節税にもなる? 富裕層も注目するキャンピングカー投資のメリット・デメリットとは
近年注目が集まる投資手法の一つにキャンピングカー投資があります。キャンピングカーを保有して、必要なときには自分で乗り、乗らないときにカーシェアに出すことで収益化する手法です。
減価償却の仕組みを活用して節税効果を享受することも可能なため、富裕層も注目の投資手法ともいわれています。この記事ではキャンピングカー投資について基本的な仕組みやメリット・デメリットを紹介します。
キャンピングカー投資とは?
従来キャンピングカーは、あくまで自分で購入して保有しレジャー等で楽しむものでした。中古でも数百万円、新品になると1,000万円以上になる車両も少なくないため、欲しいと思いながらも手を出せない人も少なくなかったでしょう。
しかし、レンタカーおよびカーシェアの仕組みを応用することで、キャンピングカーは「投資商品」としての価値が高まってきています。
キャンピングカーをカーシェアに出してレンタル料を得る
キャンピングカーを毎日のように使う人は珍しく、ほとんどの人は週末に時々利用する程度でしょう。
キャンピングカー投資では、キャンピングカーを使わないときにレンタルに回すことで、そのレンタル料を得ることが可能になります。
ローンを組んで購入した場合は、月々のレンタル収入からローン支払いやクルマの維持費を引いた金額が収入となります。仮に月々の手残りはほとんどなかったとしても、ローンの返済を自分の財布から払う必要なく手出しなしで保有を継続できれば、売却時の売値とローン残債・頭金の差額が収益となります。
10%以上も!? 高い利回りを狙えるとの見方も
キャンピングカー投資はまだ投資市場として発展中の領域なので、不確実性を伴う点には留意が必要です。しかしうまくレンタル需要を捉えられれば高い利回りが狙えるとの見方もあります。
例えば、600万円のキャンピングカーを購入したとしてみましょう。日本RV協会のキャンピングカーレンタルのページを見てみると、キャンピングカーのレンタル費用は安いところで1日9,800円、高いところでは特大サイズのクルマを除いて2.5万円前後というところ。仮に1日1.5万円程度と考えましょう。
参考:全国のレンタルキャンピングカー|一般社団法人日本RV協会
キャンピングカーは1泊以上の利用が多いと考えると、1泊2日で1回3万円くらいの貸し出しが期待できる計算に。仮に月2回貸し出すことができれば1カ月6万円の収入となります。
これを12カ月続けると72万円となりますので、諸費用やローンなどを考慮しない表面上の利回りは72÷600=12%にもなります。もし3回貸し出せれば収益は108万円、利回りは18%です。
成功事例を見てみると、さらに活発な貸し出しに成功し、年間で170万円以上の売り上げを計上している凄腕投資家も実在するようです。
諸費用・ローン支払額次第で収支をプラスにすることも可能
自動車専門メディアの「グーネットマガジン」によると、年間かかる諸費用の目安は33万~75万円程度とのこと(https://www.goo-net.com/magazine/knowhow/carlife/43445/#toc6)。月2回の貸し出しでも、諸費用を最低圏内に抑えれば、年間40万円近くのキャッシュフローになります。もし3回貸し出せれば、50万円の年間諸費用がかかっても50万円以上のキャッシュフローが見込めるのです。
あとはローンの支払額次第ですが、頭金をある程度用意すれば、月々の収支をプラスにすることもできるでしょう。また、仮にほとんど手残りがなくとも、売却時にある程度の価格が出れば最終的には収益を残せる可能性があります。
節税効果も期待されている
自動車の基本的な耐用年数は6年です。すなわち新車でキャンピングカーを購入した場合は、定額法で価格の1/6を費用計上できることに。例えば600万円のキャンピングカーなら、年間100万円を費用計上することが可能です。
さらに、先に紹介した諸費用も「経費」とみなすことができるため、大部分を費用計上できることになります(厳密には「自家使用分」を差し引く必要があります)。
価格が600万円のキャンピングカーで年間130万円程度の経費計上することで、総合課税の対象となる所得を圧縮して、節税効果を得られると考えられています。損益通算が可能ならば、中古のキャンピングカーを購入した場合は、耐用年数が短くなるため、大幅な節税効果が見込めることになります。
キャンピングカーの需要は堅調
キャンピングカー投資が軌道に乗るうえでは、何よりキャンピングカーのレンタル需要がカギとなります。実はキャンピングカー投資に注目が集まるもう一つの背景として、堅調なキャンピングカー需要があります。
キャンピングカーの販売総額推移
購入ベースでのキャンピングカーの需要は近年着実に増えていて、2021年の販売総額は635億円と、2011年対比で約3倍に増えています。
キャンピングカー投資という手法がごく最近出てきたもので、まだ発展途上であることを踏まえると、この需要のほとんどは自分で使用するためのものであると考えられます。すなわち購入需要に限らず、レンタル需要も堅調に伸びていると期待できるのです。
特に2020年以降のコロナ禍以降は、密にならずに旅行に行けるとの考え方から、キャンピングカーの購入・レンタル需要が一段と高まっています。この環境が逆戻りするとは考えにくいため、今後もキャンピングカーの需要は堅調であると想定されます。
キャンピングカー投資のメリット・デメリット
続いては、キャンピングカー投資のメリットとデメリットを見てみましょう。ここまでの内容を踏まえてキャンピングカー投資へのチャレンジを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
キャンピングカー投資のメリット
キャンピングカー投資のメリットは次のような点です。
- 従来の投資と異なるリスク特性
- 堅調な需要・ライバルが少ない領域で収益を得られる
- 自己資金を圧縮して投資ができる
キャンピングカー投資のリスクやリターンは、主にキャンピングカーに対するレンタル需要で決まります。これは株価や不動産など従来の投資手法とは異なるリスク要因であるため、従来型の投資と併用するとリスク分散が図れます。
そのキャンピングカー需要は先に紹介した通り堅調である一方で、キャンピングカー投資は注目を集めつつあるものの、まだまだ実践している人が少ないのが実情。ライバルが少ない状態で、堅調な需要から収益を得られる大きなチャンスがあります。
キャンピングカーはオートローンを活用して購入することができます。ローンを活用すれば、購入資金に比して少額の自己資金で投資にチャレンジ可能です。
キャンピングカー投資のデメリットやリスク
どんな投資にもリスクはつきもの。特にキャンピングカー投資のように発展途上の投資手法には一層注意が必要です。
キャンピングカー投資のデメリット・リスクは次の通り。
- レジャー需要の減退が収益の悪化要因となるリスク
- 適正価格やコストが不明確なため収益性を予測しにくい
- 車両の事故や汚損のリスクがある
- 自動車整備のノウハウが必要
キャンピングカーは基本的に旅行やアウトドアで利用するものなので、その需要はレジャー需要に左右されます。いまは需要が堅調ですが、将来不景気や災害、疫病などによって需要が急減するリスクもあるでしょう。
また投資手法として発展途上であり、株式のように取引所で活発に売買されるものでもないので、さまざまな価格やコストの適正水準が不明瞭であるというデメリットも。
車両本体の売買価格が、個別の車両のクオリティや人気に左右されやすいのはもちろんですが、レンタルに出すときの手数料やレンタル価格についても、精緻な適正価格を見いだすのは困難です。価格情報が不確実なため、収益予測も従来の投資より立てづらいでしょう。
また事故によるキャンピングカーの破損や、利用者のマナーが悪かったがために車両が汚損するといったキャンピングカー独特のリスクも。一部は保険などで対策がとれますが、車両の維持に想定外のコストがかかるリスクは否定できません。
最後に、レンタル需要の維持や売却時の価格の維持のためには車両の品質を高く保つ必要がありますが、これは自動車領域の専門知識が必要です。クルマやアウトドアが趣味でない限り、投資家でこの領域に知見がある人は少ないでしょう。
独学で勉強するか、自動車整備をしてくれる業者の活用などが必要になります。後者の場合は整備に関する費用がマイカーより上振れるリスクもあるでしょう。
分散投資の一環としてキャンピングカー投資を始めてみるのも一案
堅調なキャンピングカー需要と、レンタカー・カーシェアの普及を受けて発展しつつあるキャンピングカー投資。キャンピングカーを売買する業者の中には、保有中の運用までサポートしてくれるサービスも出始めています。
こうした業者をうまく活用すれば、多くの人にとってノウハウがまだないであろうキャンピングカー投資をスムーズに進めることができるでしょう。
従来の投資とは異なる特徴を持つ新たな投資先にチャレンジしたいという人は、独特ながら高い利回りが期待できるキャンピングカー投資を考えてはいかがでしょうか。
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