中古マンション投資の失敗例は? 失敗する理由や避ける秘訣を解説
マンション投資を始める際に、新築にするか中古にするかで迷う方も少なくありません。なかでも中古マンションは、新築に比べて物件価格が抑えられており、比較的手頃に購入できることから、投資初心者の間でも選ばれるケースが多く見られます。
しかし、「想定外の修繕費が発生するリスクが不安」「築年数が経っていて入居者が集まらないのではないか」など、心配事もあるのではないでしょうか。
本記事では、中古マンション投資の失敗例や失敗する理由、始めるメリットや成功させるポイントを解説します。
中古マンション投資の失敗例
中古マンション投資の失敗例は、主に以下の3つです。
- 想定外の修繕費で継続が難しくなる
- 賃料が下がり、キャッシュフローが悪化する
- 家賃保証に頼って損をする
順番に解説します。
1. 想定外の修繕費で継続が難しくなる
中古マンション投資でよくある失敗の一つが、購入後に予想外の修繕費が発生し、運用を継続することが難しくなってしまうケースです。表面上は割安に見えても、水回りや配管、電気設備、外壁などが老朽化していれば、想定外の大規模な修繕が必要になる可能性があります。
とくに築年数が経過した築古物件では、想定を大きく上回る修繕費が発生する可能性があります。中長期的な家賃収入を見込んで購入したものの、すぐに修繕費が発生し、その費用を家賃収入で回収できないと判断して手放すことになれば、投資としては失敗に終わってしまいます。
2. 賃料が下がり、キャッシュフローが悪化する
周辺環境の変化や建物の老朽化などによって家賃が下落し、ローンの返済を圧迫してキャッシュフローが悪化するケースもあります。
事前にシミュレーションをしたとしても、現実はシミュレーションどおりに進むとは限りません。周辺に新築の競合物件ができたり、特定企業の移転等で地域の人口が減ったりして賃貸需要が低下し、家賃を下げなければ空室が埋まらない状況があり得ます。
賃料の下落によるキャッシュフローの悪化を防ぐためには、長期的な賃貸需要が見込める立地を選ぶことが不可欠です。購入前に、自治体の人口動態や再開発計画などを確認することが必要です。
3. 家賃保証に頼って損をする
“家賃保証”は、空室時でも一定の収益を確保できる仕組みです。空室リスクに備えられる安心感がありますが、場合によっては損失を被る可能性もあります。契約詳細をよく確認せずに契約してしまうと、更新時に大幅な家賃の引き下げが行われるといったケースもあります。
また、契約期間中に解約する場合には高額な違約金が発生したり、解約自体が難しいケースがあります。
家賃保証はあくまでリスク軽減の手段の一つであり、物件選びやエリアの賃貸需要を見極める視点は不可欠です。保証があるからといって不動産の立地や管理状態を軽視すると、将来的な資産価値の低下や修繕費の増加など、契約締結時には想定していなかった事態につながるかもしれません。
中古マンション投資で失敗する理由
中古マンション投資で失敗する理由は、主に以下の5つです。
- 不動産投資の知識が不足している
- リスクを考慮していない
- ネームバリューで不動産投資会社を選ぶ
- 管理が杜撰(ずさん)になっている
- 短期的な利益に目が眩んでいる
順番に解説します。
1. 不動産投資の知識が不足している
不動産投資には、多くの専門知識が求められます。立地の需要調査や利回りの適正判断、修繕費や管理費などのランニングコスト、税制や契約内容など、理解すべき内容は多岐にわたります。
これらを理解せずに「なんとなく儲かりそう」という感覚だけで投資を始めてしまうと、空室リスクや収支の悪化を招きかねません。不動産投資会社の営業担当者と対等に話ができる程度の知識を身につけ、リスクを見極める力を養うことで、失敗するリスクを低減することが可能になります。
2. リスクを考慮していない
不動産投資は投資である以上、一定のリスクが伴います。収入ばかりに目が行き、空室や修繕、金利上昇リスクを見ないで投資を始めてしまうケースがあります。とくに築年数が経過した不動産は、突発的な修繕費や設備交換の発生リスクが高く、リスクを考慮していない甘い資金計画の場合、計画が崩れやすい点に注意が必要です。
リスクは修繕費だけに限りません。投資前にはさまざまなリスクを洗い出し、最悪のケースも想定したシミュレーションを行うことが重要です。
3. ネームバリューで不動産投資会社を選ぶ
不動産投資会社は、「大手だから安心」というわけではありません。知名度や実績があっても、必ずしも投資家にとって最適な不動産が見つかるとは限りません。投資家の目的や資産状況などに応じて、選ぶ不動産の種類も変わってきます。
不動産投資会社を選ぶ際は、扱う不動産の種類、営業担当者の対応力や知識、提案内容を比較し、自分の投資目的に合うかどうかを見極めることが不可欠です。
4. 管理が杜撰(ずさん)になっている
不動産の管理状態を確認しないで購入してしまうと、のちのち、建物の劣化や入居者満足度の低下によって、空室の増加や資産価値の下落につながる可能性があります。
不動産の資産価値は、購入時の状態だけでなく、その後の維持管理の質に左右されます。清掃が行き届いていない、入居者トラブルへの対応が遅いといった状況が続くようでは、資産価値は下がっていきます。
「管理会社に任せているから」と、管理会社からの報告を確認せず無関心でいることも、資産価値を下げる要因になり得ます。
後戻りできないレベルの問題が発生して初めて、管理が杜撰な不動産を購入したことに気づいても、立て直しするのに費用や工数がかかることが予想できます。
長期にわたって入居者に満足してもらい、空室の発生を抑えるためにも、信頼できる管理会社を選ぶことが大切です。また、投資家自身も管理状況を把握する姿勢が求められます。
5. 短期的な利益に目が眩んでいる
不動産投資は基本的に中長期で資産を形成していくものです。短期間で売却益を狙おうとしても、中古マンションの価値が維持されるエリア選定や不動産市況など不動産についての深い知識がないと、短期間では利益が十分に出ず、赤字で終わる可能性もあります。
またたとえ利益が出ても、短期間で不動産を売却すると、不動産の譲渡所得に対して高い税率がかかり、想定よりも手元に残らないということも起こります。
短期的な利益に目を奪われるのではなく、中古マンションの価値を維持するための維持管理コストや将来の資産価値も含めた中長期的視点で取り組もうとすることが、安定した運用につながります。
中古マンション投資のメリット
中古マンション投資を始めるメリットは以下の3つです。
- 比較的価格を抑えて始められる
- 資産価値が下がりにくい
- 利回りが高い傾向にある
順番に解説します。
1. 比較的価格を抑えて始められる
中古マンションは新築物件に比べて価格が手頃なため、少ない自己資金で不動産投資を始められる点がメリットです。
新築物件の価格には、広告宣伝費やデベロッパーの利益などが「新築プレミアム」として上乗せされています。中古物件は、このプレミアムがなくなるため、資産価値に見合った価格で購入しやすいわけです。
中古マンションは自己資金が限られている方でも不動産投資に挑戦しやすく、ローンを組む場合でも借入額を抑えやすいのが特徴です。とくに中古のワンルームマンションであれば、初期費用の負担も軽く、資産形成の第一歩として選ばれるケースが多く見られます。
2. 資産価値が下がりにくい
中古マンションは、新築物件と比べて購入後の価格下落が緩やかで、長期的に資産価値が安定しやすい傾向にあります。
不動産の価格は一般的に新築時が最も高く、入居開始直後から2割程度下がり、その後20年ほど下落が続いた後は横ばいで推移する傾向です。下落フェーズを過ぎている中古物件は、価格変動が読みやすいのがメリットです。これにより、将来売却する際の損失リスクを低減できます。
3. 利回りが高い傾向にある
中古マンションは、新築に比べて物件価格が抑えられるため、同じ家賃収入でも利回りが高くなる傾向があります。
不動産投資の指標のひとつである表面利回りは「年間家賃収入 ÷ 物件購入価格」で計算されます。この数式の分母である購入価格が低いため、同じ家賃収入だった場合に利回りの数値は高くなります。
ただし、表面利回りの高さだけで判断するのは危険です。実際の経営では、管理費や修繕費、税金などの経費がかかるため、これらを差し引いた「実質利回り」で収益性を評価し、総合的に判断することが不動産投資の成功に欠かせません。
中古マンション投資で成功するためのポイント
中古マンション投資で成功するためのポイントは以下の5つです。
- 需要が高いエリアを中心に物件選定する
- シミュレーションで収支を見極める
- 資産価値の高い物件を購入する
- 適切な範囲でのコストカットを意識する
- 信頼できる不動産投資会社・管理会社を頼る
順番に解説します。
1. 需要が高いエリアを中心に物件選定する
中古マンション投資で成功するには、賃貸需要の高いエリアにある不動産を選ぶことが重要です。需要が高いエリアは入居者が見つかりやすいため空室リスクが低く、また家賃下落リスクも低くなるため、安定した家賃収入を得られます。
また、将来的に売却する際も、賃貸需要が高いエリアのため買い手が見つかりやすいメリットがあります。逆に、利便性に欠けるエリアでは、家賃を下げても入居が決まらないケースも少なくありません。
物件情報だけでなく、投資したいエリアの人口動態や交通の利便性、生活施設の充実度を調査することが、不動産投資の成功につながります。
2. シミュレーションで収支を見極める
中古マンション投資を成功させるには、事前に収支シミュレーションを行い、利益が見込めるかを見極めることが不可欠です。表面利回りだけで判断すると、ローン返済や管理費、修繕費、固定資産税などの支出を見落としてしまいます。
空室や突発的な修繕といったリスクも加味しておくと安心です。あらかじめ複数のパターンで損益を試算しておくことで、不測の事態にも柔軟に対応でき、安定した運用を実現できます。
3. 資産価値の高い不動産を購入する
中古マンション投資で長期的に安定した収益を得るには、資産価値の高い不動産を選ぶことが欠かせません。築年数が経過していても、駅近で生活利便性の高いエリアにある物件は賃貸需要が安定しており、空室リスクも抑えられます。
とくに人口が集中する大都市圏や再開発エリアなどは、将来的な資産価値の下落も緩やかになる傾向があります。物件選びでは、価格だけでなく立地の魅力や周辺環境、地域の将来性といった要素を総合的に判断することが必要です。
4. 適切な範囲でのコストカットを意識する
中古マンション投資では、無理のない範囲でコストを削減することも大切です。コストを抑えられれば、利回りの向上につながります。
不動産投資では、ローン金利や保険料、税金、リフォーム費用などさまざまなコストが発生しますが、工夫次第で抑えることが可能です。
たとえば、火災保険は複数の保険代理店から見積もりを取ることで、同じ補償内容でも保険料を削減できる場合があります。また、ローンは複数の金融機関を比較し、金利や手数料の条件が有利なものを選ぶことで、総コストを抑えられます。
しかし、コストを抑えても管理が杜撰な業者では、資産価値が下がってしまう点に注意が必要です。事前に物件のエントランスやポスト、駐輪場を確認して管理がなされているか確認すると、安心して任せられる管理会社かどうかを確認できます。
5. 信頼できる不動産投資会社・管理会社を頼る
中古マンション投資を成功させるうえで、信頼できる不動産投資会社や管理会社の存在は欠かせません。不動産の選定から入居者対応、修繕管理までを任せるパートナーの質が、収益やトラブルの発生率に直結します。
選ぶ際は、実績の豊富さや利用者の口コミ・評判をチェックし、料金体系や契約内容が明確な会社を選びましょう。また、担当者が誠実かつ知識豊富であるかも重要な判断材料です。
信頼できるパートナーに依頼することで、安定した運用と長期的な資産形成を実現しやすくなります。
中古マンションのリスクを抑えて失敗を避けよう
中古マンション投資で失敗を避けるためには、事前の準備と正しい知識が不可欠です。想定外の修繕費や賃料下落、家賃保証の落とし穴など、よくある失敗パターンを理解することで、リスクを最小限に抑えられます。
投資を成功させるためには、需要が高いエリアでの物件選定や、収支シミュレーションによる正確な収益予測が不可欠です。駅近や人気エリアを優先し、資産価値の高い物件を選ぶことで空室リスクを抑えられます。
また、信頼できる不動産投資会社や管理会社をパートナーとして選び、長期的な視点で投資を行うことで、安定した家賃収入を得られます。失敗例から学び、慎重な判断を重ねれば、中古マンション投資は魅力的な資産運用手段となるでしょう。
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