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作成日: 2023.03.24

【2023年度税制改正】 不動産に関する3つの変更点:確定申告しない場合のペナルティ追加

【2023年度税制改正】 不動産に関する3つの変更点:確定申告しない場合のペナルティ追加

2022年末の税制改正大綱の発表直後に、主に富裕層に大きな影響のある相続などのルール変更についてお伝えしました。今回は、税制改正の不動産に関連する3つのトピックをご紹介します。

嬉しいルール変更と残念なルール変更があります。

大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税(減税)

まずは嬉しい変更点から紹介します。今回の税制改正で、マンションの長寿命化を促進するための減税措置「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税」ができました。

対象となるマンションが要件を満たして大規模修繕工事を実施した場合に、固定資産税の減額となる特別措置です。

対象となるマンション

  1.  築20年以上、戸数10戸以上
  2.  屋根や床の防水塗装・外壁塗装など大規模修繕工事を過去1回以上実施
  3.  マンション管理計画認定制度の認定を受ける(積立金の確保)

3については、マンション管理計画認定を受けるか、都道府県等からマンションの管理の適正化を図るために必要な助言や指導を受けて「長期修繕計画を適切に見直した」場合も要件適合となります。

上記を満たした状態で、2023年4月1日〜2027年3月31日に大規模修繕工事を実施し、実施後3カ月以内にマンションのある市町村に必要な書類を添えて申告すると、固定資産税が減額されます。

固定資産税の減額

市町村の条例によって、1/6〜1/2 の範囲内(参酌基準:1/3)で減額

※1戸あたり100m2相当分まで

なお、マンション管理計画認定を実施している市町村はまだ少ないようで、東京都では認定制度を実施している区市は2022年4月1日時点で板橋区、八王子市、小金井市、府中市となっています。また認定を取るための費用(地方自治体への手数料と、マンション管理センターに対する手数料など)もかかります。

長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設(固定資産税)引用:(別紙)長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設(固定資産税)(PDF)報道発表資料:マンション長寿命化促進税制が創設されます!~マンションの長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を支援します~ - 国土交通省

住宅ローン控除の要件変更

次に、残念な方の変更点を紹介します。コロナ前までは、住宅ローン控除が受けられる住宅の面積は50m2でした。しかしコロナ発生後、令和3年度と令和4年度の税制改正大綱では床面積は50m2から40m2に緩和されていました。

しかしコロナも落ち着いてきて、令和5年度税制改正大綱からは緩和がなくなり、床面積は元の要件の50m2に戻りました。2023年中に建築確認を受けた住宅は40m2以上で住宅ローン控除が受けられますが(ほかの要件もあります)、2024年1月1日以降の建築確認を受けた新築、または2024年1月1日以降新築住宅の取得をする際は、床面積が50m2以上の場合でないと住宅ローンが適用されなくなります。

個人が取得等をした床面積が 40m2以上 50m2未満である住宅の用に供する 家屋で令和5年 12 月 31 日以前に建築確認を受けたものの新築又は当該家屋 で建築後使用されたことのないものの取得についても、本特例の適用ができることとする。ただし、その者の控除期間のうち、その年分の所得税に係る 合計所得金額が 1,000 万円を超える年については、適用しない。

引用:令和4年度税制改正の大綱(1/8) : 財務省

加算税制度の見直し

不動産所得は、給与などの所得と合算して、所得税を確定申告する必要があります。所得税は、地方自治体から徴収額が通知され期限までに納める住民税とは異なり、自ら税額を申告するルールで、これを申告納税制度といいます。

1月1日から12月31日までの所得を計算、そこから税額を割り出し、通常3月15日までに確定申告をして税金を納めます。

申告納税制度のもとでは、申告をしない場合や、申告期限を過ぎてから申告すると、「加算税」や「延滞税」が課される場合があります。

期限内に納め忘れると、「期限後申告」という扱いになり、期限後申告をすると通常納める税額のほかに「無申告加算税」が課される場合があります。

次の2つの場合を満たす場合は無申告加算税を支払う必要はないですが、それ以外の場合は支払わなくてはいけません。

1)法定申告期限(3月15日)から1カ月以内に自主的に期限後申告が行われる

2)期限内申告をする意思があったと認められること

今回の税制改正で、無申告加算税の税額が300万円を超える場合、追加で支払う税金の割合が30%になり、従来より10%アップすることになりました。

300万円の税額を期限内に納めておらず、税務署の調査を受ける場合には無申告加算税が100万円プラスされることになります。

申告時期 納税額
法定申告期限の翌日〜(調査通知前まで) 5%
調査通知以後〜更正予知前まで 50万円以下 10%
50万円超〜300万円以下 15%
300万円超〜 25%
更正予知以後 50万円以下 15%
50万円超〜300万円以下 20%
300万円超〜 30%

※修正をする必要があることをあらかじめ知り・認識していたことが明らかになること

上記ルールは、2023年分の確定申告から適用となります(2024年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税)。来年、納税額が300万円を超えるような金額の方は申告時期にさらに注意しましょう。

税制理解のアップデートをしましょう

ルール変更は税制改正のみならず、国税庁などから突然発表されることもあります。「ルールは変わる」ということを念頭においていただき、ルールに沿った対応をするようにしましょう。もちろん新しい減税措置は有効活用しましょう!

参考:令和5年度税制改正の大綱(PDF)|財務省

【関連リンク】
7年分の生前贈与が相続税の対象に! 富裕層に厳しい「2023年度税制改正大綱」発表

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この記事を書いた人

中井哲也 公認会計士・税理士

公認会計士・税理士。同志社大学経済学部を卒業。国内大手税理士法人に約12年勤務。富裕層、未上場会社、上場会社の対応案件を多数経験。メガバンク系証券会社、銀行にも出向、上場オーナー、未上場オーナーの事業承継、資産形成の業務に従事。 2021年7月に中井哲也公認会計士税理士事務所を開設。富裕層の手残りを増やすアドバイスには定評がある。 趣味は税金の勉強と筋トレです。

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