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公開日: 2022.08.25

相続に向けた税金対策とは。制度を知らないと税負担が増える?

相続に向けた税金対策とは。制度を知らないと税負担が増える?

相続税には基礎控除や特例、軽減措置があり、自ら申請をすることで税負担を軽減できます。相続税の仕組みや制度を知らずに相続税の申告を進めると、税金を払い過ぎるおそれがあります。相続人が知っておくべき税金対策と注意点を解説します。

相続税を必要以上に払い過ぎないために

相続税を必要以上に払い過ぎないために

故人(被相続人)の財産を相続により受け継いだ際、財産に対して相続税がかかります。相続税は必ず発生するものではありませんが、財産総額が大きいほど納める税額は高くなります。必要以上に払い過ぎないためにも、相続税の基本的なルールを理解しましょう。

基礎控除額の仕組みを把握

相続税には「基礎控除額」という控除枠があります。相続した財産から、葬式費用や債務などを差し引いた額が基礎控除額を上回らなければ、相続税はかかりません。基礎控除額は以下の計算によって算出します。

  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

養子縁組をした場合は、養子も法定相続人として扱われます。「養子を増やせば税負担が軽くなるのでは?」と考える人もいますが、法定相続人に含められる養子の数には以下のように限りがあります。

  • 被相続人に実子がいる場合:1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合:2人まで

なお、特別養子縁組によって養子となった人は実の子と同じ扱いになり、法定相続人に含まれます。

参考:No.4170 相続人の中に養子がいるとき|国税庁

二次相続まで考慮する

二次相続とは、一次相続で相続人となった人が亡くなった場合に発生する相続です。家族構成が両親と子の場合、父親が亡くなると母親と子に財産が相続されます(一次相続)。次に母親が亡くなると、母親の財産が子に引き継がれます(二次相続)。

二次相続では法定相続人の数が少なくなるため、相続税の負担が重くなるのが通常です。

配偶者である母親は「配偶者の税額の軽減」によって税額が抑えられますが、税額軽減によって母親の財産が増えれば、将来的には子どもの相続税が増える可能性があるでしょう。値上がりが予想される土地や収益物件を母親が引き継ぐと、財産はさらに増加する可能性があります。

一次相続の際は二次相続の税負担も考慮して、誰が何を引き継ぐかを決める必要があります。価値の上昇が見込まれるものは子どもに引き継がせ、価値が下がりそうなものは母親が引き継ぐという方法も有効です。

相続発生時にもめないよう対策する

遺言書がない場合、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を引き継ぐかを話し合う必要があります。

遺産分割協議に期限はありませんが、相続税の申告期限までに話し合いがまとまらない場合は、法定相続分(民法で定められた相続割合)で分割したと仮定して、相続税の申告・納税を行うのが原則です。

本来であれば「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などが適用され、税負担が軽減される可能性がありますが、分割の行われていない財産については特例が適用できません。

分割が行われたあとに「更正の請求」をすれば税金の還付が受けられるものの、手続きには手間がかかります。遺産分割協議を相続税の申告期限までに間に合わせるためにも、生前から相続について話し合っておくことが大切です。

相続税対策の注意点

相続税対策の注意点

身内が亡くなると葬儀や法事などで慌ただしくなります。相続税以外の手続きも行わなければならないため、段取りよく作業を進めないと「相続税の申告期限を過ぎていた」という事態になりかねません。

もめ事を回避しながら、スムーズに手続きを進めるための注意点を解説します。

更正の請求は簡単ではない

納めた相続税が本来支払うべき相続税額よりも多かった場合、相続税の減額請求を行えます(更正の請求)。請求期限は相続税の申告期限から原則5年で、期限を過ぎると税金の還付は受けられません。

更正の請求時は、更正の請求書や更正の請求理由を証明する書類などを税務署に提出しなければならず、時間も手間もかかります。

税金の払い過ぎを未然に防ぐためにも、「相続税の更正の請求が発生しやすいケース」を事前に把握しておきましょう。以下はその一例です。

  • 未分割の財産が分割され、特例・軽減措置が適用される場合
  • 未分割の財産が見つかった場合
  • 遺言書が見つかった場合
  • 納税後に相続人に変更があった場合
  • 遺留分侵害請求権による返還があった場合

過度な税金対策は否認のリスクも

相続したタワーマンションを路線価方式で評価して相続税申告をしたところ、「著しく不適当」として評価方法が否認され、多額の追徴課税が発生した判例があります。

被相続人の財産の価額は国税庁が定める「財産評価基本通達(以下、評基通)」によって評価するのが一般的で、土地の評価方法には路線価方式と倍率方式があります。

タワーマンションは評基通で評価される相続税評価額と時価(市場価額)の差が大きいことで知られており、この差を利用して税金を減らそうとする人が多いのが実情です。

裁判で「著しく不適当」とされた基準ははっきりしていませんが、不動産の評価や相続税の申告を行う際は、税理士や税理士登録をしている弁護士に相談するのが賢明でしょう。

相続税は贈与税と一緒に考える

相続税は贈与税と一緒に考える

贈与税」とは、個人から財産を取得した際に取得した財産に課される税金です。遺産の場合は相続税が、生前贈与では贈与税が課されるため、いずれにせよ税金の申告は必要です。

課税逃れを防ぐ仕組みになっている

贈与税には相続税を補完する役割があります。贈与税がない場合、生前贈与によって相続税の課税逃れをする人が増えるでしょう。身内に財産を残すにあたり、相続税贈与税の両方を考慮し、税負担が少ない方を選びたいものです。

相続税贈与税に関連した制度に「相続時精算課税制度」があります。贈与時は2,500万円の特別控除が適用となるため、贈与税の負担が軽減されます。

ただし贈与者が亡くなった際は、「制度の適用を受けた贈与財産」と「その他の相続財産」を合計して相続税額を算出しなければなりません。

納税が先送りされただけではありますが、「相続を待たずにまとまったお金を受け取りたい」という場合にはメリットが大きいでしょう。

また、相続財産と合算する際は、相続時の時価ではなく「贈与時の時価」で計算をします。株式や不動産など将来、値上がりが見込まれる財産は、相続時精算課税の適用で早めに贈与を受けた方がメリットが大きいといわれています。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

贈与税の暦年課税における基礎控除額とは

贈与税の課税方法には「相続時精算課税」と「暦年課税」があり、一定の要件に該当する場合のみ、相続時精算課税が選択できます。

暦年課税では、1月1日~12月31日に取得した財産の合計額から基礎控除額を差し引いた額に対して課税されます。基礎控除額は110万円で、年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。

110万円を超える場合は、残りの金額に税率を乗じて贈与税の課税額を算出します。国税庁のウェブサイトにある「贈与税の速算表」を活用しましょう。

贈与から3年以内に贈与者が他界した場合、生前贈与はなかったものとみなされ、相続税の課税対象となる点に注意が必要です(生前贈与加算)。すでに納税した贈与税は、相続税の計算に際して控除されます。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

定期贈与に注意

110万円の非課税枠を使って毎年少しずつ贈与をすれば、贈与税はかかりません。ただし贈与の方法によっては「定期贈与」とみなされ、課税対象になる可能性があります。

定期贈与とは、契約書を作成したうえで一定金額を一定期間にわたって贈与することです。「15年間、毎年100万円を贈与する」という場合、1,500万円の定期贈与となるため、1,500万円が贈与税の課税対象となります。

定期贈与ではないことを示すため、贈与者と受贈者との間で1年ごとに「贈与契約書」を結ぶのが望ましいでしょう。

なお、2022(令和4)年度の「税制改正大綱」では、相続税贈与税を一体的に捉えて課税する観点から、暦年課税のあり方を見直す必要性が指摘されています。今後、贈与税の非課税措置が縮小または廃止される可能性もゼロではないようです。

参考:令和4年度税制改正大綱|自由民主党・公明党(PDF)

金額と使い道によっては生前贈与で非課税に

金額と使い道によっては生前贈与で非課税に

贈与税は、金額や使い道によっては非課税になるケースがあります。「住宅取得資金」「教育資金」「結婚・子育て資金」を目的とした贈与には非課税枠が設けられており、税の軽減を図れます。

住宅取得等資金

2022年1月1日~2023年12月31日において直系尊属(父母・祖父母など)から、住宅の新築や取得、増改築のための贈与を受けた場合、贈与税が一定額までは非課税となります。

非課税限度額は、省エネ等住宅が1,000万円、それ以外が500万円です。受贈者や対象となる住宅には要件があるため、贈与を受ける前に必ず確認しましょう。

相続税には「小規模宅地等の特例」とよばれる減税措置が設けられています。後述しますが、住宅取得等資金の非課税枠を使って持ち家を取得すれば、小規模宅地等の特例の条件を満たさなくなる可能性がある点にも留意しましょう。「将来、特例を利用する予定はない」という場合は問題ありません。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

教育資金

2013年4月1日~2023年3月31日において、30歳未満の人(以下、受贈者)が直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合、最大1,500万円までが非課税となります。

「教育資金」には、学校の授業料や学用品の購入費のほかに、学習塾や水泳などの習い事にかかる金銭も含まれます。

制度の利用にあたり金融機関で「教育資金贈与専用口座」を開設し、教育資金として使った領収書を金融機関に提出するのが原則です。受贈者が30歳に達した時点で口座に残額がある場合、残額は贈与税の課税対象となります。

参考:No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

結婚・子育て資金

2015年4月1日~2023年3月31日において、18歳以上50歳未満の人(以下、受贈者)が直系尊属から「結婚・子育て資金の一括贈与」を受けた場合、最大1,000万円までが非課税となります(結婚資金は300万円が上限)。

現金による授受は認められていないため、金融機関に「結婚・子育て資金贈与専用口座」を開設したうえで、結婚・子育て資金に充当したことを証明する領収書を金融機関に提出するのが原則です。

受贈者が50歳に達した時点で口座に残額がある場合、残額は贈与税の課税対象となります。

「結婚・子育て資金」の範囲は幅広く、以下のような金銭が含まれます。

  • 挙式費用
  • 新居費用・転居費用
  • 不妊治療・妊婦健診に要する費用
  • 分娩・産後ケアに要する費用
  • 子の医療費・保育料

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

上場株式は生前贈与のメリットが大きい

上場株式は生前贈与のメリットが大きい

財産の中に「上場株式」がある場合、相続で引き継ぐよりも生前贈与をした方がメリットが大きいとされます。その理由について見ていきましょう。

配当金による財産の増加を抑えられる

価値の上昇が見込まれる上場株式は、価格が低いうちに贈与するのが望ましいでしょう。相続後に株価が大きく値上がりすると、相続税額が高額になる可能性があります。

注意したいのが、株主に分配される「配当金」として取得した財産も相続税の課税対象となる点です。配当所得の蓄積で相続財産が増えれば、それだけ相続税も高くなります。

株式を生前贈与すれば、株の所有者は受贈者になり、配当金は受贈者に帰属します。配当金による財産の増加を抑えるという点においては、生前贈与の方が有利です。

金額の設定と贈与タイミングの選択が可能

株式の生前贈与では「贈与する額」と「タイミング」が選択できます。

不動産と異なり、株式は1株単位で小分けにできるのがメリットです。暦年課税では、株式の評価額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。株の値上がり前に贈与すれば、税負担を抑えられるでしょう。

上場株式は、金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格で評価するのが基本ですが、以下のうちで最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額で評価します。

  • 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  • 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  • 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

参考:No.4632 上場株式の評価|国税庁

現金相続の基礎知識

現金相続の基礎知識

相続財産には、故人が残した現金や預貯金が含まれます。相続税の計算時は、総遺産額から葬式費用や債務が控除できるため、課税対象額が基礎控除額を下回る可能性もあるでしょう。「控除できるもの」と「できないもの」をしっかり区別しましょう。

費用の前払いで現金を減らせる

葬式費用は、相続財産から差し引くことが可能です。一方で、相続税申告に関連する専門家への報酬や遺言書の作成費用などは、相続財産から控除できません。

相続財産を減らし、税金の負担を抑えるためにも「相続財産から控除できない費用」は生前に支払っておくのが望ましいでしょう。相続人同士での金銭トラブルやもめ事の回避にもつながります。

ただし、費用の前払いができるか否かは依頼先によって異なるため、事前の確認が必要です。

生前購入した墓、仏具は相続財産に入らない

遺産のすべてが相続の対象になるわけではありません。遺産分割協議をスムーズに進めるためには「相続財産に入らないもの」を把握しておくことが重要です。

相続税が課されない財産には、仏壇・神棚・墓地・墓石といった「日常礼拝をしているもの」が含まれます。ただし、骨董的な価値があるものや、商品として所有しているものは相続税の課税対象です。

仏壇・神棚・墓地・墓石の購入費用は、数百万円にも上るケースがあります。生前に購入しておいた方が、相続財産を増やさずに済むでしょう。

葬式費用は遺産総額から控除できる

宗派や規模にもよりますが、葬式費用は200万円前後が相場です。相続税を計算する際は、以下のような葬式費用を遺産相続から控除できます。

  • 火葬・埋葬・納骨の費用
  • 遺体・遺骨の回送費用
  • お通夜にかかった費用
  • お寺へのお礼・読経料
  • 死体の捜索や死体・遺骨の運搬にかかった費用

葬式費用といっても、「香典返し」「初七日・法事の費用」「墓石・墓碑の購入費用」「墓地の買入れにかかった費用」は葬式費用には該当しません。

相続税の申告時は、「債務及び葬式費用の明細書」に費用の詳細を記入し、領収書を添付したうえで提出します。

参考:No.4129 相続財産から控除できる葬式費用|国税庁

債務も遺産総額から差し引く

被相続人の財産は、プラスの財産だけとは限りません。借金や債務などのマイナスの財産があった場合は、遺産総額から差し引くことが可能です。借金や債務を差し引いた結果、相続税基礎控除額を下回るケースもあるでしょう。

被相続人の所得税や医療費の未払い金、死亡時点における租税公課の未納分なども、債務として控除ができます。ただし、お墓や仏壇の未払い金など「非課税財産に関する債務」は対象外です。

名義預金は相続税の課税対象

名義預金とは、銀行口座の名義人と所有人が異なる預金のことです。自分の死後を考えて、配偶者や子、孫などの名義で預金する人は少なくありません。

親が亡くなり、子に相続が発生した場合、親が子の名義で貯めた預金は相続税の課税対象となります。申告・納税を忘れてしまうと、税務調査で申告漏れを指摘され、追徴課税となる可能性があるでしょう。

また、名義預金でなくても名義預金と誤解されるケースがあるため、贈与ごとに贈与契約書を交わし、生前贈与の証拠をきちんと残しておくことが重要です。

生命保険に関する相続税のルール

生命保険に関する相続税のルール

故人が生命保険の被保険者になっていた場合、受取人は死亡保険金を受け取れます。死亡保険金は相続財産とはみなされないものの、相続税が課されます。「みなし相続財産」のルールについて理解を深めましょう。

死亡保険金の非課税限度額

生命保険料の全部または一部を被相続人が負担していた場合、死亡保険金は相続税の課税対象です。ただし、死亡保険金には残された家族の生活を保障するという目的があるため、相続人が受取人になる場合は一定の非課税枠が設けられています。

  • 非課税限度額=500万円×法定相続人の人数

相続遺産が5,000万円、死亡保険金が2,000万円、相続人が被相続人(故人)の配偶者と被相続人の子2人と仮定しましょう。

死亡保険金の非課税限度額は1,500万円(500万円×3人)なので、相続財産に加算される死亡保険金は500万円(2,000万円-1,500万円)、遺産総額は5,500万円(5,000万円+500万円)となります。

相続税基礎控除額4,800万円(3,000万円+600万円×3人)を差し引くと、課税遺産総額は700万円(5,500万円-4,800万円)です。

参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁

終身保険を活用するメリット

「終身保険」は、被保険者がいつ死亡しても死亡保険金が受け取れます。保険金の受取人を指定できるため、配偶者や子など「特定の人物」に確実にお金を残せる点がメリットです。

遺言書がない場合、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分割方法を話し合います。死亡保険金も相続税の対象ではありますが、相続財産ではなく「受取人の固有財産」という扱いです。従って、遺産分割協議における分割の対象にはなりません。

受取人の設定に注意

死亡保険金は、「被保険者」「保険料の負担者」「保険金の受取人」が誰かによって、課税される税金の種類が異なります。夫・妻・子で、被保険者の夫が死亡したケースを例に挙げます。

被保険者 保険料の負担者 保険金の受取人 税金の種類
所得税
相続税
贈与税

被保険者(夫)・保険料の負担者(妻)・保険金の受取人(子)がすべて異なる場合、死亡保険金は妻(母)から子への贈与とみなされます。

贈与税に区分されると、子が1人で多額の贈与税を払わなければならなくなるため、この場合は相続税または所得税の区分になるように変更しておくのが賢明かもしれません。

一時所得として受け取った場合の税額

保険料の負担者と保険金の受取人を同一にした場合は、「所得税」が課せられます。死亡保険金の受取方法により、所得区分や課税対象額の算出方法が変わる点に注意しましょう。

  • 死亡保険金を一時金で受け取る(一括):一時所得
  • 死亡保険金を年金で受け取る(分割):雑所得

年金方式の場合、同年に受け取った年金額から、その年金に対応する払込保険料または掛け金を差し引いた額が雑所得です。

一時金として受け取る場合、保険金額から「支払い済みの保険料または掛け金」と「特別控除50万円」を差し引き、その金額を1/2にした金額が課税対象です。税金面だけを見れば、年金方式よりも一時金で受け取った方が有利といえます。

  • 課税対象額=(保険金額-支払い済みの保険料または掛け金-50万円)×1/2

参考:No.1750 死亡保険金を受け取ったとき|国税庁

不動産相続の基礎知識

不動産相続の基礎知識

不動産は、現金や株式のように容易に分割ができません。遺産分割に際し、価値を評価したうえで誰がどのように引き継ぐかを協議します。土地・建物の評価方法と、分筆を検討する際の注意点を解説します。

土地の評価は慎重に

土地を相続した際は、その土地にどれだけの金銭的価値があるのかを評価しなければなりません。評価方法は、国税庁の「財産評価基本通達」によって財産ごとに決められており、評価方法に従って算定した価額は「相続税評価額」とよばれます。

土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」があります。計算は複雑で、高度な専門知識がない素人では正しい評価ができません。

路線価方式で算定する場合、「減価要因」を見つけられるかどうかで評価額が異なります。例えば、道路に面する間口が極端に狭い「旗竿地」は、奥行価格補正等によって評価額の減額が可能です。

こうしたルールを熟知していないと、相続税を払い過ぎてしまう可能性があるでしょう。

建物の評価方法

建物に関しては、利用状況によって評価方法が変わります。故人が住んでいた家屋を相続した場合、相続税評価額は「固定資産税評価額×1.0」で算出します。

固定資産税評価額は、毎年4月頃に都市区町村から送られてくる「固定資産税の課税明細書」で確認しましょう。

固定資産税は3年ごとに評価の見直しを行います(固定資産の評価替え)。評価替えの年度を第1年度とした場合、2年度・3年度の固定資産税は変わりません。

参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

分筆を検討する場合は売りやすさも考慮

「分筆(ぶんぴつ)」とは、登記簿上の一つの土地(一筆の土地)を複数に分割して登記し直すことです。

土地を複数の相続人で分ける際には分筆を行う必要がありますが、将来的に売却を考えているのであれば、分筆をしない方が土地の価値が守れます。

分筆をした結果、整形地でなくなってしまったり、使い勝手が悪くなったりすれば、買い手が見つからなくなる可能性が高いでしょう。

また、分筆した土地が「通常の用途に供することができない」「接道義務を満たしていない」といった場合、「不合理分割」とみなされる点に注意が必要です。

分割が著しく不合理であると認められる場合、全体を1画地の宅地としたうえで評価を再度行わなければなりません。

貸家建付地の評価額の減額

貸家建付地の評価額の減額

所有する土地に賃貸用の建物を建てたうえで、建物を第三者に貸し付けている場合、「貸家建付地」として宅地の評価を行います。貸家建付地と自用地の評価額の違いや、減額のポイントを確認しましょう。

自用地との評価額の違い

「自用地」とは、他人が使用する権利のない土地です。宅地の評価は自用地が基本であり、自用地としての価額から、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じた割合を控除したものが貸家建付地の評価額となります。

  • 貸家建付地の価額=自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

借地権割合」とは、その土地の権利に占める借地の割合です。「借家権割合」は建物を借りる権利のことで、全国一律で30%と定められています。

相続税の評価では、自用地よりも貸宅地の方が評価額が下がります。土地を持っている人は相続税の税金対策として、アパート経営などで土地を有効活用するのが望ましいでしょう。

参考:No.4614 貸家建付地の評価|国税庁

空室に注意

貸家建付地の価額は「賃貸割合」によって左右されます。賃貸割合とは「全部屋のうち何部屋を賃貸しているか」を割合で表したものです。

計算式では、賃貸割合が増えると相続税評価額は減額され、賃貸割合が減ると相続税評価額は増額されます。つまり、入居率を上げることが、相続税の負担を抑えることにつながるのです。

相続発生日において入居率がゼロの場合は、自用地評価の扱いになります。空室が続けば賃料収入も途絶えるため、リフォームや家賃の見直しといった空室対策を講じましょう。

使用貸借に該当する場合は自用地扱い

貸宅地であっても、「使用貸借」に該当する場合は自用地として扱われます。使用貸借とは、貸主から目的物を無償で借りて使用し、後に返還することです。

例えば、父親が子に土地を使用貸借し、その土地に子の名義でアパートを建てたとします。本来であれば土地は貸宅地の扱いですが、使用貸借で地代が発生していないため、相続財産評価においては「自用地」として扱われるのです。

自用地の相続税評価額は土地の評価額そのものであり、土地の利用形態の中では最も評価額が高くなります。

地積規模の大きな宅地の評価額の減額

広大地の評価額の減額

広大な土地を所有していても、必ずしも土地が有効活用できるとは限りません。「買い手が付かない」「土地の利用が困難」という広大な宅地を相続した場合、評価額が減額されます。

評価額の基準については、国税庁のHPにある「地積規模の大きな宅地の評価」に定められています。こちらについて詳しく解説します。

地積規模の大きな宅地とは

地積規模の大きな宅地とは、標準的な宅地に比べて地積が著しく広い宅地のことです。具体的には、開発行為を行う際に公共公益的施設用地の負担が必要となる宅地を指します。

もともとは「広大地の評価」とよばれる制度でしたが、2017年9月の「財産評価基本通達」の一部改正に伴って現在の制度となりました。

以下4つの要件のいずれかに該当する場合、地積規模の大きな宅地からは除外されます。

  1. 市街化調整区域(人が住むための住宅や商業施設などを建築することは原則認められていないエリア)に所在する宅地
  2. 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
  3. 指定容積率が400%(東京都の特別区は300%)以上の地域に所在する宅地
  4. 大規模工場用地(広さが5万m2以上の工業用地)

参考:No.4609 地積規模の大きな宅地の評価|国税庁

地積規模の大きな宅地の評価方法

かつて広大地の価額は「広大地の面する路線の路線価×広大地補正率×地積」によって評価されていましたが、土地の形状が評価対象に含まれておらず、広大地の適用範囲も曖昧な状態でした。

2017年の財産評価基本通達の改正によって従来の評価方法は廃止され、2018年1月1日からは、以下のように「地積規模の大きな宅地の評価」によって評価を行います。

  • 地積規模の大きな宅地の評価額=路線価額×奥行価格補正率×各種画地補正率×規模格差補正率×地積

地積規模の大きな宅地」に該当するのは、三大都市圏では500m2以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域では1,000m2以上の地積の宅地です。条件の詳細は国税庁のウェブサイトで確認しましょう。

参考:No.4609 地積規模の大きな宅地の評価|国税庁

小規模宅地等の特例による評価額の減額

小規模宅地等の特例による評価額の減額

相続人が住んでいた宅地や事業に使っていた宅地などを一定の要件を満たす相続人が引き継いだ場合、「小規模宅地等の特例」が適用されます。相続税の計算時は、土地の評価額が最大80%下がるため、相続税の負担が大きく軽減されるでしょう。

土地の評価額を最大80%減額できる

評価額の減額割合は、「相続開始の直前における宅地等の利用区分」「要件」「限度面積」によって異なります。

被相続人等の居住の用に供されていた宅地を相続することになった場合で、その宅地が「特定居住用宅地等」に該当すれば、330m2までは土地の評価額より80%の減額が受けられます。

例えば、相続した宅地の面積が300m2で、宅地の評価額が2,000万円の場合、宅地のすべてが減額の対象です。減額割合を80%とすると、宅地の課税価格に算入すべき価額は400万円となるでしょう。

被相続人の事業の用に供されていた宅地であれば、減額割合は50~80%です。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

名義変更のタイミングに注意

不動産を相続した際は、不動産の所在地を管轄する法務局で「名義変更(不動産登記)」を行います。小規模宅地等の特例を受ける場合は、慌てて名義を変更せずに、誰が相続するかをじっくりと検討しましょう。

小規模宅地等の特例は「誰が・何を相続するか」によって減額割合が異なります。加えて特例の要件が細かく、「要件の見落としで特例が受けられなかった」というケースも珍しくありません。

名義変更のタイミングや小規模宅地等の特例については、相続専門の税理士や弁護士に事前に相談しておくと安心でしょう。

小規模宅地等の特例の対象となる土地

小規模宅地等の特例の対象となる土地

小規模宅地等の特例は、すべての土地に適用されるわけではありません。どのような土地が特例の対象となるかを確認しましょう。

故人や生計を一にする親族の住まいの土地

相続開始の直前において、「被相続人の居住用に供されていた宅地等」または「生計一親族の居住用に供されていた宅地等」は「特定居住用宅地等」に該当し、特例の対象となります。

ただし、宅地の取得者が「被相続人の配偶者」であれば要件はありませんが、被相続人が配偶者以外の親族の場合、「取得者ごとの要件」をクリアしなければなりません。

また、故人が養護老人ホームに入居していた場合は、以下を満たす必要があります。

  • 要介護認定または要支援認定を受けている
  • 老人福祉法に規定された養護老人ホームに入居している
  • 宅地等を事業に供していない
  • 被相続人以外の人に賃貸していない

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

別居の親族は通称「家なき子の特例」を活用

「家なき子の特例」を活用すると、故人と生計を一にしていなかった親族にも小規模宅地等の特例が適用され、80%の減額が可能となります。ただし、家なき子の特例を使うには、取得者は以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち、日本国籍を有しない者ではない
  • 被相続人に配偶者がいない
  • 相続開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいない
  • 相続開始前3年以内に、「取得者・取得者の配偶者・取得者の3親等内の親族」または「取得者と特別の関係がある一定の法人」が所有する家屋に居住したことがない
  • 相続開始時において住んでいる家を過去所有したことがない
  • 相続した宅地等を相続税の申告期限まで保有している

事業用に使われている土地

「貸付事業以外の事業用の宅地等」で「特定事業用宅地等」に該当する場合(限度面積400m2)は、小規模宅地等の特例によって80%の減額が受けられます。特定事業用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人等の事業に使われていた宅地、または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業に使われていた宅地等です。

また「貸付事業用の宅地等」のうち、一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等で「特定同族会社事業用宅地等」に該当する場合(限度面積400m2)も、小規模宅地等の特例によって80%の減額が受けられます。特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始の直前から相続税の申告期限まで「一定の法人」の事業の用に使われていた宅地等です。

「一定の法人」とは、被相続人および被相続人の親族等が発行済み株式の総数または出資の総額の50%超を有している法人を指します。

事業用宅地の区分ごとに「特例の適用要件(事業承継要件・保有継続要件・事業継続要件)」が定められているため、詳細を確認しておきましょう。

駐車場、賃貸マンションなど貸付用の土地

被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が、以下の事業のために使用していた「貸付事業用宅地」(限度面積200m2)も特例の対象です。

  • 不動産貸付業
  • 駐車場業
  • 自転車駐車場業
  • 準事業(事業と称するに至らない不動産の貸付など)

貸家建付地は自用地に比べて土地の評価額が低い点を前述しましたが、小規模宅地等の特例を適用できれば、さらに評価額が低く抑えられます。減額割合は50%です。特例の適用要件(事業承継要件・保有継続要件・事業継続要件)を確認しておきましょう。

自社株式の事業承継における相続対策

自社株式の事業承継における相続対策

被相続人が「株式会社」を経営していた場合、相続人に会社がそのまま相続されるわけではありません。相続人は被相続人が保有する会社の「株式」を引き継ぎます。

自社株式の評価額の把握

会社の相続とは「株式の相続」です。株式会社では、発行済み株式の過半数を取得すると会社の経営権を有します。複数の相続人に株式が分散しないように、遺言書などで会社の後継者となる人に株式を引き継がせるケースが多いようです。

非上場企業は上場企業と異なり、株式の市場価格がわかりません。専門家に「株式の評価」を依頼したうえで、相続税評価額を算定するのが一般的です。

株式の評価額が高くなると、相続税額も高くなります。「株式の相続税評価額が高過ぎて相続税が支払えない」という事態を防ぐために、経営者は生前に対策を練っておく必要があるでしょう。

自社株式の相続税評価額を下げる方法としては、配当政策の見直しなどが挙げられます。後継者や相続人のために、事前に納税資金を確保しておくのもよいでしょう。

事業承継税制の活用

日本の中小企業は経営者の高齢化に伴い、深刻な後継者不足に直面しています。「後継者の相続税贈与税の負担が大き過ぎて、事業承継が進まない」という事態を避けるため、国は「事業承継税制」とよばれる制度を設けました。

事業承継税制は、相続税贈与税の納税を猶予する制度です。納税の猶予を受けている後継者(2代目)が、次の後継者(3代目)に事業を承継した場合には、猶予税額が免除されます。

ただし、事業承継税制には多くの要件があり、すべての企業・個人が活用できるとは限りません。納税猶予の取消事由に該当した時点で猶予税額と利子税を一括で納めなければならないため、人によってはややハードルが高いといえます。

自社株式の評価額が高額だった際の対策の一つとして覚えておきましょう。

参考:法人版事業承継税制|国税庁

税の知識の有無で負担額に差が生まれる

税の知識の有無で負担額に差が生まれる

多額の財産を引き継いだ人にとって、相続税は悩みの種です。とはいえ、相続税には基礎控除があり、納税の義務が生じるのは控除額を上回った場合のみです。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例をはじめとする相続税の優遇措置もあるため、思った以上に税負担は抑えられるかもしれません。相続税は知識や経験の有無によって、負担額に差が生まれます。

税金を払い過ぎないためにも、不安な点があれば専門家に相談することをおすすめします。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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