公開日: 2019.11.11 更新日: 2026.02.02

不動産投資で駐車場経営をするメリット・デメリット|必要な費用や収益の目安も解説

監修:
柴田充輝 (1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士)
不動産投資で駐車場経営をするメリット・デメリット|必要な費用や収益の目安も解説

駐車場投資に興味はあるけれど「儲かるのか」「費用はどのくらいかかるのか」と不安を感じていませんか。

駐車場経営は、不動産投資のなかでも建物を建てるよりも初期費用が少なく、比較的始めやすい方法です。しかし、固定資産税などの税金が高額になったり、無断駐車・違法駐車などのリスクもあります。

本記事では、駐車場経営の基礎知識から具体的な費用、収益性、成功のポイントまで詳しく解説します。

不動産投資における駐車場経営の種類

 

駐車場経営の種類は大きく分けて、利用者が決まっている「月極駐車場」と時間単位で借り手が借りられる「時間貸し駐車場(コインパーキング)」の2種類があります。それぞれの経営方法を見ていきましょう。なお、この記事では、平面駐車場(広場式)を対象に扱います。

月極駐車場

月極駐車場とは、特定の利用者に一定期間駐車場を賃貸し、その対価として毎月賃貸料を払ってもらう駐車場です。

月極駐車場は、大きな設備投資等は不要で、初めて駐車場経営に取り組む方でも始めやすい特徴があります。

時間貸し駐車場(コインパーキング)

時間貸し駐車場(コインパーキング)とは、空いている駐車スペースを不特定多数の利用者に提供し、利用した時間分の料金を都度支払ってもらう駐車場です。

時間貸し駐車場(コインパーキング)の場合は、まずはじめに土地に精算機やセンサー・監視カメラなどの設備を用意する必要があります。そのため、月極駐車場と比較すると初期投資が多くかかる点に注意が必要です。その代わり、利用率が高ければ、料金設定により月極駐車場よりも高い収入を得られる可能性があります。

なお500m²以上など、一定の要件を満たす駐車場については、駐車場法による届出が必要となる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

不動産投資における駐車場経営の管理方法

 

駐車場の運営方法には主に3つの方法があります。

1. すべての業務を自分で行う

賃借人の募集・契約締結・賃料の回収などの業務を、オーナー自身で行う方法が、自主運営方式です。ほかの管理方法と比較して収益性が高い反面、管理の手間がかかります。

2. 管理会社に業務を委託する

賃借人の募集や賃料回収などを管理会社に委託し、委託料を支払う方法が管理委託方式です。収益性は自主運営方式よりも劣るものの、管理の手間を減らしたい方に向いている方法といえます。

3. 管理会社による一括借上

管理会社が駐車場を丸ごと借り上げ、オーナーに一定額を支払う方法が一括借上方式です。空車リスクがなく安定した収入が得られる一方、管理会社への手数料が高いため収益性は低くなります。契約途中や更新時に賃料見直しが入る場合があるため、賃料改定条項や解約条件を事前に確認する必要があります。

それぞれの方式には長所と短所があるため、自分の時間や労力、求める収益性に応じて最適な方法を選択しましょう。

不動産投資における駐車場経営のメリット

 

駐車場経営の魅力はさまざまですが、大きなメリットとしては以下の5つが挙げられます。

  1. 狭い土地でも始められる
  2. 初期費用を抑えやすい
  3. 始めるまでの期間が短い
  4. 老朽化による影響をほぼ受けない
  5. 更地へ戻すのが容易

1. 狭い土地でも始められる

駐車場運営は、建物を建てるには狭小な土地でも成立します。

乗用車1台あたりの目安の面積は、大体4坪(13m²程度)ですので、極論を言えば、5~6坪程度の土地があれば駐車場経営は可能です。

ただし、時間貸し駐車場(コインパーキング)の場合はある程度の初期投資が必要となりますので、狭い土地では資金効率が悪くなる点に留意が必要です。

2. 初期費用を抑えやすい

駐車場は建物などを建築する場合と比較して、格段に初期投資を抑えられます。

月極駐車場経営に必要な初期費用は、基本的に整地・舗装費用のみです。建物の解体が必要な場合は、その費用も加算されます。

時間貸し駐車場(コインパーキング)の場合は、整地・舗装費用に加えて精算機やセンサー・監視カメラなどの設備設置費用も必要です。なお、事業者への一括借上方式を採用する場合には、設備設置費用は基本的に不要です。

初期費用のほか、ランニングコストも把握しておく必要があります。

なお、整備済みの土地、個人宅の空き駐車場などを貸し出すことができるプラットフォームサービスによっては、初期費用がかからないケースもあります。

3. 始めるまでの期間が短い

駐車場は、建物を建てる必要がありません。住居や事務所などの賃貸と比較して、非常に短い準備期間で経営を開始できます。

建物を建築して賃貸する場合は、早くても6カ月~1年程度の準備期間が必要となります。一方、駐車場については広さによって異なりますが、早ければ1週間、1カ月程度の期間があれば事業を始めることが可能です。

4. 老朽化による影響をほぼ受けない

駐車場は建物を建てるわけでも大規模な設備が必要なわけでもないため、モノの老朽化による収益力の低下はないといえます。

修繕費についても、駐車場内のメンテナンス、たとえば車止めや番号等の標示材などの小修繕は発生はするものの、アパートやマンション経営のように毎月修繕費用がかかることはほぼないでしょう。

5. 更地へ戻すのが容易

駐車場をやめて別の方法で土地を活用したいと思ったとき、建物がある場合に比べるとすぐに更地に戻せる点も大きなメリットの一つです。

駐車場の場合、土地のうえに大きな建造物はなく、アパートのように複数の住人がいることもないため、少ない費用と手間で更地に戻せます。

不動産投資における駐車場経営のデメリット

 

駐車場経営にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。投資を始める前に、以下の5つのデメリットを理解しておくことが重要です。

  1. 減価償却費による節税効果が得られない
  2. 固定資産税都市計画税・相続税が高くなる
  3. インボイス制度と絡んで課税事業者になる可能性がある
  4. 運用効率が悪くなる
  5. 駐車場ならではのリスクがある

1. 減価償却費による節税効果が得られない

月極駐車場の場合、基本的に減価償却費が発生しません。減価償却費とは、建物や設備などの資産を使用期間にわたって少しずつ経費として計上できる費用のことです。この費用は実際の支払いを伴わないため、帳簿上の利益を減らして税金を抑える効果があります。

建物を所有する不動産投資では、この減価償却費による節税効果を享受できます。しかし、駐車場経営では建物がないため、この恩恵を受けられません。

なお、時間貸し駐車場(コインパーキング)の場合は、舗装費用や照明、看板、精算機、ロック板などの設備を償却できます。ただし、建物の減価償却費と比べれば金額は少なく、節税効果は限定的です。

【関連リンク】
不動産投資の減価償却シミュレーション! 中古の建物は「躯体と設備」に分けなあきまへん!!

2. 固定資産税・都市計画税・相続税が高くなる

駐車場は「住宅用地」ではないため、固定資産税都市計画税の軽減措置を受けられません。住宅用地の場合、200平方メートルまでの部分について、課税標準が価格の6分の1に軽減される特例があります。同じ面積の土地でも、駐車場の固定資産税都市計画税は、マンション用地の3~6倍程度になるのが一般的です。

また、相続が発生した場合、駐車場は「更地」と同じ評価方法で相続税が計算されます。一方で、建物を建てた土地であれば「貸家建付地」として評価額が下がり、相続税を抑えることが可能です。

駐車場ではこのような評価減を受けられないため、相続税の負担が大きくなってしまいます。ただし、車庫などの施設が建っている場合は小規模宅地等の特例が適用される可能性があるため、事前の要件確認が重要です。

3. インボイス制度と絡んで課税事業者になる可能性がある

駐車場の利用料には消費税が課されるため、インボイス制度への対応が必要になる場合があります。インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)を発行・保存することで、消費税の仕入税額控除を受けられる制度のことです。

駐車場の利用者が法人や個人事業主の場合、適格請求書の発行を求められる可能性があります。この場合、適格請求書を発行するには、課税事業者として税務署に登録しなければなりません。課税事業者になると、消費税の納税義務が発生します。免税事業者と比較して、手元に残るキャッシュが減少します。

また、前々年の課税売上が税込1,000万円を超えると、課税事業者となります。課税事業者になると、納税時に資金が不足するリスクがあるうえに、帳簿や請求書の管理など経理関係の事務負担も増加する点に注意が必要です。

4. 運用効率が悪くなる

平面駐車場で経営を行う場合、土地を1階分のみ、つまりワンフロアに限定して活用することになります。建物を建てて複数階にわたって活用できるアパートやマンション経営と比べると、運用効率は相対的に低くなります。

5. 駐車場ならではのリスクがある

駐車場投資には、以下のような駐車場特有のトラブルリスクが存在します。

  • 無断駐車や不正駐車
  • 契約者による料金滞納

さらに、時間貸し駐車場(コインパーキング)では機器の故障やメンテナンス費用、車両同士の接触事故、車上荒らしなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。これらのトラブルが発生すると、オーナーとして対応しなければなりません。しかし、管理会社に委託すれば無断駐車対応や集金・督促、機器トラブル対応などの実務負担を外部化でき、トラブル時の対応リスクを一定程度軽減することが可能です。

しかし、事故や盗難などのリスク自体は残り、対応範囲や費用負担は委託契約の内容によって異なります。駐車場経営を始める際には、これらのリスクや委託範囲と免責・追加費用の条件などを理解しておく必要があります。

不動産投資における駐車場経営が向いている人の特徴

 

駐車場経営は、すべての人に適した投資方法というわけではありません。ここでは、月極駐車場と時間貸し駐車場(コインパーキング)、それぞれに向いているタイプを解説します。

月極駐車場が向いているタイプ

月極駐車場はローリスク・ローリターンの投資となります。土地を活用したいけど、初期投資をなるべく最小限に抑えたい方に適しているといえるでしょう。また、管理の手間をあまりかけたくない方や、将来的に別の用途で土地を使う可能性がある方にもおすすめです。

月極駐車場に向いている立地は、住宅地あるいはオフィス街の周辺です。住宅地は、マンションやアパートの駐車場スペースに全住戸分の駐車スペースがない場合が少なくありません。自宅敷地内に駐車場を確保できなかった人や、自宅の駐車場だけでは足りなくなった人からの需要が見込まれます。オフィス街は、会社の社用車駐車場や従業員の通勤用としての需要が見込めます。

時間貸し駐車場(コインパーキング)が向いているタイプ

時間貸し駐車場(コインパーキング)は、月極駐車場と比較して初期投資が必要となり、リスクもリターンも月極よりも高くなります。それでも、建物を扱う不動産投資よりはローリスク・ローリターンの投資です。初期投資をすることができれば、月極駐車場よりも高い収益を獲得したい方に適しています。

時間貸し駐車場(コインパーキング)は、人の出入りが多い立地に向いています。具体的には、大きな駅・病院・商業施設・オフィス街の周辺にある土地をイメージしてください。特に、駅周辺は行き来する人の数と比較すると、駐車台数が確保されていないケースが多いので、時間貸し駐車場(コインパーキング)の需要が高い地域といえます。

オフィス街については、月極駐車場にも適した立地ですが、周辺の駐車場の需給動向から、今後どちらの需要が多く見込まれていくかを予想し、判断することが大切です。

不動産投資における駐車場経営が向いていない土地

 

駐車場が向いていないタイプの土地としては、たとえば以下のようなものが考えられます。

  1. 接道幅が狭すぎる土地
  2. 大きな高低差がある土地
  3. 周辺の駐車場の稼働率が低いエリア

それぞれ詳しく解説します。

1. 接道幅が狭すぎる土地

車が駐車場に出入りするための幅、車が道路に接する接道幅が十分にない土地だと、駐車場としては成り立ちません。利用者が利用しにくければ、収益にも影響が出ます。

一般的なセダンの車幅がおおむね1.8m程度ですので、できれば4m、最低でも2.5m程度の接道幅が必要となります。

2. 大きな高低差がある土地

道路と敷地に高低差がある場合は、スムーズに出入りできるよう、また敷地内に高低差がある場合は、土地の地ならしが必要です。駐車場は大きな収益を上げられる活用方法ではないため、多額の造成費用をかけて駐車場経営を行っても、投下資金をなかなか回収できないという可能性があります。

3. 周辺の駐車場の稼働率が低いエリア

駐車場付きの戸建て住宅が並ぶ閑静な住宅地などでは、外部駐車場の需要が見込めない場合があります。また、立地は良いもののすでに駐車場が多数存在し、供給過多となっているエリアでもやはり需要は見込めません。

駐車場経営を実施するに当たっては、周辺の需給動向を必ず確認するようにしましょう。

駐車場経営の収益

 

駐車場経営をした場合の収益についても考えます。

賃料・利用料の目安

月極駐車場の場合、1台あたりの賃料は、全国平均で10,595円です(総務省 小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編)車庫借料 2025年10月データ)。今治市、宇部市では4,500円、横浜市で16,633円、東京23区は27,549円となっています。平均の数値は以上のような価格となりますが、その他地方では5,000〜1万円が目安です。また、都内の一等地では3万〜5万円以上の賃料が見込める場所もあります。

時間貸し駐車場(コインパーキング)の場合、立地によりさまざまですが、都内の住宅地であれば1時間あたり400円、繁華街であれば1時間あたり700円程度が平均値です(都内一等地であれば、1時間あたり3,000円程度が見込まれる土地もあります)。 

収益性について

初期費用、毎月のコスト、賃料・利用料の目安をそれぞれ見てきましたので、簡単なケーススタディを行いましょう。

ここでは、東京都豊島区雑司が谷に立地する100m²の土地に、5台の駐車場を設置した場合の、月極駐車場・時間貸し駐車場(コインパーキング)の投資利回りを試算します。

月極駐車場・コインパーキングの投資利回りシミュレーション

上記のとおり、月極駐車場で2%弱、時間貸し駐車場(コインパーキング)で4%弱の投資利回りとなりました。

思ったより低利回りだなと感じた方も多いと思われますが、よく業者が宣伝している「駐車場運営で投資利回り8%!」のようなものは、粗利回り(費用を控除する前の収入÷投資金額)で表示しているものが多いです。

駐車場経営の相談を専門業者に行う場合には、しっかりとその収支計算の中身を確認し、提示されている利回りが粗利回りなのか・純利回りなのかは必ず確認するようにしましょう。

不動産投資における駐車場経営を成功させるポイント

 

不動産投資における駐車場経営を成功させるポイントは、以下のとおりです。

  1. 周辺環境を考慮して慎重に検討する
  2. 適切な駐車料金設定を行う
  3. 信頼できる不動産管理会社に依頼する

1. 周辺環境を考慮して慎重に検討する

駐車場の需要が見込める場所は、成功する可能性が高くなります。周辺の既存駐車場の稼働状況を平日・休日・時間帯別に観察してみましょう。満車率が高く、路上駐車が多いエリアは需要が足りていない可能性が高く、狙い目です。

また、将来的な再開発計画や人口動態も確認することが重要です。現在は需要があっても、5年後や10年後に需要が減少する可能性がある場合、長期的な収益性は期待できません。

2. 適切な駐車料金設定を行う

賃料設定は収益性と稼働率のバランスを取ることが重要です。相場より高すぎると空車が増え、安すぎると収益を最大化できません。

専門家に相談しながら、土地の特徴や周辺環境を加味して、最適な戦略を決めましょう。

また、賃料は一度決めたら固定ではなく、定期的に見直すことが大切です。周辺環境の変化や競合の価格動向に応じて柔軟に調整することで、常に最適な収益を確保できます。月極駐車場の場合は契約期間中に賃料を変更しにくいこともあるため、更新時期や募集条件(礼金更新料・契約条件など)を踏まえて、無理のない範囲で賃料や条件を見直します。

3. 信頼できる不動産管理会社に依頼する

駐車場経営を成功させるには、優良な管理会社選びが不可欠です。駐車場経営を専門とする会社だけでなく、土地活用の専門家や不動産投資全般に強い会社などに相談し、話を聞くことをおすすめします。

【関連リンク】
不動産投資のおすすめの相談先6選! 会社の見極めポイントや相談事例も紹介

不動産投資の一つとして駐車場経営を検討してみよう

平面の駐車場としての土地活用は、初期投資や管理の手間が建物を建てる場合よりも少なく、ローリスク・ローリターンの投資として手軽に始められます。駐車場の経営を止めたいと思った場合も、建物を貸している場合よりも簡単に事業から撤退できます。

一方、アパート経営等に比べてどうしても運用効率は悪くなってしまいますので、高い利回りを求めて土地を取得する方には適さない経営スタイルです。そのため、将来ほかの活用法を行える余地を残しておきたい、という場合や土地活用の手始めとしてまずは駐車場を検討している方には向いているといえるでしょう。

※本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

この記事を監修した人

柴田充輝 柴田充輝 1級ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

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