梅田の住みやすさ発見|大阪・梅田の再開発を中心に加速・進化する街の未来
見知らぬ土地に不動産を購入する際は、物件だけでなく周辺の環境を知っておきたいもの。現在の様子はもちろん、未来のまちを事前に把握できると、購入物件の将来の資産価値も予想しやすくなります。「まちの住みやすさ発見!」では、さまざまな角度からまちのよさに迫ります。
今回は、うめきた2期開発から大阪・関西万博など、幅広い発展を見せる商業と工業の中心地・大阪市内の今後の開発情報をご紹介します。
CONTENTS目次
地図に載っていない「キタ」と「ミナミ」って?
一般的に大阪梅田・北新地駅周辺を「キタ」、難波駅・道頓堀周辺を「ミナミ」と呼んでいます。
「キタ」と「ミナミ」の範囲は、人によって、また時と場合によっても異なり、より広範囲なエリアを含めることもあります。この呼び名は江戸時代に始まったそうで、時代によっても範囲が変化しています。大阪に親しみのない人に向けて、まずは大阪の「キタ」と「ミナミ」を簡単に紹介します。
大阪の中心、ターミナル的存在のキタ
「キタ」は、大阪梅田駅を中心に複数の路線が地下でつながっています。大阪市内はもちろん、兵庫、神戸、そして広域での「キタ」に位置する新幹線の新大阪駅を含めると、東京や名古屋などとも行き来ができ、大阪の陸の玄関口となっています。オフィスと商業施設がひしめき合うエリアです。
大阪らしい文化発祥の地、ミナミ
「ミナミ」は、「グリコの看板」が有名な道頓堀(戎橋 えびすばし)周辺や難波駅周辺、北に位置する心斎橋などが含まれます。
脚が動く「かに道楽」の看板など、大阪らしい飲食店が発展した街で、国内外からの観光客でもにぎわいます。また「アメリカ村」など若者文化発祥の地も含まれています。
大阪市の大規模再開発
開発は「キタ」が中心となっています。しかしキタにとどまらず、新たに「ニシ」とも呼ばれるエリア開発にも注目が集まっています。日本のみならず世界からも注目される街として今後も発展が期待されている中、大小さまざまな再開発をご紹介します。
キタの開発
大阪市で進められている再開発で規模が大きいのは、2002年に始動した「うめきたプロジェクト」です。JR大阪駅北に位置する約24haで、先行開発区域(約7ha)は2013年に「グランフロント大阪」として開業しました。現在、うめきた2期プロジェクト「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」が進められています(約17ha)。
うめきた2期地区開発プロジェクト「グラングリーン大阪」
うめきた2期開発事業では、大阪に少ないといわれている大型オフィス(基準階面積約 4,100m2)をはじめ、高級ホテル・MICE施設・都市型スパを含む商業施設のほか、北街区と南街区の間に都市公園「うめきた公園」が誕生します。
2024年9月6日には、2025年の大阪・関西万博に先駆けて「うめきた公園」の一部と、2021年2月から開発が進められていた北街区賃貸棟が先行開業します。グラングリーン大阪ノースタワーの1〜9Fを中心とした産官学民の新たな共創拠点「JAM BASE(ジャムベース)」のほか、ホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」や、北館の飲食店(グラングリーン大阪 ショップ&レストラン)などを中心に約4割が完成しました。現在は南街区賃貸棟の開発が行われていて、2025年春頃に開業予定、全体まちびらきは2027年予定です。
参考:大阪市:報道発表資料 うめきた2期区域の先行まちびらきの時期を令和6年9月に決定しました参考:「グラングリーン大阪」先行まちびらき時期を2024年9月に決定! | INFORMATION | うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」 - 公式サイト
引用:南街区賃貸棟(左:東棟 右:西棟)外観(完成予想イメージ)|「(仮称)うめきた 2 期地区開発事業」工事着手(PDF)
関空へのアクセスも向上する、大阪駅地下の新しい改札
うめきたプロジェクトと連動して、2023年3月18日にJR大阪駅に新しい地下ホーム(大阪駅21~24番線ホーム)が誕生しました。ドア位置が異なるさまざまな列車にも対応可能なフルスクリーンのホームドアや、顔認証で通ることができる改札の設置など、新しい技術が導入されています。
新しいホームには、特急「くろしお」「はるか」が停車、おおさか東線の列車が乗り入れます。
大阪駅の新駅ビル「イノゲート大阪」が2024年秋に開業すると、地下ホームとの移動はさらにスムーズになりそうです。
鉄道の地下化によって、線路で分断されていたまちが一体化します。そしてこの地下駅によって関西国際空港へアクセスしやすくなり、大阪以外の広域アクセスの強化にもつながることが期待されています。
なにわ筋線の誕生
大阪都心のみならず、京阪神の広域鉄道ネットワークの拡充、関西国際空港とのアクセス強化を目指す新しい路線「なにわ筋線」の計画が2031年開業を目標に進んでいます。
なにわ筋線は南北に伸びる路線です。2023年3月に開業した大阪駅(うめきたエリア)と、南に位置する南海電鉄・南海本線の新今宮駅までがつながります。
なにわ筋線開業によって、大阪梅田と関西国際空港間の所要時間がJRで64分・南海線では乗り換え1回で54分かかるところ(いずれも最速の場合)、JRで44分・南海線は乗り換えなしで45分となる想定です。大阪市内を走る既存路線の混雑緩和も見込まれています。
さらに、大阪駅と新大阪駅を結ぶ「新大阪連絡線」計画が実現することとなれば、ますますアクセスしやすくなることが予想されます。
2025年の大阪・関西万博
大阪・関西万博は、大阪市の西側、此花区(このはなく)の人工島「夢洲(ゆめしま)」で半年間にわたって開催されます(2025年4月13日〜10月13日)。
来場者数は約2,820万人、経済波及効果は約2兆円(消費支出約1.1兆円・建設費約0.4兆円・運営費約0.5兆円 )と試算されています。
比較として、2005年愛知県で開催された愛知万博(愛・地球博)での経済効果は、中部国際空港などを含めた広域交通網の整備等を含めた場合で約3兆5千億円、会場までに必要なアクセスに限定したケースでも1兆1千億円を超える効果だった結果が出ています(建設・運営・来場者の消費した支出の総額)。
また愛知万博の開催によって、全国で約45万人、少なくとも約16万人の雇用が生まれたとの結果も出ています。 参照:愛・地球博の経済効果に関する評価報告書 2005 年11月|財団法人 2005 年日本国際博覧会協会 株式会社UFJ総合研究所[PDF]
2005年の愛知万博では海外からの入場者は約4.6%でしたが、世界はこの20年間でよりグローバル化が進んでおり、海外からの来場者は増えるかもしれません。
夢洲の隣の島「咲洲(さきしま)」では、大阪・関西万博開催を見込んで15階建て330戸のマンションも2021年に完成しています。
大阪IR
大阪・関西万博会場横の夢洲内に、カジノを含む統合型リゾート「大阪IR」(IR=Integrated Resort)の計画が進んでいます。
MICE施設を充実させ、世界中から人が集まるビジネスや商業イベントなどの開催が可能となるような場の構想となっているようです。2030年秋ごろの開業が目指されています。
ミナミの開発
2003年開業の「なんばパークス」や2014年開業の「あべのハルカス」など、ミナミの再開発はキタの開発に先行して行われました。
2020年11月には「大丸心斎橋店 北館」の全面リノベーションで「心斎橋パルコ」が9年ぶりに開業しており、開発状況はキタよりも落ち着きを見せています。
現在ミナミで進んでいるプロジェクトには次のようなものがあります。
なんば駅前広場再編計画
南海電鉄・南海本線のなんば駅に駅前広場を作ろうという計画で、人々がくつろげる空間に再編し、繁華街ミナミの新たなシンボル空間を生み出すという構想です。「なんば広場」として2023年11月に先行オープンし、2025年3月に整備が完了する予定です(参照:なんばひろば改造計画)。
なんば駅南に33階建てホテル・商業ビル
2023年7月、なんばパークスの南側にタイの高級ホテル「センタラ・ホテル&リゾート」が手がける日本初進出の「センタラグランドホテル大阪」が開業しました。その南側には、14階建てのオフィスビル「パークス サウス スクエア」が2023年1月に竣工しています。
オフィスビルの建て替え
大阪市内では同時期に既存ビルの建て替え計画が相次いだことなどにより、2013年には10%台だったオフィスの空室率が2017年には3%台となり、特に大型オフィスが足りないという現象が起きていました。
参照:大阪ビジネス地区/2017年12月時点| オフィスマーケット情報 | 三鬼商事株式会社
その後、次のようなオフィスビルおよび商業施設が完成または予定されています。
- 本町サンケイビル(2021年8月竣工)
- 大阪梅田ツインタワーズ・サウス(2022年2月竣工)
- 日本生命淀屋橋ビル(2022年8月竣工)
- アーバンネット御堂筋ビル(2024年1月竣工)
- 御堂筋ダイビル(2024年1月竣工)
- JPタワー大阪(2024年3月竣工予定)
- 淀屋橋駅東地区都市再生事業(2025年5月末竣工予定)
- 淀屋橋駅西地区第一種市街地再開発事業(2025年12月竣工予定)
- (仮称)心斎橋プロジェクト(2026年2月竣工予定)
なお、空室率は2019年12月に1.82%まで下がりましたが、コロナ禍で5%台まで上昇。その後は再び下降傾向となり、2023年12月時点では9カ月連続で低下しています。
新たに開業する施設・事業
新たに開業する施設や事業等は次の通りです。
- 大阪中之島美術館(2022年2月開業)
- Nakanoshima Qross(中之島クロス)
※中之島4丁目用地における未来医療国際拠点整備・運営事業(2024年1月竣工予定) - 大阪公立大学 森之宮キャンパス (2025年秋 開設予定)
- リニア中央新幹線(2027年以降)
- 大阪モノレール延伸事業(2029年開業予定)
- 北陸新幹線 敦賀〜大阪間(2046年開業予定)
主な企業
大阪にはパナソニック株式会社や株式会社シマノなど400を超える上場企業がありますが、なかでも大阪市内に本社がある企業は350社近くに上ります。市内の代表的な企業は次の通りです。
企業名 | 従業員数 |
---|---|
株式会社キーエンス | 2,788人(単独) |
ダイキン工業株式会社 | 7,618人(単独) |
武田薬品工業株式会社 | 5,149人(単独) |
株式会社伊藤忠商事 | 4,187人(単独) |
日本ペイントホールディングス株式会社 | 51人(単独) |
株式会社クボタ | 12,474人(単独) |
大和ハウス工業株式会社 | 16,093人(単独) |
塩野義製薬株式会社 | 2,458人(単独) |
積水ハウス株式会社 | 14,932人(単独) |
住友電気工業株式会社 | 7,144人(単独) |
小野薬品工業株式会社 | 3,381人(単独) |
日東電工株式会社 | 6,672人(単独) |
株式会社ダイフク | 3,375人(単独) |
西日本旅客鉄道株式会社 | 21,727人(単独) |
関西電力株式会社 | 8,474人(単独) |
さくらインターネット株式会社 | 755名(連結) |
※2024年2月 RENOSY調べ
主な区の人口推移
開発地区を含む区の人口推移です。大阪市の中心に位置する、北区、中央区、福島区、西区、浪速区、天王寺区の6区で見てみます。
独自の発展が期待される大阪市
2025年の大阪・関西万博によって周辺地域の経済効果もおおいに予想される大阪市。大阪の陸の玄関口である大阪梅田駅周辺の開発が大阪市全体に、またそれぞれのまちにどのような変化をもたらしていくか、今後も注目です。
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