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作成日: 2022.09.08

平均年収を知って収入アップの計画を。最も給与が高いのは50代?

平均年収を知って収入アップの計画を。最も給与が高いのは50代?

年収は複数の要素によって決まります。同じ職種でも年齢や就業地で給与が大きく変わるケースも珍しくありません。まずは年収の実態を知り、キャリアプランの設計に生かしましょう。世界における日本の賃金水準や、高収入が多い業種についても解説します。

世界的に見ると日本の年収は低い?

世界的に見ると日本の年収は低い?

働く人の賃金は国や地域、職業などによって異なります。世界の中で、日本の賃金水準はどの程度なのでしょうか? 国税庁の調査資料などを参考に、給与所得者の平均給与や賞与の実態について解説します。

先進国では下位クラス

経済協力開発機構(OECD)が公表する2021年版「世界の平均賃金」によると、日本の賃金ランクは34カ国中、第24位です。同じアジアの韓国にも抜かれ、先進国の中では下位クラスという結果でした。

厚生労働省が公表する「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」によると、1989年の平均給与は452.1万円で、1991年には470万円を超えました。その後は増減を繰り返しながら推移し、2018年時点では433.3万円です。

このことから、日本の平均給与は減少傾向にあるといえます。近年はコロナ禍や物価上昇、平均給与の低迷によって国民生活が圧迫されていることから、経済産業省では「賃上げ促進税制」を導入し、企業の賃上げを促進しているのが現状です。

参考:平均賃金 (Average wage) | OECD
参考:図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

日本の平均的な給与と賞与は?

2020(令和2)年分の 「民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与とその内訳(平均給料および手当・平均賞与)は以下の通りです。

項目 平均給与 平均給料・手当 平均賞与
全体 433万円 369万円 65万円
男性 532万円 449万円 83万円
女性 293万円 254万円 39万円

平均給与は、集計対象となる人の年収を足し合わせて人数で割ったもので、一部の高収入者によって値が引き上げられています。あくまでも一つの参考資料としましょう。

給与階級別分布を見ると、男性は「300万円超400万円以下」が最多で、女性は「100万円超200万円以下」が最多です。

給与所得者の場合、上記の数字から税金や社会保険料などが差し引かれるため、実際の手取り額はさらに少なくなります。

参考:令和2年分 民間給与実態統計調査(PDF)|国税庁 長官官房 企画課

都道府県によっても異なる

厚生労働省が公表する「地域別最低賃金の全国一覧」によると、最低賃金時間額が1,000円を超えているのは、東京(1,041円)と神奈川(1,040円)です。埼玉・千葉・静岡・愛知・三重・京都・大阪・兵庫は900円台で、そのほかの地域は800円台にとどまります。

同じ国内で最低賃金に差があるのを疑問に思う人も多いでしょう。全国の最低賃金は、労働者の生活費や企業の賃金支払い能力などを考慮して決定されます。平均賃金が最も高い東京は生活費や住居費がほかの地域よりも高く、公平性を保つために平均賃金を引き上げる必要があるのです。

なお、現在の全国平均は930円ですが、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円に引き上げる決定がなされており、2022年10月頃に適用される見通しです。

参考:地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省

会社の規模が大きいほど平均給与は高い

会社の規模が大きいほど平均給与は高い

平均給与は会社の規模や資本金額にも影響されます。事業所の規模が大きく、かつ資本金額の高い会社ほど平均給与も高くなるのが一般的です。国税庁が公表する統計調査のデータを基に、会社の規模と平均給与の関係性を確認しましょう。

事業所規模別の平均給与

日本の会社は99%以上が中小企業で、大企業とよばれる企業は1%以下です。特に、従業員が20人以下(商業・サービス業では従業員5人以下)の小規模企業は、全体の80%以上を占めています。

日本は事業所の規模に平均給与が比例する傾向があります。2020(令和2)年分「民間給与実態統計調査」(以下、同調査)による「事業所規模別の平均給与」は以下の通りです。

事業所規模 平均給与
10人未満 347.8万円
10~29人 408.3万円
30~99人 408.8万円
100~499人 430.9万円
500~999人 464.7万円
1,000~4,999人 496.5万円
5,000人以上 508.7万円

規模が500人を超えると、日本の平均給与である433万円を超えることがわかります。給与アップを望む人は、規模の大きな会社に転職するのも一つの手でしょう。

参考:最近の中小企業の景況について(PDF)|中小企業庁

企業規模別の平均給与

平均給与は企業規模によっても大きな差があります。同調査による「企業規模別の平均給与(株式会社)」は以下の通りです。

株式会社の資本金階級 平均給与
2,000万円未満 371.6万円
2,000万円以上5,000万円未満 404.4万円
5,000万円以上1億円未満 412.8万円
1億円以上10億円未満 454.2万円
10億円以上 607.6万円

株式会社は個人の事業所(平均給与249.9万円)よりも平均給与が高く、その額は資本金に比例します。平均値は数値にばらつきが出やすいため、併せて「企業規模別の給与階級別分布」も確認しましょう。

参考までに、資本金2,000万円未満の株式会社では「300万円超400万円以下」が19.7%、「200万円超300万円以下」が18.8%、「100万円超200万円以下」が16.1%を占めています。

資本金10億円以上の株式会社では「500万円超600万円以下」が12.5%、「400万円超500万円以下」が12.4%、「600万円超700万円以下」が11.8%です。

平均年収が最も高くなる年齢は?

平均年収が最も高くなる年齢は?

終身雇用が一般的な日本では、長らく「年功序列」の人事制度が採用されてきました。成果主義を取り入れる会社も増えているものの、年齢・勤続年数と平均給与の関係は切っても切り離せないようです。

年齢階層別の平均給与

前述の同調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を年齢階層別にも算出しています。

男性は20歳から60歳までは右肩上がりで平均給与が上がり、55歳~59歳でピークを迎えます。20歳~24歳の平均給与は277万円であるのに対し、55歳~59歳は668万円です。

他方、女性は25歳~29歳の年齢層で平均給与がアップするものの、その後は大きな変化は見られません。20歳~24歳の平均給与は242万円、25歳~29歳は319万円、55歳~59歳は311万円です。男性に比べ、女性の昇進・昇給が少ない実態がうかがえます。

勤続年数別の平均給与

同調査によれば、日本の会社は勤続年数と平均給与が比例する傾向があります。厳密に言えば、勤続年数30~34年までは右肩上がりで、35年以上は減少の一途をたどります。

勤続年数 平均給与
1~4年 315万円
5~9年 371万円
10~14年 446万円
15~19年 508万円
20~24年 575万円
25~29年 646万円
30~34年 662万円
35年以上 573万円

日本の会社の多くは、年齢や勤続年数によって平均給与が上がる「年功序列」を採用しています。近年は、成果主義を採用する会社が増加傾向にありますが、全体から見ればそれほど多くはないようです。

年功序列は、優秀な若手社員の実力が正当に評価されにくいのがデメリットです。会社は古参社員の年収をカットできないため、若手の年収を安易に上げられないと推察されます。

収入を増やしたい人は成果主義の会社に転職をするか、投資や副業を検討する必要があるでしょう。

高年収の割合が大きい業種

高年収の割合が大きい業種

平均給与は業種によっても大きく異なります。「他業種にキャリアチェンジをしたら、給料が大きく上がった」という人は少なくありません。高年収の割合が大きい業種は「景気の影響を受けにくい」「人々の生活に欠かせない」などの共通点があります。

電気・ガス・熱供給・水道業

同調査の「業種別の給与階級別分布」によると、平均給与が最も高いのが「電気・ガス・熱供給・水道業」です。800万円超を占める人の割合は33.7%と最も多く、次いで「600万円超700万円以下」が19.1%となっています。

産業大分類別における1企業あたりの売上高は、電気・ガス・熱供給・水道業が最も高く、2位の金融業・保険業とは28億円以上の差があります。

  • 電気・ガス・熱供給・水道業:69億769万円
  • 金融・保険業:41億220万円
  • 複合サービス事業:16億3,380万円

国民の生活に欠かせないうえ、景気の影響を受けにくいことが安定した経営状態を維持する理由と考えられます。

参考:令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計(PDF)|総務省・経済産業省

金融・保険業

金融・保険業界は、給与が高い業界の代表格です。同調査の「業種別の給与階級別分布」によると、金融・保険業では平均給与が800万円超の給与所得者が25.0%を占めています。

1企業あたりの売上高は、電気・ガス・熱供給・水道業に続く第2位で、41億220万円にも上ります。

金融・保険業で働くには、金融に対する高い専門知識が必要です。プロフェッショナルとして活躍するにはそれ相応の努力が求められるため、給与も高めに設定されていると推察されます。

参考:令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計(PDF)|総務省・経済産業省

情報通信業

情報通信業には以下のような業種が含まれます。

  • 電気通信業
  • 放送業
  • 放送番組制作業
  • インターネット関連サービス業
  • 情報サービス業
  • 映像・音声・文字情報制作業

同調査の「業種別の給与階級別分布」で見ると、情報通信業では500万円超が全体の半数を超え、うち800万円超が20.8%を占めています。

放送システムを構築するプロジェクトマネジャーや、大手通信企業のテクニカルディレクターといった特定のポジションになると、年収が1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

平均年収は一つの指標として参考に

平均年収は一つの指標として参考に

直近10年の日本の平均年収は先進各国と比べ低水準で推移しています。政府は賃金アップのためのさまざまな取り組みを講じていますが、先進国の中でも日本の賃金水準は下位ランクという結果です。

日本国内における平均給与は、地域・年齢・性別・会社の規模・職種などによって大きく異なります。収入増を目指すならば、「規模の大きな会社に転職する」「業種を変える」「就業地を変える」といった方法が考えられるでしょう。

なお、平均給与は個々のデータを足し合わせて人数で割った値です。実態と大きく乖離するケースがあるため、あくまでも一つの指標として参考にしましょう。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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