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公開日: 2019.09.02

マンション投資で入居者を絶やさない工夫とは

マンション投資で入居者を絶やさない工夫とは

投資用マンションは、購入したからといって勝手に家賃が入り続けるわけではありません。何らかの理由で空室になることがあります。退去の理由は、入居者の事情でやむを得ない場合もありますが、なかには避けようと思えば避けられるケースもあります。また空室となっても、空室期間はより短いに越したことはありません。速やかに空室を埋めるための空室対策と長く入居してもらうためのテナントリテンションについてご紹介します。

早期に空室を埋める、空室対策

空室となったら、家賃を下げることなくできるだけ短い期間で入居してもらうことが目標です。築年数が経過すれば家賃は下がる傾向にありますが、下がる一方では不動産経営としては苦しくなるばかりです。できるだけ家賃を下げずに、いたずらに広告料を追加することなく、募集活動や物件の魅力によって空室を埋める空室対策をご紹介します。

1. 募集条件を工夫する

家賃は安いに越したことはないと考える人も多いですが、不動産経営の収支に直結するため、家賃はできる限り下げたくないのが本音でしょう。入居者が重視する募集条件は、家賃だけではありません。家賃のほかにも、さまざまな募集条件によって工夫が可能です。

初期費用を抑える

家賃は少し高くとも、初期費用のかからない物件を選ぶ入居者が増えています。家賃の値下げを考える前に、敷金礼金を抑えたり、家賃が無料になるフリーレント期間をつけたりすることで初期費用が下げられないか検討しましょう。また管理会社の方針で、消毒代や鍵交換費用などさまざまなオプションサービスを付加している場合があります。なくても問題のない付帯費用は、はずせないかどうか管理会社に相談してみましょう。

入居可能枠を広げる

外国人や高齢者、ペット、楽器、DIY、二人入居、事務所利用など、入居可能枠を広げることもとても効果的です。こうした条件は一定の需要があるにも関わらず、いまだ多くの物件で入居不可となっています。区分所有のマンションでは、ペットや楽器などマンションの規定に従う必要があるものもありますから、まずは管理規約を確認しましょう。外国人や高齢者などは受け入れ条件に基準を設け、あらかじめ入居ルールを定めるなど対策を施すことでトラブルを最小限に抑えながら、入居可能とすることも検討してみましょう。

家具・家電付きにする

家具・家電を一通り備えた物件は、入居時の費用が抑えられ最低限の荷物だけで生活をはじめられるため、学生や留学生、単身赴任の会社員などに人気があります。主要なポータルサイトにも検索条件のチェックボックスが用意されていたり特集が組まれていたりするものの、物件数はまだまだ多くないため、差別化となります。

ポータルサイトなどで周辺の競合物件の募集条件をチェックし、ほかの物件で行っていない条件の中で喜ばれるものは何かを考えることがポイントです。実際に入居者を案内する地域の不動産仲介会社の店舗をいくつか訪問し、聞いてみるのも効果的です。より具体的な地域の特性や入居者の傾向が見えてくる場合も少なくありません。

2. 募集情報をチェックする

ポータルサイト、募集図面をチェック

ポータルサイトの掲載ページや募集図面を見たことはありますか。ポータルサイトは、募集をはじめたら必ず掲載されるわけではありません。主要なポータルサイトは掲載費用がかかるため、管理会社が厳選して掲載している場合があります。宅建業者のみが閲覧できる物件情報を一元化するシステム「レインズ」にも、掲載されていない場合があります。賃貸物件は、レインズへの登録義務はありません。しかし、ポータルサイトやレインズに掲載されていなければ、入居者が物件の募集情報を目にする機会は激減します。入居が決まるわけがありません。募集をはじめたら、主要なポータルサイトおよびレインズへの掲載があるか確認し、掲載がなければ掲載してもらうよう、管理会社や仲介の不動産会社へ依頼しましょう。

募集図面の情報も重要です。記載に誤りはないか、アピールポイントは過不足なく掲載されているか、写真や間取り図はわかりやすいかどうかなど確認しましょう。

差が出る物件写真

グリーン食器などの小物

物件の印象は、写真によっても大きく変わります。少しでも広く見える位置から撮影したり、カーテンやグリーン、食器などのインテリア小物を置いたりと、少しの工夫でも差が出ます。昨今の入居者は、ポータルサイト上で候補物件を絞り込み、ほぼ物件を決めた上で内見します。そのため、たくさん写真の掲載があった方が選ばれやすい傾向があります。浴室・キッチン・トイレ・洗面などの水回り設備から、収納・玄関・バルコニーなど部屋の内部は一通り写真におさめ、一番見栄えのいい写真をメインに選びます。外観の写真もとても重要です。

また、写真は一度使用したらストックをしておき、またその部屋が空室となったときに利用します。退去後、室内の清掃やリフォームを待って写真を撮るのでは、募集のスタートが遅くなるためです。賃貸は、1月~3月の繁忙期に入退去が非常に多く、この時期を少しずれるだけで決まりにくくなる場合も多いものです。募集のタイミングを逃さないためにも、一度室内の写真を撮影したら、退去がわかった段階で同じ写真を使って募集をすることで、空室期間を短縮することが可能です。

3. 問合せや内見状況を把握する

募集を開始したら、定期的に問合せや内見の状況を確認する必要があります。1ヶ月募集をして内見が1件もない場合には、募集条件や情報の公開状況に問題がある可能性があります。同様に1ヶ月募集をして、内見は数件あったものの成約に至らなかった場合には、物件の印象に問題がある可能性があります。空室を長引かせないためには、問合せや内見状況から募集の問題点を把握し、迅速に手をうつことが大切です。入居者から選ばれない理由を考えずに同じ条件で募集を続けるのは、大きな機会損失となりかねません。

4. ホームステージングで演出する

お部屋の写真をはじめ、内見で室内に入ったときの第一印象はとても重要です。不動産の売却や賃貸募集の際に、家具やカーテン、グリーン、食器などのインテリア小物を置いて部屋を飾り付けることを「ホームステージング」といいます。モノが一つもない室内は、殺風景で生活のイメージがわかないという人も多いものです。ステージング(演出)によって魅力的な印象をつくり、入居者が実際にお部屋を使っているイメージをしやすくなることで、募集期間を短縮する効果があります。カーテンやソファ、ラグなどの家具や、お花や食器などの小物を置くことで、部屋の印象はがらりと変わります。

ホームステージングは、オーナーが家具や小物を用意し自ら準備する場合もあれば、専門に行っている業者が必要な家具や小物を貸し出し設置まで行ってくれるサービスもあります。空室期間を何ヶ月も長引かせてしまうならば、専門業者にホームステージングを依頼して1ヶ月でも短縮できたほうが、コストを抑えられる場合も少なくありません。

テナントリテンション 
~長期に入居してもらうための工夫~

テナントリテンションとは、入居者に長く入居してもらうための工夫のことです。仮に退去があれば、リフォーム費用に募集のための広告料、空室による賃料のロスが少なからず発生することとなります。こうした費用を最小限に抑える一番の方法は、入居者の満足度を上げて、退去を出さないこと、すなわち空室予防です。できるだけ長期に入居してもらうことこそが安定した不動産経営の近道といえます。では、テナントリテンションの具体的な方法をご紹介します。

1. 入居者アンケート - 退去につながる不満はないか?

アンケートを活用したコミュニケーション

入居者の退去は、転職や進学などの生活環境の変化や、パートナーとの同居、子供が生まれたことなどによる家族構成の変化だけが理由であるとは限りません。隣人や上の階の騒音、ゴミの分別マナーのよくない住人がいる、隠れてペットを飼っている住人がいる、駐輪場の自転車があふれていて止めにくい、窓の結露、エアコンや給湯器などの設備が壊れてはいないが調子がよくないなど、物件に不満を抱えている場合も少なくありません。一つ一つを聞いてみればささいなことも多いかもしれませんが、不満に思っていても「管理会社やオーナーに言うほどのことでもない」と我慢をしている入居者もあるのです。こうしたささいな不満が積み重なって「もっといい物件がありそうだ」と更新のタイミングで退去となるのは、とてももったいないことです。

こうした退去の芽をつむ工夫のひとつが「入居者アンケート」。日ごろ不満に思っていることはないか、設備に不具合がないかなどを聞き出すことができます。アンケートの回答をしてくれた御礼にギフトカードなどをプレゼントすれば、アンケートの回収率が上がります。ただし、記載のあった不満に対し、対応がなされないと逆効果となる点で注意が必要です。入居者とつかず離れずの距離間で、アンケートを活用したコミュニケーションをとることも、末永く入居してもらうためのテナントリテンションとなります。

2. 緊急時などのトラブル対応

緊急を要するトラブルの対応

入居中の不満につながりやすいのがトラブル時の対応です。水漏れや排水のつまり、設備機器の故障などの緊急を要するトラブルが発生した際に、一つ対応を誤れば退去につながる場合があります。そのため、困ったときに速やかに管理会社やオーナーへ連絡や相談ができる体制があるかどうか、連絡後の対応はスムーズであるかどうかは、とても重要です。すぐに解決することが難しいトラブルの場合でも、連絡を密にとり誠意をもった対応を心がけていれば信頼関係が構築され、テナントリテンションにつながります。

管理会社に委託してる場合は、対応に問題がないかどうか見えにくいこともあります。その場合には、入居者アンケートで確認し、問題があれば管理会社の変更も検討するとよいでしょう。

3. 設備のグレードアップ

設備は壊れたら交換するのは当たり前のことですが「まだ壊れていないけれど調子がよくない」「不便を感じている」段階で、グレードアップや交換を行うと、とても喜ばれます。具体的には、エアコンや給湯器の交換、ウォシュレットの取り付け、アクセントクロスをつけるなどです。家賃は変わらずグレードが上がるため「まだ引っ越しはせずに、もう少しここにいようか」という動機になります。いずれにしても退去があれば工事を行う箇所であるならば、同じ費用をかけながら入居者を喜ばせることができて、長期入居につながるため、一石二鳥です。

4. ハウスクリーニング

エアコンの内部洗浄

キッチンの換気扇や浴室の掃除、エアコンの内部洗浄など、入居者がなかなか行うことができない部分のハウスクリーニングも入居者にとても喜ばれます。複数箇所を行うのは費用がかかるため、いくつかのメニューから一カ所を選ぶことになりますが、定期的なメンテナンスは設備の寿命を延ばすことにもつながり、これもまた一挙両得です。

5. 更新料の割引または廃止

退去を考える最大のタイミングは、更新時といわれています。関東圏では、更新時に入居者から更新料をもらう慣習があります。更新料を支払うならば、このタイミングで引っ越しをしようかと検討するのも当然の話です。更新料の慣習がある地域では、更新の回数によって更新料を割引したり、更新料を廃止することも検討してみましょう。ハウスクリーニングや設備のグレードアップなどの特典を付加するのも一つの方法です。長期で入居してくれる入居者はいわば「お得意様」ですから、長く入居しているとよりお得な物件であるという認識してもらうことは、非常に効果的です。
※全国的には更新料のある地域とない地域があります。

このような入居者を絶やさない工夫は「ほかの物件と違う」と入居者に認知してもらうことがポイントです。当たり前だと思われてしまうことがないように、しっかり入居者に伝えましょう。

まとめ

家余りの時代となった今では、より入居者から選ばれ、より満足してもらう工夫がなければ、数ある物件の中に埋もれてしまいます。生活に欠かせない衣食住の「住」を提供する不動産経営は、いまやサービス業の一種です。しかしながら、このような考え方やいくつかの取り組みは、不動産会社に必ずしも認識されているわけではありません。委託した管理会社が提案してくれることもなければ、担当者によっては対応を断られるケースもあるかもしれません。しかし、ほかの物件の多くでまだ行われていないからこそ、効果も大きくなるのです。安定した不動産経営を維持するために、できることからチャレンジしてみるとよいでしょう。

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この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部

「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。

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