1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. 投資する
  4. 【理事長体験レポ】修繕積立金と管理費の値上げ・ロングバージョン

作成日: 2023.10.25

【理事長体験レポ】修繕積立金と管理費の値上げ・ロングバージョン

【理事長体験レポ】修繕積立金と管理費の値上げ・ロングバージョン

投資用に購入したマンションの、月々にかかる「修繕積立金」と「管理費」を値上げしました。理事長として総会へ議案を提出してから、マンション所有者の可決をいただくまで約2年。お金が足りないと知ってからの4年間をレポートします。

ショートバージョンもあります

4年分の歴史を振り返るので、かなりかいつまんだレポートにしたつもりですが、そうはいっても長いです。お時間のない方向けに、ショートバージョンもご用意しました。

お急ぎの方は、そちらの記事をご覧ください。

長くても大丈夫という方は、「そもそもなんで修繕積立金って値上がりするの?」というところからお読みください。

なぜ修繕積立金は値上がりするのか

新築マンションでは、修繕積立金は低く設定されて販売されることが多いようです。

最初の設定金額が低いと、未来に修繕積立金の値上げがほぼ確実に待っています。

修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)によると積立方式は2つあって、「段階増額積立方式」は将来の値上げが前提になった方式だとわかります。

計画期間中均等に積み立てる方式(均等積立方式)の他、当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする方式(段階増額積立方式)があります。また、購入時にまとまった額の基金(「修繕積立基金」と呼ばれます。)を徴収することや、修繕時に一時金を徴収する又は金融機関から借り入れたりすることを前提とした積立方式を採用している場合もあります。

引用:マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF)|国土交通省(太字は筆者)

2010年以降にできたマンションは、70%近くが段階増額積立方式を採用しているという調査結果※もあり、将来的な値上げを前提としたマンションが多いことがうかがえます。

平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状(PDF)マンション総合調査 - 国土交通省

現在の修繕積立金の積立方式引用:平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状(PDF)|国土交通省

もう一つの方なら心配いらないのかと思いきや、「均等積立方式」でも値上げの可能性があり得る、と同ガイドラインに書かれています。

マンション管理組合に詳しいはるぶーさんによるシリーズ3回目の記事でも、湾岸エリアのタワーマンション事情が詳しく解説されています。

【関連リンク】
管理費や積立金は単なる固定費じゃない。不動産投資でマンション管理が大切なわけ
区分賃貸マンションオーナーにとって、管理状態のよいマンション選び
マンション管理組合の財務状況、外からの見分け方

管理費・修繕積立金の値上げを拒否するとどうなる?

管理費修繕積立金の値上がりは、収益悪化を意味します。ですので、安易に値上げすべきではないですし、値上げ以外で解決できる方法がないかをまず模索すべきです。

しかし直近の収益悪化だけを気にしすぎるあまり、組合のお金が足りない事態を招くと……。

管理費不足で、オートロックやエントランス扉が故障して出入りできないなど共用部の環境が悪化。

治安の悪化にもつながる…
治安の悪化にもつながる…

エレベーターの定期検査ができないと、法律違反で罰金が課せられる。万が一事故が発生して入居者に被害が及ぶことになれば、オーナーが損害賠償をする事態もあり得ます。

目先の利益を追求しすぎるあまり、結果的に支出が増える事態につながる恐れがあります。

10年以上という比較的長いスパンで貯め続ける修繕積立金も、必要な額のお金が貯まらないと大規模修繕工事ができません。外壁の補修などができなくなり、剥がれた箇所から雨漏りが発生して建物内部から腐っていく……。

つまり、投資対象の根本が壊れる可能性もあります。

そんなことが起きないよう、管理のプロである会社に業務委託を続けたいですし、長期間にわたって入居者に住み続けてもらえるよう、大規模修繕工事を含めたメンテナンスを続ける必要があります。

必要なお金はかかる、ということです。

大規模修繕工事を含めたメンテナンスを続ける必要があります

建物維持とコストとのバランスが重要に

必要なメンテナンスはもちろん行うけれど、投資なので過剰にお金をかけることは避けたい。そのバランスが重要なポイントになってくると思います。

マンションによって事情が異なるので、所有するマンションの懐事情をまずは理解することが必要です。

例えば、携帯電話の基地局アンテナ用に場所を貸すなど、法人として事業収入が見込めるマンションは、オーナーの支出を減らすことが可能なケースもあるかもしれません。

画像携帯電話の基地局アンテナ用に場所を貸すなど、法人として事業収入が見込めるか

所有物件の管理費・修繕積立金値上げのきっかけ

私の購入した物件でも、値上げの波がやってきました。結果的に、管理費修繕積立金を同時に値上げしました。

値上げの必要性をぼんやりと知ったのは、購入後2年後くらい。総会資料を真剣に見るようになったタイミングだったので、もっと前から話されていたのかもしれません。

総会資料には、修繕積立金より先に、管理費散発的に赤字になっていると書かれていました。

総会資料を見ると「散発的に赤字」の文字
「散発的に赤字」の文字

修繕積立金は「資金計画シミュレーション」をした上で、改定(つまり値上げ)をしたいという予告がありました。

この年の総会で、シミュレーションをすること自体は賛成多数で可決しました。このときの私は、シミュレーション費用に10万円近くかかって、ずいぶん高いものなんだなと思っていました。

大規模修繕工事のお金が足りない

翌年。年に1度の総会前に、臨時総会が開催されます。

臨時総会招集のお知らせ

注目の議案は以下2つ、

  1. 可決後に実行された資金シミュレーション結果と、それに基づいた修繕積立金値上げについて
  2. 大規模修繕工事の見積(3社分)結果をもとに、3社のうち安い会社に依頼して工事をすすめませんか

という内容です。

臨時総会資料を読んで私が理解できたのは1の方。積立金が足りないので、修繕積立金33%強値上げする必要があるという内容。

戸数の少ないマンションなので、1戸あたりの負担額が大きくなることを突きつけられた瞬間です。ただ不動産投資初心者の私自身は、それがどのくらいのインパクトを与えるものかは、正直わかっていません。

呆然としつつ、増加した場合の年間負担額を計算して、1と2について同僚でもある建物管理のプロのもとへ相談しに行きました。

【関連リンク】
RENOSY建物管理セミナー初開催!レポート

大規模修繕工事は建物管理のプロの力を借りた

2の大規模修繕工事の内容費用は、建物管理初心者には難しすぎるので、資料を読み込む前に相談です。

内容を見てもらったところ、積み立ててきた金額の約2倍もの工事費に。そしてサラッと組合の所持金と同額の借入れをする案となっていて、高すぎるし無謀すぎるとのこと。

潤沢な資金があれば隅々までメンテナンスをした方がいいけれど、削れるところがないか現地調査を含めて確認した方がいい。さらに工法を変更して、組合が持っている金額内に収めることができないか調整が必要だとアドバイスを受けました。

組合運営に関わるため理事長に立候補

調整したいことに対して、総会の場だけではシナリオは変えられません。1組合員として賛成もしくは反対の1票分を持っているだけです。

理事長にならないと、組合の運営を直接どうこうできる立場にないとわかったこともあり、建物管理のプロ(同僚)の教えもあり、次の通常総会で理事長に立候補しました。

大規模修繕工事の内容見直しで減額

理事長になったあと、別の工法を実施する会社から見積を取得、金額と内容を比較して、工事費を可能な限り減額しました。

以前の記事にも書いた通り、数百万円分の値下げをしました。

工事の範囲を細かく設定し、プランAとは異なる工事の進め方プランBを提案しました。臨時の理事会を開催し、関係者間でメールのやりとりを重ね、最終的には工事プランBになり、工事費の削減(数百万円規模)をすることができました。

引用:「投資用マンションの管理組合理事長になって実感!プロに委託できる仕組みは偉大です」より

ただ試行錯誤をしても、数百万円の借入れをしなければいけませんでした。持っているお金だけで工事ができたとしても、積み立ててきたお金がなくなれば、この後のマンション管理が立ち行かなくなるためです。

借入れ手続きの際は、理事長印が必要になるので自らハンコを押しました。

借入れ手続きの際は自ら理事長印を押しました
緊張しました

そうしたこともあり、マンション管理組合に「お金がない!」ことを実感せざるを得なくなりました。

資金計画シミュレーションの調整

高いなと思う金額を支払って実施した資金計画シミュレーション結果は、潤沢な資金がある組合が実施するような、至れり尽くせりな工事内容が前提です。

約15年後の2回目の大規模修繕工事も、その次の3回目の大規模修繕工事も、今回提案したのと同じ工法(つまり少し安い)を実施すると仮定すれば、支出を下方修正できるのではと思いました。

そこで計算式を少し調整しました。厳密な理論にのっとっていないので正しい導き方かどうかは不明です。しかし30%の値上げは自分自身でも耐えられないので、ギリギリ資金が不足しないであろう計算にしたつもりです。

資金計画シミュレーションの調整
築47年時点でも資金が足りそうなくらいの金額に無理やり調整

そうはいっても、まだまだ段階的に値上げしないと、将来足りなくなる計算です。

管理費・修繕積立金の値上げ実行。総会で議案が可決されるまで

「借入れをして大規模修繕工事をすること」はオーナーの賛同を得られたので、工事は実施できました。

問題はその後でした。

管理費の値上げと、修繕積立金の値上げ。どちらの議案も2回否決され、「このままではずっと値上げができないのか?ヤバイ!!」という状況に。。。

「お金が足りない」事態より「目の前の出費が増える」ことの方がわかりやすく「嫌なこと」と判断されるからだとは思います。

ただ何回否決されたとしても、値上げしなければどうしてもマズイ状況なので、こちらも必死です。

総会の案内の文字を大きくしたり文を口語調にしてみたり、直筆にしたりなど必死さをアピール。

臨時総会を開き、3回目でようやく可決されました。無事2つの値上げを実施できるとわかったときには安堵しました……。11%ほどの値上げに2年弱、かかりました。

1オーナー、一個人としても苦渋の決断ですが、トータルで見ればよい方向に進んだと思っています。

今後もお金がかかります

築20年近くたつと、本当にあちこちでお金がかかります(🥺)。管理会社さんとのやりとりでわかった、今後お金が必要となる項目は、

  • エレベーター(築25年を過ぎると、エレベーターを丸ごと取り替える必要があるらしい…)
  • 集合ポスト(丸ごと入れ替え)
  • 宅配ボックス(丸ごと入れ替え)

のようです。

もちろん上記以外にも、定期的な点検は今まで通り続きます。何かが故障しても突発的な修理代がかかります。

世界的なインフレも気がかりです。

お金を増やしたい

お給料や資産を増やせないかな…と思うのと同じように、組合のお金を増やせないのかな…とモヤモヤするようになりました。

借入れはあるものの、銀行口座に現金はある。その少ないお金を投資に回せないのかな…。

技術の向上で、安く提供されるサービスはないのかな……。

クラウドサービスを使えば安くなったりするものはないかな……。

強引な値下げで入居者さんへのサービス低下につながってはいけないし、安全な環境を維持しつつ支出を抑えられそうなモノやサービスがあったら試してみたいと思っているのが今現在の心境です。

今後も、管理会社の方をはじめ、関係者と相談しながら、安全かつリーズナブルな運営ができる方法を模索していきたいと思います。

ショートバージョンでは問題の解決策も

困ったらどうしたらいいか、ショートバージョンの方で書きました。お困りの方に、何かしらの選択肢がみつかるといいと思います!

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

清水まゆみ 宅地建物取引士

RENOSY マガジンスタッフです。 2017年から区分の不動産投資を始めました。現在は1物件の管理組合理事長を経験中。体験談を語っています。 【不動産投資をやってみた】体験レポート

Facebook LINE Mail magazine LINE