公開日: 2025.07.04 更新日: 2026.01.15

不動産小口化商品とは? メリット・デメリットや向いている人の特徴を解説

監修:
柴田充輝 (1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士)
不動産小口化商品とは? メリット・デメリットや向いている人の特徴を解説

不動産投資を始めてみたいと考えているものの、数千万円もの規模感で投資をするのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。そのような方におすすめなのが、少額から不動産投資を始められる「不動産小口化商品」です。

不動産小口化商品には、数万円程度から始められる商品もあり、一戸または一棟などの不動産に比べ、少額から投資できます。

本記事では、不動産小口化商品の概要から仕組みやメリット・デメリット、向いている人の特徴について詳しく解説します。

不動産小口化商品とは

 

不動産小口化商品とは、一つの不動産を1口1万円から100万円程度に小口化し、複数の投資家が共同で購入・出資する商品のことです。

通常の不動産投資では、ローンを組んで始めることが一般的で、場合によっては数千万円もの借入れを行います。しかし、小口化では最低口数の制限がある商品もあるものの投資単位は少額で、投資のハードルが低くなるのが特徴です。

同じ不動産小口化商品といっても、何を選ぶかによって、投資期間や所有権の有無などが大きく異なるため、自分の投資目的に合わせて適切な商品を選ぶことが重要です。

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1. 不動産特定共同事業者が提供

不動産小口化商品は、不動産特定共同事業の許可を受けた事業者が提供する商品です。

不動産特定共同事業とは、複数の投資家から資金を集めて共同で不動産を運用し、収益を分配する事業のことです。この事業は、不動産特定共同事業法(不特法/FTK法)で定められた基準をクリアし、国から許可を受けた事業者のみが行えます。

2017年の改正で創設された小規模不動産特定共同事業も、不動産特定共同事業法に基づいていますが、許可制の不動産特定共同事業者とは基準が異なり、登録制です。投資家は、出資できる総額が原則100万円以下と小規模となっています。

不特法は、不動産特定共同事業の適正な運営と投資家の利益の保護を目的として、1994年(平成6年)に制定された法律です。その後も改正を重ね、2025年にも検討会が開催されており(一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会)、投資家が安心して投資できる市場を整備していくために、情報開示や行政監督の強化の必要性などが議論されています。

任意組合型の不動産小口化商品は、実物不動産を複数人で共有する形式で、特定の物件に直接投資できるのが特徴です。保有する不動産で得た収益は、自身の「不動産所得」として扱われます。

2. REIT(リート)との違い

REITは不特法ではなく、金融商品取引法の規制を受けます。

REITは、不動産投資法人に出資する仕組みで、その法人が出資金を使って複数の不動産に分散投資を行います。自分で投資対象を選べない代わりに、証券取引所で株式のように投資口を売買できるため、流動性が高く、情報開示も進んでいるのが特徴です。また、収益は「配当所得」に分類されます。

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不動産小口化商品の種類

 

不動産特定共同事業者が提供する不動産小口化商品は、大きく2種類に分けられます。

あああ

種類 匿名組合型 任意組合型
特徴 投資家が不動産事業者に出資する 出資者が不動産の一部(持分)を所有する
所有権 なし あり
出資金額の目安(最低購入口数の制限あり) 1口1万円程度〜 1口100万円程度~
運用期間の目安 短期間
(数カ月程度〜2年)
中長期間
(10年〜15年)

それぞれの種類をもとに、向いている人の特徴を解説します。

1. 匿名組合型

匿名組合型は、投資家が不動産事業者に対して出資する方式です。不動産の所有権は不動産事業者にあるため、投資家は登記費用をはじめとする直接的な費用負担がありません。不動産クラウドファンディングの多くで、匿名組合型が採用されています。

商品は1口1万円程度から、不動産小口化商品のなかでも少額から始められるのが特徴です。また投資期間は数カ月程度から2年程度まで、投資期間の選択肢があります。投資を通じて得られる所得は雑所得となります。

少額で不動産投資を始めたい人や、試しに不動産投資をやってみたい人に向いているといえるでしょう。

2. 任意組合型

任意組合型は、出資者が不動産の一部を持分として所有する方式です。実物の不動産を所有していると扱われ、所得区分は不動産所得となります。

このタイプは1口100万円程度から購入でき、最低購入口数の制限のある商品では、匿名組合型よりも始めるハードルが高めです。

中長期間にわたって投資できる商品が多いため、ある程度初期費用を用意でき、安定的に収入を得たい人に向いているといえるでしょう。

不動産小口化商品に投資する5つのメリット

 

不動産小口化商品に投資するメリットは、次の5つです。

  1. 少額で始められる
  2. 複数物件への投資でリスクを分散できる
  3. 管理・運用の手間がかからない
  4. 現物不動産の入門として適した商品もある
  5. プロが選んだ優良物件に投資できる

それぞれ詳しく解説します。

1. 少額で始められる

不動産小口化商品は、商品によって、最低出資額が設定されているケースが多いです。匿名組合型であれば1口1万円から投資できる商品もあります。お試し感覚で気軽に不動産投資を始めることが可能です。

2. 複数物件への投資でリスクを分散できる

不動産小口化商品なら、一つの物件だけでなく同時に複数の物件へ投資できるため、リスクの分散につながります。

REITも複数物件に分散投資できる仕組みですが、運用先やポートフォリオはファンド側に一任されます。

一方、不動産小口化商品は投資家自身が物件を選べるため、自分の投資判断でリスク分散の方針を立てやすい点もメリットです。

3. 管理・運用の手間がかからない

不動産小口化商品では、物件の管理・運用はすべて事業者が行うため、賃貸経営に関して投資家は何もする必要がありません。以下のような、通常の不動産投資で発生する煩雑な業務から解放されます。

  • 入居者の募集
  • 家賃の回収
  • クレーム対応
  • 設備の修繕 など

小口化商品であればこうした管理業務はすべて事業者が代行してくれるため、本業が忙しい会社員でも安心です。確定申告も事業者から送られてくる支払調書をもとに行うだけで済み、不動産所得の計算も簡単です。

また、突発的なトラブルや修繕費用の対応を自ら行う必要がなく、管理面での精神的な負担が軽減される点も大きな魅力といえます。ただし、トラブルや修繕で追加の費用が発生した場合、結果的に分配金の減少という形で投資家に返ってくる可能性がある点に注意が必要です。

あわせて、契約内容の理解(契約書・重要事項説明の確認)や途中解約・換金の条件など、投資家としての確認は必ず行いましょう。

4. 現物不動産の入門として適した商品もある

不動産小口化商品は、将来的に一戸または一棟に対する不動産投資を考えている人にとって、入門のステップとして最適です。匿名組合型であれば1万円程度から始められる商品もあるため、不動産投資のリスクやリターンの感覚を実際に体験しながら学べます。

また、事業者から分配される分配金を受け取る経験を通じて、不動産投資によるキャッシュフローを実感できるでしょう。リスクを抑えながら、不動産投資の世界に足を踏み入れられる点は、初心者にとって大きなメリットです。

5. プロが選んだ優良物件に投資できる

個人で物件を探す場合、立地の良し悪しや建物の品質、賃貸需要の見極めなど、高度な知識と経験が必要になります。不動産投資の初心者が優良物件を見極めるのは難しく、判断を誤ると大きな損失につながる可能性があります。

しかし、小口化商品では事業者が豊富な実績とネットワークを活かして、都心の一等地や入居率の高い物件を厳選していることが多いです。プロの目利きで選ばれた物件に投資できるため、個人では購入できない大型商業ビルやオフィスビルなど、プロ向けの物件も投資対象になります。また、物件の収益性や将来性を事業者が詳細に分析しているため、投資判断の材料も豊富に提供されます。

ただし、すべての小口化商品が都心の一等地や入居率の高い物件を扱っているわけではありません。物件の質やリスクは商品ごとに異なるため、利回りや立地、稼働状況のチェックは欠かさずに行いましょう。

不動産小口化商品に投資する2つのデメリット

 

不動産小口化商品は、少額から始められる一方で、以下のようなデメリットが存在します。

  1. 元本保証がない
  2. 融資を受けられない

それぞれ詳しく解説します。

1. 元本保証がない

不動産小口化商品は金融商品であり、元本が保証されているわけではありません。投資した不動産の価値が下落したり、空室が続いて賃料収入が減少したりすれば、分配金が減額され、場合によっては元本割れする可能性もあります。

特に経済不況や災害などにより不動産市場が悪化すると、大きな損失を被るリスクがあります。また、事業者が倒産した場合、投資した資金が返ってこない可能性もゼロではありません。

実際に、国土交通省は「小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起」にて注意喚起を行っています。投資家自身がリスクを十分に理解したうえで、慎重に投資の判断をする必要があります。

2. 融資を受けられない

不動産小口化商品への投資では、基本的に金融機関からの融資を受けられません。現物不動産投資では、物件を担保に融資を受けて、少ない自己資金で大きな資産を購入できるのが大きな魅力です。

しかし、小口化商品は全額自己資金で投資する必要があるため、レバレッジ効果を活用した資産拡大ができません。現物の不動産投資と比較して、投資規模が限定されます。

また、小口化商品では最低投資額は数万円〜数十万円程度と少額で、投資額が少なければ得られる収益の絶対額も限られます。結果として、資産形成のスピードや規模において、現物不動産投資に大きく劣るのが実情です。本格的な資産形成を目指すなら、融資を活用できる現物不動産投資も検討すべきでしょう。

不動産小口化商品に投資する前に知っておくべきポイント

 

不動産小口化商品に投資する前に知っておくべきポイントは、次のとおりです。

  1. 投資対象の不動産を調べる
  2. 実物不動産投資との違いを理解する
  3. 運用会社の透明性と実績を確認する
  4. リスクを踏まえて投資期間を検討する
  5. 確定申告が必要な場合を把握する

それぞれ、不動産小口化商品の特徴に触れながら解説します。

1. 投資対象の不動産を調べる

不動産小口化商品に投資する際は、本当に収益を得られるかどうか、投資対象の不動産を事前に詳しく調べることが大切です。

たとえば、建物種別(オフィス、住宅、商業施設など)や築年数、総戸数・総床面積などの基本情報は必ず確認しましょう。また、現在の入居率や平均賃料水準なども、収益性を判断するうえで重要な指標です。

新築と中古、エリアなどの条件によっても実質利回りや入居率が変わるため、可能であれば過去数年間の収益実績を確認しましょう。事業者が提供する情報だけでなく、自分自身でも不動産ポータルサイトや地価情報などを参考に、物件価値を確認することが大切です。

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2. 実物不動産投資との違いを理解する

不動産小口化商品と実物不動産投資では、以下の違いがあります。

比較項目 不動産小口化商品 実物不動産投資
投資額の目安 1口数万円から数百万円程度 数千万円から数十億円
物件の所有権 匿名組合型:所有権なし
任意組合型:不動産の一部(共有持分)を所有
所有権あり(単独で所有)
物件選択の自由度 高い
運用の手間 プロに任せるため手間なし 管理会社に任せる〜自ら行う
流動性 実物不動産より流動性が高い場合がある 低い
注意点
  • 原則として途中解約できない
  • 不動産ローンを利用できない
  • ローンを利用できない場合、多額の資金が必要
  • 税務処理が複雑

これらの違いを理解したうえで、改めて不動産小口化商品への投資が自分に合っているかどうかを判断することが大切です。

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3. 運用会社の透明性と実績を確認する

不動産小口化商品は、投資対象の物件を明示するのが一般的です。しかし、なかには建物の図面や修繕履歴、入居者属性まで詳しく開示されないこともあります。

2025年4月に行われた国土交通省の検討会でも、SNSなどで高利回りを強調した不適切な勧誘や原野商法、ポンジ・スキームといった詐欺への懸念が示されています。

  • SNSなどで高い利回りなどを宣伝して、一般投資家を誘引している商品がみられるが、何らかのルールが必要ではないのか。
  • 不動産特定共同事業において原野商法やポンジ・スキームが行われるリスクがあり、これらを防止するための対策を更に検討すべきではないか。
引用:参考資料|第1回 一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会|国土交通省

安全に投資を行うためにも、問い合わせしたら適切に対応してくれるか、透明性は適切に保たれているか、実績はあるかなどの観点で、運用会社の透明性や情報開示体制を十分に確認することが大切です。

4. リスクを踏まえて投資期間を検討する

不動産小口化商品は、運用期間が決められており、原則として途中解約できません。

投資期間を検討するときは、運用期間中に対象不動産の価値変動や賃料下落、空室発生などのリスクが発生することにも目を向ける必要があります。また、運営会社が倒産するリスクがあります。

リスクを踏まえたうえで、ご自身の将来的な資金計画やライフイベントと照らし合わせつつ、無理のない投資期間を慎重に検討することが重要です。

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不動産投資のリスクと対策 | RENOSY(リノシー) 不動産投資

5. 確定申告が必要な場合を把握する

任意組合型の不動産小口化商品で収益を得た場合、年間所得が20万円以上になると、会社員であっても確定申告が必要になります。

多くの会社員にとって確定申告はなじみがないため、どのような準備が必要かわからず戸惑うかもしれません。

期日前に慌てることなくスムーズに準備するためにも、手続きの流れや必要書類などを早めに確認することが大切です。

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不動産投資に確定申告は必要? やり方から税理士への依頼料まで解説

不動産小口化商品が向いている人・向いていない人の特徴

 

不動産小口化商品への投資が向いている人と向いていない人には、それぞれ特徴があります。それぞれ詳しく解説するので、自分がどちらに当てはまるかを確認し、投資判断の参考にしてみてください。

1. 向いている人の特徴

不動産小口化商品が向いている人には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 少額から不動産投資を試してみたい初心者
  • 物件選びをする時間がない人
  • 忙しくて管理の時間が取れないビジネスパーソン
  • 不動産オーナーにはなりたいものの物件管理の手間を避けたい人(任意組合型へ投資する場合)

これらに当てはまる場合でも、融資を活用した実物不動産投資の方が有利なケースも多いため、両者を比較検討することがおすすめです。

2. 向いていない人の特徴

不動産小口化商品が向いていないのは、以下のような特徴を持つ人です。

  • 安定した収入があり、融資を受けられる可能性が高い人
  • 自分で物件の選定を行いたい人
  • 短期間で大きく資産を増やしたい人
  • レバレッジ効果を活用して投資規模を拡大したい人

こうした方々は、融資を活用できる現物不動産投資を検討した方が、投資目的により合致する可能性が高いでしょう。

「少額から」で選ぶなら小口より現物不動産という選択肢も

 

同じ100万円を投資した場合、5年後・10年後の資産形成効果には大きな差が生まれる可能性があります。小口投資では100万円の投資で、年4%の分配金を受け取る場合、複利運用して10年後には約149万円になる計算です。

一方、現物不動産投資では100万円を頭金として融資を活用し、2,000万円の物件を購入できる可能性があります。家賃収入を原資にローン返済を続ければ、時間の経過とともにローン残高は少しずつ減っていきます。

物件価格が大きく下落しなければ、10年後には「物件価格ーローン残高」という意味での純資産が増えているかもしれません。また、物件価格が上昇すれば、売却時に大きなキャピタルゲイン(売却益)を得られる可能性があるのも現物不動産の魅力の一つです。

融資を活用することで、自己資金に対する投資効率が大幅に向上し、資産形成のスピードが加速します。少額から始めたい場合でも、将来的な資産形成を考えるなら、融資を活用できる現物不動産投資も視野に入れて検討することをおすすめします。

不動産小口化商品で不動産投資を始めよう

不動産小口化商品は、少額から不動産投資を始めたい方にとって魅力的な選択肢です。複数物件への分散投資でリスクを抑えられます。

しかし、高い利回りをうたった誇大広告や勧誘も散見されるため、商品の選定には注意が必要です。

これから法改正が進み選びやすくなる可能性もありますが、いずれにせよ自分の目で適切な商品を見極める力が求められます。そのため、投資を始める前に不動産小口化商品の特性や実物不動産投資との違いを理解し、運用会社の透明性や実績をしっかり確認することが大切です。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

柴田充輝 柴田充輝 1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

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