公開日: 2025.12.22

実物資産とは? 3つの種類やメリット・デメリット、おすすめの投資を解説

監修:
矢口美加子 (宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級)
実物資産とは? 3つの種類やメリット・デメリット、おすすめの投資を解説

物価上昇が続くなか、資産の価値を守り抜く方法として、金融資産に加えて実物資産への関心が高まっています。物理的な価値を持つ資産だからこそ、長期視点での安心感があるでしょう。

本記事では、実物資産の種類と魅力、メリット・デメリット、不動産投資が支持される理由までわかりやすく解説します。

実物資産とは?

実物資産とは、以下のように物理的な形を持ち、それ自体に価値が認められる資産のことを指します。

  • 土地
  • 建物
  • 貴金属
  • 美術品 など

貴金属は、金属のなかでも特に産出量が少なく希少であり、工業用途や宝飾品としての需要が高いです。また、不動産は住居や事業用として実際に利用できる価値があります。

金融市場の混乱時や経済危機においても、実物資産は物理的に存在し続けるため、価値がゼロになるリスクは低いでしょう。そのため、長期的な資産形成や将来に備えた資産保全を考える際には、実物資産への投資が選択肢の一つとなります。

金融資産との違い

金融資産は現金や株式、債券、投資信託など形を持たない資産で、企業や国の信用にもとづいて価値が決まります。たとえば株式は企業の業績次第で価格が変動し、最悪の場合は倒産により無価値になるリスクがあります。

一方、実物資産は物理的に存在するため、価格が下落しても一定の価値を保ちやすいのが特徴です。また、金融資産は証券取引所などで簡単に売買できる流動性の高さがメリットですが、実物資産は現金化に時間がかかる反面、インフレ時に価値が上昇しやすいという違いがあります。両者の特性を理解し、バランスよく保有することが、安定した資産形成につながります。

実物資産の種類

実物資産は、大きく以下の3つに分類されます。

  1. 不動産
  2. 貴金属
  3. コレクション品

1. 不動産

不動産は実物資産の代表格で、マンションや一戸建てなどが該当します。収益不動産として実物の不動産を保有することで、家賃収入(インカムゲイン)を得ることが可能です。株式の配当と異なり、賃貸需要があり、入居者がいれば毎月比較的安定した収入が見込めるため、老後の年金にプラスアルファとして保有するケースも珍しくありません。

また、不動産投資ローンを活用すれば、少額の自己資金で数千万円の物件を所有できるレバレッジ効果も魅力です。不動産投資では立地が収益性や価値に影響を与えるため、物件選びが成否を分けるポイントといえます。

2. 貴金属

貴金属は金や銀、プラチナなど、希少価値の高い金属を指します。ダイヤモンドも宝石類として価値が高い資産です。金は「有事の金」と呼ばれ、金融危機や戦争などの不安定な状況下で価値が上昇しやすい特性があります。

世界中どこでも価値が認められるため、換金性に優れているのもメリットです。ただし、金やプラチナは保有している間には収益を生まず、価格変動による売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資になります。貴金属投資は価格の変動を見極める力が求められるため、市場動向をチェックする習慣が大切です。

3. コレクション品

コレクション品は美術品や骨董品、高級腕時計、トレーディングカード、ワインなど、趣味性の高い実物資産です。希少性や人気によって価値が決まり、コレクター需要が高まれば大きな値上がりも期待できます。

しかし、コレクション品は買い手となるコレクター層が一定数いなければ市場が形成されません。ジャンルによっては需要が限られ、投資対象としては難易度が高くなる場合もあります。

自分の好きなものを楽しみながら資産形成できる点が魅力ですが、真贋の見極めには専門知識が必要です。投資目的で購入する場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

実物資産に投資する3つのメリット

実物資産に投資するメリットは、主に以下の3つです。

  1. インフレに強く資産価値を守れる
  2. 金融危機でも価値が急落しにくい
  3. ポートフォリオの分散効果を高められる

それぞれ詳しく解説します。

1. インフレに強く資産価値を守れる

インフレとは物価が上昇し通貨の価値が下がる現象を指します。100万円の預金があっても、物価が2倍になれば実質的な現金の価値は半分に目減りしてしまいます。一方、実物資産は物価上昇とともに資産価値も上がる傾向があるため、インフレに強いのが特徴です。

たとえば不動産は、地価の上昇や周辺相場の上昇で価値が上がる可能性があり、金も価格が上昇する傾向です。資産を守るためには、現金だけでなく実物資産も保有することが重要です。

2. 金融危機でも価値が急落しにくい

株式や債券などの金融資産は、リーマンショックやコロナショックのような金融危機時に急激に大暴落するリスクがあります。また企業の倒産や国の財政破綻により、投資した資金が大幅に目減りしたり、最悪の場合はゼロになったりする可能性もあります。

一方、実物資産は物そのものに価値があるため、金融市場の混乱による影響を受けにくいのが特徴です。特に金や不動産は、経済が不安定になると安全資産として買われる傾向があり、むしろ価値が上昇することもあります。長期的な資産保全を考えるうえで、実物資産は心強い存在といえます。

3. ポートフォリオの分散効果を高められる

資産運用の基本は「卵を一つのカゴに盛るな」という分散投資の考え方です。株式だけに投資していると、株価暴落時に大きな損失を被るリスクがあります。実物資産は金融市場と異なる値動きをするため、ポートフォリオに組み入れることで全体のリスクを下げる効果があります。

たとえば株価が下落する局面でも、金や不動産の価値が上昇すれば損失を相殺することが可能です。バランスの取れた資産配分が、長期的な資産形成の鍵といえます。

実物資産に投資する3つのデメリット

実物資産への投資には、以下のようなデメリットがあります。

  1. 流動性が低く好きなタイミングで現金化できない
  2. 維持費・保管コストがかかる
  3. 偽物や劣化のリスクに備える必要がある

それぞれ詳しく解説します。

1. 流動性が低く好きなタイミングで現金化できない

株式なら証券取引所で価格の折り合いさえつけば数秒で売却できますが、不動産は買い手を見つけて契約の締結、決済まで数カ月かかるケースも珍しくありません。コレクション品も専門のオークションや買取業者を通す必要があり、希望価格で売れるとは限りません。

急に現金が必要になった時に、すぐに換金できないのは大きなリスクとなります。そのため実物資産に投資する際は、生活費の6カ月分程度の預貯金を確保しておくなどの対策が必要です。

2. 維持費・保管コストがかかる

実物資産のなかには、保有し続けるためにコストがかかることも多くあります。不動産なら固定資産税や修繕費、管理費等が毎年発生し、賃貸に出していても空室などさまざまなリスクがあります。

貴金属は盗難対策として貸金庫を借りれば年間数万円の費用がかかり、自宅保管なら盗難保険への加入が必要です。美術品は適切な温度・湿度管理が必要で、保管施設を利用すれば費用がかさんだり、ワインも専用のセラーが必要になったりします。

こうした維持コストは資産価値の上昇を相殺する可能性があるため、投資判断の際には保有コストも含めて収益性を計算することが重要です。

3. 偽物や劣化のリスクに備える必要がある

実物資産は物理的に存在するため、偽物をつかまされるリスクや劣化により価値が下落するリスクがあります。特にコレクション品は本物と偽物の区別が難しく、専門知識がないと偽物を購入してしまう可能性があります。

高級時計やブランド品、美術品は精巧な偽物が出回っており、素人では判断できません。また、不動産は地震や台風などの自然災害で破損・倒壊すれば資産価値が大きく毀損してしまいます。

こうしたリスクに備えるには、高級時計やブランド品などは信頼できる専門店や正規販売店で購入して盗難保険に加入する、不動産であれば火災保険や地震保険をかけたり専門家のサポートを受け続けたりするなどの対策が不可欠です。

【関連リンク】
不動産投資の9つのリスク! 5つの回避策や向いている人の特徴も紹介

実物資産なら不動産投資がおすすめの理由

実物資産のなかでも、不動産投資は特におすすめの投資方法です。その理由として、以下の2つが挙げられます。

  1. 家賃収入を得られる(インカムゲイン
  2. 不動産投資ローンで少額から始められる

それぞれ詳しく解説します。

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不動産投資とは?初心者が知るべきメリットや魅力、仕組み、運用方法、始め方

1. 家賃収入を得られる(インカムゲイン)

不動産投資の特徴の一つが、入居者が住み続けていると毎月安定した家賃収入を得られる点です。金や美術品は保有することでの収益はなく売却して初めて収益を得ることになりますが、不動産は保有し続けることで継続的な収入源になります。

たとえば月10万円の家賃なら年間120万円となり、株式の配当と違い、景気が悪化しても家賃が大幅に下がることは少なく、安定性が高いのが特徴です。老後の年金に加えて生活費の補填として活用できるため、長期的な資産形成に適しています。ローン返済後は家賃がほぼ利益になり、不労所得を得られる点も魅力といえます。

2. 不動産投資ローンで少額から始められる

不動産投資の大きな魅力は、金融機関の融資を活用して他人資本(金融機関からの借入金)で資産形成できる点です。金や美術品は全額自己資金で購入する必要がありますが、不動産ならローンを組んで購入できます。

高額な頭金が必要と考える人もいますが、金融機関や物件条件によっては、10万円程度の頭金でローンを組んで始められるケースがあります。不動産という担保があり、家賃収入でローン返済できる見込みがあるからこそ可能な投資手法です。

少額の資金で大きな資産を動かせるレバレッジ効果により、効率的に資産を増やすことが可能となります。会社員でも融資を受けやすく、投資初心者でも始めやすいのが特徴です。

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不動産投資を始めるなら専門家への相談がおすすめ

不動産投資は実物資産のなかでも特に高額で、物件選びを間違えると大きな損失につながります。立地の見極めや収支シミュレーション、税金対策など、成功には専門知識が欠かせません。

経験豊富な不動産投資会社に相談すれば、市場データにもとづいた物件提案や購入後の管理サポートまで一貫して受けられるため初心者でも安心です。

多くの会社が無料相談や初心者向けセミナーを開催しているので、まずは情報収集から始めてみるのがおすすめです。実績と透明性のある会社を選ぶことで、初心者でも安心して資産形成をスタートできます。

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実物資産への投資で将来の資産価値を守る第一歩を踏み出そう

実物資産は物理的な形を持ち、インフレや金融危機に強いという特徴があります。金融資産だけでなく実物資産をバランスよく保有することで、長期的に安定した資産形成が可能になります。

なかでも不動産投資は、毎月の家賃収入を得られるうえ、少額の自己資金から始められるため、会社員の方に特におすすめの投資方法です。ただし、物件選びや収支計画には専門知識が必要なため、まずは信頼できる不動産投資会社に相談することから始めましょう。実物資産への投資を通じて、将来の資産価値を守る第一歩を踏み出してみてください。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

矢口美加子 矢口美加子 宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級

不動産売買や不動産投資、リフォームなど不動産関連の記事を複数の大手メディアに寄稿。記名記事の実績は310以上。モットーは「初心者にもわかりやすい不動産記事の執筆」。家業で不動産投資をしており、マンション・アパート・戸建て賃貸経営で契約管理を担当。オーナー目線の記事を得意とする。

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