首都圏のマンション家賃が最安値!不動産投資家はこのデータをどう読むべき?
1都3県で一番家賃が下がったエリアとは……
1都3県とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県。マーキュリーの調査では、これら1都3県の全てで家賃下落が起こっていますが、なかでも、家賃下落が顕著なのは神奈川県です。例えば、「10月~3月の月別の平均家賃推移(※)」を比較すると次のような結果となります。
- 2016年度:9万6,258円
- 2017年度:9万5,329円
- 2018年度:9万3,473円
2016年度と2017年度を比較すると929円、2016年度と2018年度の比較では2,785円も下落しています。この家賃下落があと3~5年間続くと、9万円台割れの可能性も出てきます。
※2016年度を2015年10月~2016年3月 の期間とし、翌年、翌々年の同期間で比較しています。
東京23区もわずかながら家賃下落傾向に
日本全体で人口減少が進む中、人口が安定しているといわれている東京23区でも、3年間の10月~3月の半年間の平均値の推移は次のような結果です。
- 2016年度:11万8,129円
- 2017年度:11万8,084円
- 2018年度:11万7,116円
2016年度と2017年度を比較すると45円、2016年度と2018年度の比較では1,013円下落しています。神奈川県と比較すれば下落幅は少なく、また2018年3月単月では約7,000円上昇し12万円を超えています。見方によっては横ばい傾向ともいえます。ちなみに他の県の家賃下落(2016年度と2018年度の比較)は千葉県952円、埼玉県1,155円です。
人口減少がはじまっていないのに家賃下落の不思議
この賃貸マンションの家賃下落はなぜ起こっているのでしょうか。借り手である人口が減れば「供給>需要」の市場環境になり、賃貸物件の家賃が下がりやすいといわれます。しかし、東京都のデータによると、2015~2020年の東京23区の総人口は3.46%増と予測されており、人口減少が本格的にはじまるのは20年後のことです。
また神奈川県でも、総人口のピークは2018~2019年ごろで、人口減少はまだはじまっていません。つまり、人口減少は今回の家賃下落と直接的な関連性がないということです。
急ピッチで進んでいる中古マンションのストック数増加
今回の家賃下落に影響を与えたと考えられるのは、中古マンションのストック数です。国土交通省のデータでは、全国の中古マンションのストック数は、全国で約644万戸です(2017年度)。この戸数は1997年(約316万戸)に比べて328万戸増えていて、2007年(約528万戸)との比較では116万戸増えています。20年前と比べれば中古マンションのストック数は倍以上になっており、いかに急ピッチでマンションの供給増が進んでいるかがわかります。
このように供給過剰になると、マンション経営の市場全体で空室リスクが高まるでしょう。だからといって、「不動産投資=リスクが高い投資」と考えるのは短絡的です。入居者さえいれば不動産投資は安定した利益を長期で生み出してくれます。これを実現するには、物件の目利きになるための情報収集や学びが大事です。
すでに所有している物件に対しては、その時々の入居ニーズに即したリフォームやリノベーションを実施して、賃料維持、賃料アップに努めることがますます重要になってきます。同一の駅圏内にある競合物件に対し、「少し」魅力の高い物件を提供すれば、入居者に選ばれる物件になるでしょう。物件の魅力を高めるためには適切な時期に適切なリフォームやリノベーションを施すことが有効です。
また、エリアマーケティングも非常に重要になってきます。リフォームやリノベーションは追加投資です。追加投資に対し、物件が所在するエリアでは、どの程度のリターンが見込めるか、どの程度のリフォームを実施すると、どの程度の入居率の改善に繋がるか、家賃を上げることが出来るのか、など事前に調査しましょう。
不動産投資は資産形成であり、投資です。やみくもにコストを掛けリフォームやリノベーションを実施しても回収できなければ意味がありません。見込めるリターンを鑑みた上で適切な追加投資を実施し、安定的な資産形成を目指しましょう。
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