1. TOP
  2. RENOSY マガジン
  3. 投資する
  4. 日本企業における高配当株投資とは? 高配当株投資の始め方とポイント

作成日: 2023.02.24

日本企業における高配当株投資とは? 高配当株投資の始め方とポイント

日本企業における高配当株投資とは? 高配当株投資の始め方とポイント

株式の投資方法の一つに高配当株投資というものがあります。いわゆる配当利回りに着目して利回りの高い銘柄を選好して投資する手法です。アメリカ企業の高配当株を集めたインデックスやETFが流通するなど人気の投資手法の一つとなっていますが、実は日本企業で高配当株投資を行う方法もあります。

今回は高配当株投資の始め方とともに、日本企業の中で高配当もしくは増配傾向にある企業や、日本株で高配当株投資を行ううえでおすすめの金融商品などを紹介します。

高配当株投資の基本

高配当といっても銘柄によって株価がまちまちなため、通常は配当利回りという指標をもとに銘柄を選択します。配当が高ければ定期的に配当収入が得られるため、株価変動損益による収益よりも安定した収入が期待できます。また現金収入を生活費などに充てる、再投資するなど投資の自由度が高まるのも魅力です。

高配当株投資とは?

高配当とは、株式もしくは株式へ投資するファンドにおいて「配当の水準が高い」ことを意味します。ただし、株は株価がそれぞれ異なり、それによって必要投資金額もさまざまなため、単純な配当額で比較するのは適切ではありません。

そのため配当の水準を考える時には「配当利回り」という指標を活用するのが一般的です。

配当利回り=配当額÷株価

配当利回りが高ければ、株価に対して配当水準が高いことを意味するため、高配当株投資においては魅力的な銘柄ということになります。

高配当株投資のメリット

高配当株投資の最大のメリットは、定期的に潤沢な現金収入が得られることです。配当は株価変動と比較すると安定している傾向にあります。

長期で高配当株に投資し、配当を積み上げていけば株価の方向性にかかわらず、キャピタルゲイン(価格損益)とインカムゲイン(配当収入)を合計して考えるトータルリターンを安定させることができます。

例えば、配当利回り5%の銘柄に10年間投資すれば、配当の再投資をしないとしても、当初株価の50%の金額を配当で回収できる計算になります。すなわち株価が半減以下にならない限り、トータルリターンはプラスとなります。このように配当利回りを長期で積み上げていくと下落リスクに強くなるのです。

また、現金で収入を得ることにより収益の使い道の自由度が増すのもポイントです。生活費やローン返済など他の用途に使用することもできますし、家計に余裕がある時には有価証券に再投資してさらに高い収益を追求することもできます。

高配当株に投資すれば、利回りが高い分まとまった金額の配当収入を定期的に得ることも可能になります。FIREやアーリーリタイアをするうえで、配当収入を引退後の収入源とする人も少なくありません。

高配当株投資の注意点

まず留意したいのは、短期的には株価変動リスクが大きいことです。株価の変動は時に年間で数十%に及ぶこともあります。配当利回りが10%を超える株式はめったにないので、相場環境が悪ければ短期的には価格損失の方が大きくなる可能性が十分にあります。

また、高成長を積極的に追求する場合には、高配当とマッチしない場合もあります。企業が配当を出すということは、利益の一部を投資家に分配することを意味します。もし有望なビジネス機会があるのであれば、配当を出さずに積極的に投資に回してもらった方が、早いペースで企業が成長して将来の株価上昇の原動力となるかもしません。

見方によっては、配当を出すことで成長原資の一部を逸失することを意味します。新興企業や成長企業においては配当を出さない企業も少なくありません。これは、将来の成長を加速させるために、あえてその時点では投資家への分配を抑えているのです。

最後に、配当利回りが変化するリスクについても留意しましょう。配当の水準は株価と比較すると変わりにくいとはいえ、企業の意思決定により変動することがあります。企業によっては業績に応じて配当水準を大きく変動させる場合もあるため、特に個別株に投資する場合には、企業の配当政策にも着目して、安定的な配当が見込める企業を選ぶことが大切です。

高配当株投資の始め方

高配当株投資は、大きく分けて3つの始め方があります。

  • 個別株への投資
  • ETFへの投資
  • 投資信託への投資

まず、配当利回りの高い個別株に投資する方法があります。配当利回りは株の銘柄によってバラバラなため、個別株の中から利回りが高い銘柄を選んで重点投資すれば良いのです。

ただし株価の変動が大きすぎると、配当収入より価格損失がかなり大きくなってしまうリスクがあります。高配当株投資は長期で行った方が配当の総受取額が膨らんで収益が安定するため、短期の倒産リスクが高い銘柄も適さないでしょう。相対的に規模が大きく安定した企業から投資先を選ぶのが適切です。

個別株へ投資するのはリスクが高すぎて怖いという人は、高配当株へ投資するETFを売買するのも一案です。海外にも日本にも高配当株のみを集めた市場指数があり、その市場指数をベンチマークとするETFが複数存在します。

ETFであれば多数の銘柄に分散投資するため、個別株と比較すると極端な価格変動リスクは相対的に低下します。個別株を選別するのが難しいという方には有効な選択肢といえるでしょう。

また、上場されていない普通の投資信託の中にも高配当株にフォーカスした銘柄が存在します。市場指数を上回るパフォーマンスを目指すアクティブ運用のファンドもあるため、多数の銘柄に分散投資しつつ、プロの運用会社に任せて魅力的な収益を追求したいという人には、投資信託もおすすめです。

日本株で高配当株投資を行う方法

ここからは個別株、ETF、投資信託の順に、日本株において高配当株投資を行ううえで適した金融商品について紹介します。

高配当の日本株

2023年2月時点で、配当利回りが魅力的な株は多数存在します。大手企業で倒産に至る心配の少ない銘柄を中心にいくつか紹介していきます。

商船三井(9104)

海運セクターは、近年好業績を背景に配当水準を大幅に引き上げていて、高配当株として注目が高まっています。中でも業界二番手の商船三井は、2023年2月17日時点で、株価3,435円に対して560円のため配当利回りは約16.3%となります。5期連続で増配していて、かつ今期も年度内に配当見通しを引き上げるなど、配当水準の高さが注目されがちな企業です。

ただし、海運は業績が景気の影響を受けやすく、また配当水準を大きく変動させる企業が多い傾向にあります。例えば商船三井は2021年3月期の年間配当は50円で、2023年3月期の予想の10分の1にもみたない水準でした。長期でならしてみれば相対的に魅力的な配当が期待できる銘柄ではあるものの、毎年の配当額はぶれやすいことには留意が必要です。

JT(2914)

配当利回りの安定性が評価されているのが、日本では唯一のたばこ販売会社のJTです。同社はJT法に基づきたばこを販売しているため、同業他社の参入リスクがほぼありません。法的に認められた独占企業として、業績は非常に安定しています。なお、日本国内だけでなく世界でもビジネスを展開しており、実は売上は海外比率の方が高いのも特徴です。

そんなJTは、2023年2月17日時点で株価が2,771円、配当利回りは6.8%です。JTは利回りの安定性が魅力で、多少の上下はあるもののトレンドとしては、過去10年着々と増配傾向にあります。同社の安定したビジネス環境やこれまでの配当方針をふまえると、今後も配当収入の見通しが立てやすい銘柄といえるでしょう。

武田薬品工業(4502)

配当金額の安定性という意味では魅力的なのが武田薬品工業です。日本における医薬品のリーディングカンパニーで、世界で見ても有数の規模の同社ですが、実は2010年から配当水準が一貫して半期90円、年間180円で一定しています。そのため配当利回りはその時の同社の株価で実質的に決まることとなります。なお、2023年2月17日の終値は4,182円だったので、配当利回りは約4.8%です。

株価が高騰した場合には見かけの配当利回りは下がってしまう点はネックですが、配当金額を見通しやすいのは魅力的です。ただし、あくまで結果的に10年以上配当が一定なだけで、武田薬品工業が配当額を保証しているわけではない点に留意しましょう。

日本の高配当株へ投資するETF

日本のETFにおいても日本の高配当株にフォーカスした銘柄が複数存在します。ここではその中でも代表的な2つのETFを紹介します。

グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF(2564)

MSCIジャパン・高配当セレクト25指数に連動するように運用されるETFです。同指数は配当利回りの高い25銘柄(日本株23銘柄、REIT2銘柄)を選択して構成銘柄としています。

各セクターが20%を超えないように調整がされ、特定セクターへの集中を防いでいます。ETFの価格で見ると2020年8月の設定来で56%の成長を示しているなど、潤沢な配当と株価成長を両立してきたファンドでもあります。なお、高配当株へ投資しているのは確かですが、月次レポートにおいて投資先の毎月の配当利回りが公表されていない点には留意が必要です。

NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)

同ETFは日経平均高配当株50指数に連動します。この指数は、日経平均の中で利回りの高い50銘柄について「配当利回りウエート方式」という予想利回りや売買代金を加味したウエイトづけのもと加重平均して算出される指数です。

指数の配当利回りは2023年1月末時点で5.2%で、50銘柄に分散投資できるのが特徴です。また2017年から5年以上運用される中で、配当を加味すると設定来で58%のリターンを実現しています。長期投資により魅力的な収益獲得が期待できるETFです。

日本の高配当株へ投資する投資信託

投資信託においてはアクティブ運用で日本の高配当株投資を行うファンドが多数存在します。2023年2月時点では、日本のETFはすべてインデックス運用なので、アクティブ運用で市場指数を上回る収益を追求するなら、投資信託の購入を検討してください。

日経平均高配当利回り株ファンド

同ファンドは日経平均の構成銘柄から予想配当利回りが高い銘柄上位30社を選んで投資を行うファンドです。ただし闇雲にその時の配当利回りだけを見るのではなく、流動性が低く売買に支障がある銘柄や、今後配当が無くなる懸念がある銘柄などは除外されることもあります。

2023年1月末時点では日経平均全体の配当利回り2.2%に対して、6.3%の配当利回りとなっており、その名の通り高配当株における分散投資が実現する投資信託です。パフォーマンスも順調で、2018年11月の設定以来で分配金再投資ベースでは44%のリターンを生み出しています。

日本好配当リバランスオープン

いわゆる一般的な日経平均(225銘柄)よりも銘柄数の多い日経500種の中から、予想配当利回りが高い70銘柄を厳選して投資するアクティブファンドです。

ETF・投資信託を通じて高配当株投資のファンドとしては組み入れ銘柄数が多いため、より分散の効いたポートフォリオに投資できるのが特徴です。それでいて、2023年1月末時点で約5.3%と、東証プライム市場の加重平均利回りである2.5%をしっかりと上回っています。

2005年4月から運用されていて、相対的に長い実績のあるファンドである点も特徴です。設定以来の分配金再投資後のパフォーマンスは+90%と長期にわたって高い成長を実現してきました。

日本株でも高配当株投資を行う方法は複数ある

配当利回りの高い銘柄へ重点的に投資する高配当株投資は、米国株だけでなく、日本株で行うこともできます。個別銘柄へ投資すればより高い配当利回りを狙えますが、業績変化や配当方針の変化により将来配当水準が下がるリスクもあることには留意が必要です。

一方で投資信託やETFであれば、運用会社が自動的に利回りの高い銘柄へ組み替えてくれるので、常に配当水準の高い銘柄に投資を継続できます。長期で安定した配当利回りが期待できる銘柄をうまく選ぶのが難しいという人は、こうした金融商品を活用するのも一案です。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事を書いた人

伊藤圭佑 証券アナリスト

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。

Facebook Twitter Instagram LINE Mail magazine LINE