不動産投資物件の売却におすすめのタイミングは? 費用や流れも解説
不動産投資を続けるなかで「このまま保有すべきか、それとも売却すべきか」という思いがよぎるタイミングがあるのではないでしょうか。
不動産投資では、売却を見据えた「出口戦略」が重要であり、適切なタイミングでの売却が投資成果を左右する大きな要因となります。
本記事では、不動産投資物件の売却を検討している方に向けて、最適な売却タイミングや売却にかかる費用、具体的な流れまで詳しく解説します。
不動産投資物件の主な売却理由
不動産投資物件を手放す理由は、オーナーごとにさまざまです。主な売却理由を理解しておくことで、自身の状況と照らし合わせながら、売却の判断材料にできます。物件を売却する代表的な理由は、以下の3つです。
- 資金が必要になったから
- 運用・管理の負担が増大したから
- 出口戦略として売り時と判断したから
それぞれ詳しく解説します。
1. 資金が必要になったから
不動産は金融商品と比べて換金性が低いものの、売却することで数十万円から数百、数千万円単位の利益を確保することが可能です。新たな投資機会への資金調達や教育資金、生活資金の確保など、資金が必要になるタイミング(目的)はオーナーによってさまざまです。
たとえば、より高い利回りが期待できる別の投資先が見つかった場合や、事業を拡大するための資金が必要になった場合には、不動産を売却して次の目的に活用することも少なくありません。また、相続が発生した際には、相続税は原則として現金での納付が求められるため、不動産を売却して現金化する必要が生じるケースもあります。
2. 運用・管理の負担が増大したから
投資用物件の運用が想定通りに進まず、負担が増大した場合にも売却を検討するケースがあります。たとえば、空室が続いて家賃収入が得られず、ローン返済や管理費の支払いが負担になる場合です。
また、築年数の経過とともに修繕費が増加し、収支が悪化して赤字が続くようになると、保有し続けることが困難になるでしょう。そうなると、こうした状況から解放されるために売却を選択するオーナーも少なくありません。
不動産投資は長期的な視点が必要ですが、物件の収益性の負担や管理の負担が想定を大きく上回る場合には、売却も選択肢として検討する価値があります。
3. 出口戦略として売り時と判断したから
不動産投資では、購入時から売却を見据えた「出口戦略」が重要とされています。出口戦略とは、物件を最終的にどのタイミングで売却するかをあらかじめ計画しておくことです。
不動産価格が購入時より上昇し、高値で売却できるタイミングが来た場合には、利益を確定するために売却を決断できます。また、資産のポートフォリオを見直し、不動産の割合を減らして株式や債券などに分散投資するケースもあります。
こうした戦略的な売却は、市場動向を見極めながら計画的に行うことで、投資全体のリターンの最大化が可能です。投資の目標や資産配分の方針に基づいて、適切なタイミングで売却を実行することが成功への鍵となるでしょう。
不動産投資物件の売却におすすめの4つのタイミング
不動産投資物件の売却を検討すべき具体的なタイミングは、以下の4つです。
- 所有期間が1月1日時点で5年を超えたとき
- 不動産価格が上昇しているとき
- 大規模修繕工事の実施時期
- 減価償却が終了するとき
それぞれ詳しく解説します。
1. 所有期間が1月1日時点で5年を超えたとき
不動産を売却すると、利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。所有期間によって譲渡所得の税率が大幅に変わります。所有期間が「5年以下」の短期譲渡所得では税率が39.63%と高いですが、「5年超」の長期譲渡所得では20.315%と約半分になります。つまり、同じ売却益が出た場合でも、5年を超えて保有してから売却すれば、税金を抑えることが可能です。
ただし、所有期間は売却した年の1月1日時点で判断されます。実際の保有期間が5年を少し超えていても、1月1日時点で5年未満と判定される可能性があります。売却のタイミングを検討する際には、この点を十分に考慮して、税理士や不動産会社に相談しながら計画を立てるのがおすすめです。
2. 不動産価格が上昇しているとき
不動産を購入時より高値で売却できれば、投資のトータルリターンが大きく向上します。
不動産価格は、以下のようなさまざまな要因が複雑に絡み合って変動します。
- 経済状況
- 金利動向
- 再開発計画
- 周辺環境の変化 など
こうした市場環境の変化を捉えるには専門的な知識が必要な場合もあるため、不動産会社などの専門家に相談しながら検討するのがおすすめです。価格が上昇傾向にあるときに売却すれば、投資の成果を最大限に引き出せるでしょう。
3. 大規模修繕工事の実施時期
マンションの場合、約15年の周期で大規模修繕工事を実施します。大規模修繕工事の前後で修繕積立金が変わる場合に売却するのもタイミングの一つです。工事前に売却するメリットは、修繕積立金の増額前であれば物件価格を下げずに売却できる点です。修繕積立金が増額されると、買主の毎月の負担(ランニングコスト)が増えるため、その分売却価格の引き下げにつながるためです(収益還元法)。
4. 減価償却が終了するとき
減価償却とは、建物の取得費用を法定耐用年数に応じて分割し、毎年少しずつ経費として計上する会計処理のことです。実際にはお金の支出を伴わないにもかかわらず、帳簿上の不動産所得を圧縮できるため、所得税や住民税を抑える節税効果があります。
しかし、減価償却期間が終了すると、減価償却費の計上がゼロになり、家賃収入がそのまま課税対象となるため、税負担が増加します。そのため、減価償却が終了するタイミングで売却することで、保有期間中の節税効果を最大限に活用しつつ、税負担が増える前に手放すことが可能です。
不動産投資物件を売却する際にかかる主な費用・税金
不動産投資物件を売却する際には、以下のような費用や税金が発生します。これらを事前に把握しておくことで、手元に残る金額を正確に予測し、資金計画の立案に役立てられるでしょう。
| 項目 | 概要 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産仲介会社に支払う成功報酬 (不動産会社が直接買い取る場合はかからない) |
売却価格×3%+6万円+消費税(売買価格が400万円超の場合) |
| 譲渡所得 | 売却益に対してかかる税金 | 1月1日時点での保有期間によって以下のように税率が異なる
|
| 登記費用 |
|
1万〜3万円程度(司法書士報酬含む) |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙代 | 売却価格によって異なる 例:売却価格が1,000万〜5,000万円の場合は1万円(令和9年3月31日まで) |
| ローン手数料 | ローンを一括返済する際に発生する手数料 | 金融機関やローン契約の種類によって異なる |
仲介手数料は、売却価格に応じて法律で上限が定められています。RENOSY(リノシー)を展開する(株)GA technologiesなどの不動産会社が直接買い取る場合には、仲介手数料はかかりません。
登記費用は、ローンが残っている場合に抵当権を抹消するための手続き費用で、司法書士に依頼するのが一般的です。印紙税は、売買契約書に貼付する収入印紙の代金で、売却価格が高くなるほど金額も上がります。
ローンを一括返済する場合の手数料などもかかります。
不動産投資物件の売却の流れ
不動産投資物件の具体的な売却の流れは、以下のとおりです。
- 事前準備・情報収集
- 不動産会社への査定依頼
- 媒介契約の締結
- 売却活動の開始
- 売買契約の締結
- 決済・引き渡し
- 確定申告
それぞれ詳しく解説します。
STEP1:事前準備・情報収集
売却活動を始める前に、以下のような必要書類の準備と物件情報の整理を行います。
- 購入時の売買契約書と重要事項説明書
- 登記済権利証(登記識別情報)
- 固定資産税納税通知書
- 管理規約
- 修繕積立金の資料 など
賃貸中の物件の場合は、賃貸借契約書やレントロール(賃料一覧表)、入金履歴も必要になるため、事前に揃えておくことが大切です。物件情報としては、以下のような情報をまとめておくのがおすすめです。
- 築年数
- 専有面積
- 間取り
- 現在の家賃
- 入居状況
- 過去の修繕履歴
これらの書類や情報を事前に準備しておくことで、不動産会社とのやり取りが円滑に進み、正確な査定を受けられます。
STEP2:不動産会社への査定依頼
不動産会社に査定を依頼し、物件の適正な売却価格を把握します。売却方法には、不動産会社が直接買い取る「買取」と、広く買い手を探す「仲介」の2種類があります。
買取は売却までの期間が短く、確実に売却できるメリットがありますが、売却価格は市場価格より低くなる傾向です。一方、仲介は市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いものの、仲介手数料がかかり買主が見つかるまで時間がかかる傾向です。
STEP3:媒介契約の締結
仲介を選択した場合、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3種類あり、それぞれ特徴が異なります。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
専属専任媒介契約は、1社のみに売却を依頼する契約で、自己発見取引(自分で買主を見つけること)ができません。専任媒介契約も1社のみへの依頼ですが、自己発見取引が可能という違いがあります。一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できる契約で、自己発見取引も可能です。
専属専任媒介や専任媒介は、不動産会社が積極的に販売活動を行ってくれる傾向がありますが、一般媒介は複数社に依頼できる分、各社の販売意欲が分散する可能性があります。どの契約形態を選ぶかは、物件の特性や売却希望時期、不動産会社との信頼関係などを考慮して判断する必要があります。
STEP4:売却活動の開始
媒介契約締結後、不動産会社が本格的な販売活動を開始します。主な活動は、以下のとおりです。
- 不動産ポータルサイトへの物件情報掲載
- レインズ(不動産流通機構)への登録
- 会社が保有する独自データベースを活用した営業
- チラシやDMの送付 など
レインズに登録されると、全国の不動産会社が物件情報を閲覧できるため、買主候補の幅が広がります。専属専任媒介や専任媒介の場合、不動産会社は定期的に販売状況を報告する義務があるため、進捗を確認しやすいでしょう。
問い合わせが少ない場合は、3カ月を目安に価格や販売戦略の見直しを検討するなど、次の対策を練ることが一般的です。。ただし、焦って頻繁に価格を変更すると、購入希望者に「何か問題がある物件ではないか」という印象を与える可能性もあるので、不動産会社と相談しながら慎重に決めていきましょう。
STEP5:売買契約の締結
購入希望者が現れたら、価格や条件について交渉を行い、合意に達したら重要事項説明を受けたうえで売買契約を締結します。重要事項説明では、物件の詳細情報や法的な制限事項などが説明されるため、不明点があれば契約する前に必ず質問しましょう。
STEP6:決済・引き渡し
売買契約から1〜2カ月後に、残代金の決済と物件の引き渡しを行います。決済は通常、買主の融資銀行で行われます。固定資産税や管理費、修繕積立金は、引き渡し日を基準に日割り計算で精算されるのが一般的です。
すべての手続きが完了したら、管理規約、設備の取扱説明書などを買主に引き渡し、売却が完了となります。
STEP7:確定申告
投資用物件を売却した翌年の2月16日から3月15日までに、確定申告を行う必要があります。売却益(譲渡所得)が発生した場合は確定申告が必須となり、売却損が出た場合でも損益通算や繰越控除を利用するために、確定申告を行うことをおすすめします。
損益通算とは、不動産の売却損を他の所得と相殺して税負担を軽減できる制度です。譲渡所得の計算は複雑ですので、不動産会社や税理士に相談するのがよいでしょう。
不動産投資に確定申告は必要? やり方から税理士への依頼料まで解説
不動産投資物件の売却に強い会社を見つける3つのポイント
不動産投資物件の売却に強い会社を見つけるには、以下のポイントが重要です。
- 投資用不動産の売却実績が豊富か
- 投資用不動産専門のコンサルタントが在籍しているか
- 売却のためのネットワークがあるか
それぞれ詳しく解説します。
1. 投資用不動産の売却実績が豊富か
一般の居住用物件と投資用物件では、買主層も評価方法も異なるため、投資用物件の売却経験が豊富な会社を選ぶことが重要です。居住用物件は「住む場所」として購入されますが、投資用物件は「収益を生む資産」として購入されるため、アピールポイントが異なります。
確認すべき実績としては、以下のような項目があります。
- 過去の売却成約件数
- 実際の顧客の声
- 売却までの平均期間 など
実績の確認方法は、まずホームページで実績が公開されているかをチェックし、問い合わせ時に直接質問してみることです。豊富な実績がある会社は、市場動向を的確に把握しており、適切な価格設定や効果的な販売戦略を提案してくれる可能性が高くなります。
2. 投資用不動産専門のコンサルタントが在籍しているか
投資用不動産の売却には、一般の不動産営業とは異なる専門知識が必要です。専門コンサルタントであれば、査定方法や投資家心理の理解、税金、法律など、投資用不動産の売却に関する豊富な知識と経験を持っています。
査定根拠が曖昧だったり、「とりあえず高めに出しましょう」という安易な提案をしたり、税金の質問に答えられない担当者は専門性が低い可能性があります。信頼できる専門コンサルタントがいる会社を選ぶことで、理想とする売却を実現できる可能性が高まるでしょう。
3. 売却のためのネットワークがあるか
投資用物件の買主は投資家であるため、個人投資家や法人とのネットワークを持つ会社を選ぶことが早期・高値売却につながります。不動産会社が独自に構築している投資家データベースや、過去に取引のあった顧客リストは、物件情報を効率的に届けるための重要な資産です。
また、投資家向けのセミナーや勉強会を定期的に開催している会社は、常に新しい投資家と接点を持っており、買主候補を多く抱えている傾向があります。
不動産投資物件の売却はタイミングを見極めよう
不動産投資物件の売却は、タイミングの見極めが成功の鍵を握ります。所有期間が5年を超えたときや不動産価格が上昇しているとき、大規模修繕工事の前、減価償却が終了する前など、適切なタイミングで売却することで、税負担を抑えながら利益の最大化を図ることができます。
売却を検討する際には、まず物件の状況や市場環境を冷静に分析し、売却にかかる費用や税金を正確に把握することが大切です。ご自身の物件が今売却すべきタイミングなのか、それとも保有を続けるべきなのかを客観的に判断し、後悔のない決断をするために、専門家に相談しながら慎重に検討を進めてください。
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