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公開日: 2025.04.16

資産を守るために! 不動産投資での破産を防ぐ、リスク管理と7つの対応策

資産を守るために! 不動産投資での破産を防ぐ、リスク管理と7つの対応策

不動産投資は、一定の年収があればローンを組みやすく、手間も少ないため、忙しいサラリーマンにとって始めやすい投資として注目を集めています。魅力的な選択肢である一方で、リスク管理もしっかりと行う必要があります。不動産投資の仕組みやリスクを正しく理解せずに始めてしまうと、いわゆる“自己破産“もしくは第三者申立による破産という重大な結果につながる可能性もゼロとはいえなくなります。

本記事では、大切な資産を守るために、不動産投資での破産を防ぐための7つの方法も解説します。

不動産投資で破産に至るのか?

 

まずは、不動産投資における「破産」とはどういう状態のことなのかを説明します。

不動産投資ローンを組んで投資を始めたものの、空室が複数戸で長期間発生するなど何らかの要因でローンの返済が困難な状態になったとします。

物件を売却しても借金が残って返済が難しくなる。このような状態から経済的に立ち直らせることなどを目的とする手続きが、「破産手続」という法的措置となります。

不動産投資で破産するとどうなる? 免責とは

 

破産は自分で決められるものではなく、裁判所が決定します。

破産手続は、裁判所が破産手続の開始を決定し、破産管財人を選任して、その破産管財人が債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続です。

出所:倒産手続 | 裁判所

破産手続は、第三者が裁判所に申し立てるか、自分で破産手続を開始するように裁判所に申し立てることになります。自分自身で申し立てることを「自己破産」と世間でいったりしますが、法律用語ではありません。

裁判所の判断によって破産手続が始まると、裁判所は「破産管財人」という専門家を選びます。破産手続が開始された時点で、物件は売却されお金に換えられ、ローンの返済に充てられます。物件だけでなく、破産手続が始まった時点で持っていた財産のほぼ全てがお金に換えられることになります。

ただ、日常生活に不可欠な衣類や日用品、99万円までの現金などは、ローン返済に充てられない範囲となります。

参考:破産法34条3項1号

生活する上で不可欠な財産以外の財産をローン返済に充てても返しきれなかった場合、裁判所の許可があれば、法律上はローン返済をしなくてもよいことになります。この状態を「免責」といいます。

なお支払義務を免れるのは、破産手続が始まる前までに負っていた債務(不動産投資ローン返済)に限られます。破産手続後に購入した代金については、支払う義務があります。

免責は、社会公共の利益のためにも、支払能力を超えた債務を解放して、経済活動に失敗した人に対して再出発の機会を与える制度です。

不動産投資による破産の場合、以下の「免責不許可事由」に当てはまり、認められない可能性があります。

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

引用:破産法252条1項4号

破産の判断がなされた場合は、負債を免れるだけではありません。官報で氏名が公にされ、破産手続が開始されたことが明らかになります。また、信用情報機関の“ブラックリスト”に登録されるため、5~10年間は住宅ローンやクレジットカードの作成が制限されます。職業の制限もあり、破産手続が続く間は弁護士、公認会計士、税理士などにはなれません。

安易に「破産申告すればいい」という考えに走らず、不動産投資を始める前に、リスクを加味した計画を立てるべきです。

不動産投資で破産に至る3つの原因

 

不動産投資で破産に至るとなると、主な原因は主に以下の3つが考えられます。

  1. 物件選定を誤る
  2. 諸費用や維持費の見通しが甘い
  3. リスクが高すぎる借り方をしてしまう

これから不動産投資を始める人は、これらの点に注意を払う必要があります。

1. 物件選定を誤る

物件選定は、不動産投資の結果を左右する重要な要素です。物件の選定基準は、最寄り駅からの距離や大学・企業の集積地、若者に人気のエリアなどさまざまです。これらの立地条件や地域特性を総合的に判断し、将来的な需要を見極める必要があります。

また、不動産投資の知識不足から、不動産会社の提案を十分な検討なく受け入れてしまい、自分に不利な契約を結んでしまうケースも少なくありません。特に投資自体が初めての方、不動産に詳しくない方は、不動産会社の話を鵜呑みにしやすく、実需要の低い物件や過大評価された物件を購入してしまうリスクがあります。

たとえば、駅から遠いにもかかわらず「将来性がある」と説明される物件や、リノベーションが必須な不動産投資の上級者向けの築古アパートを勧められるなどです。このような場合、想定以上の維持管理コストが発生し、資金繰りを圧迫する原因となります。

2. 諸費用や維持費の見通しが甘い

不動産投資では、物件購入時の諸費用に加えて、以下のような継続的な支出が発生します。

  • 固定資産税都市計画税などの税金
  • 建物管理費
  • 修繕積立金
  • 保険料 など

不動産情報サイトに掲載されている表面利回りだけで投資判断をしないようにしましょう。表面利回りは、年間想定賃料収入を物件価格で単純に割った数値であり、実際の収支を正確に反映していません。そのため、記載されている利回りだけではなく、賃貸経営にかかわる費用を踏まえて収支計画を作成することが重要です。

空室リスクを考慮せず、常に満室を前提とした収支計画を立てることも危険です。景気変動や地域の人口動態の変化によって空室率が上昇した場合、想定していた収入が大きく減少する可能性があります。

目先の利益だけにとらわれず、自身で諸費用や維持費を調べて十分に考えてみたり、第三者に意見を求めたりすることが大切です。

【関連リンク】
不動産投資のランニングコスト、いくらかかる?

3. リスクが高すぎる借り方をしてしまう

高金利のローンを組むと、毎月の返済額が大きくなり、収支計画に無理が生じやすくなります。金利の上昇や予想以上の収益低下により返済が困難になれば、破産のリスクが高まります。

安定した不動産投資を実現するためには、無理のない返済計画を立てることが重要です。長期的な視点で投資を続けられるように、複数の不動産投資会社や金融機関に相談しながら、より有利な金利条件を探してみましょう。

【関連リンク】
不動産投資を失敗する理由。 初心者が陥りがちな7つの失敗事例と成功率を高める方法

不動産投資で破産する場合の流れ

 

不動産投資で破産することになる人は、どういった流れを経るのでしょうか。

1. 赤字が膨らみローンの返済が滞る

破産につながる一つ目の段階は、収支が悪化してローンを延滞し始めるときです。

不動産投資の収支が悪化する主な要因は、空室の長期化です。空室になり家賃収入がない場合でもローンの返済を求められますし、諸費用の支払いも続きます。そうなると、個人の貯蓄を切り崩して返済に充てることになり、そのうち個人の貯蓄も底をつき延滞が始まります。

2. 金融機関から督促状が届く

ローン返済が約1カ月滞ると、金融機関から督促状が届きます。督促状は、所定の期日までの未払いに対して、入金を促すための書面です。

なお、督促状に、支払いを強制する法的効力はありませんが、督促状を無視しさらに滞納を続けると、金融機関からの電話や訪問による返済要請が始まります。

3. 滞納が続くと物件の差し押さえ・競売へ

不動産投資ローンを組んだときに抵当権が設定された場合、滞納が数カ月ほど続くと、金融機関は債権回収が困難と判断、抵当権が行使されます。そして裁判所の権限で物件が差し押さえられ競売にかけられます。

4. 物件の売却または競売が行われる

競売では所有者の意向は考慮されず、競売では市場価格より5割~8割以上安くなってしまうこともあります。

そのため、優先的にローン返済にあてられますが、完済できない可能性は高くなります。その際は、残りのローン債務を一括で請求されたり、不動産を手放したあとも返済を続けることになります。

5. 返済できない場合に破産になる

物件を売却しても残債があり、返済の見込みがない場合、弁護士に依頼して裁判所に申立てをし、「破産手続」の判断を待ちます。

資産を守るために! 不動産投資での破産を防ぐ7つの方法

 

以下のような対策をしておくことが、破産を防ぐリスク管理につながります。

  1. 不動産投資の知識を身につける
  2. 無理なく返済できる物件を選ぶ
  3. 空室率を下げる対策を講じる
  4. 金融機関に相談する
  5. ローンの借り換えを行う
  6. 任意売却を行う
  7. 不動産投資会社に早めに相談する

それぞれ詳しく解説します。

1. 不動産投資の知識を身につける

不動産投資を成功させるためには、以下の方法を通じて、投資の仕組みやリスク管理について理解を深めることが重要です。

  • 投資に関する書籍
  • セミナーへの参加
  • オンライン学習 など

特に初心者の場合、以下のような状況に陥る可能性があります。

  • 不動産会社の提案を鵜呑みにしてしまい、相場よりも高い金額で購入してしまう
  • 収支シミュレーションに組み込まれている項目や数値が正しいかを判断できない

適切な知識があれば疑問が浮かびやすく、納得した状態で購入できるようになるでしょう。

2. 無理なく返済できる物件を選ぶ

物件を選ぶ際には、詳細な収支シミュレーションを行い、長期的な視点での返済計画を立てることが重要です。諸経費や修繕費を含めても安定的な運用が可能かを慎重に検討する必要があります。

また、収支計画では、年収に対する借入額に十分な余裕を持たせることも大切です。毎月の稼ぎ(手取り)の額よりも月額の返済金額が大きくなると、生活に支障が出ます。加えて、満室想定で計算していると、空室が発生したときに返せなくなるリスクがあります。空室になってもどこまでなら返済が可能なのか、最悪なケースも想定してシミュレーションしておくことが大切です。

なお、不動産会社から予算以上の物件を提案された場合には、自身の返済能力を考慮し断る決断も必要です。無理のない範囲での投資を心がけることで、将来的なリスクを軽減できます。

3. 空室率を下げる対策を講じる

不動産投資で安定した収入を得るためには、高い入居率の維持が不可欠です。空室が発生すると、その期間の家賃収入が得られず、維持費を貯蓄から支払う必要があります。

入居者の退去を防ぐために、設備の定期的なメンテナンスや入居者からの要望への迅速な対応が必要です。不動産投資会社に管理を委託する場合は、設備の修理や入居者からのクレームなどに対応してもらえるかを確認しておきましょう。

また、万が一空室が発生した場合に備えて、集客方法や物件の魅力向上対策(リフォームリノベーションなど)について、事前に不動産投資会社に相談しておくのが重要です。

4. 金融機関に相談する

「今月の支払いが難しい」と感じた段階で、不動産投資ローンを組んでいる金融機関へ相談しましょう。返済が困難になった際は金融機関に相談するのをためらいがちですが、早期に相談することこそが最善の選択です。金融機関側はなるべく損することなく融資を回収したいと考えるため、状況を説明することで以下のような対策をとってくれる可能性もあります。

  • 借入期間を延長してもらう
  • 返済を一定期間猶予してもらう

大切なのは、延滞する前に相談することです。延滞してしまうと、金融機関から債務不履行と判断されてしまう可能性があります。

5. ローンの借り換えを行う

ローンの金利が高い場合は、今より低い金利の不動産投資ローンに借り換えることで返済額を下げられます。ただし、借り換えには審査があり、手続きにもある程度の時間を要するため注意が必要です。

ローンを借り換える際は、現在の金融機関と新たに借り入れる金融機関それぞれで手数料が発生する点も覚えておきましょう。借り換えることで「支払わなくてよくなる金額」と、借り換えることで「発生する支出」を確認することが必要です。

6. 任意売却を行う

ローンの返済が困難になり始めた場合、早期の任意売却を検討することも有効な対策です。競売になると物件は市場価格より安く売却される可能性がありますが、任意売却であれば、競売よりも高値での売却が期待できます。

売却価格によっては、ローンを返済できる可能性があり、破産の回避につながるかもしれません。

不動産投資以外にも借入れがある場合は、自己破産を選択する前に、専門家に相談してから任意売却を検討することが重要です。たとえば、ほかにも借入れがあるのに破産を選択すると、資産を勝手に処分したとみなされて、後々問題になる可能性もあります。

7. 不動産投資会社に早めに相談する

不動産投資で破産をしたくない場合は、問題が深刻化する前に信頼できる不動産投資会社に相談してみましょう。経験豊富な専門家からのアドバイスにより、破産しないで問題を解決する方法を見つけられる可能性があります。

相談先を選ぶ際は、単なる物件提案だけではなく、収支改善や出口戦略など、状況に応じた適切なアドバイスができる会社を探すことが大切です。

会社選びは、実績やオーナーからの評価、口コミなども参考にしましょう。問題が表面化してからでは選択肢が限られてしまうため、運用状況に不安を感じた時点でできるだけ早く相談することをおすすめします。

【関連リンク】
不動産投資はリスクが高い? 空室や修繕など9つのリスクと5つの回避策

不動産投資の破産の不安を解消するなら

不動産投資は魅力的な資産形成手段の一つです。しかし、過去には不動産会社とのトラブルにより破産に追い込まれたケースがあり、社会問題にもなりました。、物件選定や収支計画の立て方やローンの組み方など、リスクを加味したうえで、無理のない計画をたてることが重要となります。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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