用物件」「海外物件」が扱われており、毎月平均1億4,100万のアクセスがあります。特に賃貸では100万件以上の物件を扱っているのが特徴です。

また「Sold House Price Information」というページにて、過去の物件売却価格を「市町村、郵便番号、駅」から検索でき、2000年5月以降の売却から現在の平均価格までを調べることが可能です。

「Price Comparison Report」では、顧客が物件を売却検討する際、売却価格の参考として対象エリアの最新売却価格を検索できます。検索方法はシンプルで、ツールに物件情報(所在地、対象エリア範囲、物件タイプ、寝室数)を入力するだけです。

「市町村、郵便番号、駅」から検索|Rightmove引用:How much is your house worth? Get a price comparison report|Rightmove

Rightmoveの特徴

  • イギリス最大手のポータルサイト
  • 100万件以上の賃貸物件の取り扱い
  • 2000年5月以降の売却価格データの保有・過去売却価格検索ツールの提供
  • ロンドンで売却された物件の売却価格、平均売却価格、売却までの日数が検索可能
  • 登録エージェントへのツール提供(アポイントブッキングツール、内見調整、自動追客ツールなど)
  • School Checkerツールにてイギリス国内の小学校・中学校の通学区域検索や入試基準の確認が可能
イギリス国内の小学校・中学校の通学区域検索や入試基準の確認が可能|Rightmove引用:School Checker Find the right home near the right school|Rightmove 

Rightmove 概要

Zoopla

こちらもイギリスで大手の不動産ポータルサイトで、毎月約6,000万のアクセスがあり、約9,700の物件を扱っています。またアプリも提供しており、1億1,900万ダウンロード(2019年時点)がされています。

参照:Rightmove, Zoopla and the rest: which is best?|HomeOnwersAlliance / MORTGAGE INTRODUCER |The Zoopla app hits 11.9 million downloads since the end of June

Zooplaは、「UK Area statistics」というページにて、郵便番号・市町村・ストリート名を入力することで、ユーザーが簡単に特定地域の平均賃貸価格を検索することが可能です。

また学校名を記入することで対象学区地域の平均物件価格も検索できます。「Zoopla SmartMaps」では、購入・賃貸したいエリアから地図上に検索対象エリアを書き込み・編集し、検索することが可能です。

Zoopla SmartMaps
地図上に検索対象エリアを書き込み・編集し、検索することが可能引用:Zoopla SmartMaps|Zoopla

住居用物件購入の際に「Estimated Running Costs Calculator」ツールにて物件のランニングコストの算出が可能です。実際に物件を購入したあとにかかるローン、電気、水道、税金などを算出し、月々の合計金額を事前に把握できます。

Zooplaの特徴

  • 特定エリアの平均価格の算出が可能
  • 「SmartMaps」を活用したユーザーオリジナルのエリア範囲での検索
  • ユーザー自身が選択したスポットからスポットへの移動距離時間の算出が可能(オフィスから学校など)
  • 購入後の固定費を算出できる計算ツールがポータルサイトの各物件ページに搭載
  • 売却予定がないオーナーでも売却検討価格を記載しポータルに物件掲載が可能
  • 「ヒートマップ」 にて、価格ごとにカラー分けされたエリア検索が可能(最も高級なエリアは赤、最も低級なエリアは青など)
  • AI / 機械学習を活用したAutomated valuation models(AVMs)にて物件価格の算出を可能に

Zoopla 概要

イギリスのiBuyerスタートアップ企業も多数

アメリカと同様に、イギリスでもテクノロジーを活用した「iBuyer」事業をはじめ、不動産売買のPropTech企業が多数あります。

emoov 

emoov引用:emoov 

emoovは、ロンドンの「ハイブリッド不動産エージェント」とよばれている企業です。オンラインでの物件売買を行っており、低い仲介手数料、高レベルのサービス・サポートに加え、写真撮影や図面資料作成をパッケージで提供しています。

emoovの特徴として一律の手数料が挙げられます。ワンルームから高級マンション、戸建てまでの物件を大きさ・ランクに関係なく、一律895ユーロ(11万円相当)の仲介手数料で、売却取引が行えます。

例えば、通常100,000ユーロ(1,200万円相当)の物件であれば、売却するのに1,400ユーロ(17万円相当)の手数料をエージェントに支払うところを、emoovでは895ユーロで済むため、顧客はemoovを選んでいる現状があります。

また、サポートも充実しており、売却までエージェントが交渉に関してアドバイスしてくれたり、プロフェッショナルな視点で売主の質問にいつでも回答してくれます。

emoovがそれだけの低い手数料かつ手厚い取引を実現できている背景として、テクノロジーへの投資および、自社での業務効率化があります。

emoovでは、2010年の創業以来、累計10億ポンド(1,410億円相当)以上の不動産取引を行ってきましたが、それらの取引から生まれた売主側の手数料分の数百ポンドをテクノロジーの強化に回してきました。

また、売却活動においても、自分たち自身が売主となり、物件の写真撮影や図面の整理、広告掲載の入力、店頭に置く看板製作、売却時の交渉などのアナログな業務をテクノロジーを活用することで、業務の効率化を行い、手数料の一律化を実現してきました。

補足:すべて2021/1/14時点のレートにて計算

アナログな業務をテクノロジーを活用して効率化|emoov引用:What is included in an emoov package?|emoov

さらに、売却の広告プラットフォームを提供することによって、情報が透明化され、オンライン上で売主と買主が直接のやりとりができるようになったことも、低い手数料の実現に繋がっています。

emoovの特徴

  • オンライン上で家の売却を可能に
  • 売却見積もり、図面、写真撮影、掲載広告までパッケージで提供
  • 内見希望者はオンラインから申し込み・内見調整が可能

emoov 概要

Nested

Nested引用:How selling with Nested works

Nestedは、住宅の売却と購入を同時に行え、住み替えをスムーズに行えるサービスを提供しています。90日以内の物件売却にコミットし、90日を超えた場合はNestedが買い取る仕組みです。

Nestedは「エネルギー性能証明書登録簿」「土地登記所のデータ」「専門家の報告書や調査」などのもととなる物件データと類似するデータ群を比較することにより、物件の価格査定を行っています。

売主は、見積価格の最大94%を売却前に受け取ることができ、残りの金額は売却されたあとに支払われます。仮に売却価格が見積もりより下回った場合はNested 側が損失をカバーする仕組みとなっています。

また内見後のフィードバックや購入への関心度がプラットフォームにて共有されるため、売却までのフローが可視化され、スムーズな住み替えに貢献しています。

参照:Official List of London PropTech Companies in 2020|Hubble HQ

Nested引用:SMART SALE Digital insights at your fingertips | Nested

Nestedの特徴

  • 物件売却と購入を同時に進めることが可能
  • 売却見積価格より安く売れた場合、Nestedが損失をカバー
  • 購入価格はエネルギー性能証明書登録簿、土地登記所のデータ、専門家の報告書や調査などの物件データと類似するデータ群を比較することにより評価を行っている。
  • バーチャル内見が可能

Nested 概要

Settled 

Settled引用:Settled

Settledは、物件購入版Airbnbとよばれるサービスで従来の仲介エージェント業務とは大きく異なります。

このサービスは物件検索、内見などの購入の前工程には関わらず、契約、住宅ローン申し込み、登記手続きなど後工程に特化しているサービスです。購入契約以降の複雑な書類業務、調整をSettledが代行し、それらのすべてをオンライン上で行います。

Settledの特徴

  • 物件検索、内見、交渉などの業務は行わず、交渉成立後の契約・登記手続き・住宅ローン申し込みの代行サービスを実施
  • 定額1,500ユーロでのサービス提供を実施
  • 100%ペーパーレス、すべてオンライン電子契約で完結
  • 専門家による手続きサポートを提供

Settled 概要

進化し続けるイギリスのPropTech市場

冒頭で記載した「グローバル不動産透明度インデックス」首位のイギリスですが、物件情報がすべて英語で紹介されていたり、物件購入取引におけるプロセスの改善、情報のデジタル化、オンライン上でのやりとりなどテクノロジーの活用によって不動産の透明化が実現されていることがわかりました。

また、今回ご紹介したPropTech企業を含め、イギリスで展開されているPropTechのデータベース「unissu」にはイギリス以外にもヨーロッパ各地、アジア、アメリカの会社のデータも登録されています。このデータベースには、現在8,900以上の会社が登録されており、このことからもイギリスでのPropTechへの関心の強さがうかがえました。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

早田菜美

13歳から25歳まで海外へ。 タイのインターナショナル大学を卒業後、就職を機に帰国。その後ニューヨーク、バンコク、ヤンゴンにてイベント制作や広報を担当したのち、TravelTech事業のスタートアップ企業で広報室立ち上げを経験。現在は株式会社GA technologiesにて、海外向けPRやプロダクト・グループ会社のPRを担当。

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