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2022.06.02

レバナスは下がったけど不動産は大丈夫!? 有価証券と不動産の「レバレッジ」の違い

レバナスは下がったけど不動産は大丈夫!? 有価証券と不動産の「レバレッジ」の違い

米国株を筆頭に相場が良好だった2021年、TwitterなどSNSを中心に話題を集めたレバレッジ商品の一種「レバナス」は、2022年に入って相場が変わると反落。大きな損失を抱えることになった投資家も少なくありません。

不動産投資もまた、ローンを活用したレバレッジをかける手法が取り入れられる投資商品です。これら有価証券やFXのレバレッジと不動産投資のレバレッジは、一見同じように見えて実は大きく性質が異なります。

有価証券やFXにおけるレバレッジの基本的な性質と、不動産投資におけるレバレッジとの違いを紹介します。

そもそもレバレッジとは?

レバレッジとは日本語の「てこ」を意味する英語ですが、投資の世界においては、元本より大きな金額の投資を行うことを意味します。まずは、レバレッジの基本について確認していきましょう。

元本より大きな金額の投資を行い損益を拡大させる手法

レバレッジとは、保有している資金の「元本」よりも大きな金額の投資を行うことを意味します。この定義は、有価証券投資でも不動産投資でも変わりありません。

普通の株式投資では、例えば100万円の現金を投じれば、100万円分の株式を買うことができます。このときレバレッジはかかっていません。

しかし、100万円の現金を投じて200万円分の株式に相当する投資を行えば、これはレバレッジがかかっているといえます。ちなみにレバレッジの大きさは「倍」で表されます。

(投資先の規模)÷(実際に投じている資金)レバレッジは計算されます。

この例ではレバレッジは「2倍」です。

レバレッジによる効果

レバレッジをかけるためにかかる費用(信託報酬など)は無視しますが、レバレッジをかけると、投資の収益と損失いずれに対しても、結果はその倍数分だけ拡大します。

先ほどの例で紹介します。株価100円の株100万円分購入したとして、1年後に株価が110円になれば、資産は110万円に増えるため、この時10万円の収益が発生します。もしレバレッジを2倍かけて200万円分投資していた場合、同じように株価が100円→110円となれば、資産は220万円に増えるため、収益は通常の2倍の20万円となります。

収益が出ているときはよいですが、株が下落した場合には、同様に損失幅が拡大することになります。

有価証券やFXでレバレッジをかける方法

レバレッジをかけた投資で個人投資家が行うものとしては、有価証券やFXなどが人気です。いずれも比較的手軽にチャレンジできる反面、実は個人の投資家にとっては管理が難しく、ハイリスクな投資となってしまっているケースもあるので注意しましょう。

有価証券のレバレッジ

個人投資家が有価証券でレバレッジをかけて行う投資は、大きく分けて2つあります。

  • 信用取引
  • レバレッジのかかった投資信託などを購入

信用取引とは、証券会社で行うことのできる取引です。「証拠金」とよばれる一定額の資金を差し入れることで、証拠金よりもある程度大きな規模の株式投資が可能になります。一般的にリスクが高く高度な銘柄分析に基づき投資先やタイミングを厳選する必要があるため、上級者向けの投資手法といえます。

信用取引よりも手軽にレバレッジをかけた投資を行う方法として、投資信託などのファンドを購入する方法があります。「ブル型」とよばれたりもしますが、投資信託には、プロの運用会社が特定の株価指数や株式市場にレバレッジがかかった運用を行ってくれる商品が多数存在します。

特に人気化していたレバナスをはじめ、2021年には相場が好調ななかで、複数のレバレッジ商品が人気を集めていました。

レバレッジがかけられた投資信託の例

レバレッジナスダック(レバナス) アメリカの新興株式の指数「ナスダック100」の2倍の値動きを目指す
S&P500・4倍ブル型ファンド アメリカの株価指数「S&P500」の4倍の値動きになるような運用を目指す
日本株ダブル・ブルファンド 日本の株価指数の2倍の値動きになるような運用を目指す
日本株4.3倍ブル 日本の株価指数の4.3倍の値動きになるような運用を目指す

こうしたシンプルなレバレッジ型投資信託は、特定の株価指数や市場指数の数倍の値動きになるように運用が行われます。そのため、例えばこれらのファンドを100万円分購入すれば、その数倍の投資を行ったのと同等の収益が得られるチャンスがあるわけです。もちろん、損失が数倍に膨らむ逆のリスクもあります。

FXによるレバレッジ

レバレッジをかけて投資を行う手法としては、FXも一般的なものになってきています。FXとは「証拠金」とよばれる現金を証券会社に差し入れることで、証拠金よりも大きな金額規模の為替取引を行うことができる手法です。

為替自体のリスクは、ほかの有価証券、特に株式などと比べて飛び抜けて高いわけではないのですが、現在では預け入れた資金の最大およそ25倍のレバレッジをかけた取引ができるため、証拠金に対して取引する金額規模が大きいとリスクが高くなるケースがあります。

例えば100万円の証拠金で2,500万円分の1米ドル=100円の時に米ドルに投資したとします。上下に為替が動いたときの損益は次のようになります。

  • 購入するドル:2500万円÷100円=25万ドル
  • 1円円安ドル高になった時:
    (101-100)×25万ドル=25万円 25万円の収益
  • 1円円高ドル安になった時:
    (99-100)×25万ドル=-25万円 25万円の損失

このように1円為替が動くだけで25万円以上、すなわち元々の元本100万円の25%以上の損益が発生することになります。

有価証券やFXのレバレッジのメリット・デメリット

有価証券やFXでレバレッジをかけた取引を行うメリット・デメリットを整理すると、次のようになります。

メリット

  • 手軽に売買ができる
  • 少ない金額で、大きな金額で取引をするのと同等の効果が得られる
  • うまくいけば大きな収益が得られる
  • 少額でチャレンジできる

有価証券やFXのレバレッジのメリットは、なんといっても「手軽」なことでしょう。レバレッジ型のファンドや信用取引は、主要な証券会社に口座があれば簡単に始められます。FXは専用のFX口座を開く必要がありますが、これも口座開設手続きをすれば、18歳以上であればほとんどの人が簡単に開設可能です。

少ない金額でも、大きな金額で資産を保有しているのと同等の投資効果が得られます。すなわち、期待通りに相場が動いた場合は、短期間で高い収益を得られるチャンスがあるのです。

この点に限れば、投資信託のレバレッジは現在高くても4倍程度であるのに対し、FXは25倍までレバレッジを高めることができるので、FXの方がメリットは大きいといえます。

少額でチャレンジできるのもメリットです。投資信託は1万円以下で購入できる商品がほとんどですし、FXに至っては現在では数百円〜の証拠金で投資ができる業者もあります。

デメリット

  • リスクが非常に高くなる可能性がある
  • 追証」が発生するリスクがある(FXや信用取引の場合)
  • ファンド自体が運用を終了するリスクもある(投資信託の場合)

信用や株価指数のレバレッジ、FXなどは非常にリスクが高くなるのが、個人投資家にとってのデメリットです。時には個人が管理できないほどのリスクを負ってしまい、相場下落時などに大きな損失を発生させてしまうかもしれません。

有価証券のリスクを正確に把握するのは、個人投資家では意外と難しいものです。本来はリスクの高低を踏まえて適切な水準のレバレッジがかかった投資手法を選択すべきなのですが、ある程度投資に精通した人でない限り、そこまで行うのは困難でしょう。

また、普通に株式投資をしていた場合、投資における最悪のケースは「全損」いわゆる「紙切れ」になることです。

これでも十分不幸ですが、FXや信用取引は、差し入れた証拠金に対して損失が大きくなりすぎると、当初の資金が無くなるだけで済まされず、資金をさらに証券会社に差し入れなければならなくなるケースもあります。これを「追証」といいます。

投資信託の場合は追証の心配はありませんが、運用会社や販売する金融機関の判断で投資信託自体が運用を終了する場合があります。もし運用を終了する時に損失が発生していると、損失を抱えた状態で現金化しなければなりません。

ただし、万が一運用終了となったとしても、当初の元本以上の損失が発生することはないので、投資信託によるレバレッジ投資は、FXや信用取引よりはデメリットが小さいといえるでしょう。

不動産投資でレバレッジをかける方法

レバレッジをかけた投資手法として、ほかに盛んに行われているのが不動産投資です。「少ない資金で大きな金額の投資を行う」というレバレッジの土台部分は有価証券やFXと同じです。しかしそのほかは大きく異なる特徴を持つ投資手法です。少し手間はかかりますが、リスクをあまりかけたくない人にはおすすめです。

不動産投資のレバレッジ

不動産投資は、特定の不動産物件を購入して投資を行います。プロの投資家や企業が運用する場合は、不動産価格の値上がりを重視して投資される場合もありますが、個人投資家においては、家賃収入を収益の源泉とした投資が一般的です。

不動産物件は、地方の築古物件などにおいては極端に安いものもあるものの、一般的にはマンションの区分投資で1千〜数千万円程度、アパートの一棟買いは1億円以内、さらに規模の大きい物件は1億〜数億円といったように、非常に大きな金額が必要になります。

これをすべて現金で支払うのは困難なため、ほとんどの個人投資家は金融機関の不動産投資ローンを活用して投資を行います。

例えば、2,000万円のワンルームマンションを購入する際に、自己資金を500万円、1,500万円を不動産投資ローンを活用した場合は、500万円の資金2,000万円の投資を行うことになります(簡単化のため諸費用などは考慮せず)。この場合、4倍レバレッジがかかっていることになります。

このように不動産価格と自己資金、そして不動産投資ローンの関係性により発生するのが不動産投資のレバレッジです。

不動産投資のレバレッジのメリット・デメリット

不動産投資はレバレッジをかけたとしても、有価証券やFXのようにはリスクが高くなりません。また、個人でも大きな資産を形成しやすいのも特徴です。反面、手続きが相対的には大変、必要な最低金額が大きくなるなどのデメリットがあります。

メリット

  • 高いレバレッジをかけられる
  • レバレッジを高めてもリスクが大きくは上がらない
  • 大きな規模の資産を形成しやすい

不動産投資ローンは、不動産資産を担保にすることで資金調達を行う手法です。そのため不動産の資産価値が高く、規模が適切であれば、比較的低い金利で個人でも多額の資金調達が可能です。区分マンションの投資など、物件によっては購入費用のほとんどをローンでまかなうこともできます。

例えば、2,000万円の物件に対して初期費用を50万円、ローンで1,950万円を調達した場合、レバレッジは40倍となります。このように実は不動産投資の方が高いレバレッジをかけられる場合があります。

一方でレバレッジを高めても、FXや信用取引などのようにはリスクは高くなりません。これらの取引でレバレッジをかけるとリスクが大きくなるのは、株価や為替が刻一刻と変わることで、損益が発生するためです。

不動産投資では、毎月の家賃収入が主な収益源です。家賃は株価や為替のようには大きく変動しません。そのため、レバレッジをかけても損失が大きく膨らむリスクは大きくなりにくいのです。

リスクを高めずにレバレッジをかけられるため、個人でも大きな資産を形成することが可能なのが不動産投資です。区分マンションの投資で2,000万円前後、アパートなどでは数千万円〜1億円程度の資産形成ができます。

デメリット

  • 相対的に手続きがやや手間
  • 最低限必要な金額が大きめになるケースが多い
  • 短期間で高収益を目指すのは難しい

不動産投資を行うとなると、ローンの手続きや登記手続きなど、有価証券と比較して手続きは面倒で、実際に投資を始めるまで時間もかかります。住民票などさまざまな書類の準備も必要なので、有価証券やFXの投資よりは手間もかかるでしょう。

また、レバレッジにより不動産の物件価格よりは少額でチャレンジできるとはいえ、数十万円程度の自己資金は必要になるのが一般的。FXなどのように数百円で投資を始めることは困難です。

最後に、不動産投資は家賃を地道に積み上げて収益化する投資なので、短期間で高収益を上げることは困難です。短期投資には不向きで、長期投資の一環として取り組むのがよいでしょう。

不動産投資はレバレッジを高めても相場変動の影響を大きく受ける投資ではない

最近は株式をはじめ相場の値動きが不安定な局面が増えており、FXや信用取引、投資信託などでレバレッジをかけた取引を行っている人のなかには、少なからず損失が発生している人もいます。

対して不動産投資は、家賃収入をメインに投資するものであるため、そもそも相場変動の影響を受けにくい投資方法です。そのため、たとえ不動産投資ローンによりレバレッジをかけていても、相場変動による損失リスクは高くなりません。他方、相場上昇したときに高収益が得られるわけではないことにも留意する必要があります。

高いリスクを取ることができ、短期で高収益を目指したい人は有価証券やFXでの投資、大きな資産を形成して長期でじっくり家賃収入を積み上げていきたい人には、不動産投資がおすすめです。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

伊藤圭佑 証券アナリスト

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。

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