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2020.09.11 / 2021.03.17 更新日

不動産投資のローン繰上返済はやるべき? メリットやデメリット、タイミングなど解説

不動産投資のローン繰上返済はやるべき? メリットやデメリット、タイミングなど解説

不動産投資でしばしば議論の対象となるのが「ローンの繰上返済はするべきか否か」という問題です。ローンの繰上返済をすることで、得られるメリットはあります。しかしデメリットがあると考える人もいるでしょう。そのため一概にやるべきとは言えません。何を基準に繰上返済をした方がいいかを考えるために、不動産投資のローンの繰上返済について、その方法やメリット・デメリット、判断の仕方を紹介していきます。

不動産投資のローンの繰上返済の方法

まず繰上返済とは、ローンを組んだときに示された返済予定額よりも多くの金額を返済することで、毎月の返済とは別に借入金の一部もしくは全額を返済することを言います。毎月の返済金額にはローンの元金と利息が含まれていますが、繰上返済の場合は、返済するお金はすべて元金に割りあてられます。

不動産投資の繰上返済2つの方法

不動産投資のローンの繰上返済には2つの方法があり、それぞれ異なる利点があります。

返済期間が短くなる「期間短縮型」

ローンの一部を繰上返済した後の、その後の月々の返済金額を変えず、完済までの期間を短くできるのが「期間短縮型」です。

返済期間を短縮できるため、短縮した期間に発生予定の利息を支払う必要がなくなり、支払額の減少が見込めます。利息の削減効果が大きい返済方法です。

毎月の支払金額を抑えられる「返済額軽減型」

ローンの一部を繰上返済した後、返済期間はそのままで月々の支払額を減らせるのが「返済額軽減型」です。

利息を削減できる期間短縮型に対し、期間短縮型ほどの支払額の減少は見込めませんが、毎月の返済額が小さくなることからキャッシュフローの改善が期待できます。

不動産投資の繰上返済のメリット

ローンの支払総額を少なくできる

繰上返済の最も大きなメリットは、支払う予定だった利息を減らすことができるため、ローンの総返済額を減らすことができることです。

返済期限が短くなる、もしくは月々の返済金額を抑えられる

繰上返済は後述する2つの方法があります。それによって、ローンの返済期限を短くするか、毎月の返済金額を軽減するか、どちらかが改善します。

例えばローンの完済時期が定年後に設定されている場合、万が一空室が続くと給与から支払うとができないので貯蓄から支払うといったことが発生します。返済期間を短くすることで、このようなリスクを軽減できます。

投資先の物件を効果的に増やすことができる

物件を所有後に、繰上返済を継続して行い、予定より大幅に早く完済したとします。完済後は、毎月の家賃がそのまま収入となります。となると次に「この家賃収入をどう運用するか」を考えることになります。

不動産投資の規模を大きくする方法として、繰上返済を行って完済期間を短縮することで2件目、3件目の物件購入を効率化していくという考え方があります。

2件目の物件についても不動産投資ローンを組んで購入します。そして、2件目に対しても繰上返済をします。繰上返済の元手には、1件目の家賃収入を加えます。すると1件目の返済よりも返済スピードが早まり、完済時期は1件目よりも早まります。

2件目を完済すると、3件目を購入します。3件目の繰上返済にも1件目と2件目の家賃収入を利用します。2件目よりも返済スピードが早まる、という方法です。

キャッシュを効果的に使える

手元に現金があるとあるだけ使ってしまう、という人には繰上返済は有効です。前月の生活費に余剰ができたら繰上返済に回す、というサイクルができれば無駄遣いを防げますし、返済を早めることで上記のような効果が生まれます。

金利変動のリスクを低減できる

経済の状況によってローン金利は変動するため、不動産投資の際にローンを組んだときよりも金利が上昇してしまうリスクがあります。金利が上昇すると支払利息が増えてしまうため、繰上返済によってできるだけ借入期間や返済総額を減らしておくことで金利変動リスクの低減につながります。

ただし、不動産ローンの金利タイプが変動金利ではなく、期間固定金利の場合はこの限りではありません。例えば、全期間固定金利でローンを組んでいるケースでは、市場の金利が変動してもローン金利は変わらないからです。期間固定金利は、変動金利に比べるとやや金利が高い場合が多いのですが、経済情勢の金利変動に左右されない、といったメリットがあります。 とはいえ、期間固定金利の場合でも、繰上返済をすることで返済期間や返済総額が減らせるメリットがあるのは先述した通りです。

不動産投資の繰上返済のデメリット

必要なときに資金が不足するリスク

繰上返済をしすぎた結果、生活に必要な最低限のお金しか残っておらず、急な出費に耐えられないということになったら本末転倒です。不測の事態に備えて、3か月〜半年分の現金保有は維持しましょう。

そのほかにも、所有物件の修繕費や金利の変動など、支出への備えは常に必要です。ローンの繰上返済資金に余裕があるときにのみがいいでしょう。

低金利ローンだと効果が薄い

ローンの金利が低いと、繰上返済をしてもあまり効果が感じられない場合があります。同じ条件で金利1%と3%の場合の総返済額を比較してみました。

【金利の差による繰上返済の効果】

  • 借入額:3,000万円
  • 返済期間:30年
  • 金利タイプ:元利均等返済金利
  • タイミングと金額:借入れから2年後に200万円を繰上返済

(1)金利3%の場合

返済額軽減型 期間短縮型
毎月返済額 11万8,000円 12万7,000円
返済総額
(繰上なしの場合との差額)
4,458万円
(-95万5,000円)
4,310万円
(-243万4,000円)

(2)金利1%の場合

返済額軽減型 期間短縮型
毎月返済額 9万円 9万7,000円
返済総額
(繰上なしの場合との差額)
3,445万円
(-29万4,000円)
3,412万円
(-61万8,000円)

返済総額を比較すると分かるように、金利1%で借入れを行っている場合、期間短縮型を選んでも差額は61万8,000円にとどまります。3%の場合と比較すると、支払額の減少はおよそ4分の1程度です。

このように、もともと低金利のローンを利用している場合は利息の削減効果も薄いため、必ずしも繰上返済が効果的とはいえません。繰上返済にあてようと思っていたお金を別の投資にあてる方が、リターンが大きい場合もあります。

不動産投資の繰上返済の注意点

金融機関によって異なりますが、繰上返済は、自分の好きなタイミングで行えます。ただし、繰上返済をするときの「最低額(最低金額)」が、返済方法によって異なる場合があるので注意が必要です。例えば、以下のようなケースがあります。

  • 期間短縮型の場合は、1カ月分の返済元金の額以上であれば可能
  • 返済額軽減型(期間据置)の場合は、1円から可能

このように、繰上返済が可能な最少額は返済方法によって異なり、ボーナス返済の有無によって繰上返済額の計算が変わることがあります。また、金融機関ごとに繰上返済の最低額(最低金額)が異なる場合や手数料がかかる場合もあるため注意が必要です。

繰上返済を行う窓口により最少額が異なる

繰上返済の最少額は、金融機関ごとに異なるだけではなく、返済を行う窓口に応じて変わる場合もあります。例としては、以下のようなケースです。

  • 金融機関の窓口で直接申し込む場合は、最少額100万円以上
  • インターネット窓口で申し込む場合は、最少額10万円以上

繰上返済は、申込先窓口の違いによっても最少額が異なるので、計画的な返済を行うためにも事前に確認しておくことが大切です。

なお、繰上返済を行う際の注意点はほかにもいくつかあるので、以下で解説していきます。

繰上返済手数料が発生するケースがある

繰上返済時には一定の手数料が発生するため、少額ずつ頻繁に繰上返済をすると、それだけ支払手数料が増えて無駄な支出になってしまう、といった場合があります。また、手数料の額は金融機関によって異なりますが、最低額は10,000円(変動金利型の場合)からで、残りの元金に応じて手数料率1~2%程度を乗じて算出する、といったケースもあります。

繰上返済をするごとに手数料がかかってしまう場合は、少額をこまめに返済していくよりも、例えば100万円単位など、まとめて行ったほうが効率良く返済できます。

確定申告の額が変わる

不動産投資を始めると、年度末に確定申告をします。確定申告は、不動産投資で利益が出ているときは税務申告が必須ですし、赤字の場合でも所得税の還付が受けられる場合があります。

ローンの繰上返済は、こうした不動産所得の確定申告にも影響があります。それは、繰上返済を行うことでローンの支払利息が減るからです。例えば、ローン返済額に含まれている利息分は、不動産投資の「経費」として計上することができますが、繰上返済によってローン返済の総支払額が減るため、利息も減るというわけです。

不測の事態に備え修繕費は計算しておく

繰上返済をするということは、「その分のキャッシュ(現金)が減る」ということでもあります。不動産投資は、何かあればその都度さまざまな支出が発生しますが、その中でも建物の修繕費用は大きな出費になりがちです。

例えば、一棟賃貸マンションの運用をしているときに、災害によって建物の外壁にクラック(ひび割れ)が入ってしまい、補修が必要になった場合。補修内容によっては、多額の修繕費がかかってしまうケースもあります。そのときに、もし繰上返済をしたばかりでキャッシュが残っていなかったら、外壁の補修ができなくなる可能性もあり得ます。そうならないためにも、あらかじめ修繕費用は積み立てておいたほうが安心です。

投資用の賃貸マンションを運用する場合は、将来的な大規模修繕を含んだ修繕積立金を計画しています。もし建物管理を管理会社に任せず自主管理するという場合でも、修繕積立金はからきちんと検討しておいたほうがよいです。

繰上返済の目的をはっきりさせる

例えば、ローンを利用した不動産投資では、物件価格に対して自己資金が足りない場合でも購入できるのが大きなメリットです。いわゆる「レバレッジ効果(少ない自己資本で多くの利益を上げられること)」の期待が最大の魅力ですが、繰上返済をしすぎるとそれだけ自分の資金を投入することになるため、自己資本率が高まる結果にもつながります。

例えば、「定年までにローンを完済したい」「変動金利が上昇する前に、完済時期を早めたい」といった、ご自身の目的に合わせて繰上返済を行うのがよいでしょう。

他人のお金で収益物件を買って利益を上げているのに、繰上返済をすると自分のお金を使っていることになり、レバレッジ効果は減少していきます。

不動産投資の繰上返済はすべきか?

ここまでの内容を踏まえたうえで、不動産投資では繰上返済をやった方が良いのでしょうか。やるべきか否かをどう判断するのか、そのポイントを紹介します。

手持ち資金が十分な場合、繰上返済を検討してみる

不動産投資のリスクを考えたうえでも十分に資金があり、その資金を他の投資に回すよりも繰上返済に利用した方がトータルで効果があると判断するなら、繰上返済をするのはよいでしょう。

資金が足りているか分からない場合は、これまで払った支出や、今後発生する費用を計算してみましょう。現在のキャッシュフローと照らし合わせ、どの程度資金に余裕があるかを整理します。その結果不安があるなら、無理に繰上返済を行う必要はありません。

繰上返済を行うタイミング

繰上返済をする場合、どのタイミングで行うべきでしょうか。基本的にローンの繰上返済で効果が出やすいのは、返済開始からあまり期間が経っておらず、繰上金額が大きい場合です。つまり、なるべく早期で、多額の繰上返済が可能なタイミングがおすすめです。

より多額を繰上返済した方が得なのは分かりやすいと思いますが、早期の方が効果的だというのはどういうことでしょうか。

先ほどの例で考えてみましょう。3%の金利のローンを、借入れから5年後と10年後にそれぞれ同じ金額を繰上返済した場合、支払総額は以下のように変化します。

(1)5年後に200万円繰上返済をした場合

返済額軽減型 期間短縮型
毎月返済額 11万7,000円 12万7,000円
返済総額
(繰上なしの場合との差額)
4,469万円
(-84万6000円)
4,347万円
(-206万8000円)

(2)10年後に200万円繰上返済をした場合

返済額軽減型 期間短縮型
毎月返済額 11万7,000円 12万7,000円
返済総額
(繰上なしの場合との差額)
4,488万円
(-66万3000円)
4,402万円
(-152万1000円)

10年後に繰上返済を行った場合と比べて、5年後の方が利息の削減効果が高いのが分かると思います。

ただ、いくら早期の繰上返済が効果的といっても、焦って多額の資金を投入しては本末転倒です。「キャッシュに余裕がある場合に限定する」という基本を忘れないようにしてください。

繰上返済によって心理的にラクになるならアリ

不動産投資では、ローンの金額が一千万円単位になることもあります。多額の借金をかかえている状態は、大きな心理的負担を伴います。そのため、繰上返済で早くローンを完済し、心理的にラクにさせるのもひとつの方法です。

合理的な理由から繰上返済を検討するのも大切ですが、心理的な不安を払拭するという目的で繰上返済を考えるのも一案です。

不動産投資の繰上返済は綿密なシミュレーションを

繰上返済をするかどうかは、現在のキャッシュフローと手持ちの資金今後発生する支出をシミュレーションして、なおかつ同じ金額を別の投資に回すことによるリターンとの比較もしたうえで総合的に判断します。ローンの利率や繰上返済のタイミング、支払う金額によっては思うように利息を削減できない可能性もあるので、そちらも合わせて考慮してみてください。

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※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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