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お金と制度
2022.08.31

相続関係説明図は何に使う? 利用シーンと書き方の手順を解説

監修:
窪 孝史 (公認会計士・税理士/税理士法人オフィスネクスト)
相続関係説明図は何に使う? 利用シーンと書き方の手順を解説

遺産相続では、故人を取り巻く相続関係がややこしいケースがあります。相続関係説明図は故人と相続人の関係性を図式化したもので、数次相続や代襲相続などの複雑な相続もひと目でわかるのがメリットです。相続関係説明図の活用場面や作成手順を解説します。

相続関係説明図とは?

相続関係説明図とは?

身内に相続財産がある場合、相続人同士で財産の分割方法を話し合う必要があります。事前に「相続関係説明図」を作成しておくと、その後の遺産分割協議や各種手続きがスムーズに進むでしょう。

故人と相続人の関係を図式化したもの

相続関係説明図は被相続人(故人)と相続人の関係を図式化したもので、一般的に「家系図」とよばれるものに似ています。配偶者や子ども、親などを線で結び、その関係性をわかりやすく示したものと考えましょう。

相続関係説明図は、遺産分割協議や財産の名義変更の際に役立ちます。必ず作成をしなければならないわけではありませんが、事前に作成しておいた方が、話し合いや手続きが円滑に進むでしょう。

遺言書がない場合、民法に定められた「法定相続人」が財産を相続するのが原則です。法定相続人には相続の優先順位があり、実際に相続できる人が決まっています。「相続人調査」によって相続人を確定させたあとに、相続関係説明図を作成しましょう。

法定相続情報一覧図との違い

相続関係説明図と混同しやすいものに、「法定相続情報一覧図」があります。どちらも故人と相続人の関係性を一覧にまとめたものですが、いくつかの相違点があります。

法定相続情報一覧図は、全国の登記所(法務局)が「法定相続情報証明制度」に基づき、被相続人と法定相続人(民法で定められた相続人)の関係性を公式に認証したものです。相続関係説明図よりも信頼性が高く、さまざまな手続きにおいて重宝します。

一方、相続関係説明図は法務省の認証を得ていないため、各種手続きでは相続関係を証明する公的な書類の提出を求められるケースがあります

また、法定相続情報一覧図は記載事項が決まっているのに対し、相続関係説明図は「遺産分割」や「相続放棄」といった事項も自由に記載できるのが特徴です。数次相続や代襲相続などの特殊な相続も1枚の紙にまとめて記載できるため、法定相続情報一覧図よりも柔軟性が高いといえるでしょう。

相続関係説明図が必要な理由

相続関係説明図が必要な理由

相続関係説明図を事前に準備した方がよいのは、なぜでしょうか? 「相続関係説明図があると便利な場面」「提出が必要な場面」「提出するとメリットがある場面」についても解説します。

複雑な相続関係がわかりやすくなる

相続関係説明図のメリットは、被相続人と相続人の関係がひと目でわかる点です。「数次相続※1」や「代襲相続※2」といった複雑な相続関係も容易に把握できるため、手続き先の担当者や弁護士などに言葉で説明をする手間が省けるでしょう。

※1 数次相続とは、遺産相続の手続きを行わないうちに相続人が死亡し、次の遺産相続が開始されてしまうケースを指します。
※2 代襲相続は、相続人が被相続人よりも先に他界している場合に、相続人の子(孫やおい、めいなど)が代わりに相続をすることです。

相続関係説明図が必要な手続きがある

財産を相続するにあたり、相続関係説明図の提示や提出を求められる手続きがあります。以下はその一例です。

  • 相続登記(不動産の名義の書き換え)
  • 金融機関における預貯金の解約・払い戻し
  • 家庭裁判所への遺産分割調停の申し立て

相続登記(不動産の名義の書き換え)

不動産を相続した際には、不動産を管轄する法務局で「相続登記」を行うのが原則です。手続きに際し、被相続人の戸籍謄本や相続関係説明図などを準備します。

金融機関における預貯金の解約・払い戻し

金融機関で被相続人名義の預貯金を解約や払い戻しをする際には、必ずしも必要なわけではありませんが、相続関係説明図があると手続きがスムーズに進みます。必要書類の詳細は金融機関ごとに異なるため、事前に確認を取りましょう。

家庭裁判所への遺産分割調停の申し立て

相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です。申し立ての際は、申立書や遺産目録、当事者目録などと一緒に相続関係説明図を提出します。

登記調査後に戸籍謄本などが原本還付される

相続登記の際は、被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本(原本)が必要です。原本還付の手続きをしない限り、原本は手元に戻らないのが通常ですが、相続関係説明図を提出した場合は、法務局の登記調査が完了したあとに原本還付を受けられます。

遺産相続の各種手続きでは、戸籍謄本の提出や提示を求められるシーンが多々あります。原本を手元に残しておけば、市区町村役場に何度も足を運んだり、原本を何セットも準備したりする手間が省けるでしょう。

相続関係説明図作成のための事前準備

作成のための事前準備

相続関係説明図は作成方法や書式に決まりがなく、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しなくても、自分で作成することが可能です。作成にあたり、必要な書類やツールを確認しましょう。

必要書類をそろえる

相続関係説明図は、被相続人と相続人との関係性を示したものです。従って、「相続人であること」と「ほかに相続人がいないこと」を証明するためには、以下のような公的な書類が必要です。

  • 被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票

結婚すると新たな戸籍が設けられるため、戸籍謄本は結婚や離婚のたびに変更されます。被相続人の戸籍謄本は「出生から死亡時までのすべてのもの」を用意しましょう。

戸籍謄本の取得は、電子申請、郵送での取り寄せ、役場に直接行くなどいくつかの方法があります。コンビニで取得できるケースもあるようです。

ただし、コンビニや電子申請についてはできる地域とできない地域があるため、まずは本籍地がある市区町村役場がどのような取得方法を用意しているかを確認する必要があります。

相続人を確定する

必要な書類を収集したあとは、相続人を確定する作業を行います。集めた戸籍謄本を確認しながら、法定相続人の範囲や人数を確認していきましょう。

法定相続人には以下のような優先順位があり、上の順位の人がいない場合に下位順位の人に相続の権利が移行します(配偶者は常に相続人)。

  • 第1順位:被相続人の子
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

相続関係説明図には親族すべてを記載する必要はなく、「相続に関連する人のみ(すでに死亡している人を含む)」で構いません。

例えば、父親・母親・子どもの家族構成で、父親が亡くなった場合、配偶者である母親と相続の第1順位である子どもが相続人です。記載が必要なのは、被相続人(父親)・母親・子どものみで、被相続人の親や兄弟姉妹は記載の必要がありません。

ひな形やソフトを用意する

相続関係説明図は、手書き・PCのどちらで作成しても構いません。相続関係が複雑な場合は、ひな形やソフトを利用した方が作成が容易なうえに見栄えもよいでしょう。

PCで作成する際は、法務局のウェブサイトで公開されている「テンプレート(主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例)」が役立ちます。

法定相続情報一覧図の作成用ですが、必要な記載内容は大きく変わりません。利用時はタイトルを「相続関係説明図」に変更しましょう。

市販の「相続関係説明図の作成ソフト」を使う手もあります。必要な情報を入力するだけで、相続関係説明図を自動で作成してくれるため、PC操作が苦手な人にもおすすめです。

参考:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例|法務局

相続関係説明図の作成手順

相続関係説明図の作成手順

相続関係説明図には、被相続人と相続人の情報と関係性を記載します。法律で書き方が決まっているわけではありませんが、誰が見ても関係性がすぐにわかるように、習慣に倣って表記するのが一般的です。

名前・続柄・生年月日などを記載する

誰の相続関係説明図なのかが明確にわかるように、タイトルは「被相続人(名前)相続関係説明図」とします。被相続人については以下の情報が必要です。

  • 住所(被相続人の最後の住所)
  • 死亡日
  • 被相続人であること(「被相続人」と記載)
  • 氏名

住所は「被相続人の最後の住所」です。戸籍謄本や住民票を確認しながら、誤りがないように記載しましょう。

各相続人については、以下の情報を記載します。

  • 住所
  • 生年月日
  • 被相続人との続柄(「長男」「配偶者」など)
  • 氏名
  • 相続分

遺産分割協議の結果、法定相続分(民法で定められた相続分)以外の割合で分割することになった場合は、実際の相続分を記載しましょう。

また、被相続人が離婚をしていて、元配偶者との間に子どもがいる場合、その子どもは法定相続人です。法定相続人である子どもの箇所には、住所・生年月日・被相続人との続柄・氏名を記載します。

親族関係を線でつなぐ

続いて、被相続人と相続人を線でつなぐ作業を行いましょう。線のつなぎ方は以下のようにします。

  • 配偶者:二重線
  • 子ども:一本線

被相続人と配偶者の間は二重線でつなぎ、子どもがいる場合はその間から一本線を引きます。

被相続人が離婚した場合は「元配偶者の下の名前」と「離婚年月日」を記載したうえで、婚姻関係を表す二重線の上に「×」を付けましょう。再婚した場合は、配偶者を二重線でつなぎ、再婚であることがわかるように「再婚年月日」を記載します。

配偶者と死別している場合は、×を付けずに「死亡年月日」を記載するのがルールです。

「相続」または「分割」と記載する

相続財産の中に土地や建物などの不動産がある場合は、誰が不動産を相続したのかを明確に示す必要があります。相続登記に使用する相続関係説明図に関しては、以下のように表記しましょう。

  • 不動産を相続した人:名前の後ろに「相続」と記載
  • 不動産を相続しない人:名前の後ろに「分割」と記載

法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、名前の後ろに「相続放棄」と記載します。相続放棄によって相続順位の変動があったことがひと目でわかるでしょう。

専門家に相続関係説明図作成の依頼も可能

専門家に作成を依頼することも可能

相続関係説明図があると複雑な相続関係が明確になり、関係者への説明がスムーズにできるようになります。必ず作成しなければならない決まりはありませんが、相続登記時に戸籍謄本の原本還付を受けられることもあり、用意しておくのが望ましいでしょう。

相続関係説明図の作成自体はそれほど難しくありませんが、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めるのは一苦労です。準備や作成に割ける十分な時間がない場合は、相続の専門家にサポートをお願いしましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

監修:
窪 孝史 (公認会計士・税理士/税理士法人オフィスネクスト)

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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