投資詐欺の種類や手口は? 投資詐欺の共通点やひっかからないための対策
最近でも芸能人をはじめ、「詐欺的な投資の被害に遭った」という話をよく耳にします。投資詐欺は、形や品を変え、今も行われています。投資詐欺の手口は巧妙なので、「自分は大丈夫」と思っていても、いつのまにかひっかかってしまうかもしれません。
今回は、投資詐欺の種類と投資詐欺の手口をご紹介。合わせて、投資詐欺の共通点や投資詐欺にひっかからないための対策も一緒に考えていきましょう。
投資詐欺は9割が「ポンジ・スキーム」
ひとくちに投資詐欺といっても、いろいろなパターンがあります。しかし投資詐欺のほとんど、9割以上は「ポンジ・スキーム」と呼ばれる手法で行われています。「ポンジ」とは、米国の詐欺師、チャールズ・ポンジから名付けられた言葉です。
ポンジ・スキームは、次のようなしくみになっています。
- 元本保証・無リスクをうたい、年10%や20%など高利回りの投資案件で出資者からお金を集める
- 運用する(というのは建前で、実際には運用しない)
- 後から参加する別の出資者から集めたお金の一部を着服する
- 残ったお金を以前の出資者に配当金と偽って横流しする
ポンジ・スキームでは、集めたお金を配当金と偽り、横流ししています。出資者が増えているうちは実際に配当がもらえるため、信用してしまうパターンも多いようです。しかし、出資者が少なくなると、配当が滞り、やがて破綻します。破綻すれば、出資者のお金は戻ってきません。多くの場合、詐欺師は音信不通になるため、泣き寝入りするケースも後を絶ちません。
ポンジ・スキームの事例は、たくさんあります。
1. カジノコインリースによる詐欺
外国のカジノにはジャンケットといって、富裕層をカジノに招待してもてなす業者がいます。ジャンケットが集めた富裕層に貸し出す(リースする)カジノのコインに投資することで、月利1〜2%の配当が無リスクで受けられる…と持ちかける詐欺があります。実際はカジノのコインに投資することもなく、ポンジ・スキームの要領でお金を横流しするのが実態です。
2. 暗号資産のマイニング
暗号資産(仮想通貨)の代表格、ビットコインは、「マイニング」という作業で掘り出す(報酬として手に入れる)ことができますが、マイニングには高性能なコンピューターが必要。個人では難しいのが実情です。
米国の「ビットクラブ」では、コンピューターに投資してもらうことで、ビットクラブで行ったマイニングの報酬を分配する、と案内していました。500ドル投資したら年利100%。1年後に1,000ドルになって返ってくるという高金利で、世界中から投資を集めました。しかし、2018年に配当が行われなくなり、公式サイトの運営もストップ。逮捕者も出る騒ぎとなって、出資したお金を回収できなくなっています。
3. 不動産投資
不動産投資によって確実な収益が得られるとうたってお金を集めるものの、実際には運用が行われず、収益も得られない…というものです。某お笑い芸人の事例も、ある特別な土地の活用を持ちかけられ、知人らから5億円ものお金を集めて投資したものの、約束されたリターンが得られなかった…というものでした。
4. 海外資産がらみの詐欺
「海外取引所のFXで自動売買ツールを使うと確実に儲かる。儲からなければ返金する」などと言われて、自動売買ツールを高額で購入。しかし実際にはまったく儲からず、返金にも応じてくれない…というトラブルも頻発。FXだけでなく、保険、土地、暗号資産など、海外資産がらみの詐欺は多くあります。
5. 私募ファンド、プライベートバンク
少数の投資家や富裕層などを対象にお金を集めて資産運用を行う「私募ファンド」や「プライベートバンク」もポンジ・スキームのリスクが高い投資先です。もっともらしく高利回りの条件を提示してお金を集め、お金が集まったところで音信不通になる、というわけです。
6. 非上場株・未公開株
まだ株式市場に上場していない株を非上場株(未公開株)といいます。上場していないので、証券取引所では取引できません。「上場すれば確実に儲かる」「元本も保証する」などと言われて購入したものの、一向に上場しない…というトラブルは後を絶ちません。また、そもそも架空の会社の株を購入させられているケースもあるようです。
他にも投資詐欺はたくさんある
ポンジ・スキームの他にも、投資詐欺はたくさんあります。
1. 劇場型詐欺
まるで演劇のように、複数の人が出てきてストーリー仕立てで行われる詐欺が劇場型詐欺です。たとえば、業者Aが架空の商品を買わないかと勧誘してから、業者Bがその架空の商品を高値で買い取っていることを伝えます。すると、「業者Aから商品を買って業者Bに売れば儲かる」と思うでしょう。業者Aから商品を買い、お金を振り込んだところで連絡がつかなくなります。
2. 名義貸し型詐欺
「株式や社債の購入権が当たったので、投資してほしい」と突然言われたら、断る方がほとんどでしょう。でも、「こちらで投資したいので、名義だけ貸してほしい」と言われたら、応じる人もいるかもしれません。しかし、名義貸しは立派な違法行為です。後から「名義貸しを行ったのだから」と金銭を要求される詐欺が名義貸し型詐欺です。実際は投資していないのですが、犯罪者に仕立てあげられることで怖くなってお金を払ってしまうケースが多くあります。
3. ロマンス詐欺・SNS詐欺
出会い系サイトやマッチングアプリで出会った相手に投資の勧誘を受け、投資をすると音信不通になってしまうのがロマンス詐欺です。「2人の将来のためだから」などと言われると、なかなか断れないようです。また、SNSで知り合った人に言われるがままに投資をしたものの、返金を求めると高額な費用を請求されたという事例もあります。
投資詐欺にある5つの共通点
詐欺師はあの手この手で人を騙し、お金を手に入れようと必死になっていることがお分かりいただけたと思います。これらの投資詐欺には次のような共通点があります。
投資詐欺の共通点1:儲かりそうな流行のテーマで安心させる
株式や投資信託などでもそうですが、市場で流行するテーマは移り変わります。昔から、IT、インターネット、バイオ、シェールガス、SNSなどときて、最近ならAI、ESG(環境・社会・ガバナンスを重視した企業)、メタバース、Web3、NFTなどが話題になっています。最先端のテーマは、儲かりそうですよね。詐欺師は、最先端のテーマを持ち出して、そのすごさをアピールすることで、騙しやすくするのです。
投資詐欺の共通点2:年10%を超える高金利で釣る
詐欺師は、銀行の普通預金金利が年0.001%の時代にもかかわらず、年利10%、20%などと高利回りを示してきます。少し考えればおかしいと気づきそうですが、高額のリターンに目がくらんで、つい手を出してしまうのです。
投資詐欺の共通点3:元本保証・無リスクをうたう
投資には必ずリスクがあるので、損をする場合もあります。でも、詐欺師は元本保証・無リスクをうたって安心させようとします。また、「投資に元本保証はない」ことを知っている人向けに、「損した場合はこちらで保証します」のように言うこともあります。しかし、もちろん元本保証はありませんし、誰も責任をとってはくれません。
投資詐欺の共通点4:紹介したときの報酬が高い(紹介プログラムがある)
投資詐欺のシステムには、他の人を紹介したときの報酬が高く設定されていることが多くあります。「みんなで幸せになりましょう」などと、さも慈善事業のように言いますが、詐欺師にしてみれば、新たな顧客は「次の金づる」ですから、喉から手が出るほど欲しいのです。
投資詐欺の共通点5:「今すぐ始めよう」アピールがすごい
詐欺師は、投資をすぐに始めてもらおうと猛アピールします。「日本の将来は危ないです」「あなただけに教える情報です」「有名人の○○さんも取り組んでいます」など、アピールポイントは多岐にわたっていますが、考える暇を与えずに投資を迫る点は同じです。
投資詐欺に遭わないようにするには?
以上を踏まえて、投資詐欺に遭わないようにするには、どうすればいいのでしょうか。考えられる対策を紹介します。
1. 元本保証・無リスクで年10%を超える商品は絶対にないことを忘れない
投資にはリスクがあります。リスクはリターンとトレードオフ(比例)の関係にあるため、「無リスク・元本保証で年10%」という商品は絶対にありません。「必ず儲かる」「元本保証です」などと言われたら、まず投資詐欺だと考えていいでしょう。おいしい話には必ず裏があります。高利回りに目がくらまないように、くれぐれもご注意ください。
2. 知らない人からの誘いを受けない
知らない人から投資を持ちかけられたらまず怪しいと思いましょう。そんなに儲かる投資なら、わざわざあなたに教えなくても、自分でやっていればいいはずです。
3. 秘密のグループやコミュニティには入らない
知らない人が集まる、投資家専用のLINEグループに勧誘されたことはありませんか。秘密のLINEグループということで、投資の議論をするというと聞こえはいいのですが、実態は怪しい投資商品を売りつけるためのグループだったということも。あなたを勧誘した人は、勧誘することで紹介の特典がもらえるようになっていることが大半です。こうしたグループには入らないようにしましょう。
4. 投資商品の販売会社・運営会社を調べる
投資商品を販売する会社をウェブサイトなどで調べてみましょう。詐欺を働く会社は、詳細な情報をなるべく見られたくないので、ほとんど公表していないものです。会社名はもちろん、住所、電話番号、代表者の名前などがきちんと出ているか、確かに存在するのかを確認しましょう。もしもこれらが提示されていなければ、怪しい可能性が高いでしょう。
また、日本で金融商品を販売するには、金融商品取引業の登録が必要。これがなければ詐欺の可能性が高いでしょう。海外の業者だった場合は、ほぼアウトだと考えられます。
5. 未公開株、非上場株、私募ファンドは買わない
未公開株、非上場株、私募ファンドのような商品は、そもそも幅広い投資家に購入を勧誘するものではありません。何より流動性リスク(換金したいときに換金できないリスク)が高いので、リスクが高いことを承知で購入する場合以外は、買わないほうがいいでしょう。
どうしても投資するなら、失ってもいいお金で
最近では暗号資産やNFT(ノンファンジブルトークン)のような新しいアセットがよく注目されています。大きく値上がりしたニュースが報じられると、自分も買ってみたいと思うかもしれません。しかし、大きく値上がりするということは、同時に大きく値下がりする可能性もあるということを忘れてはいけません。どうしても投資するのであれば、総資産の1割以下のお金、失ってもいいお金で投資することをおすすめします。
ポンジ・スキームをはじめ、さまざまな投資詐欺の種類を紹介してきました。いつの時代も、投資詐欺はあります。投資詐欺をなくすことは難しいでしょう。しかし、投資詐欺に遭わないよう、対策することはできます。今回紹介した「怪しい投資」に手を出さず、「正しい投資」を心がけて、お金を堅実に増やしていきましょう。
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