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公開日: 2025.10.29

不動産投資でリフォームを検討するタイミングとは? 場所別の費用相場も解説

監修:
柴田充輝 (1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士)
不動産投資でリフォームを検討するタイミングとは? 場所別の費用相場も解説

「空室が続いて収益が安定しない」
「物件が古くなって競争力が落ちてきた」

不動産投資を続けていると、このような悩みが出てくることもあるでしょう。

こうした課題を解決する有効な手段が「リフォーム」です。包括的な改修を施し価値を向上させるリノベーションとは異なり、古くなった設備を交換するなど部分的に新しくすることでも、物件の価値を効果的に向上させることができます。

本記事では、不動産投資でリフォームを検討すべきタイミングや場所別の費用相場、成功させるための4つのポイントについて詳しく解説します。適切なリフォームで物件の競争力を高め、安定した賃貸経営を実現しましょう。

不動産投資でリフォームをするメリット

 

不動産投資物件において、リフォームが必要とされる理由は、安定した収益を確保するためです。

一般的に、築年数が経過すると設備の老朽化や内装の劣化により、周辺の新築物件や綺麗にリフォームされた競合物件と比較して見劣りしてしまいます。リフォームをせずに放置すると、物件としての魅力が薄れてしまい、結果的に空室期間の長期化や家賃の下落を招くリスクが高まるでしょう。

リフォームリノベーションと異なり、以下のような比較的簡単な工事を施すことで新築の状態に近づけ、物件の価値を効果的に向上させることが可能です。

  • 設備交換
  • 壁紙や床の張り替え

入居者にとって魅力的な住環境を提供することで、空室リスクを軽減し、長期的な収益の安定化につながります。リフォームが必要な場所の見極めや依頼する会社を慎重に選定すれば、費用対効果が高いリフォームを実現できます。

【関連リンク】
不動産投資物件のリフォーム戦略、築20年以上の収益物件を次々とリフォームしたリノベ戦略とは?

不動産投資物件のリフォームを検討するタイミング

 

不動産投資でリフォームに適したタイミングは、主に以下のとおりです。

  • 入居者が退去した後のタイミング
  • 空室期間が続くタイミング
  • 築10年ほどが経ったタイミング

それぞれ詳しく解説します。

1. 入居者が退去した後のタイミング

入居者の退去時は、リフォームを行うのに効果的なタイミングの一つです。退去後には原状回復工事が必ず実施されるため、通常の修繕費用に少し予算を上乗せし、新築時の状態に近づけたり、もしくは物件の魅力を高める付加価値をプラスするリフォームを行うのもおすすめです。

たとえば、壁紙の張り替え時にアクセントクロスを取り入れたり、シャワーヘッドを最新式に交換したりするリフォームが挙げられます。部屋全体の雰囲気を明るくしたり、暮らしやすい設備を導入したりすれば、次の入居者へのアピールとなるでしょう。

退去を単なる原状回復の機会と捉えるのではなく、周辺物件との差別化を図り、競争力を高める絶好のチャンスとして積極的に活用することが、安定した賃貸経営を実現するうえで効果的です。

2. 空室期間が続くタイミング

募集をかけてもなかなか入居者が決まらず、空室期間が長期間続くようであれば、それは賃料に対して物件が周辺の競合物件に見劣りしている可能性があるサインです。

このような場合には多くのオーナーが家賃の値下げを検討しがちですが、単純に収益性を損なうことにつながります。設備が古くなっているようなら、家賃を下げる以外の手段として、リフォームによる物件価値の向上を検討することも一つの選択肢です。

たとえば、アパートや一棟マンションのオーナーならば、無料インターネット設備の導入や、セキュリティ面で安心感のあるモニター付きインターホンへの交換など、数万円から十数万円程度の投資でも入居希望者の反応が大きく変わることがあります。空室期間中であれば入居者への配慮も不要なため、スムーズにリフォーム工事を進められるメリットもあります。

競合物件の設備をリサーチし、ご自身の保有物件に不足している要素がないかリサーチすることが大切です。

【関連リンク】
不動産投資はリスクが高い? 空室や修繕など9つのリスクと5つの回避策

3. 築10年ほどが経ったタイミング

築10〜15年ほど経過すると、給湯器やエアコン、コンロなどの主要設備が経年劣化により故障リスクが高まります。これらの設備が入居中に突然故障すると、緊急対応が必要となり、入居者の満足度を損なう可能性もあります。

こうした事態を避けるため、築10〜15年周期で設備交換費用が発生することを想定し、計画的に資金を積み立てておくことが賢明です。突発的な出費を防げて、長期的な修繕計画を立てやすくなるだけでなく「設備が新しい」という事実は入居者へのアピールポイントにもなり、安定した賃貸経営の実現につながります。

スマートロックやスマート照明など「IoT家電」の導入も検討する価値があります。便利な最新家電は物件の付加価値を高め、競合物件との差別化が可能です。

【場所別】不動産投資のリフォーム費用相場

 

ここでは、主なリフォーム場所として、以下の5つの費用相場を解説します。

  1. キッチン
  2. トイレ
  3. 浴室
  4. 壁紙

費用相場を把握していれば、リフォーム計画を立てやすくなり、見積もりを確認する際の参考にもなるでしょう。なお、リフォーム費用は地域や物件の専有面積築年数などによって差が出る点に留意してください。

1. キッチン

キッチンは、内見時に清潔感や使い勝手が入居の決め手となりやすい重要な場所です。コンロや水栓などの部分的な交換だけでも、古さや使用感による印象は大きく改善されます。部分的なリフォームであれば、内容にもよりますが、数万円程度でできるケースも多いです。

一方、収納棚も含めたシステムキッチン全体の交換となると50万円以上かかるケースが多いものの、物件の競争力を大幅に向上させることが可能です。単身者向けかファミリー向けか、築年数や家賃帯などターゲット層に合わせて、最適な工事内容を検討することが大切です。

2. トイレ

トイレは毎日必ず使用する場所。清潔感が物件全体のイメージに直結します。とくに女性や若年層をターゲットとする物件では、便器が古かったり照明が薄暗く清潔感に欠けたりすると、内見時にマイナスイメージを与える可能性があります。もし温水洗浄機能が付いていなければ、新たに付加することも選択肢の一つです。

便器本体の交換費用は、15万〜20万円ほどが目安となります。その際、床のクッションフロアと壁紙の張り替えも同時に検討することで、数万円の追加投資で空間全体が一新され、内見時の第一印象が格段に良くなるでしょう。

3. 浴室

浴室はカビや水垢が目立ちやすく、清潔感が入居者の印象を大きく左右します。リフォームによる費用対効果が高まる場所です。シャワーヘッドや水栓金具、鏡などを新しいものに交換する部分的なリフォームであれば、数万円程度の比較的手頃な費用で実施できます。

一方、ユニットバス全体の交換となると、60万〜150万円程度の費用が必要です。全体を交換する際には、費用対効果を慎重に見極める必要があります。

なお、「追い焚き機能」や雨の日の洗濯物干しに便利な「浴室乾燥機」は、入居者に人気の高い設備であり、これらを導入することで家賃アップや空室期間の短縮といった効果が期待できます。物件のグレードやターゲット層に応じて、投資範囲を判断することが重要です。

4. 壁紙

部屋の大部分を占める壁紙は、張り替えるだけで室内の印象を変えられて、費用対効果の高いリフォームを実現できます。タバコのヤニ汚れや日焼けによる変色、画鋲の跡などは古さや生活感を強く印象づけるため、入居者退去時の張り替えが基本となります。

壁紙の張り替え費用は、一般的な量産品クロスで1㎡あたり1,000円程度が相場です。ワンルームや1Kであれば、全面張り替えでも5万〜8万円程度で実施できます。

基本的には明るく清潔感のある白系の色が好まれますが、リビングや寝室の一面だけ色や柄を変える「アクセントクロス」を取り入れると、低コストで周辺物件との差別化にもつながります。

5. 床

床は壁紙と同様に、部屋全体の印象を大きく左右します。傷や汚れ、歩行時のきしみ音などは入居者に不快感を与え、物件の評価を下げる要因となります。フローリングの張り替えは6畳で10万円程度が相場で、傷や汚れが目立つ場合には張り替えを検討すべきです。

また、手入れの簡単なクッションフロアであれば、フローリング調やタイル調など豊富なデザインから選べるため、水回りなど用途に応じて使い分けられます。部屋の用途やターゲット層の好み、予算を総合的に考慮して床材を選択することが、満足度の高いリフォームにつながります。

【関連リンク】
マンションをリフォームする際に気をつける点は?費用相場やお得な制度も紹介

不動産投資のリフォームを成功させる4つのポイント

 

不動産投資のリフォームを成功させるポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  1. ターゲット(入居者)を明確にする
  2. 費用対効果を計算してもらう
  3. 補助金やリフォームローンを活用する
  4. 信頼できる会社をパートナーに選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

1. ターゲット(入居者)を明確にする

不動産投資におけるリフォームの目的は、あくまで「入居者に選ばれ、長く住んでもらう」ことにあります。そのためには、まず「誰に住んでほしいか」というターゲット像を具体的に描くことが不可欠です。

たとえば、単身の社会人女性をターゲットとするなら、清潔感のある水回りやオートロック・モニター付きインターホンなどのセキュリティ設備が重視されるでしょう。

一方、ファミリー層であれば、収納スペースの充実や子ども部屋として活用できる間取りの工夫が魅力を高めるポイントとなります。ターゲットを明確に絞ることでリフォームの方向性がはっきりし、無駄な投資を避けながら費用対効果を最大化することが可能になります。

2. 費用対効果を計算してもらう

リフォームは将来の収益を高めるための投資であるため、かけた費用を家賃収入で回収できるかが重要です。「このリフォームで家賃をいくら上げられるか」「何年で投資費用を回収できるか」を意識する必要があります。

仮にリフォーム費用30万円をかけて月5,000円の家賃アップが実現できた場合、回収期間は「30万円÷(5,000円×12か月)=5年」になります。また、投資用物件は売却時に家賃をもとに売却価格を決める収益還元法を採用するケースが多いため、コストの改修期間とあわせ、出口戦略における試算も重要です。

高額な最新設備を導入しても、それが家賃に反映できなければ利回りを圧迫するだけです。必ずリフォーム会社や不動産管理会社に相談し、周辺相場を踏まえた家賃設定と回収期間のシミュレーションを出してもらいましょう。

3. 補助金やリフォームローンを活用する

リフォーム費用は、すべてを自己資金で賄う必要はありません。国や自治体が提供する補助金・助成金制度を積極的に活用することで、実質的な負担を軽減できます。ただし、投資用物件は助成対象外となる自治体も多いため、事前に要件を必ず確認することが重要です。

省エネ改修や耐震改修など、特定の目的に対しては支援制度が用意されているケースもあります。また、手元資金を温存し、急な修繕や新たな投資機会に備えるために、金融機関が提供するリフォームローンを利用するのも有効な手段です。金利や返済条件を比較検討し、キャッシュフローを圧迫しない範囲で計画的に活用しましょう。

4. 信頼できる会社をパートナーに選ぶ

リフォームの成否は、リフォーム会社選びに大きく左右されます。単に施工技術が優れているだけでなく、「不動産投資への理解がある」会社を選ぶことが大切です。

賃貸経営の観点から、どの場所に費用をかければ入居付けにつながりやすいか、周辺相場を踏まえた家賃設定の妥当性などを踏まえて提案をしてくれる会社は、心強いパートナーといえます。

会社選びでは2〜3社から相見積もりを取り、金額だけでなく、担当者の知識レベルや対応の丁寧さ、過去の賃貸物件におけるリフォーム実績などを比較検討することが重要です。長期的な関係を築ける、信頼できる一社を見極めましょう。

リフォームの費用と手間を解決するなら

 

リフォームを検討する際、「予算オーバーのリスクを避けたい」「会社選びや打ち合わせに時間を取られる」といった心配があるときは、リフォームの内容と費用があらかじめパッケージ化された定額制のサービスを利用するという選択肢もあります。

単身者向けや女性向け、ファミリー向けなど、さまざまなターゲット層の需要に合わせて最適なリフォームを選択でき、オーナーの手間を大幅に削減できる、効率的なサービスを活用するのも一つです。

【関連リンク】
投資用リノベーション|RENOSY

不動産投資のリフォームは専門会社に相談しながら進めよう

不動産投資におけるリフォームは、物件の競争力を維持・向上させ、安定した収益を確保するための重要な投資です。適切なタイミングを見極め、ターゲット層を明確にし、費用対効果を計算しながら計画的に進めることが成功の鍵となります。

しかし、リフォームには専門的な知識と経験が求められます。費用対効果が高いリフォームを実現するためにも、独断で進めるのではなく、不動産投資に精通した専門会社に相談しながら進めるのがおすすめです。

信頼できるパートナーと二人三脚で取り組むことで、費用を抑えながら最大限の効果を引き出し、長期的に安定した賃貸経営を実現できるでしょう。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

柴田充輝 柴田充輝 1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

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