この記事を書いた人 中村昌弘
不動産投資をするときに、物件を現金で購入するかローンを組むか、どちらにすべきか悩まれる人もいると思います。 そこで本記事では、それぞれのメリット・デメリットについてわかりやすくまとめ解説するとともに、それぞれのお得な人の特徴、現金一括購入すると節税になるのか等といった疑問についても紹介します。
CONTENTS目次
不動産投資で現金購入、もしくはローンのどちらを選ぶべきかを判断するには、まずそれぞれのメリット・デメリットである以下を知りましょう。
項目 | 現金 | ローン(融資) |
---|---|---|
メリット |
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デメリット |
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現金で購入するメリットは以下の点であり、これは同時にローンで購入するデメリットでもあります。
現金で購入すると金利がかかりません。一方、ローンを組むと金利がかかるので、この点がローンを組む最大のデメリットでしょう。
ただし、金利が何%に設定されるかは借入者によって異なりますので、金利のパーセンテージとその金利によってどのくらい「金利分の支払い」があるかを確認することが重要です。
決済スピードは現金の方が早いです。不動産投資ローンを組む場合、本審査に申込みをしてから承認を得るためには、短くても2週間程度はかかります。
そして、その後に金銭消費貸借契約(ローンの本契約)を結ぶ必要があるので、売買契約を結んでから引渡し(融資実行)までにどうしても時間がかかっていまうのです。
一方、現金はこのような審査がないので、売買契約を結んでから数日で引渡し(決済)可能です。
現金で購入すると物件を安く買える場合があります。というのも、前項のように現金は決済スピードが早いからです。
売主からすると、「即現金が必要」という理由で不動産を売却している場合もあり、そのようなケースの場合は「売買契約を締結してから3日以内に決済します」という現金買いの方が嬉しいのです。
そのため、「現金で購入して決済を早くする」という条件で、物件を安く買える場合があります。
ローンで購入するメリットは以下の点であり、これは同時に現金で購入するデメリットでもあります。
ここでいうレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な資産を取得する」ことです。不動産投資ローンの借入額は人それぞれですが、年収の数倍以上の借入を行えるケースは多いです。
投資の収益性は「保有資産額×利回り」で決まるので、保有資産額を高めることができる…つまりレバレッジ効果の高い「ローンを利用した不動産投資」は収益性も高くなりやすいのです。
不動産投資ローンを組むと、団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険とは、借入者が亡くなったときや高度障害になったときに、残債が補填される保険です。
つまり、団体信用生命保険に加入することで、借入者に万が一のことがあっても「借金ゼロの投資用不動産」を家族に遺すことができるのです。
また、ローンを組むということは、自分の手持ち資産を残すことにつながります。
不動産は一千万円単位の商品が多いので、現金で購入すると一気に手持ち資金がなくなってしまいます。一方、ローンだと手持ち資金を残せるというメリットがあるのです。
不動産投資ローンを組んでコツコツ返済していれば、金融機関からの信用が貯まります。その信用は次の物件を購入するときに有利な条件で借入できるので、事業拡大がしやすいというメリットにつながります。
また、現金で不動産を購入するとなると、まとまったお金が必要です。そのため、「まとまったお金」を作るのに時間がかかれば、不動産投資をはじめるのが遅くなってしまいます。
その点、ローンを組んで不動産を購入すれば、お金を貯める前に不動産投資をはじめられるので、早い段階から資産を増やすことが可能です。
前項で、不動産投資で現金購入するときとローンを組むときのメリット・デメリットが分かったと思います。その点を踏まえて、不動産投資で現金購入する方がお得な人は以下のような人です。
一言でいうと、「お金が潤沢にある人」になります。お金が潤沢にあれば、前項で解説した現金購入のデメリットも払拭されるでしょう。
お金が潤沢あれば現金購入しても手持ち資金は残りますし、そもそもレバレッジ効果を得る必要もありません。
そのため、上記に該当するような方は不動産を現金で購入して、不動産投資をはじめた方が金利面や決済スピードの面でお得といえます。
一方、不動産投資ローンで物件を購入する方がお得な人は以下のような人です。
まず、継続して安定した収入がある人…たとえばサラリーマンの方や公務員の方などは不動産投資ローンで購入する方がお得です。というのも、このような方は不動産投資ローンを有利に組みやすいからです。
その理由を知るためには、まず金融機関のローン審査項目が以下である点を知っておきましょう。
前項のように、ローン審査には購入する物件の収益性や担保価値も加味されます。というのも、不動産投資ローンの返済原資は、投資用物件からの家賃収入だからです。
しかし、その物件が空室になったり家賃が下落したりしたときには、手持ち資金から捻出する必要があります。そんなときに、収入の安定性や継続性が重要になってくるのです。
そのため、いくら年収が高くても、自営業者などは審査が厳しくなる傾向があります。一方、会社員や公務員などは審査に通りやすく、かつ有利な条件でローンを組みやすいのです。
また、子供がいるファミリーの方が不動産投資をする場合も、不動産投資ローンを組んだ方がお得でしょう。というのも、子供がいる場合は以下のような突発的な支出があるからです。
もちろん、子供がいない方でも突発的な支出は発生します。しかし、子供がいる場合は特に教育関連の費用が高額になるため、できるだけ手持ち資金は確保しておいた方がよいでしょう。
そのため、手持ち資金をあまり出さなくてもよい、不動産投資ローンでの物件購入の方がよいというわけです。
また、定期預金などをしている人も、不動産投資ローンを組んだ方がお得になるケースがあります。というのも、不動産投資ローンを組む場合は、住宅ローンを組むときよりも個別属性や人間性を重視するからです。
たとえば、信用金庫から借り入れる場合に、管轄する支店の支店長と面談を経て…というパターンは少なくありません。一方、このようなことは住宅ローンを組むときはまずないでしょう。
そのため、たとえば「定期預金を5年つづけている」や「まとまった貯蓄をしている」人は、その金融機関でローンを組みやすくなります。
前項までを踏まえ、不動産投資は現金かローンどちらがお得か?というと、以下の理由でおすすめはハイブリッド型です。
ハイブリッド型とは、頭金を現金で支払い、残りをローンで組むという「現金×ローン」で物件を購入するパターンになります。
ハイブリッド型をおすすめする1つ目の理由は、そもそも現金が潤沢にある人は少ないからです。投資用物件の中には、数百万円程度の物件もあるので、そのような物件を現金で買える人は少なくないでしょう。
しかし、格安物件は何かしらのリスクを抱えているので、やはり堅実な不動産投資をするなら最低でも一千万円前後の価格になります。
しかし、そのような高額なお金を簡単に現金一括で支払える人は多くないので、ローンを組まない限り投資スピードが遅くなってしまうのです。
そのため、できる限りの現金を頭金に設定し、残りをローンに頼る…というハイブリッド型が最適といえます。
ハイブリッド型をおすすめする2つ目の理由は、ローンを組まないと金融機関の信用が貯まらないからです。これは、先ほども少し触れましたが、不動産投資において金融機関の信用を貯めることは、事業拡大につながります。
というのも、不動産投資の場合は「事業拡大=物件を増やす」ことであり、そのためには金融機関からの融資は欠かせないからです。特に、現金が潤沢にない一般のサラリーマンであれば、物件取得はローンを組まないと成立しません。
そして、ローンを組むときには金融機関の信用を貯めておくことが重要であり、その信用を貯めるためには実績をつくることが一番です。
このように、「ローンをきちんと返済した」という実績を残すことで金融機関の信用を貯めることができ、今後の借入が有利になります。
とはいえ、全額ローンを組むと、上述した金利面などのデメリットがあるので、可能な限り頭金を拠出するハイブリッド型がよいというわけです。
さいごに、不動産投資を現金で購入するときによくある疑問である以下に回答します。
不動産投資は現金一括購入すると、多少節税につながります。というのも、現金一括購入するときには登録免許税の「抵当権設定」に関する費用がかからないからです。
不動産を購入するとき、所有権を登記(名義変更)し、ローンを組むと金融機関が抵当権を設定します。現金で購入する場合は抵当権を設定する必要がないので、その部分の登録免許税が浮きます。
しかし、費用としては微々たるものですので、節税効果としては小さいといえるでしょう。
現金で物件を購入する方法は、一般的に現金を持参するか、小切手で支払うかの二択です。
金額が大きいので、現金だと輸送リスクや盗難リスクがあるので、一般的には小切手で支払うケースが多いでしょう。この支払方法は売主との相談になります。
このように、不動産投資は現金購入とローンでの購入の二択ですが、どちらも組み合わせるハイブリッド型がよいでしょう。いずれにしろ、キャッシュフローをきちんと考え、計画性のある不動産投資をすることが重要になります。
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
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