不動産投資が節税対策になる仕組みとは? 税理士による基礎解説(パート1)
不動産投資が「節税対策になる」と聞いたことはありますか?そう聞くと「不動産投資をすると、税金を減らすことができるのか?」と期待されるかもしれません。税金の制度を理解して、ご自身の税額が不動産投資によってどう変化するのかイメージできるようにしましょう。
CONTENTS目次
会社員が納める税金の仕組みとは?
会社員は、会社で働きその対価として報酬を受け取ります。その給与収入に対して税金がかかることは、多くの方がご存知だと思います。
しかし会社員の場合、細かな税金の仕組みを意識する機会は普段の生活ではあまりないかもしれません。従業員の代わりに、会社が税金や社会保険料をまとめて国や地方自治体に納めてくれるからです。
節税に興味がある場合、まず、会社で働いて得た給与収入から、税金の金額がどう割り出されるのか、その仕組みを理解する必要があります。
収入と所得の違い
最初に押さえるポイントは、収入と所得の違いです。
日常の生活ではそれほど区別していなくても困らないかもしれませんが、税制においてははっきりと異なります。
収入と所得の違いは?
給与収入に対する税金は、給与収入の全額に対してかかるものではありません。
例えば年収800万円の場合、その人が支払う税金は、800万円全額に税金(税率)がかかるわけではありません。
「税金のかかる範囲」は、最終的に「課税される所得」(課税所得)とよばれる部分のみに限られます。
ですので、800万円全体に税金はかからないことになります。
課税される所得がどう割り出されるかというと、800万円から、さまざまな項目の金額が引かれて、所得が残るというやり方です。
一定の金額が差し引かれることを、控除といいます。
給与収入からさまざまな種類の控除を引いて、残った金額を明らかにすることで、収入から所得を割り出すことができます。
収入に対する控除はいろいろ設けられています。
控除の種類
給与収入からマイナスできる項目は次の通りです。
1. 必要経費のような存在の、給与所得控除
収入から最初に引くものとして、まずは給与所得控除とよばれるものをマイナスします。
給与所得控除は、例えるなら「事業者が事業を行う上で必ずかかる経費」のような存在です。会社員に「経費」は直接は存在しませんが、考え方としては必要経費ということになります。
引かれる金額は、年収に応じてあらかじめ決まっています。
ただ給与所得控除には上限があり、どんなに年収が高くなっても、195万円が上限です。つまり年収が上がれば上がるほど、支払う税金が増えることになります。
収入から給与所得控除を引いたあとの状態を「給与所得」といいます。
給与収入800万円では、給与所得控除は190万円で給与所得は610万円になります。
※2023年9️月時点
2. 給与所得からマイナスする、全15種類の所得控除
給与所得になった状態から、さらにマイナスできる項目があります。これを所得控除といいます。
所得控除には全15種類あり、自分に該当するものがあれば漏れなく控除を受けましょう。
社会保険料控除:
国民年金、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険などに支払った金額を給与所得からマイナスできます。
そのほかは、該当する場合にマイナスができます。例えば、
基礎控除:
控除額は48万円・32万円・16万円・0円
給与所得からマイナスできる項目です。基礎控除額の金額は合計所得金額(給与のほか株の配当金など「所得」に該当する金額の合計)に応じて変わります。合計所得金額が2,500万円以上の方は控除金額は0円となります。
医療費控除:
10万円以上の医療費がかかった場合、支払った医療費の一部を所得からマイナスすることができます。
寄附金控除(ふるさと納税など):
寄付した金額の一部を所得からマイナスすることができます。
生命保険料控除:
生命保険に加入している場合、保険料を最高12万円まで所得からマイナスすることができます。
※2023年9️月時点
15種類すべての所得控除について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
所得控除までマイナスできたら、やっとわかる課税所得
給与収入からマイナスできる項目をそれぞれ引き終わると、ようやく課税される所得の金額(課税所得金額)がわかるようになります。
会社員として働いて税金を納めるだけの場合は、ここまでの理解で十分です。
しかし節税に興味がある場合には、ここまでが「節税を理解する最初の1歩」です。
続きは、不動産投資が節税対策になる仕組みとは?税理士による基礎解説(パート2)をご覧ください。
・不動産投資とは?初心者が知るべきメリットや魅力、仕組み、運用方法、始め方
・不動産投資を失敗する理由。 初心者が陥りがちな7つの失敗事例と成功率を高める方法
・不動産投資はリスクが高い? 空室や修繕など9つのリスクと5つの回避策
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