不動産投資における金利の重要性は?相場やリスクへの対策を紹介
不動産投資をするとき、多くの人が金融機関でローンを組みます。借入金額を大きくするほど、月々のローンの返済額は無視できないものになります。ここではローンの金利について、相場やリスクといった観点から解説します。
不動産投資ローンと金利の基礎知識
不動産投資ローンにはどのような金利の設定方法があるのでしょうか。金利についての概要を把握しましょう。
金利の種類
不動産投資用のローンには、他のローンと同じく、変動金利と固定金利の2種類あります。変動金利は、金利の相場を反映して、金利が変動するタイプの金利です。そのため、金利が相場に合わせて上昇するリスクをはらんでいます。
固定金利は、金利の相場に関わらず、あらかじめ定めた金利のまま融資期限まで払い続けます。金利は固定されたままですが、変動金利に比べて若干高めに設定されるという特徴があります。
自宅用の住宅を購入するときに組む住宅ローンでは固定金利が多いですが、不動産投資用のローンでは変動金利で組むことがほとんどです。
借入の金利は経費にできる?
不動産投資を始めると確定申告が必要となります。結論からいうと確定申告の際経費として計上できるのはローンの金利のみで、元本は経費にすることができません。
詳しくはこちらの記事(不動産投資の借入の金利は経費にできる?損益通算についても解説)をお読みください。
不動産投資ローンの金利はなぜ重要?
借入金自体が数千万~数億円単位になることが多いため、不動産投資ローンの金利も大きなものになります。月々の返済金額が大きくなるとキャッシュフローが圧迫されますので、金利について検討することが重要です。
利回りばかりではない
物件を探すときに多くの方が参考にするのが利回りでしょう。不動産のサイトに表示されている利回りを見て、どれだけの収益をあげられそうかを見ていくことが多いでしょう。
一方でローンの審査では、利回りの高さはリスクの高さとして判断されることもあります。
利回りが高いことでリスクが高いと判断され、金利をあげられた場合、その金利は月々の手取り収入を圧迫してしまうことにつながります。
金利を考慮すると収益性が逆転することも
金利と利回りの差をイールドギャップといいます。イールドギャップが大きい物件は、それだけ収益性のある物件と言えます。
例えば、利回りが8%の物件と5%の物件があった時、利回りが8%の物件には金利5%の融資しかつかず、利回り5%の物件には1.5%の好条件の融資がついた時を考えてみます。
この時のイールドギャップは利回り8%の物件では3%、利回り5%の物件では3.5%となり、利回り5%の物件の方が収益性が高いことになります。
このように利回りが高い物件のほうが収益性が高いとは限らないのです。
不動産投資ローンの金利の相場
では不動産投資ローンの金利の相場がどのようになっているのかを見ていきましょう。
金利の相場は
金利の相場は金融機関ごとに異なります。不動産投資ローンの金利はおよそ1.5~3%程度とされます。これは金融機関と提携している不動産会社を介して購入した場合です。金融機関は不動産会社と提携している場合が多く、個人で物件を探し金融機関へ持ち込むよりも不動産会社を介したほうがはるかに低い金利での購入が可能です。
金利の推移で傾向をつかむ
不動産投資ローンの金利推移ではありませんが、日本銀行公表の「貸出約定平均金利の推移」を見てみると、金融機関からの貸出金利の動向がわかります。
メガバンク、地方銀行信用金庫全てで2017年10月から2018年3月にかけて、0.1~0.2%ほど金利が低下しています。全体として金利が低下傾向にあることがわかります。
金利交渉はできる?
不動産投資ローンの金利を交渉して安くできるのであれば利用したいですが、結論から言うとありません。ただし、金融機関と提携している不動産会社をうまく選ぶことで低金利で資金を得ることが可能とされています。
金利の上昇リスクに備えるには
不動産投資ローンの場合、多くは変動金利でローンを組むことは先ほど説明しました。変動金利は、相場に合わせて金利が変動するため、金利が上昇してキャッシュフローを圧迫する可能性があります。
金利上昇のリスクとは
金利上昇のリスクとは、ローンの金利が上昇することで返済金額が増えてしまうことです。
2,000万円を期間35年、金利1.9%で借り入れた場合を例に考えましょう。
月々の元金返済額は6万5,230円です。しかし金利が3%に上昇すると、月々の返済額は7万6,970円となります。
月々約1万円以上も返済額が増えることになります。年間にすると12万円も返済額が上がります。利回りの低い物件であれば、この金利上昇だけで月々のキャッシュフローが赤字になってしまう可能性があります。
今後金利が上昇する可能性も考えられます。ある程度の金利の上昇リスクは認識したうえでローンを組みましょう。
余裕を持った借り入れが大切
金利上昇リスクに備える1番の対策は、余裕を持った借入を行うことです。無理のない借入には一般的に返済比率が適正であることが必要です。返済比率とは年間収入に対して年間支出が占める割合を表します。この場合年間収入とは給与収入、家賃収入のことで、年間支出とは借入の返済(住宅ローンやオートローンの支払いなど)や家賃のことです。以下の式で計算できます。
金利がある程度上昇しても返済できるように、自己資金やローンの借入期間を設定しましょう。
また、あまりに利回りの低い物件を選ばないことも大切です。利回りの低い物件に投資していると、金利の上昇で月々の返済額が上昇したとき、月々の収支がよりマイナスになってしまう可能性があります。ある程度の利回りを見込める物件を選ぶことで、金利が上昇したときでも赤字になりにくくなるのです。
固定金利も選択肢の1つ
金利の上昇リスクは変動金利ならではのリスクです。そのため固定金利を選択することで、この金利上昇リスクを回避できます。
しかし固定金利は、変動金利が抱えている金利上昇リスクを金融機関側に負担させる金利方式のため、若干高めの金利に設定されてしまいます。
一定期間、固定金利で据え置いた後に変動金利に切り替えるタイプの固定期間選択型や、3年や5年などの短期固定金利を活用することも選択肢の1つかもしれません。
不動産投資では自分で計算してみることも大事
不動産投資ローンを組む際には自分の将来設計に照らして返済プランを考えていく必要があります。その際には専門家と相談しながら、自分の資産状況を可視化してみるのも大切なのです。
例えば不動産投資を融資を受けながら行う際の返済比率は以下のような式を用いて計算してみると良いでしょう。
返済比率は一般的に35%以下が望ましいとされます。ただし、いうまでもなく一人一人状況が違いますから計算してみて不動産投資や自分の資産状況について過度に悲観的になる必要はありません。それでも、自分で数字を出してみると専門家に相談する際もスムーズになります。
返済比率以外の不動産投資に便利な計算式について詳しくはこちらの記事(不動産投資の種類と計算方法。適正な返済比率・年収倍率についても解説)をお読みください。
まとめ
不動産投資においてどれだけ低い金利で借りられるかはとても重要です。また金利の変動リスクに適切に対処することも忘れてはいけません。金利についての正しい知識を身につけて、堅実な不動産投資を目指しましょう。
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