住人目線の街案内:交通の便は最高で待機児童はゼロ、実は子育てがしやすい街!ただ一つの問題は……水道橋~神保町
東京にはたくさんの駅がある。その存在は知ってはいるけど、まだ降りたことがない駅も多い。食べたことのない料理に挑戦するように、行ったことのない街を歩いてみたら楽しいのではないか。そこで、初めて訪れる街に住む人にお願いをして、その人の目線でどんな街なのかを案内してもらうことにした。第4回は『水道橋』駅だ。
水道橋から大阪に引っ越し後、また水道橋に戻ってきた竜輔さん
JR東日本の中央・総武線の各駅停車、および都営地下鉄三田線が利用できる水道橋駅。東京ドームや後楽園ホールの最寄り駅なので、イベントを観るために何度か訪れたことはあるものの、ファミリーが移り住む街というイメージはまるでない。たまにライブやスポーツを観に行く街、あるいは大学や勤務先のある人が通う街という印象だ。
今回お話を伺った竜輔さんは、香川県出身のITエンジニア。秋葉原などでの一人暮らしを経て、現在は水道橋に奥さんと二人のお子さんの家族4人で住んでいる。
「大学を卒業後、地元の香川県に就職したんですが、入社3か月で東京へ転勤になっちゃって。事務所があった秋葉原(水道橋の隣の隣駅)に引っ越して、仲良くなった人もできたので、転職や結婚をして足立区とかにも住みましたが、またこっちに住みたいなって思うようになって。それでダメ元で探してみたら、都から補助が出る都民マンションっていうのが神保町にあって、そこにちょうど世帯構成とか年収がフィットして、うまいこと入れたんです。仲介してくれた不動産屋に『本当は何があったのか教えてください!』って聞いちゃうくらいに家賃が安かった。実際に住んでみると、千代田区は子供の医療費とかタダだし、公立の小中学校も徒歩圏内にあるし、とても子育てがしやすい街だったんですよ」
この街がとても気に入った竜輔さんファミリーだが、震災の年に大阪へと転勤することになる。
「大阪には3年くらいいたのかな。上の子が小学1年生の夏休みに急遽東京へ戻ることになって。元々通っていた幼稚園に友達がいたから、同じ学区の小学校に入れてあげたいなと、またこの街に戻ってきました。今度は都民マンションじゃないので、家賃がかなり高くなっちゃいましたが、そこは仕事を頑張ろうと。だから土曜は仕事に疲れて寝ていることが多いので、午前中からこうやって子供たちと散歩するのは久しぶりです」
水道橋~神保町の暮らしぶり
家族4人で水道橋へと戻ってきてからの暮らしはどうでしたか?
「かほは昔からの友達が学校にいるから、登校初日から『東京たのしー』って、すぐに馴染んだみたいです。けいしも立派な児童センターが併設されている保育園に入れたので大喜び。東京って待機児童が多いイメージですけど、千代田区は待機児童がゼロなんです。児童センターもここまでの設備はなかなかないだろうっていう施設で、この近くに住みたいっていうのもあったんですよ」
「街の治安も良いですよ。ドームでの野球とかライブの後、ちょっとうるさいけど。学生の町だから安くてボリュームのある飲食店も多いし、有名なラーメンやカレーの有名店もたくさんあります。特にラーメンは好きなので嬉しいですよね」
「最近までスーパーが近くになくて不便だったんですけど、まいばすけっととマルエツが立て続けにオープンして、今や店を選べるようになりました。DIYでテーブルや棚とかを作ったりもするんですが、DOIT(ドイト)っていうホームセンターが後楽園の方にあります。趣味のビリヤードをやる店もあるし、スポーツ用品店や本屋もたくさんあるから、こんなに交通の便が良い街なのに、意外とどこにもいかない。徒歩圏内で十分なんです。山手線の真ん中で、のんびりと田舎暮らしみたいな生活をしています」
東京在住の友人から、ホームセンターが近くにないという悩みをよく聞くが、意外にもこの街にはあるのか。秋葉原からもすぐ近くだし、どんな趣味の人でも住み心地は良さそうだ。
「家からは東京ドームも武道館も徒歩圏内。普段使いする場所じゃないんですけど、東京ドームの周辺はショッピングモールみたいになっているので、家族で買い物をしたり、食事をするのに便利です。お気に入りの散歩コースになっています」
「そういえば子供の習い事で武道をやらせようと思って、僕が子供の頃にやっていた少林寺はどうだろうと一番近い場所を調べたら、そこが武道館で。本格的過ぎてやめちゃいました」
最寄りの散歩コースが東京ドームで、一番近い道場が武道館。普通に生活をしているだけで笑い話がいくらでも生まれてきそうな街だ。
地元の方々との繋がり
香川県出身で東京には知り合いがいなかったという竜輔さんだが、現在は地元の町会にも入り、すっかりなじんで生活している。
「町会に入っている人は、ほとんどが昔から住んでいる地元の人。余所から来る人はほぼいないですね。それでも入っちゃえば、ちょっとずつ仲良くなって、子供縁日とかの手伝いをさせてもらったりしています。こっちに親戚とかいないので、子どもを見てくれる目が増えるのが助かる。この子たちを知っている大人がたくさんいた方が、なにかと安心ですよね」
「その町会のつながりで、2年に1回おこなわれる御崎神社例大祭の運営にも関わらせてもらっています。この前の祭りは安室奈美恵さんの東京ドームライブと同じ日で、神輿を担いでいる人たちが『安室奈美恵に負けるなー』って盛り上がっていました。子どもがいるからっていうも大きいですが、こういった地元との繋がりも意外と楽しいですよ。今日も町会のメンバーの家でバーベキューです」
竜輔さんから話を聞くと、水道橋から神保町のエリアは、ファミリー層にとってとても住みやすい街のように思える。もちろん単身で住んでも、どんな趣味でも受けとめられそうな街なので、絶対に楽しいだろう。ただし、問題はやっぱり家賃のようだ。
「つい最近、同じ学区内で引っ越したんですけど、やっぱり相場は高いですよね。今後もずっとこの街に住めるものなら住みたいんですが、払い続けられるのかという不安がね。賃貸をやめて家を買うといっても、そもそもファミリー向けの物件がそんなにないんですよ。でもそろそろ、ちゃんと探してみようかな」
家賃の高さに悩む竜輔さんだったが、それでも家族全員がこの街が好きだから、これからも住むのだという強い意志を感じた。
実は家族で住みやすい街だけれど、物件の数が少なくて家賃相場の高い街。もし手ごろな物件があれば、投資物件としてもいいかもしれない。
今回竜輔さんに案内してもらった場所の地図はこちら。
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